イナリの奇妙な冒険   作:狐っ娘の幽波紋使い

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スティーリーダン

 ジョセフがエンヤ婆の考えを読んで、ディオの情報を得ることを思いついたので、波紋治療をして彼女を拘束したまま次の街に向かう。

 

 そこで日本で言うハンバーガーの、ドネルケバブが売っていた。

 ジョセフが値切ってくれたが、妾的にはもっといけると感じたので、戦いだけでなく食事にも無駄な集中力を発揮する。

 

 途中で店主が泣き真似をしてきたが、騙されたりはしない。

 最終的には観光客のボッタクリではなく、地元民が買っている適正価格よりもさらに下げさせ、人数分を購入するだった。

 

 

 

 だがそれはそれとして、エンヤ婆がラバーズの幽波紋(スタンド)使いに肉の芽を暴走させられ、殺されそうになった。

 なので素早く深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)を使い、残らず焼き払ってやる。

 

 最近はずっと連発しているので、使い慣れてきている。

 ピンポイントで頭部のみを完治させることも可能になり、消耗もかなり抑えられていた。

 

 しかし痛みで気を失ったし、ディオについて一切話す気はなさそうだ。

 かなり抵抗するだろうから、尋問は諦めたほうが無難なのだった

 

 

 

 何よりもまずは、目の前の敵を倒すのが先決だ。

 

 妾たちは椅子に座って優雅にティータイムを楽しんでいる、ラバーズの幽波紋(スタンド)使いを取り囲む。

 

「肉の芽を焼かれるのは予想外だが、何処までも悲しすぎる婆さんだ。

 だがここまで信頼されているというのも、ディオ様の魔の魅力の凄さでもあるがな」

 

 何がおかしいのか、エンヤ婆のことを馬鹿にしている。

 この中の誰一人として、彼を許すつもりはない。

 

 ポルナレフは妹との因縁もあって複雑ではあるけれど、それでもラバーズの幽波紋(スタンド)使いは絶対にぶっ殺す決意をしている。

 

「おいタコ。カッコつけて、余裕こいたフリすんじゃねえ。

 テメーがかかってこなくても、やるぜ」

「どうぞ。だがキミたちは、このスティーリーダンに指一本触ることはできない」

 

 敵の幽波紋(スタンド)使いは、そう言って格好をつける。

 だがそこを承太郎の星の白金(スタープラチナ)が、容赦なく殴りつけた。

 

 本体は判明したので自分がラッシュを叩き込むまでもないとのんびりしていたら、良くわからないが妾は奴と同じように衝撃を受けて、勢い良くぶっ飛ばされる。

 

「のじゃっ!?」

 

 しかし、大したダメージではない。

 落ち着いて空中で一回転し、危な気なく華麗に着地する。

 

「何っ!?」

「どっ、どうしたんだ! イナリさん! コイツと同じように飛んだぞ!」

「こっ、この馬鹿が! まだ説明は途中だッ!」

 

 飛ばされてガラスを突き破ったスティーリーダンが、よろめきながら起き上がる。

 そして妾も驚いたけれど、仲間たちもビックリしていた。

 

「もう少しで貴様は! 自分の仲間を殺すところだったんだぞ!

 いいか! この私が、エンヤ婆を殺すだけのために、キミらの前に顔を出すと思うのか!」

 

 向こうはまだ足にきているので、かなりのダメージを受けたのがわかる。

 そして妾は既に完治しているため、呑気に質問させてもらう。

 

「ラバーズのカードの幽波紋(スタンド)とか言ったか?

 一体、それは何なのじゃ?」

 

 今妾が急に吹き飛んだことに関係があるのは、間違いはないだろう。

 

「もう既に、戦いは始まっているのですよ。ミス・イナリ。

 愚か者どもが、探しても私の幽波紋(スタンド)は、すぐには見えはしないよ」

 

 そして次にスティーリーダンは、後ろで掃除をしている子供に駄賃を渡して箒の柄で足を殴るように命令する。

 

 すると、当然のように勢い良くぶっ叩かれた。

 彼が痛みを感じたのと同じ箇所に、妾も鈍い衝撃を受ける。

 

「気が付かなったのか! イナリ!

 私の幽波紋(スタンド)は体内に入り込む幽波紋(スタンド)

 さっきエンヤ婆を殺そうとした瞬間! 耳から貴女の脳に潜り込んでいったあッ!」

 

 まだエンヤ婆は死んでいないが、助けたときに今度はこっちに乗り移られたようだ。

 

「つまり幽波紋(スタンド)と本体は一心同体!

 幽波紋(スタンド)を傷つければ本体も傷つく! 逆も真なり!」

 

 彼は完全に勝ち誇り、自慢気に幽波紋(スタンド)能力について詳しく話していく。

 

「同時に脳内で私の幽波紋(スタンド)が、私の痛みや苦しみに反応して暴れるのだ!

 同じ場所を、数倍の痛みにしてお返しする!

 もう一度言う! 貴様らはこの私に! 指一本触れることはできぬ!」

 

 確かに恐ろしい幽波紋(スタンド)だ。

 ただし、それは対象が妾でなければである。

 

 例えばジョセフだったら、今頃両手で顔を押さえてオーノーのポーズをしていただろう。

 

 けれど、妾は違った。

 動揺して冷や汗をかいている仲間たちと、勝利を確信するスティーリーダンに、はっきりと告げる。

 

「構うことはない。奴を倒すぞ」

「きっ、貴様! イナリ! 今の説明を聞いてなかったのか!」

 

 余裕しゃくしゃくは何処へやらで、慌てふためくスティーリーダンにはっきりと伝えていく。

 

「聞いておったし、理解もしておる。

 じゃが、何か問題があるのか?」

 

 妾は全く動揺することもなく、他の仲間たちに顔を向ける。

 

「妾の頑丈さは筋金入りじゃし、壊れるよりも先に傷を癒やせば良いだけじゃ」

「すっ、数倍の痛みだぞ! 確実にショック死するぞ!」

 

 確かに普通の人間なら、敵の幽波紋(スタンド)能力に為す術もないだろう。

 しかし妾には強い抵抗力があり、そういう状態異常はその気になれば弾くこともできる。

 

 一回目は不意打ちを受けて吹き飛ばされたが、わかっていたら問題なく耐えることができた。

 

「その程度でショック死するようなら、最強の幽波紋(スタンド)使いとは呼ばれておらぬ。

 まあ、妾から名乗ったことは、一度もないがのう」

 

 そう言って不敵な笑みを浮かべる。

 だが妾が殴って自分が吹っ飛ぶのは何だか間抜けだ。

 

 ダメージ効率も悪そうだし、周りの仲間に声をかける。

 

「そういうわけで、さっさとアイツをタコ殴りにしてくれんかのう。

 ああ、妾のことは気にせんで良いぞ。適当に耐えるからのう」

 

 最初の余裕の態度は何処へやらで、今の彼は完全に怯えきっていた。

 しかしエンヤ婆を殺そうとしたし、狐っ娘は普通の幽波紋(スタンド)使いとは格が違う。

 

 仲間は妾が規格外であることを、これまでの旅で嫌というほど思い知っている。敵よりも理解していると言っても良いだろう。

 

 なのでスティーリーダンに逃げられる前に、集団ラッシュで四方八方からボコボコにして再起不能にする。

 

 予想通り攻撃が来るとわかって身構えれば、全然大したことはない。

 最初の数発で幽波紋(スタンド)を維持できなくなったのもあるだろうが、おかげで無事に勝利することができたのだった。

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