Grand Theft Archive:Kivotos 作:火焔茸
どうぞお楽しみくださいませ。
対策委員会を置き去りにするペースでラーメンを平らげチャーシュー丼を待っていると、店のドアが開くのが見えた。
ただ店内に入ってくる気配は無く、席からチラと見えた頭には紫色の髪が揺れていた。
セリカが
「いらっしゃいませ、1名様でしょうか?」
「あ、あの…ここで一番安いメニューって、何ですか?」
「えっと…一番安いのは看板メニューの柴関ラーメン、580円ですよ。」
紫の頭が嬉しそうに跳ねると、一度店外へと出ていく。
すぐに再びドアが開いて4人の少女たちが入って来た、ヘイローがあるのを見るに生徒か。
最初に来た紫髪の子はショットガン、そしてスナイパーライフル、マシンガン、ハンドガンの編成…バランスの取れたチームだな。
だが他校の生徒が何の為にここまで来た…?アビドスには砂と借金しか無いはずだろ。
「ほら言ったじゃない、何事にも解決策はあるものよ。」
「元はと言えば社長が資金をつぎ込んだからでしょ…」
「アルちゃんてば、ビビって傭兵雇いまくったもんね~」
社長…アルちゃん…ちょっと待て聞いたことあんぞ。
確かT.P.I.を作った直後に市場調査してた時か、噂半分ではあったが…
曰く。ブラックマーケットを拠点とする、金次第で何でも請け負うアウトロー。
曰く。たった4人という少人数でありながらゲヘナの風紀委員会とやりあえる程の実力者揃い。
曰く。依頼を達成しない限り金を取らない仁義の持ち主。
「こちらのお席へどうぞ!」
「んーん、大丈夫。どうせ一杯しか頼まないから。」
「え?一杯を4人で分けるの!?」
「すみませんすみません!貧乏なのはゴミカス同然です!」
「そんな訳ないじゃない!貧乏なのは罪じゃないわ!」
しかし、アルちゃんと呼ばれた生徒は金欠のご様子。どう見ても凄腕のアウトローのトップには見えねえ。
俺の聞いた噂が嘘だったか、あるいは人違いか…
「小銭集めてでも来てくれた、そういうお客さんこそが大事なのよ!ね、大将?」
「ああ、学生さんがウチを選んで来たんだ。嬉しい事じゃねえか…」
大将、やっぱり人が良すぎるな…俺なんかより遥かに信頼できる大人だ、子供を導くのは本来こういう奴だ。
…いや本当に俺より先生向きなんじゃねえか?
…で、先に届いたチャーシュー丼を食ってたら向こうの4人にもラーメンが運ばれてきた。
明らかにデカいのが気になるが、俺らの食ってた並盛の10倍ぐらいあるぞ。
「え…?」
「わ~、でっかいねw」
「あぁあ、あのっ…注文間違ってます!こんなの食べるお金ないです!」
案の定あいつらも困惑して…ん?大将すげえニヤニヤしてやがるな。
…………………なるほど。やっぱこの
「合ってますよ、580円の柴関ラーメン並!ですよね大将。」
「ああ…ちょいと手元が狂っちまって量が多めだがな。」
結局お嬢さん方は大将の好意を頂くことにしたようで、美味そうにラーメンを啜っていた。
アビドスの会計は俺が出したが、決して大将に張り合ったわけではない。決して。
さっさと学園に戻るとしよう―――ちょっと気になる事もあるしな。
「ふぅ…良い人たちだったわね。」
「社長。あの子たちの制服、気づいた?」
大将さんにお礼を告げ、居合わせた子たちと応援の言葉を交わしてお店を出た。
思いがけない親切のお陰で胃袋的にも精神的にも満たされていた私だったが、背後からかけられたカヨコの声に疑問符を浮かべ振り向く。
「えっ、制服?何が?」
「アビドスだよ、あいつら。」
はて、アビドスとは…一拍遅れて記憶を探り当て、若干のタイムラグを経由して頭が状況を理解する。
「なななな、なっ…何ですって―――!!!???」
私は驚きを隠す事もできずに絶叫する。
電線に止まる鳥たちが騒々しく飛び立ち、晄輪の佇む青空を掻きまわしていた。
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キヴォトス基準で見てもブッチ切りのアウトローな男が混入しているので、実はこの先の展開というか、Tとアルちゃんの関係をどうしようか迷ってます。
やっぱ真面目にプロット組んだ方が良かったかな…実はトレバー先生は一発ネタのような発想で始まっており、ここまで長引くつもりも無かったのです。
(楽しいから書くけど)