Grand Theft Archive:Kivotos 作:火焔茸
エデン編でガッツリ掘り下げるから許して☆
トリニティ総合学園の自治区は全体的にイギリスを思わせる街並みだった。
そんな中をいつものオフロードトラックで爆走してるもんで、周囲からは物珍しさとか好奇とかを通り越して異物を見るようなツラで見られている。
("…確かに陰湿な感じは否定できねえな。")
ミラー越しに背後を見れば俺が通り過ぎてからヒソヒソと話始める素振りが確認でき、その表情や仕草からも道行く人々の慇懃そうでありながら、その実は排他的な気風が見て取れた。
カップホルダーに置いてあるコーラを呷り、溜息を吐く。
こういう雰囲気の連中が一番苦手なんだよな…
本校舎の正門に乗りつけると、こちらにヒフミが手を振っていた。
いったん車を停めて彼女に声をかける。
「"よぉヒフミ、出迎えご苦労さん。"」
「いえいえ、先生もお仕事ご苦労さまです…」
「"それでトップと話はできそうか?"」
「はい!先生がいらっしゃると聞いた瞬間に二つ返事でしたよ。中までは私がご案内しますので、車はそちらに停めておいてください。」
「"はいよ"」
ヒフミについて行った先、ただでさえ静かで荘厳な雰囲気の校舎の中でもひときわ重い雰囲気の回廊に入っていく。
すれ違う生徒の数も明らかに少なく、警備の生徒まで立っていやがる。
この先が話に聞く『ティーパーティー』の領域、部外者お断りのVIPルームだろう。
「さて…先生。」
「"…何だ?"」
ふと立ち止まったヒフミが、改まった態度でこちらにトレーを差し出す。
「一応、伝統に則った手続きなのでご協力頂きたいことがありまして…こほん」
ふと壁に目をやると、建物の意匠に馴染むようにデザインされた扉が開かれ、その奥に空のガンロッカーが佇んでいた。
「この先は非武装地帯となりますので、お持ちの武器をこちらでお預けください。」
「"…なるほどな"」
俺はスリングで背負ってあるショットガンを下ろし、ローディングゲートから指を入れてチューブの出口を抑えながらコックしてチャンバーの弾を抜く。
それから腰のベルトに挟んでシャツで隠してあったベレッタを抜いてトレーに預ける。
もちろん一緒にベルトに挟んでおいた予備のマガジンも忘れずに。
それからブーツナイフも鞘ごと外して―――
「あはは…けっこう重武装なんですね?」
「"え?言うほどじゃねえだろ?"」
「いえ、キヴォトスでは自分の銃以外にサブウェポンを持つ方はあまり多くないんですよ。」
「"初耳だな"」
「あ…先生ってキヴォトスの外から来たんですよね。でしたら今度、キヴォトスの銃文化に関して色々とお話しませんか?。」
「"言われてみりゃ、その辺をじっくり考えた事は無かったな…"」
ヒフミに言われて気が付いたが、キヴォトス人の銃に対する理解や向き合い方を知らないってのは商売の点でも致命的だ。
T.P.I.を成長させるためにもここはヒフミの力を借りるべきだな。
「"折角のお誘いだ、ヒフミの力を貸して貰うとしよう。アビドスの仕事が片付いたらまた連絡するからよ"」
「はい、楽しみにしてますね。」
そんな話をしながら手持ちの武器を一通り預けた俺は、さらに奥へと歩いていった突きあたりにある扉へと到着した。
ただでさえ貴族くさい豪奢な建物の中でもひときわデカく、そして手の込んだ扉だ。
こんなサイズである必要ねえだろ…トラックでも通す気か?
「この先が、ティーパーティーのお部屋になります。」
「"あぁ、案内ありがとなヒフミ"」
開かれた扉の奥にはその名に違わずパーティーでも開けそうなデカい机が1つ。
だが座っていたのはたった2人だった。
「へー、これが噂の先生かー。あんまり私たちと変わらない感じなんだね?」
「"トリニティはお嬢様ばっかりって聞いてたんだがな、会って早々に『これ』呼ばわりかよ?"」
「ミカさん。」
「…ご、ごめんってナギちゃん。そんな怖い顔しないでよ~」
開口一番から失礼さ全開のピンク頭に、ヤバいと思ったのかもう1人が割って入ってきた。
暴走気味のバカと、それの手綱を握ってる相方って感じだな…こういう周囲に頼りっきりの女は高確率でその自覚がないし、下手すりゃヒステリー持ちの依存気質も多いし一番嫌いな手合いなんだが…
今の俺は先生だしな、もし
「謝るのは私ではないでしょう?」
「うぅ…先生ごめんなさい。」
「"お前はもうちょっと人に敬意を持って接することだな、例えば…ああ、初対面なんだから自己紹介から始めたらどうだ?"」
「確かに!私は聖園ミカ、よろしくね先生☆」
「………桐藤ナギサと申します、先ほどはミカが申し訳ございませんでした。」
「"いや、ナギサが謝る事じゃねえさ―――改めて、連邦捜査部のトレバー・フィリップスだ。"」
「よろしくお願いします、さて…本日はトレバー先生がお越しになるとの事で、ささやかですがお茶と菓子をご用意いたしました。」
「"そうか…ありがとな。生憎俺は、お上品な世界の作法には疎いんだが…"」
「そう肩肘張らず、お気軽に味わってください。私たち以外は誰も見ていませんから。」
そうナギサに勧められ、とりあえず注いでもらった紅茶に口をつける。
驚いたな…紅茶ってこんな香りだったか?ヤクをやめて味覚が戻った恩恵がここでも活きてきたな。
「"うん、美味いな"」
「お口に合ったようで何よりです。」
「お菓子も食べてみてよ先生!ナギちゃんの選ぶやつはすっごく美味しいんだよ?」
「ミカさん、人にはそれぞれ味わうペースというものがあって…ハァ…もう…」
「"問題児も多いが苦労人も多いようだな、キヴォトスってのは…"」
「本当にすみません…」
「えー!?なんか私面倒臭い子扱いじゃない?気のせい?」
「"「気のせい です/だろ"」」
いかん、このままだとお茶会でいくらでも時間を浪費しかねない…
とりあえずミカが目の前に差し出したロールケーキを完食し*1、次の菓子を持ってこられる前にサッサと本題を切り出すことにした。
「"―――で、俺が来た理由なんだが"」
「はい、大まかな内容はヒフミさんからお聞きしております。」
「"そうか!話が早くて助かる「ですが。」…何だ?"」
「我々としても先生にお力添えしたい所なのですが、現在はそうもいかない状況でして。」
「"あぁ、ゲヘナにも話は通しておくから安心しろ。"」
「それだけでは正直足りないのです。今は詳しくお話できませんが、事情がありまして…彼女らを前にして表立った軍事行動は取りたくないのですよ。
それに…こう言っては失礼ですがアビドスは弱小校ですから、それらに資金や兵力を割くことで内部からティーパーティーへの反発も予想されます。」
「"そうかい…部下に嫌われんのが怖いのか?そのために正しい行動を怠るって?"」
言い訳じみたナギサの言い分に、つい皮肉じみた言い方をしちまった。
…がナギサはナギサなりに考えがあったようで。
「そう思っていただいて構いません、トリニティは大きな組織ですから…敵に回すのは実際怖いのですよ。ですからティーパーティーから公式に戦力を供給することは難しい、というのが答えになります。」
「"そうかい…そりゃあ残念だ"」
「それはそれとして。近いうちにティーパーティー管轄下の砲兵隊が実弾演習を予定しているのですが、少々問題がありまして…事前に現場近くに配置してある武器弾薬が、特に施錠などもできずに野ざらしなのです。」
「"…ん?"」
「もしも不良生徒などに発見されれば、容易く奪われてしまうかもしれませんね。
それがよりによってアビドス自治区との境界近くなのですが…確かあの近辺にはカイザーを良く思っていない勢力がいたはずですし…」
「"…! その勢力ってのはティーパーティーとは無関係なんだよな?"」
「もちろんです。」
「"じゃあ何をしでかそうが悪いのはナギサじゃねえな"」
「ご理解いただけて助かります。」
「ね~ナギちゃん!難しい話はもう良い?」
よし、話は済んだ。
割り込んできたミカを軽くスルーしながら、俺は席を立つ。
「"組織のトップって奴は、どこも苦労してんだな…お茶ごちそうさん。"」
「ふふ、お粗末様でした。」
「えー先生もう帰っちゃうの!?もっとゆっくりしていきなよー!」
「ミカさん、先生も多忙な身なのですよ。」
「あ、そっかー。ごめんね先生、今度はお仕事じゃなくて、ゆっくりお茶しに来てよ!」
立ち上がった俺は立ち去る前にミカとナギサの方を向き、改めて伝える。
「"…ありがとな、そんじゃまた。"」
「ええ、お気をつけて。」
「またねー☆」
…次はゲヘナか、委員長が不在じゃなけりゃいいんだがな。
次回…はちょっとだけ変則的な展開になる予定です。
『お約束』を一旦無視してから、改めて回収します。
オリキャラ「新井ロア」「ポドストロマ」とかの設定について
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