イナリの奇妙な冒険 作:狐っ娘の幽波紋使い
イタリア
広瀬康一君は無事に見つかり、敵の
あとは吉良吉影の父親だと考えたら、猫の空気弾で
いつも通りに起きてアクビしながら外に出ると、ネコちゃんが写真の切れ端を持ってきてくれたのだ。
確かに駄目元で探しているとは伝えたが、まさかの呆気ない最後である。
残念なのは、
しかしそこはまあ仕方ないと諦めて、ご褒美にちょっとお高い猫のオヤツをプレゼントするのだった。
公表はできない特殊な依頼を受けて世界中を駆け回りつつ、時が流れる。
西暦で言えば2001年の3月になり、妾はイタリアに向かうことになった。
スピードワゴン財団の依頼を受けていた人たちは自分と交代して、現地から引き上げてもらう。
だがパッショーネのボスは、杜王町の吉良吉影のように隠れるのが相当上手いようだ。
どうにも埒が明かなくて、手がかりや成果が頭打ちだ。
そこで単独行動と運命力に定評のある妾が、彼らの仕事を引き継ぐことになる。
ぶっちゃけ正義の
いつまでもギャング組織にばかり構っている時間はなく、手を引くのも致し方ないと言える。
今回はいつ帰国できるかが不明なので、娘の
そして妾は、いつも通りの単独行動である。
なお、ポルナレフから引き継ぎに関して任務の詳細を聞く。
その時に、選別代わりにある物を受け取ったが、本当に効果があるのかは不明だ。
しかし、世界にそう何本もない貴重品には違いない。
使う予定はないが、お礼を言って受け取っておく。
どうやらパッショーネも、これを同じ矢を使って戦力を増やしているようだ。
妾が持っていることを知れば、必ず狙ってくるらしい。
ポルナレフたちにも刺客が襲いかかってきたが、誰も彼もが小者ばかりで
つまり締め上げても、大した手がかりは出てこなかったのだ。
しかし今度配属された妾は、いくら強くても一人である。
釣り針としては適任で、ギャング組織が引っかかってくれることを期待したい。
ただし奪われでもしたら大変なので、常に肌見放さずに持ち歩くことにする。
そのはずだったのだが、あろうことか寝ている間に妾の
存在は感じるのに影も形もなくなって摘出不可とか、マジでどうしてこうなったと頭を抱える。
そう言えばポルナレフが教えてくれたが、矢は矢を支配できる資格のある者を選ぶらしい。
確かに自分は無駄に生命エネルギーに満ち溢れているが、勝手に主人に選ばれても困る。
すっかり一体化してしまったようで、潜り込んだ際の痕跡も消え去っている。
幸いなのは別に何処かが変わったわけでもなく、せいぜい
姿形も変わった様子はないし、ただちに影響がなければそれでいい。
考えても答えはできないので、気にしないことにする。
それでも
実際には矢に選ばれただけで自分のせいではないけれど、指摘されるまで黙っておくことにしたのだった。
実はギャング組織のボスの調査以外に、もう一つの仕事も依頼されている。
こっちは引き継ぐ直前に判明したのだが、ディオと日本人女性との間に生まれた子供が、今イタリアのネオポリスに居るらしいのだ。
本名は
そして
正義か悪のどちらに転ぶかわからないので、Vジャンの攻略本のようにこの先はキミの目で確かめて欲しいとのことだ。
ギャング組織を壊滅と人探しを両方しないといけないが、そんな片手間でできることではない。
だがもし
何にせよ、乗りかかった船だ。
急な作戦変更や敵の増援は前世で慣れっこである。
きっちり追加料金は取るけど、ママエアロとあっさり承諾するのだった。
そういう理由で、遠い日本から遥々イタリアまでやって来た。
ネオポリスの空港で飛行機を降りて、何処から探したものかと地図を開く。
狐っ娘の体は
それでも毎日の歯磨きや入浴など、やらないと落ち着かないこともある。
とにかくまずは、近場のホテルに移動して荷物を預けるのが先決だ。
本格的に探索するのは、その後だろう。
旅行鞄は大きいが、そこまで重くはない。
少し押せば、問題なく転がっていく。その気になれば軽々と持てるが体格が八歳の女子なので、明らかに不自然である。
あとはピンク髪で巫女服を着た狐っ娘は、とても目立つ。
しかし日本でも同じように扱われているため、勝手に写真を取ったり声をかけてくる人がいる。
そういう人たちに、いちいち驚かずに軽く流して先を急ぐ。
やがて空港の外に出たので、タクシー乗り場を探す。
そこで、片耳を折り曲げて奥に仕舞う一発芸をしている青年を見かけたが、警官二人が大いに驚いていた。
(ほう、見事なものじゃ。それにしても白昼堂々と賄賂とは、相変わらず治安が悪いのう)
前にいつ訪れたのは、昔過ぎて思い出すのに時間がかかる。
少しして警官が立ち去り、金髪の青年がこちらに気づいたようで、おもむろに声をかけてきた。
「タクシーかい? アルバイトでこれから帰るだけだから、安くしときますよ。
市内まで、18万リラでどう?」
「ふむ、日本円で一万ぐらいか。相場の半分じゃな」
過去に何度か来たし、言葉も相場も現地で学んだ。
露伴の
耐性が高すぎると、こういう時には不便だ。
「へえー、言葉。凄くペラペラですね。イタリア住んでたこと、あるとか?」
「少しだけのう」
世界中飛び回っていて、イタリアもそれなりに滞在したことがある。
「それに変わった格好だね。確か、コスプレって奴だっけ?」
「うむ、そうじゃ」
妾はタクシー乗り場を探して、のんびりと歩く。
しかし、この青年の距離の詰め方は半端ではない。
グイグイ来るなと思いながら、気になっていたことを訪ねてみる。
「それにしてもお前さん、まだ学生じゃろう?
なのに、タクシーを運転するのか?」
「まあまあ、そう気にしないで」
妾は日本から来た八歳の少女で、他国の面倒事に首を突っ込むべきではない。
彼も悪いことをしているのは違いないが、きっとそうしないと暮らしていけないのだろう。
両手で制止するする青年をじっと見て、やれやれと大きく溜息を吐く。
「じゃあ、1万リラでいいよ。チップもいらない。
ピッタリ1万で市内まで」
そう言って妾は歩みを止めて、今さっき見つけたタクシー乗り場に視線を向ける。
物凄く混雑しているので、これは当分待たされそうだ。
「どうします?」
「本当に1万リラか?」
「1万、その代わり荷物は自分で積んでよね。
チップはなしなんだから」
青年は眩しい笑顔ではっきり口にしたので、妾はこれも何かの縁だと思った。
彼のタクシーを利用させてもらうことにする。
もし騙されたらその時はその時だと、前世も含めて長年の経験で心臓に毛が生えたのかも知れない。
とにかく彼が車を停めている場所に、のんびりと移動するのだった。
五部から超駆け足というか短めだけど、ネタやモチベが枯渇したんや。
完結まで続けるから、許して……許して。