Grand Theft Archive:Kivotos 作:火焔茸
アビドスでの初日
目を覚ませば透き通るような青い空、そこに妙な輪っかが浮いてんのは相変わらずだ。
今日も今日とて仕事にかかる。
△でヨガをする。
「"実に…健康的な生活。まさに生徒たちの模範だな。"」
よし、腰の柔軟はバッチリだ。
手始めにT.P.I.の社員や連邦生徒会からメールが来てないかチェック。新着は2件。
片方はリンから、経費決算書の〆切が近いから早いとこ出せという催促。
即行で無視して次。
差出人は『
舎弟への指示が的確で頭の回転も早かったんでスカウトして、経営を教えてみたら飲みこみが早かったからそのままリーダーに任命した憶えがある。
内容は…密売だけではなく修理と部品密造にサービスを広げたい、か。
ご丁寧に、密造所候補の場所もリサーチした情報を添えてリストアップされてる。確かに悪くない立地だ。
やはり有能な人材だ、俺の目に狂いはなかったな。
そうだな……やるとしたら43番地か………いや、軌道に乗って来たとはいえT.P.I.はまだまだ新興企業だ。
長期的な展望としては悪くねえが時期尚早だな。
手を広げると金銭的にも人員的にも維持コストがかかる。慎重に、余裕をもってやるべきだ。
…返信っ、と。
≪先生!≫
「"どうしたアロナ?"」
≪最近シャーレの噂も広まってきて、生徒さんから助けを求めるお手紙が次々に届いてるのはお伝えしましたよね?≫
「"ああ、昨日昼メシ食ってる時に聞いたな。その前にも何回か。"」
≪実はその中に、ちょっと不穏な内容のものがありまして。≫
「"なに?見せてみろ。"」
≪はい、こちらです!≫
シッテムの箱にメールが表示される。
なるほど、暴力組織に校舎を狙われて、応戦しようにも弾薬が足りねえ…か。
確かに穏やかじゃねえな、そして教育に悪い。
≪うーん…アビドス高等学校ですか。≫
≪昔は大きな自治区でしたけど、気候の変化で街が厳しい状況になっていると聞きました。≫
「"そんなデカい街なのか?"」
≪街のど真ん中で道に迷って遭難する人がいるぐらいだそうです!≫
「"HAHAHA!そりゃすげえな"」
≪あはは…まさかそんな事あるんでしょうか、いくらなんでも街のど真ん中で遭難なんて…≫
「"あながち嘘じゃねえかもな、案内板には事欠かねえ観光地のビーチで遭難してた奴なら知ってるぞ"」
≪ええ!?…って、またいつものジョークですか?≫
「"ところがどっこい、実話なんだよ。ウェイドって男さ。アイツは人探しの天才だが、ちょっと抜けた所があるからな。"」
≪そうなんですね…≫
「"そんな事より、アビドスとやらの状況だが"」
≪ただごとでは無いですね…いったい何があったんでしょうか?≫
「"現場を見に行けば分かる、アビドスに出張といこうぜ。"」
≪すぐに出発ですか!?さすが、大人の行動力!≫
「"ロン…じゃなかった、アイニ!"」
俺は『
…返事がねえな、いつもなら隣の部屋で書類仕事してる時間帯なんだが。
仕方ねえ、見に行くか。
俺は立ち上がって隣の部屋のドアへ向かい、ノックしてみる。
「むにゃむにゃ…」
寝てんなコイツめ。
右ストレートでぶっ飛ばしたい所だが、相手は生徒だ…落ち着け俺…
とりあえずドアを開け、そのまま机に突っ伏しているアイニの側へ近寄る。
そして特徴的なキジトラの猫耳に向かって若干大きめの声で話しかける。
「"まだ勤務時間中だアイニ、起きねえとその耳食っちまうぞ?"」
「へ!?あ、先生!すんませんすんません、起きましたから食わんでつかあさぁあああい!!」
「"あー…冗談だよ、そこまで怯えるとは思わなかった。"」
「なんか分かんないですけど、本能的にシャレにならないんで辞めてくれませんかい…?」
そういや人の耳とかインド人とか食ったことあったっけな。
いやでもアイニはその事は知らないはず…猫だけあって勘が鋭いのか?
…深く考えても分かんなそうだな。
「"で、本題なんだが。アビドス自治区に出張してくる。"」
「先生自ら出張ですかい?そんなら、その間の仕事を私らの方で?」
「"ああ、頼む。少しでも分からねえ事があったら連絡しろ。"」
「かしこまっ!」
留守の手配はこれで良い、あとは物資と移動手段だな。
そう意気込んでトラックに弾薬を満載して出掛けたは良いが…
本当に遭難しちまった。
≪地図が古い上に、位置情報がエラーを起こしてます!≫
「"クソがあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!"」
≪お、落ち着いてください先生えええ!!≫
描写してもしなくても物語に影響ないので割愛しましたが、手配したトラックは艶消しレッドのカニス・ボーディです。
ブラックマーケットにはロスサントス製の車両も出回っている設定となります。