Grand Theft Archive:Kivotos   作:火焔茸

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カイザー襲撃作戦 Side:B(上)

同じく作戦決行当日、ブラックマーケットのT.P.Enterprise本社に併設された駐車場。

社用車や社員のマイカーが並ぶその中に、明らかに異質な追加装甲やフレームパイプを纏った3台のバンが停まっていた。

艶の無いマットブラックのボディ、同色に彩られた装甲板で窓も塞がれている。

いかにも戦闘用ですと言わんばかりの拵えであるが、そのナンバープレートを見れば連邦生徒会の公用車であることが辛うじて分かる。要人警護や重要な物品の輸送に使うものである。

 

「あ、その銃ってサナちゃんが試作してたやつ?」

「うん、.950JDJっていう規格の弾使うんだって。」

「お前とアケミ姐さん以外に撃てる奴居んの?そのサイズ…」

 

その横では、T.P.マーセナリーズの社員たちが各々の銃や装備を点検し、来たる戦いに備えていた。

 

「…よし、今の感じで一回やってみよう。」

「おっけー、コホン。はいインターホン押しました……出ました」

連邦捜査部だ、全員動くな!

「うーん、やっぱ迫力に欠けるな…」

「別の方試す?」

 

中にはヴァルキューレや外の世界のガサ入れを映像資料で学習し、ロールプレイで実践している勉強熱心な生徒たちもいるようだ。

 

「んじゃ行くよー…おうガサや!

シャーレじゃ!!

早よ開けんかいゴルルァ!!

「これで行こう、分隊長。」

「行くな行くな…」

 

………少しばかり血迷っている気もするが。

そんな賑やかさとピリついた空気が共存する中、社員の1人がトレバーに近寄り声をかける。

 

「社長、あれって…」

「"あ?…すいぶん早いな"」

 

彼女の指す先を見やれば、集合時間の3時間前だと言うのに一台の車両が到着したところであった。

車に背をもたれていたトレバーは先ほど開封したばかりのコーラを持ったまま、その車に空いた手を振る。

ナンバープレートはミレニアムのもの、そして側面には銃を抱えた侍女(メイド)のエンブレム―――言うまでもない、C&Cだ。

 

「よぉ先生!C&C、コールサイン00(ダブルオー)から03(ゼロスリー)計4名、到着だ。」

「"ずいぶん早いじゃねえかネル、そんなにドンパチが楽しみだったのか?"」

「あー…それもあるんだが、むしろ本題はこっちだな。」

 

あまりにも早い到着に疑問符を浮かべるトレバー、対してネルは微妙な顔で背後に視線をやる。

彼女たちの乗ってきた車のテイルゲートが開き、何やら奇妙な物体が顔を出した。

その形状は一言で言うなら―――

 

「"四足歩行の箱…か?"」

「アーマード・はこぶ君だよ。」

「"…何だって?"」

 

そしてアーマード・はこぶ君と呼ばれたソレの背後から、3人の生徒が現れた。

先頭の紫髪の生徒がトレバーに右手を差し出す。

 

「はじめまして先生、ミレニアムサイエンススクール エンジニア部の部長『白石ウタハ』だ、よろしく頼むよ。」

「同じくエンジニア部の『豊見コトリ』です!」

「同じく『猫塚ヒビキ』、よろしく。」

 

トレバーは差し出された右手を握った。

 

「"連邦捜査部のトレバー・フィリップスだ。ところで…エンジニア部ってのは何だ?"」

「よくぞ聞いてくださいました!解説しましょう!」

「"お、おう"」

 

突然テンション高めに解説を始めたコトリ、彼女の性分を知る2人はやれやれと言わんばかりに肩を竦めた。

 


 

10分後。

 

…という事で、機械分野だけでも幅広いところではあるのですが、実用のためには電子,情報,材料などにも一定の知識を要するシーンがある事はお分かり頂けたと思います。

私たちの場合はヴェリタスを始めとした他部活や外部企業との連携によってこれらを補完しているわけです!

そうそう、折角ですから先程お話したPID制御についてもお話ししておきましょうか。あれは元々エンジニア部で使っていた市販品をまさにヴェリタスが改良した実例の1つなんです!パラメータ設定の見直しとあらゆる外乱を想定した多様な実戦テストによって高いロバスト性を実現した逸品なんですよ!

しかも改変部はパラメータのみであるため、ハードウェアコストを抑えて大量調達が可能なんです!その気になればミサイルの航法にも用いることが………」

 

トレバーは欠伸をしていた。

 


 

…ゆえに機械制御を多用することで銃撃や爆発に晒される環境下でも高い信頼性を得られたのがはこぶ君の強みという事です、ちなみにクラス2相当の防爆処理もされてますから、水素やアセチレンでもない限りは可燃性ガスの充満する環境下や粉塵を扱う現場にも投入可能でして…」

「"zzz…"」

「コトリ、先生寝ちゃってるよ…」

「…え?」

 

トレバーはいよいよ爆睡していた。

顔面にコーラの缶をブン投げて話を遮らなかったのは彼なりの優しさだろう、少なくとも彼の過去を知る人間がこの場にいればそう思った筈である。

とはいえ生徒たちはそんな事などつゆ知らず、ウタハがトレバーの肩を揺さぶって普通に起こした。

 

「先生、うちのコトリがすまなかった…彼女の癖みたいな物でね。」

「"いや、ちょうどいい子守歌だった。ベビーシッターの才能が有るかもしれんぞ"」

「そんなに退屈ですかね…?」

「"単純に長いんだよ!相手の知識レベルに合わせないこと、本題を逸れて付随する話題まで話そうとすること、前提知識まで全部解説しようとすること、曖昧な理解を良しとせず正確に話そうとすること…この辺が原因だろ。"」

「な、なるほど…」

「"逆に言えば、そこを変えれば聞きやすい説明になるって事だ。相手が素人なら専門用語は避ける、本題に関係ない小話は置いとく、適当で良い所は適当に流す…まぁ試してみろ。"」

「はい!アドバイス感謝します!というか、もう正直怖かったんですよ~…私が解説しようとすると皆避けるものですから、てっきり嫌われてるんじゃないかと…」

 

しょんぼりと肩を落とす女性に向かって思いっきり正論をブチかますトレバー。

普通ならば泣かれるか怒られる所である…が、流石ミレニアムと言うべきか『原因と結果』を重んじる理論派らしく普通にアドバイスとして受け止めたのだった。

 

「"…よし、今のを踏まえてもう一回エンジニア部とこのアーマード・はこぶ君とやらの解説をしてみてくれ。"」

「お任せください!

…まずエンジニア部とは、機械工学を中心とした研究・発明を主な目的とする部活です!

機械の修理・製作について高い知識と技術を持った『マイスター』が数多く所属し、年に1度開かれるミレニアムプライスをはじめとして多数の実績がございます!

ちなみにソフトウェアに関して…は、後にしましょうか。」

「"…良い判断だ、やればできるじゃねえか。"」

「では次にアーマード・はこぶ君ですが、これもエンジニア部の発明品の1つです!

物資輸送用の四脚ロボットで、治安の悪い地域での運用を前提にしているため防弾性能も兼ね備えています!目的地を事前に設定すればある程度の自律行動が可能ですが、基本的にはペアリング…つまり対になる設定をしたビーコンに付いてきます。」

「"素晴らしい(エクセレント)!理想的な説明だった"」

「あ、ありがとうございます…!」

 

珍しくトレバーが他人をベタ褒めしたのも束の間、彼と同じく退屈すぎて寝ていたネルに話を戻す。

 

「"オイお嬢さん、説明タイムは終わったから起きろ…で、コイツを持ってきたってことは踏み込み捜査に使っていいって事だよな?"」

「んぁ…ああ、そうなるな。」

「"なぁネル、今になって気づいたんだが…"」

「何だ?」

「"集合3時間前に来たの、コトリの説明が長いのを見越して…か?"」

「さすが先生、鋭いじゃねえか。」

 

………すでに時計は集合時間の10分前になっていた。




リアルがしばらく忙しくなりそうなので、分割投稿とします。
いつもお待たせして申し訳ない…

オリキャラ「新井ロア」「ポドストロマ」とかの設定について

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