イナリの奇妙な冒険   作:狐っ娘の幽波紋使い

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スピードワゴン財団の設立

 ディオを倒した後のことを簡単にまとめると、ポコのお姉さんは無事に救出することができた。

 ツェペリ男爵が知り合いに手紙を出して、吸血鬼やゾンビを倒すために仲間を呼んでくれたのだ。

 

 とても助けになり、おかげでウインドナイツロットを無事に解放することができたのだった。

 

 

 

 目的を達成したので、妾たちは別れてそれぞれの故郷に戻っていく。

 ツェペリ男爵は残りの石仮面を破壊するため、再び旅に出る。

 

 彼を見送ったあとは妾たちは屋敷に戻り、貴族としてジョースター家を立て直すことになるのだが、その前にエリナを迎えて結婚式を開いた。

 

 父親だけでなく大勢の知り合いを呼んで、皆が仲睦まじい二人を祝福する。

 もちろん妾も参加し、言葉は喋れないが微笑ましく見守っていた。

 

 新婚旅行はアメリカだが、豪華客船に狐は乗れないので留守番だ。

 たとえ乗り込んでも檻の中で自由には動き回れないため、新築したジョースター家の屋敷でのんびり日向ぼっこをして過ごす。

 

 

 

 だが暇なので二人が早く帰ってこないかなと思っていると、信じられない報告が届けられる。

 ジョジョとエリナが新婚旅行で乗った船が、沈没してしまったのだ。

 

 これには退院したばかりのジョースター卿も、茫然自失である。

 しばらく仕事が手につかなくなるほどだが、それでもエリナと偶然助けた赤ん坊は無事だ。

 

 どうやら生き残ったディオはジョナサンが倒したようで、最悪の事態は避けられた。

 

 

 

 そしてジョースター卿も、エリナの身を案じている。

 彼女はジョジョとの愛の結晶を宿しているため、心配するのも当然だ。

 

 だからなのかジョナサン亡きあとは、エリナと生まれてくる息子のボディガードをして欲しいと頼まれる。

 もちろん断ったりせずに、一も二もなく承諾した。

 

 何だかんだいってエリナとも昔からの付き合いだし、彼女のことは嫌いではない。

 頼まれなくたって、守るつもりなのだった。

 

 

 

 それから時は流れて息子も無事に生まれて、やがてエリザベスと結婚した。

 特に変わったこともなく順風満帆と言えばそうなのだが、少々面倒なことが起きた。

 

 ジョージ・ジョースターを、事故に見せかけて暗殺しようとしているといった情報を掴んだのだ。

 

 子狐は潜入捜査に向いているのでイギリスの空軍基地に忍び込んで、こっそり調査を進める。

 

 そこにゾンビの生き残りが紛れ込んでいたことが発覚した。

 もちろん一も二もなく、速攻で波紋を流し込んで倒す。

 

 しかし運悪く、兵士の一人に見られてしまう。

 おまけに子狐ではなく。夫の身を案じて念のために同行していたエリザベス・ジョースターに容疑がかけられることになった。

 

 小さすぎて見えなかったから仕方ないが、色んな意味で最悪の結果となる。

 唯一良かったのは、ジョージ・ジョースターの命が助かったことだ。

 あと少し遅かったら暗殺されていたのは間違いないが、妻に殺害容疑をかけられて何も知らないというのは、あまりにも可哀想に思えた。

 

 

 

 そこで妾が二人の間に入り、外国に逃れたエリザベス・ジョースターから手紙を預かる。

 こっそりジョージ・ジョースターに届けるということを、何度も繰り返した。

 

 二人が元気ならそれで良かったが、あろうことか彼まで行方を晦ましてしまう。

 妻に会いに行ったのは間違いないけれど、指名手配されていて世間的な評判も悪いので表沙汰にはできない。

 

 

 

 そしてジョセフには日の当たる場所で生きて欲しいという親心からか、エリナに預けていく。

 彼女も手紙のやり取りをしていて諸々の事情を知ってはいるので、仕方ないと諦めて孫はお婆さんが育てることになる。

 

 

 

 現時点では、上官殺害容疑を晴らすのは難しい。

 どうするのが正解なのかは自分にはわからず、彼女たちも苦渋の決断だったことが伺える。

 

 確かなことは、ジョセフとエリナは妾が守護らねばならない。

 暗殺を防いで命は助かったとはいえ、何処にゾンビが潜伏しているかわかったものではなく、ジョージとエリザベスの二の舞いは避けたいのだった。

 

 

 

 

 

 

 やがて時は流れ、スピードワゴンからの呼び出しを受けて、妾たちはアメリカに向かう。

 ジョースター卿は、安らかに天珠を全うすることができた。

 ジョージやエリザベスも変装して会いに来てくれて、こっそり葬儀にも参列する。

 

 ただ母や息子と話すと正体がバレる可能性があるため、最低限のやり取りだけで済ませて、極力関わらないようにしていた。

 妾は匂いでわかるし、二人も気づいているようだ。

 小声で皆には黙ってい欲しいと頼まれ、言葉は喋れないので頷いて承諾した。

 

 

 

 それはそれとして最近はエリナから、いつもすまないねえとお礼を言われるたびに、地味に精神的なダメージを受けている。

 

 妾は見た目は子狐だが、年齢的には彼女よりも上だ。

 しかし、気持ち的にはまだまだ若いつもりなのだ。

 

 相変わらず姿が変わらずに人間以上に長生きだけど、家族の一員として受け入れてくれている。

 自分の正体はさっぱりわからないけれど、ジョースター家やその友人たちのおかげで大切な人たちを守れれば、妾が何者であろうと関係ない。

 心の底からそう思えるほど、いつの間にかこの世界のことが大好きになっていたのだった。

 

 

 

 それはともかく、スピードワゴンが石油を掘り当てて世界有数のお金持ちになる。

 今はスピードワゴン財団を設立して危険物を封印したり、波紋戦士のバックアップなど毎日忙しくしていた。

 と言うか、妾に面倒な依頼を持ってくるのは大抵その機関である。

 

 

 

 自分はのんびり日向ぼっこをするのが大好きだ。

 しかし妾でなければ高確率で死ぬような任務が、結構な割合で回ってくる。

 

 しかし世界平和のためだとわかっている以上、断るわけはいない。

 

 もし辞退したら、他の誰かが危険な任務を行うのだ。

 大怪我をしたり最悪死にかねないし、どうやら平穏な日常というは薄氷の上にあるらしい。

 いつ崩れ落ちても不思議ではなく、そう言えば大戦や核兵器で人類滅びてもおかしくなかったわと、今さらながら思い出すのだった。

 

 

 

 とにかく人類滅亡を避けるために、面倒ではあるが妾が出向いて手早く片付ける。

 その間の二人の身辺警護は、スピードワゴン財団の職員に変わってもらう。

 一応、アフターフォローはちゃんとしているようだ。

 

 ちなみに死体から復活するのがゾンビで、石仮面の力で肉体が強化されるのを吸血鬼らしい。

 まあ、どっちも太陽の光と波紋が弱点だ。

 全員ぶっ飛ばすので、妾にとっては変わらないしどうでもいい。

 

 

 だがもし自分が人の言葉を喋れたら、やれやれなのじゃと毎度のように溜息を吐きたくなる。

 そんな心境にうんざりしながら、今日もスピードワゴン財団の仕事をさっさと片付けるのだった。

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