イナリの奇妙な冒険 作:狐っ娘の幽波紋使い
悪魔のカードの刺客を倒した妾だったが、一難去ってまた一難だ。
ジョセフが
本当にどうしてこうなったで、今は承太郎と一緒に外を歩いているようだ。
取りあえず急いで彼を探すために、街のあちこちを探す。
だが焦ったところで簡単に見つかるものでもないし、割とのんびりペースで観光を楽しみつつ、アイスクリーム屋でヤシの実の果汁を購入する。
「へいどうも! 4ドルだよ!」
今日は天気もいいし、ちょっと冒険してみたい気分だった。
妾は財布から4ドルを取り出して店主に支払っていると、何故か付いてきたポルナレフが物欲しそうな顔で見ていることに気づく。
「イナリさ~ん、一口くれよー」
「……まあ良かろう」
「いやー! 悪いねー!」
頼んだあとに気づいたが、八歳児が一人で飲みきるにはなかなかキツい量だ。
なので歩きながら承太郎と花京院、それに同行している少女を探す。
取りあえず満足したところで、ポルナレフに残り全部あげた。
「しかし、見つからねえな。
ジョースターさんの話では、この辺りを散策してるらしいが」
「そうじゃな。もしかしたら、何かあったのやも知れぬ」
この場合は考えられるのは一つで、ポルナレフもそのことに気づいたようだ。
ヤシの実の果汁を飲み終わってゴミ箱に捨てたあと、少しだけ歩くペースを早める。
「イナリさん! 早く見つけたほうが、いいんじゃあないのか!」
「焦っても仕方あるまい」
「いやいや! 敵の
のんびり観光してる場合じゃねえって!」
ポルナレフはそう言うが、多少の怪我はしても承太郎なら普通に勝つ気がするのだ。
だからと言って放置はできないので探しに来たけど、ここまで見つからないと不安になる気持ちもわかる。
妾は周辺をキョロキョロ見回したあと、今は周りの人が誰も見ていないことを確認した。
「ポルナレフ。悪いが二手に分かれて探すぞ」
「別に構わねえけどよお。急にどうしたんだ?」
「妾は遠くまでよく見えるゆえ、空から探したほうが早く見つかるじゃろう」
ポルナレフはマジかコイツという顔で妾を見ている。
しかし早く見つけたいと言ったのは彼のほうなので、地面を蹴って空に飛びあがった。
みるみる地上が遠ざかっていくが慣れているので気にせず、目を凝らして承太郎たちを探す。
やがて貿易センタービルからケーブルカーに乗り込み、敵の
「ふむ、あそこか」
人々の注目も集まってはいないし、ちょうど良い。
妾は急降下してケーブルカーの扉を蹴破り、強引に突入した。
「おっ、お前は!? イナリ! どうやってこの場所を!?」
質問に答えてやる気はない。
黄色のスライムらしき
「だが! 俺様のイエローテンパランスは無敵! 弱点はない!
今ここで最強の
俺様のほうが上だと、世界に認めさせてやる!」
妾は最強の
だが何故かいつの間にかそう呼ばれていたし、勝手に実績が増えていくので訂正しようがなかった。
そして、この程度の男にやられるつもりはない。
取りあえず、あの黄色のスライムに触れるのは不味いと長年の経験で瞬時に理解する。
妾は風を右掌に収束し、高速回転させ始めた。
「なっ、何だ!? アレは! 風が集まっているのか!
何だか知らんが! アレは不味い! 触れちゃあ駄目だ!
さっ、避けないと! だがっ、何処に!?」
狭いケーブルカーでは、何処にも逃げ場がない。
彼がもう少し
だがあいにく、これまで無敵の
尻尾を巻いて逃げたことは、一度もなかったはずだ。
人を殺さない程度の威力に抑えているので、十秒足らずで妾の技が完成する。
仕方なく迎撃を余儀なくされた敵が、大声で叫ぶ。
「うおおおっ!!! 俺様のイエローテンパランスは、無敵なんだあああーッ!!!」
「のじゃああああッ!!!」
忍者漫画に登場する風玉の加速がますます速くなる。
それを右掌に集めて、イエローテンパランスに勢い良く叩き込んだ。
荒れ狂う暴風が、敵
そして絶対防御を螺旋の渦が襲い、情け容赦なくズタズタに切り裂いていく。
これは1ダメージを9999回与える攻撃なので、奴の
何にせよ少し経つと、やがて風が消えて承太郎の指に食らいついていた
敵は全身から血を流して完全に気を失っていた。
ケーブルカーの床に倒れて、ぐったりしている。
「やれやれじゃな」
彼が何者かは良くわかっていないが、とにかく敵を撃退した妾は取りあえず良しとして一息つく。
だが次に入ってくるときに、扉を強引に蹴破ったのだ。
またスピードワゴン財団に後処理を頼まないといけないので、何とも申し訳ない気持ちで重い溜息を吐くのだった。
ストレングスのオランウータンや事故処理など、その他諸々はスピードワゴン財団に任せる。
妾たちは一足先に列車に乗って、エジプトを目指す。
いつもお世話になっているが、職員が過労で倒れないか本気で心配になってくる。
妾も命がけの依頼を受けてバランスを取ってるけど、ヤバいと思ったことはあっても死ぬかもと実感させられたことは一度もない。
もしそんな目に遭ったら、きっと小や大を垂れ流してみっともなく泣き喚くだろう。
最強の
殴ったほうが解決が早いから殴る。ただそれだけだ。
何か矛盾してる気もするけど、命を賭けた
それはそれとして、次の目的地はインドだ。
何事も起きなければ良いけどと思いつつも、どうせディオが仕掛けてくるんだろうなと静かに息を吐き、列車の窓から景色を眺めてのんびりさせてもらうのだった。