Grand Theft Archive:Kivotos 作:火焔茸
なぜだ…原作先生よりイカレているはずなのに…マトモに見える…
今日は天気がいい、ロードワークには最適なコンディション。
愛用のロードバイクでアビドスの街中を軽く流す。
見晴らしのいい高めの砂丘で一旦停車し、周囲を観察しながらエナジードリンクを一口。
「今日は平和。」
ヘルメット団の気配なし。
不審物なし。
景色にも大きな変化なし。
そして一発の銃声。
「ん、前言撤回。」
給水ボトルをホルダーに仕舞い、銃声の聞こえた方へ走りだす。
目的地 へ向かえ。
しばらく走ると、見慣れないトラックが一台停まっているのが見えた。
車のそばには知らない人が1人、大人だ。
その人の目の前には鳥が落ちている、さっきの銃声はコレを撃った音かな。
そして…
「"おrrrrrrrrr"」
すっごいゲロ吐いてる。
もしかして…いやまさか…食べたの?野鳥を?
近くに火を焚いた形跡もないけど、生でいったの?野生動物を?
とはいえ遭難してるなら危険なので、警戒しつつ声をかけてみる。
「あの…大丈夫?」
「"あ?…ああ、まぁ大した事じゃねえ。"」
「野生動物を食べるのは『大した事』の範疇だと思う。」
「"つっても…廃墟と砂漠のど真ん中で何を食うんだよ?デカい街だって聞いてたのに、店も何もありゃしねえ。"」
「ああ。ここはもともとそういう所だから、食べ物のあるお店なんかとっくの昔になくなってるよ。」
「"冗談キツいぜ…"」
「こっちじゃなくて、もっと郊外の方に行けば市街地があるけど。」
「"本当か!?なぁ案内してくれねえか、お嬢さん。"」
「ん、いいけどその前に…」
ホルダーからボトルを取り出し、渡す。
「エナジードリンク、ライディング用のだけどこれしかなくて。お腹の足しにはなると思う。」
「"いいのか?"」
「うん、いまコップ出すから待って。」
「"あ…悪ぃ口付けちまった"」
しかも全部飲んじゃってる…相当お腹空いてたんだ。
道案内を引き受けてくれた上に、飲み物まで恵んでくださった心優しいお嬢さんを助手席に載せ、ロードバイクを荷台に固定した後。
俺はトラックを運転しながらいろいろと話を聞く事にした。
アビドス高等学校 へ向かえ。
「"そうだ…名前を聞いてもいいか?俺はトレバー、トレバー・フィリップスだ。"」
「ん、砂狼シロコ。よろしくトレバー」
「"シロコだな、覚えておこう。あとで礼をしなくちゃならんからな"」
「それで、トレバーはどこに行こうとしてたの?この辺には砂漠とアビドス高校ぐらいしかないけど…」
「"まさにそのアビドス高等学校さ!"」
「そっか、久しぶりのお客様だ。」
「"シロコはアビドスの生徒なのか?"」
「そうだよ、アビドス高校の2年生。」
なるほど、実に好都合な展開だ。
「"なら礼はすぐにできそうだ"」
「?」
「"そのアビドスに助けを求められて来たからな。"」
「もしかして…シャーレ?」
「"ああ、シャーレの『先生』だ。"」
それを聞いた途端、シロコの目が輝きはじめる。
シロコは表情筋が衰え気味だが、それでも分かりやすい。昔ゲームを買ってやった時のジミーに似てんな。
「本当に来てくれるなんて…」
「"お望みの弾薬もこの通り、シャーレの経費で落とせたから金は気にすんな"」
「うん…とても助かる。」
荷台を指しながらそう伝えると、シロコはすぐに箱の数を数えはじめる。
「えーと、5.56ミリの1200発入りが40箱、これはマガジン一本あたり30発。
7.62ミリはベルトリンクだから良いとして、えーと…」
「"マガジン1600本分だな"」
「えっと…うん、そうだね。」
「"他にも頼まれた弾薬は揃えたぞ。.223レミントン、9mmパラベラム、12ゲージバックショット…あとグレネードとサプレッサーとかの消耗品もだ。"」
しかし…こんな大量の弾薬が湯水のように消費されていくとは、治安の悪さはロスサントス以上かも知れんな。
性犯罪や詐欺に比べて、ドンパチが多い。
『銃で死なない』って点がこのアンバランスな状況を生んでいるのは間違いない。
俺としては、やりやすくて助かるけどな。
しばらく車を走らせ続けると、砂に埋もれた建物の中に一際デカいのが見えてきた。
「"アレがそうか?"」
「ん、うちの校舎。」
「"妙に人気が無いな…今日は月曜だと思ったが"」
「うちは生徒が少ないから、仕方ない。」
そういうモンか…いや少ないにしても限度があるだろ。
とりあえず、エントランスにトラックを横付けして、そのまま校舎内へと入っていく。
シロコに案内された教室のドアには『廃校対策委員会』と手書きされた紙が貼っ付けてあった。
「こっち、皆集まってるよ。」
シロコがドアを開け、俺は後ろから付いていく。
教室の中では、4人の生徒が窓際に集まって外のグラウンドを見下ろしていた。
位置的には…俺が置いたトラックが気になってんのか、知らない車に乗った知らない男がシロコを乗せて帰ってきたことになるしな。
「おかえり、シロコ先輩。で…後ろのオッサンは誰?」
「"誰がオッサンだこの小娘ェ!?"」
「うへ、うちの後輩が失礼したねー。ちょっと気が強いところがあってさ。」
「セリカちゃん、驚くのは分かりますがもう少しお上品な言葉遣いをしましょうね~?」
いかん、咄嗟にキレそうになっちまった。
今の俺は先生だ…落ち着け…
『あなたはとても優しいけれど、正直すぎるのね。』
『愛されないことが、愛した人が消えていくのが怖い。それは私も同じなのよ。』
『そうしようと思えた日があったら、お行儀よく過ごしてみて。きっと見つかるわ、あなたを愛してくれる人が、あなたを裏切らない人が。』
…パトリシアの声が脳裏に蘇る。
「先生?どうしたの?」
シロコの声で我に返った。
「"気にすんな…少し昔を思い出してたんだ"」
「うへ、先生の青春時代かな?」
「"まぁな、ダチにはストックホルム症候群とか言われたが"」
「青春に、人質…?一体どういう…」
「"人質に惚れちまったんだよ、言わせんな恥ずかしい。"」
なんで俺は初対面の女子高生相手に恋バナさせられてんだ?
…とか考えてたら、正気に戻ったのかオッドアイの小柄なのが話を変えてくれた。
「ところでシロコちゃん、今この人を『先生』って呼んでたよね?」
「そうでしたぁ、もしかして…連邦生徒会の先生でしょうか~?」
「え、嘘でしょ!?普通の大人じゃない!」
「ですが、確かにキヴォトスでよく見る大人とは違いますね…」
やっと本題に戻ったか。
俺はポケットからIDを取り出して、皆に自己紹介する。
「"連邦生徒会長直下、連邦捜査部『
「うへへ、本当に来たんだ。助かるなぁ」
「支援要請が受理されたんですね☆よかったですね、アヤネちゃん?」
「はい…これで物資や弾薬の補給が受けられます!」
「"早速だが、表のトラックに弾薬を満載してきたぞ。"」
「わぁ、ありがとうございます。では倉庫に保管しましょうか~」
「ん、さっそく運んじゃおう。」
こうして先生は、アビドスのお嬢さんたちと出会ったのだった…ってな。
自分で挿絵描いちゃいました、TにシャーレのID似合わなすぎる…w
次回、ヘルメット団の襲撃パートとなります。
トレバー先生には存分に暴れていただこうと思いますのでお楽しみに。