ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第二十三話

 

 

ニコル・アマルフィは父親をプラント最高評議会に属する国防委員会・武官に持つコーディネイター。もともとは戦争は好まないない心優しい少女なのだが血のバレンタインの悲劇を目の当たりにし自分も何かできることがないかと軍に志願。ピアノをこよなく愛す優しい子なだけに両親からは反対されたのだが祖国と同胞を守りたい一心で反対を押し切り入隊した過去を持つ

 

ザフト軍でもエリートの称号でもある赤服を勝ち取りクルーゼ隊に所属。ヘリオポリスで地球軍が秘密裏に製造していた新型モビルスーツの強奪作戦に参加。それより奪取した機体の1機、ブリッツのパイロットを任された

 

「うっ...んぅ...」

 

そんなニコルはベッドの上で目を覚ました。しかしそこはいつも寝食を送っていた場所ではないことは一瞬で理解できた

 

「目が覚めましたか」

 

ニコルが目を覚ましたとこにちょうどレオが入室。ニコルは彼がどこの誰だかわからないものの、あの戦闘の後に生きている自分が知らない場所で寝ているということから敵艦であるアークエンジェルで捕虜となったことを察した

 

「ここは地球軍所属艦アークエンジェルの中です。あなたは捕虜となりました」

 

「...」

 

レオの話からニコルが予想していたことが事実だと知る。しかしニコルは特段慌てることなくレオを凝視する

 

「さすがは正規の軍人。余計なことは話さずですか」

 

「...」

 

「なんで君が...」

 

「え...」

 

『総員第一戦闘配備!』

 

レオの悔しそうな顔を見てニコルは少し困惑した。すると警報が鳴りレオは持っていた飲み物を机に置いて部屋を出て行ってしまった

 

「あの人。どういう...」

 

ニコルはレオの言葉と心理が理解できなかった。理由としてはいくつかあるが捕虜だというのに特に拘束されている気配がなく入室してきたレオも単独で武器なども持っていなかったからである。さらにレオの表情は敵である自分に向けるような顔ではなかったからというのもニコルは感じていた

 

 

 

 

 

 

 

『フラガ少佐1号機、発進どうそ!次いてノワール発進!』

 

『ストライクは後部デッキへ!』

 

ムウとレオが発進しキラはフレイの指示通り後部デッキに降りた

 

『いい加減落としてやる!』

 

迫り来るのはイージス、バスター、デュエルの3機。ムウが先にアグニを発射すると敵は散開。バスターが収束火線ライフルを前に、ガンランチャーを後に連結した高威力・精密狙撃モードでアークエンジェルを狙った

 

「ッ!デュエル!」

 

ストライクを狙うと思っていたデュエルが真っ先にレオの元に接近した

 

「チッ!」

 

レオの視界にバスターがなおもアークエンジェルを狙っている光景が入った。ムウが攻撃を仕掛けるも失敗。ビームライフルでアークエンジェルの艦体を攻撃している

 

「こんのっ!」

 

接近してくるデュエルとバスターにビームライフルを片方ずつ連射する。バスターの攻撃を止めることはできたが、2機を狙っていたため照準が甘くなったレオの攻撃を軽々躱したデュエルがビームサーベルを構えてさらに迫ってきた

 

「敵討ちってなった途端これかまったく!少佐!」

 

『クソッ!』

 

デュエルが振るうビームサーベルをバク宙の要領で回避したレオはその向きのままムウに迫るバスターからのミサイルを全て撃ち抜いた

 

『レオ!イージス接近!』

 

「クッ!」

 

ミリアリアからの入電。アークエンジェルにイージスが接近している。キラが迎撃するもイーゲルシュテルンを2台破壊されてしまう

 

「やめろー!!」

 

デュエルに2連装レールガンを放ち距離を作らせるとイージスの方へ向かうレオ。しかしデュエルも黙って逃すわけもなく背後から斬りつけようとビームサーベルを振り上げた

 

「やられてたまるかっ!!」

 

レオは操縦桿をいっぱいに入れ後ろから来るデュエルの頭上を越えるように一回転。そのままビームブレイドでデュエルの左足ごとグゥルを斬り落とした

 

『イージスは...』

 

「上だキラ!」

 

レオが後ろからデュエルにやられると思ったキラはイージスから目を離してしまった。そのイージスがアークエンジェル直上から降下。モビルアーマー形態に変形して大口径エネルギービーム砲を放つ

 

『きゃー!!』

 

「ミリアリア!」

 

その攻撃でアークエンジェルの左舷バリアントが撃破され爆発の影響でアークエンジェル艦体にもダメージが入る

 

『プラズマタンブラー損傷!レビテーターダウン!』

 

『揚力が維持できません!』

 

『姿勢制御を優先して!』

 

制御能力が落ちているアークエンジェルにバスターがビームライフルを構えた。攻撃を阻止しようとムウとキラが動く

 

「待てキラ!来てるぞ!」

 

『ッ!?』

 

レオの言葉と同時に警報が鳴り右方向からイージスが突っ込んできて一緒に島に落ちた

 

「キラ!」

 

『姿勢制御不能!』

 

『着底する!総員衝撃に備えて!』

 

「アークエンジェル!」

 

遂に姿勢制御が効かなくなったアークエンジェルも島に緊急着底。そこをまたバスターが狙っている

 

『やらせるか!』

 

ムウが攻撃させまいと必死にバスターに接近する。しかしバスターはムウの攻撃を読んでいたのかこの攻撃を回避しアークエンジェルにむけていたライフル口を1号機に向け発砲した

 

『まさか!?おわっ!!』

 

懸命に回避行動を取ろうとしたムウだったが全力で接近していたため完全には避けられず被弾を許してしまう

 

『クソッ!最後に一発だけでもっ!』

 

ムウは最後の足掻きでバスターに向けてミサイルを発射。見事それはグゥルを直撃。しかしムウ自身は海へと着水し行動不能となった

 

「あなたの死は無駄にしません!少佐!」

 

『死んでねぇよ!!』

 

レオは空中で身動きが取れなくなったバスターに2連装レールガンを放つ。それがバスターのスラスターとライフルジョイント部分を直撃。バスターはその衝撃で島へ落下し地面にめり込み動かなくなった

 

「次っ!」

 

バスターをやったレオは次なる目標を定めてスラスターをいっぱいに踏み込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天候がどんどん悪くなり次第に雨が降り始め稲光まで見えるほどになってしまう最悪な環境の中、島に落ちたキラはアスランとビームサーベルとシールドを駆使して近接戦闘を行なっていた。ただアスランは右手だけでなく両足からもビームサーベルを展開、その手数の多さからキラは防戦一方になっていた

 

『キラ!』

 

『トール!?』

 

そこへいつの間にか出撃していたスカイグラスパー2号機、トールがやってきた。2人の戦闘に介入しようと接近する

 

『こんのぉ!!』

 

『ダメだトール!来るな!!』

 

イージスに向かってミサイルを撃つトール。それに気づいたアスランは持っていたシールドをスカイグラスパーに向かって投げる

 

『はっ...』

 

そのシールドはまっすぐスカイグラスパーのコックピットに向かって飛んだ。トールがやられる。その時、キラの中で何かが弾けた...

 

アスランが投げたシールドに向かってアーマーシュナイダーを投げる。しかしそれはシールドの回転軸を変える程度にしか掠らずシールドはなおもスカイグラスパーに迫った。トールは迫り来るシールドに何もできずただ目をぎゅっと瞑った。死んだ。そう確信した

 

しかし一向に衝撃が来なかった。目を開けると自分はまだ生きており目の前に山が迫っていた

 

「操縦桿上げろトール!」

 

『え...うわぁぁ!!!』

 

スカイグラスパーに当たる瞬間にバスターを戦闘不能にさせて駆けつけたレオがシールドを撃ち抜いたためトールは死から免れた。しかし目を瞑ったため操縦がおろそかとなったトールにレオが声をかけるもトールは間に合わず山に突っ込むような形で進んでいく

 

「うおぉぉぉ!!!」

 

『ッ!レオ!?』

 

気づくとノワールがスカイグラスパーの下に潜り込んでおり速度を合わせ強制的に上へと上げさせた。そのおかげでトールが山との衝突を回避できたものの逆にレオが背中から山に突っ込んだ

 

『レオ、くん...』

 

「グッ...!気を抜くなキラ!」

 

『え...グゥッ!』

 

やってきたレオのおかげでトールが助かったことに一瞬気が抜けたキラはアスランからの攻撃に回避が一瞬遅れ左腕をやられた。しかしすぐさまビームサーベルを斬りあげるようにしてイージスの左腕をもぎ取った

 

『俺が、お前を討つ!!!』

 

そしてキラに続いて敵対しているアスランの中でも、何かが弾けた...

 

アスランが右腕に展開したビームサーベルでストライクの右足を切断。キラもイージスの頭部を突き刺す。まだ負けじとアスランはビームサーベルを展開した左足を蹴り上げストライクのコックピットを斬りつけたためキラの姿が見えるようになってしまった

 

『アスラァァァァン!!!』

 

『キラァァァァ!!!』

 

アスランは機体をモビルアーマー形態にさせ、ストライクに絡みつき拘束。そのまま大口径エネルギービーム砲を放とうとしたがここまで来てエネルギー切れとなってしまった

 

『ッ!?』

 

フェイズシフトが解除されたイージスから脱出しようと試みるキラ。パワーが違うため脱出も時間の問題とアスランは瞬時に悟った

 

『チッ!えぇい!』

 

しかしアスランは何かボタンを押しイージスから脱出。画面には何かのカウントダウンが表示される

 

『これ...まさか!』

 

キラはこの光景を一度見たことがあった。ヘリオポリスで動かなくなったジンがどうなったかを思い出す

 

「キラ!」

 

『レオくん!来ちゃダメだ!!』

 

状況を理解した、いや、理解してしまったキラの元へノワールパックを外したノワールが接近。なんとかイージスを振り解こうといかんせん時間がなかった

 

「クッ...これは、ダメみたいだな...」

 

『ならっ!』

 

「1人にはしない」

 

レオはコックピットが露わになっているところをノワールの両手で覆う。そしてアークエンジェルに通信を繋いだ

 

「ミリアリア」

 

『レオ!どうし...!』

 

 

 

 

 

「達者でな」

 

 

 

 

 

 

『え...』

 

通信はそこで終わりミリアリアが見ていた画面には砂嵐と共にレオの顔が見れなくなった

 

そして同時刻、島にて大爆発が起こった

 

また、ミリアリアとフレイの画面に"SIGNAL LOST"の文字が赤く表示された...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発音は距離の離れているアークエンジェルにまで届いた。そしてキラとレオと通信していたはずの画面に出ている"SIGNAL LOST"の文字。一瞬硬直したミリアリアとフレイの顔に徐々に焦りの色が見え始めた

 

「キラ...ねぇキラ...」

 

「レオ...?応答してレオ!」

 

『今の爆発音は!?』

 

状況確認をしているブリッジにドックからムウの通信が入る。さっきの爆発音がドックにも届いたようだった

 

「爆発はわかりません...しかし現在ストライク、ノワール共に全ての交信が途絶しています...」

 

「キラ!キラ!!」

 

「レオ!返事してレオ!」

 

懸命に2人を呼びかけるフレイとミリアリア。その交信をナタルが切った

 

「もうやめろ。艦長、艦の被害状況は。ここで呆けていても何もなりません」

 

「...。マードック曹長!」

 

『少佐と坊主達のおかげでそう酷くはねぇですよ!ホースブランケットの応急処置さえ終わっちまえば飛べまさ!』

 

マードックからの被害報告を聞いたマリューはレオとキラのことが気になりつつもすぐに指示を出し応急処置と投降したバスターのパイロット並びに機体の回収を急がせた

 

「レ、レーダーに反応!」

 

「ディンです!数3!」

 

ここへきて最悪の知らせだった。状況整理もままならないまま次の敵が接近中。マリューにさらなる焦りを生んだ

 

「げ、迎撃用意!」

 

「無茶です!現在半数以上の火器が使用不能です!このままで交戦となればディン相手に10分と持ちませんよ!」

 

「レオ...レオ!ディンが!」

 

「いい加減にしろ!ヤマト少尉、シュヴァルグラン少尉共にMIAだ!わかるだろ...」

 

「ッ!」

 

以前カガリが遭難した時に初めて聞いた用語。この短期間で忘れるミリアリアではなかった

 

「そんな...」

 

「受け止めろ。受け止めなけばれ次に死ぬのは自分達だぞ!」

 

「「ッ!」」

 

「ディン接近!会敵まで10分!」

 

「ミリィ!!フレイ!!」

 

「パワー戻りました!」

 

ナタルの言葉を受け止めず涙を流すミリアリアとフレイの2人は共にCICから走り去る

 

「離床!ストライクとノワールの最後の確認地点はわかる...?」

 

「7時方向の小島です!」

 

「この状況では戻れません!」

 

「クッ...!少佐の1号機は!」

 

『ダメだ!まだ出られん!』

 

「艦長!離脱しなければやられます!」

 

「でも!キラもレオも脱出してたら!」

 

ミリアリアとフレイを追わずその場に残ったサイが具申する

 

「アラスカとのコンタクトは!」

 

「応答ありません!」

 

「艦長!クルー全員に死ねと言うのですか!?」

 

「打電を続けて。それと、島の位置と救援信号をオーブへ...」

 

「オーブへ...」

 

「人命救助よ!あの国なら受けてくれるわ!」

 

「しかしあの国は!」

 

「責任は私が取ります!」

 

「...」

 

「ディン接近!」

 

「機関最大!この戦場からの離脱を最優先とする!」

 

できることなら捜索に出たいマリューは現クルーの命を最優先とし離脱を図るため命令を下す。アークエンジェルは離床しスラスターを全開に入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「離脱するのか艦長...ん?」

 

ドックで1号機の修理を待っているムウはフレイとミリアリアを見つけた。向かう先はさっきまでストライクとノワールが立っていた場所

 

「お嬢ちゃん達...」

 

「キラは...キラはどこにいるんですか...?」

 

「それは...」

 

ストライクのコックピットあたりの高さを見上げながら床にへたり込むフレイの問いかけにムウは言葉が出なかった

 

「ミリィ!」

 

「トール...」

 

同じようにノワールがいた空虚な空間を見上げるミリアリアへ帰還したトールが駆け寄る

 

「トール...レオが...嘘よね...一緒に帰って来てるんでしょ...?」

 

「...」

 

トールもムウ同様今のミリアリアにかける言葉が思いつかなかった

 

「嘘よ...レオが、MIAだなんて...嘘だと言ってよ!!」

 

「あ...あぁぁぁぁ!!!」

 

ミリアリアはトールの服を掴み、フレイは顔を覆い大声で泣いた。ドック全体に響き渡るほどの大きさで

 

「くそったれがぁぁぁぁ!!!」

 

そんな彼女らに声もかけてやれないムウ。悔しくてたまらない。そんな思いで壁を思いっきり殴りつけた

 

斯くしてアークエンジェルは発進した。本来乗っているはずの2人の姿が見えないまま...

 

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