ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第十話

 

 

その後敵の追撃などなくようやくの思いで第8艦隊と合流できたアークエンジェル。これでようやく解放される、キラ達民間人はみんなそう思っていた

 

「民間人はメネラオスのシャトルで地上に降りるんだってさ。あ、でも俺達ってどうなるんだろ...」

 

「降りられるに決まってるでしょ」

 

「手伝ってたとはいえ俺達は民間人なんだからな」

 

「そ、そうだよね」

 

トール達は他の民間人同様地上に降りられることで持ちきりだった

 

そんな中キラとレオは未だドックで手伝いをさせられていた

 

「合流したのになんでこんなことするんです!」

 

「ちゃんと直ってないと不安なんだよ」

 

「第8艦隊つったってパイロットはひよっこ揃いさ。いざってときには大尉が出れるようにしとかねぇとな」

 

「と、いうわけだ」

 

「それじゃあストライクは?本当にあのままでいいんですか?」

 

「あーわかっちゃいるんだがな。わざわざ元に戻してスペック下げるってのも...」

 

「できれば、あのまま誰かがって思っちゃいますよね?」

 

「艦長?」

 

「あらら、こんなところに」

 

先ほど被弾したムウの乗るメビウス・ゼロの修理をキラとレオの手を借りながらマードック主体で行っている場に艦長であるマリューが登場した

 

「どうしたんです?」

 

「ちょっとキラくんとレオくんと話がしたくて」

 

「俺達に?」

 

「な、なんですか...?」

 

「そんな警戒しないで。まぁ無理もないけど」

 

レオとキラはマリューについてストライクの前まで移動する

 

「今まで私自身余裕なくて、きちんとお礼ができてなかったと思って」

 

マリューはレオとキラに向かって頭を下げる

 

「今までツラいことを押し付けてしまったわね。あなた達がいなかったらどうなっていたことか。本当にありがとう」

 

「そ、そんな。艦長...」

 

「口には出さないかもしれないけど、クルー全員あなた達に感謝しているのよ」

 

「はぁ...」

 

「こんな状況だから地球に降りても大変だと思うけど、またどこかで会えるといいわね」

 

「はい...」

 

「...」

 

レオは終始発言できずにいた。なぜなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()ので、下手に口を出せないでいたからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

程なくして第8艦隊から司令官であるデュエイン・ハルバートンがアークエンジェルに来るとのことで、クルーはもちろん航行の手伝いをしていたキラ達も集められた

 

「おー!」

 

シャトルから降り立つハルバートンを敬礼で迎え入れるマリュー。その顔を見てかハルバートンから安堵の声が漏れる

 

「ヘリオポリス崩壊の知らせを受けた時は肝を冷やしたぞ!しかしまた君達と会えるとは!」

 

「ありがとうございます。お久しぶりです閣下!」

 

「先も戦闘中と聞いて気を揉んだ。大丈夫なのだな?」

 

「えぇ。皆のおかげでどうにか合流にまで漕ぎつけることができました」

 

「ナタル・バジルールであります!」

 

「第7機動艦隊、ムウ・ラ・フラガであります」

 

「おー!君がいてくれて助かったぞ!」

 

「いえ、さして役にも立ちませんで...」

 

ハルバートンは自軍の英雄であるムウと握手を交わし、マリュー達の背後に目をやる

 

「そして彼らが?」

 

「はい。艦を手伝ってくれました、ヘリオポリスの学生達です」

 

「そうか!」

 

マリューからの紹介がありハルバートンは後ろで控えていたキラ達のもとに浮遊した

 

「君達のご家族の消息も調べてきたぞ。皆さん無事だ!」

 

「マジか!」

 

「よかったー!」

 

トール達のように家族と離れ離れになった者達からすればこれ以上の安心はなかった

 

「指令...そろそろ...」

 

「そうか。本来なら君達ともゆっくり話をしたかったのだがな。この老いぼれにはそんな時間は許してくれないらしい」

 

ハルバートンは一緒に来た副官のホフマンにせかせれマリューやムウ、ナタルと共に中に入った

 

来客部屋に通されたハルバートンは椅子へ腰かけ、その横に副官のホフマンが、対面にマリュー達3人が立った

 

「艦1つとG2機のためにヘリオポリスを崩壊させるなど...」

 

「だが彼女らがストライク、そしてもう1機、ノワールと言ったか?」

 

「閣下もノワールに関してご存じなかったのですか?」

 

「あぁ。報告を受けたときは驚いた。まさか誰もしらない6機目が存在したなどと。現在誰がどんな技術を使って製作したのか調査中だ」

 

「そのパイロットは?なにか知らないのか?」

 

「実は...」

 

ホフマンの問いにマリューは煮え切らない答えをする

 

「なんだ?なにか事情があるのか?」

 

「いえ。我々も戦闘続きでしたので...まだ詳しい事情を聞けていないのです」

 

「なるほど。無理もないか。彼、むろんストライクのパイロットにもだが相当な負担をかけてしまっていたであろう」

 

「はい」

 

「どちらにしろその2機を守り抜いたことはいずれ必ず我ら地球軍の利となる」

 

「アラスカは、そうは思っていないようですが...」

 

「やつらに宇宙(そら)での戦いがわからんのだ!」

 

ハルバートンの言葉で地球軍はアークエンジェルとGの扱いで意見が割れていることがわかる

 

「あとは、このコーディネイター2人の子供の件は...」

 

「キラ・ヤマト、並びにレオ・シュヴァルグランは自分の友達を助けたい。ただその一心で機体に乗ってくれていたのです。我々は彼らの力なくばここまで辿り着けなかったでしょう。民間人の、ましてやまだ子供の男の子達には荷が重すぎる重圧をかけてしまっていました。誠実で優しい子達です」

 

「しかしこのまま解放、というわけには...」

 

「僭越ですが、私はホフマン大佐と同じ意見を主張いたします」

 

キラとレオの処遇に対してナタルが一歩前に出て意見を述べた

 

「彼らの能力には目を見張るものがあります。Gの機密を知り尽くした彼らをこのまま降ろしては...」

 

「ふん!既に4機奪われているんだ。今更機密もないだろう」

 

「しかし!彼らの力は貴重です!できればこのまま我が軍とすべきだと私は!」

 

「ほぉ...」

 

「...」

 

ナタルの主張に副官であるホフマンは興味を示すもののハルバートンは厳しめの表情を出している

 

「ラミアス大尉から聞いた話では本人にその意思はなさそうとのことだが?」

 

「少なくともキラ・ヤマトの両親はナチュラルでヘリオポリス崩壊後に脱出し今は地球にいます。それを軍が保護すれば...」

 

「ふざけた事を言うな!貴様は家族をダシに戦闘を強制させるつもりか!」

 

「はっ!も、申し訳ありません!」

 

ハルバートンはナタルの物言いに机を叩きながら叱責する

 

「過去のことはもういい。問題はこれからだ!アークエンジェルはこの後、現状の人員のままアラスカ本部に降りてもらわねばならん」

 

「え...」

 

「は...?」

 

「なっ!」

 

ハルバートンの無理な話に3人は驚く

 

「補充要員を連れた先遣隊も沈み今の我々にはもうアークエンジェルに避ける人員はないのだ」

 

「しかし...」

 

「だが、ヘリオポリスが崩壊してしまった今…アークエンジェルとGはその全てのデータを本部に送り届けねばならん!」

 

「ですが閣下...!」

 

「あれの開発を軌道に乗せねば!地球軍は一向に前に進まん!ザフトは次々と新しい機体を投入してくるのにだぞ!地上で利権争いに明け暮れ、戦場で死んだ同胞達を数字でしか知らん連中にわからせるのだ!」

 

ハルバートンの熱い言葉に苦しい顔をしていたマリューは大変なことを覚悟しつつ決意を固めた

 

「わかりました...閣下のお心、しかとアラスカへ届けます!」

 

「アーマー乗りの生き残りとしては見過ごせませんな」

 

「頼む...!」

 

マリュー、ムウ両名はハルバートンの意思を引き継ぐとし、アラスカへの降下を受け入れたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後バジルールを連れたホフマンがこれまで艦を手伝ったトール達学生に除隊許可書を渡しに回っていたころ、レオとキラはドックに来ていた

 

「これでコイツラともおさらばか?」

 

「うん。そうだね」

 

「いざ降りるとなったら名残惜しいかね?」

 

ストライクを見ているレオとキラに声をかけたのはデュエイン・ハルバートンだった

 

「キラ・ヤマトくん。それとレオ・シュヴァルグランくんだね?君達の報告は受けているよ」

 

「はい...」

 

「どうも」

 

「しかし、君達コーディネイターというのは凄まじいな。ザフトのモビルスーツに対抗せんと造ったものなのに、君達が操作するととんでもないスーパーウェポンになってしまう」

 

「そんなことは...」

 

「君の親御さんはナチュラルということだったね?キラ・ヤマトくん」

 

「は、はい」

 

「どんな夢を託して君をコーディネイターにしたのか...」

 

「それは...」

 

「君はどうなのかな?レオ・シュヴァルグランくん?」

 

「さぁ。俺は捨て子のコーディネイターなので」

 

「えっ!」

 

「そうか。なんにせよ。早く終わらせたいものだな、こんな戦争は」

 

「閣下」

 

話をしているハルバートンの元へ1人の軍人がやってきた

 

「メネラオスから至急お戻りいただきたい、と」

 

「やれやれ。老いぼれ使いが悪いことだ」

 

「お戯れを、閣下」

 

「冗談も通じんとは...ここまでアークエンジェルを守ってもらって感謝している。よい時代がくるまで、死ぬなよ!」

 

「あの!」

 

「ん?」

 

「アークエンジェルは、ラミアス艦長達はこれから...」

 

「アークエンジェルは今の人員のまま地球に降りる。彼女らはまた戦争だ」

 

「...」

 

「キラ?」

 

「君が何を悩んでいるのかはわかるぞ、キラ・ヤマトくん」

 

「え...」

 

「確かに君の、君達の力は非常に魅力的だ。だが君がいれば戦争がなくなるのか?自惚れるなよ小僧!」

 

「でも!できるだけの力があるのなら、できることをしろって...」

 

「それは意思のあるものならばだ。意思のないものにはやり遂げられんよ」

 

さすがに時間がヤバいのかハルバートンは軍人に連れられてドックから去った

 

「意思のないやつにはやり遂げられない、ね。あの人には筒抜けだったみたいだなキラ」

 

「うん」

 

「助けたい気持ちはある。でも戦う相手は知り合い。そりゃ考えまとまらないわ」

 

「でも...僕は...」

 

「キラ」

 

レオはキラの顔を真剣な表情で見つめる

 

「お前がいた方がいいってのも事実だし、お前が戦おうと戦わないと戦争は続く。それも事実だ。あとはあの人が言ってた通り意思の問題だ」

 

「意思...」

 

「キラはどうしたいか。どっちの選択肢を取ったところでお前を責めるやつなんていない。あ、家族はめっちゃ怒るかもな」

 

レオはそれだけ言ってキラの体を押してその場から離れた

 

「レオくんは、どうするの?」

 

「俺か?俺は降りるよ」

 

レオはこのとき()()()()()()()()()。なぜなら、ここで本心を言うとキラの選択肢を自分が決めてしまうようなものだとわかっているから

 

 

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