Grand Theft Archive:Kivotos 作:火焔茸
トレバーがカタカタヘルメット団をT.P.I.に編入したため、便利屋の前任者襲撃やセリカ誘拐といったイベントがキャンセルされたり、残ったイベントも時系列が入れ替わったりしてます。
アビドスに帰って来た。
カタカタヘルメット団のメンバーはほぼ全員が入社希望してきたんで、そのまま新人研修と顔合わせを兼ねて1週間おきに各部門を巡らせることにした。
あとは本人の意向と適性を見て配属先を決める予定だ。
「"よう、戻ってきたぜ。"」
「おはようございます、先生!」
いつもの教室に入ると、対策委員会の面々がツラを合わせて何か話し合いってな様子だった。
「"会議中か?"」
「これからやる所です、借金返済の手段を考えるために定期的に開催しているんですよ。」
「ん、折角だし先生も参加するべき。」
「"そんならご一緒しようか…役に立てるかは分からんがな"」
適当にその辺にあった椅子を持ってきて、アヤネの立つボードを囲む4人に混ざる感じで座った。
ホワイトボードの上端には大きく『廃校対策委員会 定例会議』と書いてあり、その下には大量の資料やメモ書きと共に、打ち消しの二重線や『却下』の文字が並んでいる。
アヤネが改まった雰囲気で音頭をとる。
「これより、アビドス廃校対策委員会の定例会議を開始します…何か意見のある方は?」
「はい!」
元気よく手を挙げたのはセリカだ。
「はい、1年の黒見さん。」
「あのさ…まず苗字で呼ぶのやめない?ぎこちないんだけど」
「せ、セリカちゃん…でもせっかくの会議だし…」
「いいじゃーん、おカタ~い感じで。今日は珍しく先生もいるんだし。」
「"「珍しくというか、初めて」だろうが。"」
「わぁ、見事にハモりましたね!仲良しで羨ましいです。」
「ん!」
シロコがすげえドヤ顔してやがる、可愛いけどどうやってんだそれ。
表情筋動いてねえのに雰囲気だけでドヤってるぞコイツ。
「…まぁいいわ。とにかく、対策委員会の会計担当としては、わが校の財政状況は破産寸前としか言いようがないわ!
このままじゃ廃校だよ!みんな、分かってるわよね?」
「うん、まぁねー…」
「毎月の返済額は利子だけで
これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ。」
俺はむしろ学生5人でそんだけ稼げる体力がある事に驚きだけどな…?
しかも合法な仕事だけで、と聞いてるからますます驚きだ。
…あと警察が素直に賞金を払うのもロスサントス的には驚きだ。
「このままじゃらちが開かないってこと!何かこう、でっかく一発狙わないと!」
「"なるほど、
「でっかく…って例えば?」
重要なのはそこだな、狙う獲物は慎重に選ばないとな。
聞かれたセリカは一枚の紙を取り出す、見取り図か?
「これこれ!街で配ってたチラシ!」
「ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金…?」
「そう!これでガッポガッポ稼ごうよ!」
俺は顔を覆って天を仰いだ。
シロコは口元を抑えてるし、アヤネは頭を抱えた。
そして同時に溜息をついた。
絵面としてはほぼ『見猿・言わ猿・聞か猿』の状態だ。
「セリカちゃんそれ…マルチ商法だから…」
「そうなの!?私2個も買っちゃったんだけど!?」
「"今時こんなベタな詐欺があるとはな…"」
そう言って俺はチラシを見る。
事務所の住所は書いてあるが…フェイクの可能性もあるか。
まぁ手がかりにはなるだろ。
「まったく、セリカちゃんは世間知らずだねー。気を付けないと、悪い大人に騙されて、人生取り返しのつかないことになっちゃうぞー?」
「"世間にはカイザーみたいなのがウジャウジャいるからな。"」
「…ヒュッ」
セリカが白目を剥いて崩れ落ちた。
「うへ、セリカちゃーん!?」
「先生、ちょっと脅かしすぎじゃないですか~?」
「ん、でも一理ある。」
「"………"」
え、俺が悪いのかコレ?
その後目を覚ましたセリカをノノミにあやして貰い、会議はなんとか再開した。
次に名乗りを上げたのはホシノだ。
「生徒の数イコール学校の力。トリニティやゲヘナみたいに生徒数を桁違いに増やせれば、毎月のお金だけでもかなりの金額になるはず―――」
「え…そうなんですか…?」
「そういうことー!だからまずは生徒の数を増やさないとねー、まずはそこからかな。
そうすれば議員も輩出できるし、連邦生徒会での発言権も与えられるしね。」
「鋭いご指摘ですが…どうやって…」
「簡単だよー、他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」
「はい!?」
アヤネが絶叫した、そんなやべえ案か?
お世辞にもお行儀が良いとは言えねえが、それでもキヴォトス基準で言えば穏便な部類な気がする。
…というか俺もカタカタヘルメット団に同じような事やってるんだよな。
「うへ~、これで生徒数がグンと増えること間違いなーし!」
「それ、興味深いね。―――狙いをどこに定めるかによって、戦略を変える必要があるかも。」
「お?…えーっと、うーん…そうだな、トリニティ…いやゲヘナにしよーっと!」
「"そこは考えてなかったのかよ…"」
「ちょ、ちょっと待ってください!そんな方法で転校とかってアリなんですか!?
それに、他校の風紀委員が黙っていませんよ…?」
そうだった、ブラックマーケットのはぐれ者とは話が違う。
という事でこの案も却下。アヤネにもっと真面目にやれとどやされるホシノを横目に、次はシロコが意見を挙げる。
「―――銀行を襲う。」
「…はいっ!?」
「"まぁ…そうなるか。"」
「なんで先生も納得してるんですか!?!?!?」
あれ…また俺が悪い流れか?
「ターゲットも選定済み、市街地にある第一中央銀行。
金庫の位置、警備員の動線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握しておいたから。」
「"警備の厳重な銀行に入られる前に、輸送車を襲った方が合理的じゃねえか?"」
「なるほど、その手があった。」
「なにアドバイスしてるんですかっ!?犯罪もダメです!却下!!」
却下されちまった。相手は闇銀行、犯罪組織なんだから合法な土俵で対抗すんのは無理があろうよ…"まだまだ青い"ってのはこういうのを言うのか…なぁマイケル?
「覆面も用意したのに…」
「うわー、これシロコちゃんの手作りー?」
ションボリしながら覆面を被るシロコ。眉間に2と番号が振られ、ご丁寧に耳を出す穴まで空けてある。
そんな感じで手の込んだブツが6枚も机に置かれた。
「"俺の分はこれか?"」
6枚の中で唯一、番号が振られてない黒い覆面を手に取る。
他の5枚とは違い口の穴が開いておらず、目元も薄手のシースルー素材。
完全に顔が隠れた仕様だ。
「ん、先生は顔が私たちみたいな感じでロボでもモフモフでもない。でもヘイローも無いから。」
「"なるほど、完全に顔を隠さないと身元が割れちまうワケか。"」
よく考えられてるな…シロコには犯罪の才能もありそうだ。
「デザインは黒一色で装飾も全部省いて、ストイックでプロフェッショナルな感じに仕上げてみた。」
「"よく分かってるじゃねえか…"」
…こんな調子で話題が脇に逸れたが、アヤネにケツを蹴っ飛ばされ会議再開。
俺とシロコは抗議の意味を込めて覆面を被ったまま聞いていたが、完全無視で進行された。
次はノノミ、何やら自信ありげな様子だが…どうなることやら。
「私のは犯罪でもマルチ商法でもない方法ですよ~」
「おお、どんなアイデアなんですか!?」
さっきまで却下祭りだったアヤネも目が輝いてるのが分かる。
「―――スクールアイドルです!」
「…あ、アイドル?」
「そうです!アニメで観たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私たち全員がアイドルとしてデビューすれば…」
シャーレのテレビで見たぞソレ、『ラフ・ライブ』だったか…?
お前スクリーンに触発されて同じ事しだすとか本当に…マイケルが珍しくヘマやるときも大体それだったんだぞ…
特大の溜息を見かねたか、アヤネが心配してくれる。
「あの、先生…大丈夫ですか…?」
「"いや大丈夫だ、問題ねえ"」
「その割には実感のこもった溜息でしたが…」
「"ちょっと昔の仲間を思い出してな…"」
とか何とか言ってたがこの案も結局ボツになった、ホシノが割りこんで
「却下」
と言い放ったからな。
あとノノミの考えてきたユニット名がことごとくダサいのも原因か、なんだ水着少女団って。
一向にまともな選択肢が浮かばず、アヤネもしびれを切らしはじめた。
「あのぅ…なかなか議論が進まないんですけど、そろそろ結論を…」
「いっそ先生に任せちゃおう。ここまでの意見でやるなら、どれがいい?」
「"全部却下された記憶があるんだが?"」
「そうですよ、もうちょっと意見が出てからでも…」
「"でも強いて言うなら強盗だな。"」
「ほ、本気ですか!?」
「うへ、そうと決まれば早速出発だね。」
「"待て…シロコの立てた作戦はあるが、まだ煮詰まってない。まずは全員で共有しよう"」
「きゃぁ~☆楽しそうですね!」
「いや、計画は大胆なほどいい。そうでしょ、アヤネ?」
ふとアヤネを見ると、プルプルと震えながら拳を握りしめていた。
やべえ…完全に怒らせちまった…
「…い……」
「…い?」
他の面子はそれに気づいてないのか、いつもの事なのか…特に警戒するでもなく棒立ちだが。
俺はそそくさと教室の端に退避する。
「いいわけないじゃないですかぁ!!」
「出たー!アヤネちゃんのちゃぶ台返しー!」
その後キレたアヤネを宥めるのに30分かかり、結局会議はお開きとなった。
日に日にUA・評価・お気に入り件数・しおり等増えて行くのは、やはり楽しいものですね。
お楽しみいただけて創作者冥利に尽きます。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。