ガンダムSEED 〜守るための戦い〜 作:てこの原理こそ最強
数多くのご感想をいただきましてありがとうございます。
その中で1点ご指摘いただきました。今回採用した主人公の新しい機体のモデルが本来であれば空中戦ができないということで、作者である私のリサーチ不足で申し訳ございませんがこの作品においては滞空性能を保有しているものとしてご覧いただければと思います。
大変申し訳ございませんでした。
既に地球軍の敵前逃亡艦となったアークエンジェルは本来向かうべき場所のパナマではなく進路を大幅に変更してオーブに入港していた。オーブの獅子、ウズミ・ナラ・アスハはこの入港を快諾。キラの生存を既に聞いていたカガリはアークエンジェル入港後すぐにキラと再会。涙を流して再会を喜んだ
そんなアークエンジェルに1つの悲報が告げられた。"パナマ陥落"。戦力的には大幅に優勢の地球軍は新たにザフトに対抗すべく新型モビルスーツを製造しておりパナマ防衛にてその新型モビルスーツ部隊が披露されたのだがザフト軍の戦略兵器<グングニル>の餌食となり部隊は全滅。アラスカで屈辱を味わされたザフト軍に敗北してしまったのだ。パナマが落とされたことにより地球軍は
言い分はこうだ。同じ地球を祖としているにもかかわらずその責務を放棄して自国の安寧のみを考慮しているオーブは地球軍からの協力要請を拒否することをやめ自分達の敵を共に撃て。その協力をしろ。もしそうしないのならオーブをザフト支援国家とし武力をもって対峙する。つまり自分達に協力しないなら敵と見做し攻撃する、ということだった
しかしウズミ・ナラ・アスハはあくまで中立国とする文章を送りザフト、もちろん地球軍の支援をしていないことを主張し続けている。しかしその代償となるのか地球軍との対立は避けられなかった
「オーブ軍、戦闘を開始しました!」
「アークエンジェル、発進します!」
アークエンジェルに乗る者、マリューを含めた全クルーはここで決断の時を迎えていた。敵対するのは同じ地球軍。しかしアラスカの件もあり今は逃亡艦となったアークエンジェル。この戦闘、自分達を見殺しにしようとした軍につくのか助けてくれた軍につくのか。今アークエンジェルに残っている者達は後者を選んだ者達だった
「ゴットフリート照準!撃てー!」
地球軍艦隊からのミサイル攻撃をオーブ艦隊と共に迎撃するアークエンジェル。しかし全てを撃ち落とすことはできず港への攻撃を許してしまった
『キラ・ヤマト。フリーダム、行きます!』
「続いてストライク発進、どうぞ!」
『ムウ・ラ・フラガ。ストライク、出撃るぞ!』
ムウがストライクで発進。このストライクはあの島、キラとアスランが戦った島に残っていたストライクを回収しリペアしたもの。なんと今ではエール、ランチャー、ソード全てのストライカーを一度に装備できるようになり、さらには今までモビルアーマー乗りとして名を馳せたムウがキラの指導の下訓練しストライクの新たなパイロットとなった
「ッ!敵モビルスーツ...いえ、モビルアーマー接近!」
「なんですって!?回避!」
そのモビルスーツ部隊がオーブへ侵攻する中、一際目立つ2機のモビルスーツがアークエンジェルへ接近。1機はモビルアーマーに変形しておりその機体の上にもう1機が乗っている
上に乗っているモビルスーツからの砲撃をアークエンジェルはなんとか回避。しかしその後方にいたオーブ軍艦に当たり轟沈してしまった
「クッ!」
アークエンジェルからの攻撃を回避しながら接近するモビルアーマーがモビルスーツに変形しブリッジを狙うがフリーダムが阻止し海へ蹴り落とした
「ッ!?」
すると海からまた違うモビルスーツが出現。近くにいたオーブ艦に飛び移り持っていた大鎌で真っ二つにしてしまった
「やめろーっ!!」
新たに出現したモビルスーツを止めようとキラは接近を試みる。しかし先ほど突き落としたモビルスーツが海から飛び出てフリーダムの背後から左手にあるハンマーを投げ飛ばす。キラは少し焦るものの慌てることなく回避する。そしてそのまま目の前にいるモビルスーツにプラズマ収束ビーム砲<バラエーナ>を放つ。しかしなんとこの攻撃が敵モビルスーツが展開したシールドのようなものに当たる前にビーム自体が曲がってしまった
「ビームが曲がるっ!?」
今までにない防御の仕方に困惑するキラ。2機は目標を完全にキラに変え連携して攻撃してきた。フリーダムの攻撃を大鎌を持ったモビルスーツが例の装備で防ぎ変形できるモビルスーツがその背後から攻撃してくる。なかなかに厄介だった
「クソッ!ッ!」
するとこんどは地上からまだ別のモビルスーツから攻撃される。これもまた見たことないモビルスーツ。キラは3機からの波状攻撃に苛まれてしまった
戦場となってしまったオーブ上空。奪取されたフリーダムの奪還もしくは破壊という命令を現プラント最高評議会議長である父から受けたアスラン・ザラがフリーダムと同じ新鋭機、ZGMF-X09A ジャスティスに乗ってオーブ上空を浮遊していた
「フリーダム...キラ...」
命令を受けたアスランではあったがラクスの言葉を聞いて心の中は整理のつかないままでいた。そしてカガリの言葉も頭にはよぎっていた。殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで本当に平和になるのか。自分が信じて戦うものはなにか。まだはっきりとした答えは出ていない
「俺は...俺は!」
ラクスの問いにはまだ答えられない。しかしこれだけは言える。キラを死なせたくはない、と...アスランは無意識に機体を急降下させた
そしてアスランがいた場所からさらに上空。大気圏を飛び越えた宇宙空間より1つの機影が単身大気圏へと突入した
地上からの攻撃を避けた先で大鎌の一振りをシールドで受けたキラはその勢いでバランスを崩してしまった。そんなフリーダムにモビルアーマーに変形できる機体からインパルス砲が放たれた
「クッ...!ッ!?」
被弾してしまう。さすがのキラでもそう思ってしまった瞬間、その攻撃は上空から降りてきた機体によって防がれた
『こちらザフト軍特務隊...アスラン・ザラだ』
「ッ!?」
『聞こえるかフリーダム。キラ・ヤマトだな...?』
「アス、ラン...」
新たに正体不明の機体が現れ、それを操縦しているのがアスランだと知って動揺するキラだったが、そんなこと敵モビルスーツ2機は待ってくれるはずもなく攻撃をしながら突っ込んできた
「どういうつもりだ!ザフトがこの戦闘に介入するのか!」
『本国からはこの戦闘に関してなんの命令も受けていない!』
「それなら!」
「この介入は...俺個人の意思だ!」
攻撃を受けながらも言葉を掛け合う2人。キラは戸惑うもののアスランが入ってくれたおかげで負担が軽くなるのは事実。真の意図はわからないが一旦協力体制を取った
敵はそれぞれの機体の特徴を生かして戦ってくる。しかしそれ以上にキラとアスランの連携がまるで長年パートナーとして戦いってきたかと思い違えるくらい、そしてつい先日まで敵同士で戦っていたとは思えないほど息ぴったりだった
「アスラン!」
「上!」
太陽を背に大鎌で斬りかかってくるモビルスーツを躱しキラがビームライフルを放つ。しかし案の定例の武装で曲がってしまう。だが攻撃はこれでは終わらずアスランが航宙・航空用ユニットである<ファトゥム-00>を突撃させそれを目隠しにしキラが接近。至近距離から電磁レールガン砲<クスィフィアス>をくらわした
キラとアスランの共闘が始まったタイミングでアークエンジェルに迫る新しい機影があった
「ん?上空より接近する熱源あり!」
「ッ!」
アークエンジェルで新たにオペレーターとなったサイがオーブ上空より接近するものがあると察知した
「敵!?機種特定急いで!」
「熱紋照合...ありません!」
「また新型機...」
マリューはただでさえキラが戦っている地球軍の新型3機に加えて突然介入してきた思いきやキラと共に戦っている謎のモビルスーツのせいで既に情報過多だった。しかしここにきてまたデーターベースにない機体の登場。敵なのか味方なのかもわからない。マリューの顔はどんどん険しくなった
「ッ!正体不明機より通信です!」
「なんですって!?」
『アークエンジェル、聞こえますか?』
「え...」
「これは...まさか...」
通信が繋がり不明機のパイロットの声が聞こえる。その声にブリッジにいる何人かが反応した
『アークエンジェル』
その機体は速度を落としアークエンジェルの横に位置付けた。そしてブリッジの画面にそのパイロットの顔が映し出された
『こちら、レオ・シュヴァルグラン』
「ッ!」
「レオだって!?」
「だよな!お前も聞こえたよな!?」
その名を聞いてブリッジ中に歓喜の声が上がる。キラから生きていると話は聞いていたが自分の目で、耳で確かめるとより一層実感が湧いた。彼は本当に生きているのだと
「レオ...」
『久しぶりだな、ミリアリア』
「本当にレオくん、なの...?」
『はいラミアス艦長。話はまた後ほど。とりあえず地球軍を退かせます』
「...。そうね。島の方に結構な部隊が上陸しているみたい」
『了解しました、すぐ迎撃にあたります。俺のことをオーブ軍へ共有だけお願いします』
「わかったわ。アーガイル二等兵!」
「了解です!」
レオはスラスターに火を入れ島に向かって急加速した
オーブ上空で戦闘が繰り広げられている中、島の山道を未だに避難している家族がいた
「マユ!急いで!」
「はっ...はっ...あー!マユの携帯!」
「そんなのいいから!」
「いやー!」
「取ってくる!」
山道を駆けている最中母親からマユと呼ばれた女の子が自分の携帯を落としてしまった。落としてしまった挙句崖からすべち落ちてしまった携帯を取りに行きたいマユ。しかし母親はそんなものより避難を急ぎたかったがマユは駄々をこねる。そんな妹を見てお兄ちゃんである少年は携帯を取りに崖を下った
「うわっ!」
「きゃー!」
家族の前に連合の新型の内の1機、射撃武装が多く搭載されている機体が出現。上空で戦闘しているフリーダムに向かって射撃を繰り返す
「シン!早く!」
父親が携帯を取りに行った少年、シンを急いで呼び戻す。しかしフリーダムがライフルをその連合のモビルスーツに向けた
「ッ!!」
フリーダムはビームを射出する。しかし当然連合のモビルスーツは回避行動を取った。そうなれば必然的にその背後にいたこの家族にビームは向かっていく
「あーっ!!!」
「マユ!!!」
父親は目を見開き、母親は決死の想いで自分の娘を抱きしめる。回避不可能...絶対に当たる...絶対に免れない未来...は、やってこなった
「...?」
「な、に...」
家族にはビームどころか日の光さえ当たらなくなった。それもそのはず。目の前にはシールドを突き出して家族を守るように空中で静止しているモビルスーツ。その機体が影となったため周りが暗くなったのだ
『そこのご家族。怪我はありませんか?』
「あ、あぁ...」
『よかった。こんな戦火に巻き込んで申し訳ありません。すぐに避難を。そこを下ればすぐです』
「す、すまん!恩に着る!」
「ありがとうございます!」
助けてもらった父親と母親は今できる全力の感謝を伝え子供たちの手を引いて走り出した
「...」
母親に手を引かれる少女マユは走りながら後ろを振り返って今の機体が飛び去るのを見送っていた