ガンダムSEED 〜守るための戦い〜 作:てこの原理こそ最強
『第二戦闘配備発令!』
真夜中に近い時間帯にアークエンジェル内に警報が鳴り響いた
「状況は!」
「第一波ミサイル攻撃6発。イーゲルシュテルンにて迎撃!」
「砂丘の影からの攻撃で発射位置特定できません!」
「第一戦闘配備発令!機関始動!パイロットは搭乗機にてスタンバイ!」
「フラガ少佐は出られるか!?」
「アンチビーム爆雷装填!Nジャマー展開!」
「それ今はいらないよ!」
つい先日までビーム兵器との戦闘だったためそのくせがついてしまっているのかサイは現在ミサイル攻撃に対して特にいらない処理をしようとして注意を受けてしまった
「ッ!敵影3!ザフト戦闘ヘリと確認!」
「ミサイル来ます!」
「機影ロスト!」
「フレア弾散布!迎撃!」
『ストライク発進します!ハッチ開けてください!』
「キラ!?」
「まだ敵の位置も勢力もわかっていないんだ。発進命令も出ていない」
『そんな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ!』
「キラ...」
「どうしますか艦長?」
「...」
いつになく火がついている様子のキラ。それを心配するフレイと発進してもらう他ない状況ではあるが冷静さを欠いているパイロットを出していいべきかと悩むマリュー
『艦長』
「レオくん」
『キラは少し気負いすぎているところがあります。そのせいで少し熱くなっているのかと』
「そのようね...」
『しかしこのまま発進させずに暴れられても問題でしょう。ならばいっそ発進させてもいいと思います』
「でも...」
『攻撃を受けている以上発進せざるを得ないかと。大丈夫です、フォローします』
レオの提案に悩むマリュー。今の状態のキラを出すのはどうかというのと当然だが出てもらわないとこちらが危ないのも事実だった
「わかりました。ストライク、ノワールを発進させて!」
「了解!ストライク、ノワールを発進位置へ!敵戦闘ヘリを排除せよ!ここは地球だ、宇宙空間と違い重力がある。気をつけろよ!」
『カタパルト始動!APUオンライン!ランチャーストライカー接続!火器パワーフロー正常!進路クリア、ストライク発進どうぞ!』
フレイのアナウンスによりキラが先に発進した
「レオ、キラが...」
『わかってる。ああなってるのは半分俺のせいでもあるな』
「そんな」
『ともかく戦闘の中で落ち着かせてみる。なんとかやってみるよ』
「うん。よろしくね」
『あぁ。行ってくる』
キラに続いてレオも発進。そしてその直後、今までに経験したことなかった重力というものが体にのしかかった
今回ランチャーストライクで発進したキラは地上へ降り立ったものの、砂の地面に足を取られバランスを崩した。その隙に敵が出現、ミサイル攻撃が受ける
『このっ!』
キラはアグニを構えるも敵が砂丘に隠れ射線が取れなくなってしまう。なんとか射線を通そうとジャンプしてみるものの、地形が把握できていないためヘリを見失ってしまう。そして着地も地面が抉れてまたもバランスを崩す
『クソッ!』
「落ち着けキラ。まずは...『うるさい!』あぁ?」
『僕が倒すんだ!敵みんな!』
「...」
発進してから空中で状況を分析していたレオはキラにアドバイスを入れようとしたが突っぱねられたので少しイラッときた
すると2人の機内で警報が鳴った
『なんだ!?』
そこへ5機の四足歩行のモビルスーツが出現。それはザフトの陸戦用モビルスーツ<バクゥ>だった
『チィ!』
内3機がキラを狙う。キラは突然現れたバクゥに狙いを定めようとするも移動が速すぎてなかなか定まらず、アグニを連発しても全て当たらなかった
『クソッ!クソックソッ!!』
キラは再びジャンプしアグニを連発。しかし高速移動する相手に照準が合わずヤケクソに撃ってるようにしか見えない
「落ち着けバカ野郎!!」
『おわっ!』
レオはバクゥにではなく周辺の地面へ射撃し砂煙を上げ視界を悪くする。そしてアンカーランチャーをストライクに巻きつけ勢いよく地面に叩きつけた
『何を!』
「テメェ1人で戦ってんじゃねぇんだぞ!!」
『ッ!』
レオは叩き落としたストライクに敵が近づかないよう牽制を入れつつもキラを怒鳴りちらかす
『守るもんは同じだろ!焦って独りよがりになって何が守れるって言うんだ!!』
『ッ!』
『キラ!』
『フレイ...』
『あんなのいつものキラじゃない!いつものあなたに戻って!!』
『...』
レオからのお叱りの後にアークエンジェルとの通信画面には悲しそうな表情のフレイ。そして目の前では倒れている自分に敵を近づけまいと必死に守ってくれているノワールの姿
『ごめん...』
「謝るなら今何をしなきゃいけないか考えろ!」
『うん!』
キラは操縦桿から手を離しキーボードを出す。そしてまた早いタイピングでストライクのOSを書き換える
『接地圧が逃げるなら合わせればいいのか!逃げる圧力を想定して摩擦係数は砂の粒状性をマイナス20に設定!これで!』
キラはストライクを起き上がらす。そこへレオの牽制を突破してきたバクゥ1機が突っ込んできた
『クッ!』
しかしキラは地面を踏ん張り突っ込んできたバクゥを蹴り上げる
「後ろだキラ!」
『ッ!』
さらにキラの背後からバクゥが迫る。しかしそのバクゥはレオが空中から2連装レールガンで迎撃。バクゥの背にある武装と頭部を破壊した
『南西より熱源...砲撃です!』
「クソッ!間に合え!」
アークエンジェルオペレーターの声が偶然聞こえたレオはその射線上にバクゥを誘導。そして反転し追ってくるバクゥと差し違え、バクゥの背にあるミサイルランチャーを切り落とし、それを上空へ蹴り上げる。そして空中に上がったそれはアークエンジェルに向かう砲撃に命中した
『なっ!』
『レオくん、あなたって人は...』
「第二波がありますよ艦長!対策は!」
『俺がスカイグラスパーで出撃る!』
『少佐!?』
『俺が行ってレーザーデジネーターを照射する!それに向かってミサイルを叩き込め!』
『今から索敵しても間に合いません!』
『やらなきゃならんでしょうが!それまで当たるなよ!?』
大気圏突入前に第8艦隊から受け取った戦闘機<スカイグラスパー>でムウが出撃。砲撃があったと推測される場所へ向かった
『ッ!第二波きます!』
『回避!』
『間に合いません!直撃きます!』
『アークエンジェルは...やらせない...!』
アークエンジェルの危機。この状況でキラの中でまた何かが弾けた
「キラ!」
『ッ!』
レオは先ほど同様、キラの周りの地面を撃ち砂煙を上げる。それを合図にキラは飛び上がる。しかし今度はバクゥ1機がストライクに襲いかかるようにジャンプした
「邪魔すん、なっ!」
そのバクゥ目がけてレオはスラスターを全開に入れ、タックルし吹き飛ばす。その吹き飛ばされたバクゥは敵の砲撃の餌食となった
『クッ!』
バクゥの爆発の後、キラは残った砲撃を撃ち落とすべくアグニを連射。その射撃は1つの大きな砲撃となりアークエンジェルの正面を通過。それにより敵からの砲撃は全て無効化された
『ストライクのパワー危険域に入ります!』
『ッ!アグニを使いすぎた...!』
「クソッ!」
レオは残ったバクゥを相手取っている。本当ならキラを下がらせてやりたいがレオにとっても初めての地上戦で宇宙のようにうまくいかない。苦しくもバクゥの相手だけで精一杯のため、キラは戦闘ヘリからミサイルの集中砲火を受けてしまっている
すると戦闘ヘリ1機が何者かによるミサイル攻撃で撃破された
『何!?』
ミサイルが放たれた方向から複数台のバギーが向かってきているのが確認できた
『そこのモビルスーツのパイロット!』
『ッ!?』
「...」
キラは突然知らない声で通信を受けた
『死にたくなければこちらの指示に従え!そのポイントにトラップがある。そこまでバクゥを誘き寄せるんだ!』
キラは見ず知らずの者から指示を受け疑うも、こちらに向かっていたバギーがその方向へ方向転換したことを確認した
『レオくん!』
「あぁ」
キラはレオに通信を飛ばし2機揃って指定されたポイントを目指した。案の定バクゥはストライクとノワールを追ってくる
言われた通りバクゥを誘導し飛び上がると、その場で大きな爆発が起こりバクゥは撃破された
その後ムウからの入電により敵も退いたとのことで戦闘は終了。キラとレオもアークエンジェルと合流した。助けてくれた(?)人達も連れて
レジスタンス。権力や侵攻者に対する反抗運動のことをそう言う。それに派生して侵略者に対して武力を持って反抗する組織のこともそう呼ばれるようになった
今回砂漠の虎と敵対したのはそのレジスタンス<明けの砂漠>だった。現在マリューとムウがその団員と対面していた
「助けてくれた、とお礼を言うべきなのでしょうかね。地球軍第8艦隊、マリュー・ラミアスです」
「俺達は明けの砂漠、俺はサイーブ・アシュマン。礼なんざいらんさ。わかってんだろう?別にお前達を助けたわけじゃない。こっちはこっちの敵を討ったまででね」
「砂漠の虎相手にずっとこんなことを?」
「あんたの顔はどっかで見たことあるな?」
「ムウ・ラ・フラガだ。こっちに知り合いはいながね」
「ふんっ。まさかエンデュミオンの鷹とこんなところで会えるとはよ」
「情報もいろいろお持ちのようね。私達のことも?」
「地球軍の新型特装艦、アークエンジェル。クルーゼ隊に追われ地球へ逃げてきたっていう。そんであれが...」
「X105、ストライクと呼ばれる地球軍の新型機動兵器のプロトタイプだ」
ザイーブの隣にいる金髪の少女がストライクの説明をする
「さてと!お互いにどこの誰かわかってめでたしってところだがな、こっちとしちゃそんな禍の元に降りてこられてびっくりしてるんだ。ここに降りてきちまったのは事故なんだろうがあんた達がどうするつもりなのか、そいつを聞きたいと思ってね」
「それは、力になってくれる...ということかしら?」
「ふんっ!話そうってんならまずは銃を下ろしてくれよ。あれらのパイロットもな」
サイーブはマリュー達の後ろに控えている者がいることをわかっており、武装解除を求める
「わかりました。ヤマト少尉、シュヴァルグラン少尉、降りてきて」
マリューは武装解除を承諾。キラとレオにも降りてくるよう指示し2人もそれに応じた
「あんな子供が...」
「なっ!」
地上に降りヘルメットを取ったキラとそもそも私服の状態で降りてきたレオを見て驚く明けの砂漠のメンバー。そしてその中から先ほどの金髪の少女がキラに駆け寄った
「お前!なぜお前があんなものに乗っている!」
「おい」
理由もわからず怒り出した少女がいきなりキラを殴ろうとしたのでレオがそれを止めた
「離せ!」
「あっ!君あの時モルゲンレーテにいた!」
「知り合いか?」
「え...いや」
「まぁともかく。いきなり殴りかかるのはどうかと思うぞ」
「お前には関係ないことだ!」
「あまり感情的に動くな。子供に見られるぞ」
「うるさい!バカにするな!」
「バカにしちゃいないさ。ただ注意してるだけ。でもやっぱり殴ろうとするのはダメだろ。それに...」
「な、なんだよ...」
「こいつを殴るのは、俺が先だからな」
「えっ...ウッ!」
「ッ!?」
レオは少女の手を離すとキラに向き直りその頬を盛大に殴った
「目は覚めたかよ、キラ」
「...」
「焦って、何を持って熱くなってたか俺にはわかるがな。お前1人で守れたら苦労はしないんだ」
「...」
「意志を持つのはいい。だが少し頭を冷やせ。そして何のために仲間がいるのかよく考えろ。」
キラは何も言い返すことはできず、殴られた頬を押さえてただレオを見上げるしかできなかった