ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第十七話

 

 

敵司令官との接触から戻った3人は集合時間に遅れたことをナタルからこっぴどく叱られた。しかしその理由は口が裂けても言うことはできなかった

 

レオ達と別れたあとにサイーブ紹介の元街の武器商人から武器弾薬の補給の交渉を行ったナタル達。金額が想定より遥かに上回ったものの交渉は成立、次々とアークエンジェルに運び込まれていた。マリュー、ナタリ、ムウの3人は今後の方針を決めるべく基地内でサイーブと話していた

 

「この辺りは廃坑の空洞だらけだ。こっちには俺達が仕掛けた地雷原がある。戦場にしようってんならここっきゃねぇ」

 

「向こうさんもそう考えてくるんじゃないか?」

 

「だろうな。だがせっかく仕掛けた地雷を使わねぇって手はねぇだろ」

 

「本当にそれでいいの?こっちはともかく、あんたらの装備じゃ相当な被害になるぞ」

 

「...」

 

ムウの指摘にサイーブは口を紡ぐ

 

「虎に従い、奴の下奴らのために働けば確かに平穏な暮らしができるんだろうよ。バナディーヤのように。実際女共からはそうしようって声もある。だがな、支配者は気まぐれだ。何百年俺達一族がそれに泣いてきたと思う?」

 

「...」

 

「支配されない、そしてしない。俺達が望むのはそれだけだ。虎に抑えられた東地区を取り戻せばそれも叶うだろうよ。こっちはあんたらの力を借りようってんだ。変な気遣いは無用だ」

 

「そうか。オッケー了解だ。艦長?」

 

「わかりました。ではレセップス突破作戦へのご協力を喜んでお受けします」

 

「ん」

 

これにてアークエンジェルと明けの砂漠による同盟が成り立ち、共に共通の敵である砂漠の虎を撃つため動き出す

 

一方そのころアークエンジェル内では荷物の運搬が進んでいた。そしてその中にはスカイグラスパーの操縦シミュレーション機もあり、現在カガリがそれを体験していた

 

「ほっ!よっ!」

 

「へぇ」

 

「何やってんだ?」

 

「あ、トール見てよ!この子すごいの!」

 

「確かにやるねぇ。カガリちゃんだっけ?実戦経験あるの?空中戦」

 

「へへー!」

 

ノイマンが話しかけたのとほぼ同時にシミュレーションが終わりスコアが表示される。既に何人か体験しているがその中でも1位のスコアをたたき出した

 

「すげっ!」

 

「2発くらっちゃったかな」

 

「でもすごいよ!俺なんか戦場に入った途端に落とされたもん...」

 

「私も...」

 

「なになに?もうみんなやったの?」

 

「お前ら軍人のくせに情けなさすぎ。そんなんじゃ銃もまともに撃ったことないんだろ?すぐに死んじまうぞ?戦争してんだろ」

 

「確かに」

 

「銃を撃ったことがあるかなんて自慢にもならない」

 

「ッ!お前...」

 

そこへなにやら人だかりができていたのでなんだろうとノワールの整備を一旦中断したレオがやってきた

 

「銃を撃ったことがあるか、何人人を殺したか、お前は戦争狂かなにかなのか?」

 

「なんだって!?」

 

レオの言いぐさに激しく激昂するカガリ。今にも殴りかかりそうな勢いだった

 

「銃を取らないでいいのであればそれに越したことはない。だが今はお前の言うように戦争だ。仕方なく銃を持たなければならない人だっている。でも誰が好き好んで持つものか」

 

「...」

 

「街のゲームセンターとかにあるやつならいいさ。だがこんなものでいいスコア出したところで、何の自慢にもならんだろ」

 

「レオ...」

 

「ミリアリア、カズイ。お前らは銃を持たなくていい。そうならないために俺がいるんだ」

 

レオはそう捨て台詞を残してノワールの整備に戻った

 

「確かに、ついこの間まで学生だった君らに銃を持ったことがあった方が問題だな」

 

「ウッ...」

 

「ねぇねぇ!俺もこれやっていい!?」

 

「こら、ゲーム機じゃないんだぞ?」

 

さっきレオが言っていたことを理解したのかしてないのか、平気な感じでトールがシミュレーションを体験しようと張り切るがノイマンに注意される

 

「はっ!わかっております!訓練のつもりで真剣に取り組ませていただきます!」

 

「言葉だけはいっちょ前だなまったく...」

 

トールはただやってみたいだけなのだろう。口ではそれっぽいことを言うが目が新しいゲーム機を与えられた子供のそれだった

 

 

 

 

 

 

 

 

レジスタンスとアークエンジェルは共に行動を開始した。まずは戦場となる場所への移動だ

 

「はぁ...」

 

「ん?なんだ遅いなぁ。早く食えよ。ほらこれも」

 

「えっ、ちょっ」

 

「食べておくんだキラ。じゃないとあとで力出ないぞ?」

 

「そうだそうだ。ん~!やっぱ現地調達のもんは美味いね~」

 

食欲のなさそうなキラに対して作られたケバブを口いっぱいに頬張るムウ

 

「少佐。まだ食べるんですね」

 

「そりゃお前、これから戦いに出るんだ。食わんとやってられんでしょうが。ほら、ソースはヨーグルトのが美味いぞ」

 

「あ...」

 

「ん?」

 

「いえ。虎もそう言ってたなって」

 

「ん?」

 

「おいキラ」

 

「あっ!」

 

キラはつい口走ってしまったことにすぐ気づくも遅かった

 

「虎って砂漠の虎か?」

 

「は、はい...」

 

「会ったのか。どこで?」

 

「街に出たときに」

 

「そうか。そういうことは報告しなきゃダメだぞ?」

 

「すみません」

 

「次からは気を付けるように。お前もな?」

 

「はい」

 

重大な報告をしていなかったキラとレオに対して軽く説教をするムウ

 

「そうか会っちまったのか」

 

「やっぱりマズかったですよね...」

 

「まぁそれもあるんだが、戦いづらいだろ?顔を知ってるやつとなんて」

 

「あっ...」

 

キラは既によく知った存在と何度も剣を交えている。それを今指摘されたかのように重く捉えてしまった。すると外からアークエンジェル内にまで聞こえる大きな爆発が起こった

 

「なんだ!?始まったのか!?」

 

爆発を聞いた3人は警報が鳴る前にいつでも出撃が可能なようにするため行動した

 

「そうだよ。1号機にランチャー、2号機にソードだ。なんでって...換装するより俺が乗り換えた方が早いからだ!」

 

ムウは一早く着替え終わりドックに通信を入れて指示を出した。2機あるスカイグラスパーそれぞれにストライカーパックを装填しておくことによって次に出撃するまでの時間短縮になると考えていた

 

「連中には悪いがレジスタンスなんて戦力としても考えられない」

 

「はい」

 

「お前らも踏ん張れよ?まぁレオはともかく最近のキラなら心配ないと思うがね」

 

「俺はともかくってどういう意味ですか」

 

「安心して背中を任せられるってことだよ」

 

「んー。なんか上手く言いくるめられた気がしますが」

 

「あの少佐。バーサーカーってなんですか?知ってます?」

 

「バーサーカー?そりゃ何かの神話に出てくる狂戦士のことじゃないか?」

 

「狂戦士?」

 

「普段は大人しいのに戦いになるとガラッと人格が変わったように強くなるってやつ」

 

「ッ!」

 

キラはバルトフェルドが自分のことをそう喩えていたことをずっと考えていた。そしてムウに言われてなんとなく言いたいことが理解できた

 

「なんだ?それがどうかしたのか?」

 

「いえ...なんでもないです」

 

『フラガ少佐!』

 

「やべっ。じゃあ先に行くぞ」

 

「はい」

 

ムウが更衣室を出るとレオがキラの肩に手を置いた

 

「スポーツ選手でも興奮状態で人格が変わったり、車とかのハンドルを握ると人が変わるやつだっている」

 

「レオくん」

 

「気休めにしかならないが、そういう人間はキラだけじゃないってことだ。気にすることじゃない」

 

それだけ伝えてレオも更衣室を出た。言葉をもらったキラは少しだけ気持ちが軽くなったような気がした

 

『レオ』

 

「どうしたミリアリア。なんだか元気がなさそうだが」

 

『さっきの。私達が銃を持たなくていいって』

 

「なにかおかしかったか?」

 

『ううん。ただ、私達のせいでレオに大変な思いさせてるんじゃないかって...』

 

「なるほどな。それは違うぞミリアリア」

 

『え...』

 

暗い表情で話すミリアリアにその言葉を否定するレオ

 

「確かにミリアリア達を守るために戦ってる。だけど戦う気持ちはみんな一緒。だろ?」

 

『そうだけど...』

 

「俺だけじゃない。キラだけでもない。ミリアリアもフレイも、トールだってサイだってカズイだってみんなそれぞれ戦ってるんだ。自分を守る、大切なものを守るために。そのために自分がやれることをやってるだけなんだ」

 

『それでも、私達に比べたらレオやキラの負担が...』

 

「負担なんてミリアリアが考える必要はない」

 

『でも...』

 

「いいかミリアリア。そもそも男が戦う理由なんてもんは、守るべき女のために戦うんだよ」

 

『...。ふふっ、なにそれ』

 

「笑うなよ。こっちが恥ずかしくなるだろ」

 

自分で言っといて少し恥ずかしくなったレオは画面から顔をそむけた

 

『じゃあ言わなきゃいいのに。でもそっか。うん、私も頑張るね』

 

「頼むよ。実際俺やキラみたいなパイロットはミリアリアやフレイみたいな情報を即座に共有してくれる人がいないと今の何倍も大変なんだ。そう言ったら俺やキラを守ってくれているのはミリアリアやフレイなのかもな」

 

『レオ...』

 

『ノワール!何をしている!』

 

「話し過ぎたな。じゃあ行ってくる」

 

『うん。気を付けて!』

 

ナタルの叱責を受けてムウやキラから遅れてようやくレオも出撃した

 

「えらい観客の多いこって」

 

レオは出撃早々戦闘ヘリの数を確認。ほとんどがアークエンジェルを狙ってるものでちょろちょろとすばしっこいためアークエンジェルからの対空射撃もなかなか当たらないでいる

 

「バクゥよりも狙うの難しいなこれでは」

 

レオはアンカーランチャーを鞭のように振り回しヘリのプロペラ部分をどんどんと破壊していった。しかし中には狙いがずれてヘリそのものを破壊してしまっている

 

『レオ!ヘリの方はフラガ少佐に任せてキラとモビルスーツを!バクゥ5機が接近中!』

 

「了解」

 

早速ミリアリアから通信が入り移動するレオ。向かう先はレジスタンスのバギーを狙うバクゥ

 

「おーっりゃ!!」

 

バクゥを後ろから襲撃。前を行くバクゥを追い抜かすつもりでスラスターをそのままにビームブレイドで4本の足を全て斬り落とす。そしてそのまま反転して背の武装までも撃ち抜いて破壊した

 

「次!!」

 

『6時よりミサイル!その後方に艦影...敵艦です!』

 

『直撃コース!』

 

「ッ!アークエンジェル!」

 

次なるバクゥを追っていたレオはその進行方向、スピードそのままで機体の向きだけ反転。アークエンジェルの背後にビームライフルショーティを連射した。その攻撃でアークエンジェルを後方で潜んでいた敵艦からのミサイル攻撃から防いだ

 

『ありがとレオ!』

 

「お安い御用で!」

 

レオは機体の向きをバクゥを追う体制に戻した

 

「ッ!キラ!そっち来るぞ!」

 

『なにがっ!?』

 

レジスタンスを轢こうとしていたバクゥの上に飛び乗りライフルで破壊したキラにビームが迫った。レオの声によりキラはこれを間一髪回避。しかしその場を何かが通過した

 

『新型...?』

 

「気をつけろキラ!おそらく今までのバクゥとは違うぞ!」

 

『うん!』

 

バクゥを模したようなその機体。しかし明らかにバクゥとは違う。キラもそれは感じ取っていた

 

『これは、隊長機...?ってことは!』

 

高速移動できるバクゥよりもさらに速い。そして地形を最大限に利用してくるためキラは防戦一方になってしまった

 

『レオ!キラが!』

 

「わかってる!」

 

ミリアリアからの通信で聞かなくともキラがピンチなのはわかっているレオ。しかしバクゥ3機がレジスタンスへの攻撃を止め完全にレオを標的にしているためなかなか抜け出せなくなっていた

 

「こうなったら!」

 

レオは周りを囲まれているため飛び上がった。しかし敵はこれを読んでいたのか内2機も同じように飛び上がる

 

「これで終わるはずはないだろっ!」

 

レオは飛んだ瞬間に50mほど先にある岩にアンカーランチャーを発射し固定。即座に伸ばしたアンカーランチャーを縮ませると岩に引っ張られる形でその場を脱出した。すると突撃する目標がいなくなったバクゥ2機は空中で激突した

 

「計算通り!」

 

途中でアンカーランチャーを切り離し機体を反転、地面に落下していくバクゥ2機にビームライフルショーティを連射。1機は狙い通り頭部と武装破壊。しかしもう1機は当たり所が悪く機体が爆発してしまった

 

「クソッ...悪く思うなよ...」

 

『レオ!ストライクのパワー残量大幅減少!もうすぐ危険域!』

 

「おうさ!」

 

レオは残ったバクゥに向かって突撃。敵はそのレオに向かってミサイルで応戦する。しかしレオはこの前のキラのように砂を巻き上げこれをすべて撃破。ただキラとは違いレオはその爆発の中に突っ込んでいった

 

「これでーっ!!」

 

爆発の煙から抜けたレオの目に入ったのはレオから見て左方向に距離を取ろうと移動するバクゥの姿。2連装リニアガンで後ろ足をもぎ取りついでに武装もビームライフルショーティで破壊しておいた

 

「キラは...バルトフェルドさんは...」

 

レオは自分の戦闘が終わりキラ達の戦いの方に目をやると、フェイズシフトも切れストライカーパックも外した状態のストライクと右足も背にあった武装もやられた手負の敵モビルスーツがお互いに突進していく場面だった

 

「クソッ!」

 

レオは急いでその場に向かって移動した。しかしストライクと敵モビルスーツは接触。ストライクは吹き飛ばされたがストライクが振り下ろしたアーマーシュナイダーは敵モビルスーツに突き刺さって

 

「間に合えー!!」

 

レオは両手にビームブレイドを構え片方にはビームを通し、もう片方はその状態のまま片方ずつ沈黙した敵モビルスーツに投げる。そして最後にビームライフルも2丁どちらも投げた

 

ビームを帯びた方のビームブレイドが敵モビルスーツの腹部に突き刺さる。そして後からきたビームを帯びてない方のブレイドが先に突き刺さったビームブレイドの柄の部分に直撃し腹部の一部が完全に切り離される。そして最後に飛んできたビームライフルショーティ2丁が胴体ごと敵モビルスーツを押し出した。その直後にモビルスーツは爆発し大きな爆煙と土煙をあげた

 

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