ガンダムSEED 〜守るための戦い〜 作:てこの原理こそ最強
「ソナーに反応!モビルスーツです!」
「間違いないのか!数は!」
「音紋照合。ザフト軍水中用モビルスーツ、グーン2!それと、不明機1!」
「総員第一戦闘用意!」
海上を進んでいたアークエンジェルにまた敵影が捉えられた。接近するのは主力水中用ザフト軍モビルスーツ<グーン>2機と不明機が1機であると判明した
「続いて魚雷です!数8!」
「離水!浮上!」
「クッ...!」
マリューからの指示に操舵手であるノイマンは急いで艦を浮上させる
「底部イーゲルシュテルン、迎撃開始!バリアント照準、撃てー!」
「少佐、頼みます!」
『オーケーだ!CIC、敵母艦の予測位置は?』
「航跡から割り出した予測データを送ります!」
『了解!』
マリューとムウは事前に敵に潜水母艦がいることを予測しておりムウが母艦を直接叩く計画を実行しようとしている
ムウがすぐ発進というときにドックでは少々困ったことが起きていた。いや、困った女の子が来ていた
「だからなんで機体を遊ばせておくんだよ!」
お分かりの通りその正体はカガリだった。ムウと同じく自分も出撃させろと抗議しに来ていた
「私は乗れるんだ!」
「でもあんたは...」
「アークエンジェルが沈んだらみんな終わりだろ!なのに何もさせないでやられたら化けて出てやるぞ!」
「ウッ...!」
「いい加減駄々こねるのはやめろカガリ」
「ッ!またお前か!」
ここにノワールに搭乗前のレオが来てマードックに言い寄っているカガリを注意する
「言ったはずだ。自分の立場をもっと考えて行動しろと」
「ちゃんと考えたさ!乗れるやつがいて戦力を増やさない理由がどこにあるんだ!」
「お前は軍人じゃない。これでなにかあってみろ。責任を取らされるのは艦長達なんだぞ」
「ッ!」
自分自身で責任を取るわけではなく他の人が被ることに少し退くカガリ
「いいじゃねぇか少尉。乗せてやれよ」
「ちょっと少佐」
「ただしなお嬢ちゃん。これは遊びじゃないんだ。言い出した以上は、わかってるんだろうな?」
「カガリだ!わかっているさそんなこと!」
「はぁ...」
カガリの無謀な自信もムウのお気楽さもみんな勝手すぎてレオは頭を抱えた。そしてそのままレオの忠告空しくカガリはムウと共に母艦撃破に出撃した。そしてキラはソードストライカーを装備して海に降り今回ディンがまだ確認できていないためレオは空中にてアークエンジェルの守りに徹した
「まったく、とんだじゃじゃ馬娘だな...親の顔が見てみたい。あ、それは知ってるんだった」
レオは愚痴をこぼしつつも海面を警戒。グーンが頭を出すのを浮遊しながら待っている
「チッ!こうもミサイルばかりじゃ!」
敵もこちらを警戒しているのかなかなか顔を出さない。飛んでくるのはアークエンジェルや自分に向かってくるミサイルばかり。さらにはそれを囮とするように頭を出すため迎撃と同じタイミングでレオはなかなか敵本体を捉えられないでいた
『レオ!こっちで敵の浮上タイミング教える!』
「それは助かる。頼むミリアリア!」
『うん!10時と2時の方向!3...2...1っ!』
「ドンピシャッ!!」
ミリアリアによるカウントびったびたでグーンが2機共浮上してきた。だいたいの浮上ポイントも伝えられたので撃破するのは容易だった
「ナイスだミリアリア」
『役に立てたようでよかった』
「キラと少佐の方はどうなってる?」
『キラは敵と交戦中。苦戦してるみたい...』
「だろうな...少佐は?」
『少佐は...入電。敵母艦の撃破に成功。しかしディン1機と交戦中!』
「向こうも心配だが...先にキラか。ミリアリア、海中のデータくれ」
『了解!』
レオはミリアリアから海中の地形情報をもらい目を凝らす
「うし。キラ聞こえるか?」
『レオくん!?』
「さっさとそいつ倒すぞ。漁業の時間だ」
『どういうこと?』
「7時の方向に岩場がある。そこに誘導しろ」
『わ、わかった!』
キラはレオの言う通り敵を正面に見ながら7時の方向へ移動。するとレオの言う通りごつごつした岩がそこら中に見えた
「そーらっ!」
敵も岩場に入ったことを確認したレオは2連装リニアガンを敵の周囲に撃ち土煙を上げさせた
「今だキラ!」
『おぉー!!』
レオの上げた土煙からキラが敵に向かってソードで一突き。撃破に成功した
「お疲れキラ、詳細を聞かずとも実行できるのはお見事」
『はぁ...はぁ...いや、レオくんのおかげだよ』
「そんなことはない。とりあえず戻ろう。これ以上の追撃はやめてほしいものだな」
『そだね』
レオとキラは自分達の戦闘を終えアークエンジェルに帰還した。そしてその後ムウも帰還。しかしそこに、
アークエンジェルはスカイグラスパー2号機及び搭乗者のカガリの反応を完全に失った。そのため生きているのかどうかさえ確認することができなかった
「ロストしたのはどこなの?無線は?」
「ダメです!応答ありません!」
「レーダーも攪乱がひどく、戦闘空域を離脱したところまでしか...」
無線もダメ。痕跡さへ追えない状況だった
「MIAと認定されますか?」
「ッ!」
「なんですそれ?」
「"ミッシング・イン・アクション"、戦闘中行方不明。確認してはいないけど多分戦死でしょってことだな...」
「そんな!」
「それは早計ねバジルール中尉。撃破されたとは限らないのよ?日没までの時間は?」
「えっと...1時間です」
「まさか捜索されるおつもりで!?ここはザフトの勢力圏で!」
「上空からはもうツラいわね...簡単な整備と補給が済んだらストライクとのノワールに海中から探してもらうしかないわ」
「艦長!」
「報告にでも記録にでも好きに書いてもらって結構よ!」
「ッ!?」
「放っておけないわ...あの子...」
マリューはナタルの反対を跳ね除けカガリ捜索の命令を下した。ナタルはこれに最後まで反対したが他でもない艦長の命令。従わないわけにはいかない。帰還したキラとレオにもすぐにその命令が伝えられた
『救難信号も出ているはずだがこう電波状態が悪くては使い物にならん。予測されているエリアには小さな無人島も多い。もしかしたらそっちに落ちているか流れ着いているかもしれない』
『わかりました』
「了解...」
すぐさま捜索に出ようとしているキラに対してレオは渋々なようすだった
『疲れているところ申し訳ないわ』
『僕は大丈夫です。行けます』
「俺も大丈夫です...」
『そう。頼むわね。なんの手がかりも掴めなくても2時間経ったら一度帰投して。その時はまた別の策を考えます』
『大丈夫です』
「艦長。今は俺が先に捜索に出ます」
『え?』
レオは命令自体にもそうだが2人同時にというところに不満を感じていた。そのため捜索に出る前にマリューへ打診する
『レオくん。僕は本当に大丈夫だから』
「大丈夫でも休まなきゃならんだろ。それに、もし今敵の攻撃を受けたらスカイグラスパーは出られない。守れるやつがいなくなるのはマズいんだ」
『なら!』
「いいから休め。フレイ聞こえるか?」
レオはいつになく聞き分けの悪いキラをどうにかするべくフレイへ向けて通信を繋げた
『なに?』
「キラのこと頼む。少しでもいいから寝させてやってくれ」
『わかったわよ』
「いいですか艦長?」
『わかりました』
『艦長!』
レオの打診を受けたマリューに対してキラは抗議しようとするが聞き入れられない
『ただし絶対に2時間で帰ってきなさい。あなたにも休んでもらわなきゃ困るのよ?シュヴァルグラン少尉?』
「心得てますよ」
レオは艦長、そしてキラとの通信を切り補給の完了を待った
「クソがっ!!」
レオは近年稀にみるほどの大激怒をしていた。その原因は言わずもがなカガリである
『レオ...?』
「ッ!あー、ミリアリアとは繋がってたか。悪い、どうした?」
『ごめんね...その、大丈夫...?』
「大丈夫。少し気が立ってるだけだ」
『そう...?』
(いくらこの事態が起こることを知ってたって落ちたのがどの島なのかなんてわかりっこない...)
「叫んだら少し落ち着いた。ともかく行ってくるよ」
『うん。時間はちゃんと守るようにね!』
「わかってますよお母様」
『だ、誰がお母様よ!!』
軽い冗談を言いつつレオは今回いつも装備しているノワールパックを装備せずに海へとダイブした
レオとキラが交代で捜索を続けたが結局見つからず夜が明けてしまった
朝日が昇りムウも加わったことで捜索範囲が大幅に拡大。また無線やレーダーも回復しとある小さな島で救難信号が出ていることをキャッチ。一番近くにいたキラがその島に急行、無事カガリの保護をすることができた
パァン!!
被弾していたスカイグラスパーと共にカガリを乗せたストライクが戻ってきて早々ドックに張り手音が鳴り響いた
「...」
「さすがのお前でもはたかれた理由はわかるな?」
その音の正体、レオが降りてきたカガリの頬をはたいた音だっただ
「お前の勝手な行動でどれだけの迷惑がかかったかよく考えろ」
「...」
「艦長もフラガ少佐も優しい。お前の無事を喜んでくれるだろう。だが今回のお前の行動自体を叱る必要がある。本来ならお目付け役の仕事だが」
レオはたった今駆けつけてきたカガリと行動を共にしている男を睨みつける
「ただでさえお前は勝手な行動を許されない立場だろ」
「ッ!?」
「なぜそれに歯向かってるのかは知らんが、ここにいる以上アークエンジェルの一員なんだ。後先考えない、他の人の迷惑を考えない行動は慎め」
「すまなかった...」
さすがのカガリも今回ばかりは正直に謝罪した
「フラガ少佐」
「はいよ」
「そもそも彼女を出撃させるよう焚き付けたのはあなたです。その辺はしっかり艦長に絞られてください」
「わかってるさ」
ムウは今回の責任の一端は自分にあると自覚しているのか、いつものヘラヘラした感じではなく真剣にレオからの言葉を受け止めた。そしてすべきことを終えたレオはドックから出ると強烈な眩暈にさらされ壁にもたれかかった
「レオ!?」
そこにたまたま通りかかったサイがすぐさまレオに近寄りふらつく体を支えた
「サイか...すまないが肩を貸してほしい...猛烈に眠い...」
「だろうな。お疲れさん」
「まったくだ...次の補給リストに首輪とリード加えといてくれ...」
「何に使う気だよ。まぁわからなくもないが」
サイはいくらコーディネイターでも疲れるし、それによってふらつくこともある。根本的には同じなのだと今のレオを見てそう思った