ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第二十七話

 

 

キラとアスランが対峙していた3機。先ほどまでは連携らしい動きを見せていたのだが地上から射撃していたモビルスーツがなんと敵味方関係なく撃ち始めたのだった

 

「なっ!」

 

『こいつら味方も平気で!?』

 

敵の突然の仲間割れに一瞬戸惑った2人。しかし冷静に対応していると敵3機は急に動きを止めた

 

「なんだ...」

 

『これは一体...』

 

急な展開にさらに困惑する2人。なにか起こるのかと身構えたがそのまま3機は反転し撤退していった。その後数分としないうちに敵艦隊に信号弾が放たれ敵モビルスーツ群は撤退。戦闘は終了となった

 

「...」

 

『...』

 

撤退を確認したキラとアスランは互いに機体を向ける

 

「援護は感謝する。だがその真意を、改めて確認したい...」

 

『...』

 

キラが問いかけるとジャスティスのコックピットが開かれパイロットスーツ姿のアスランが姿を見せた

 

『俺はその機体、フリーダムの奪還、もしくは破壊という命令を本国から受けている。だが今お前と、その友軍と敵対する意思はない。話がしたい...ただ、お前と...』

 

「アスラン...」

 

日も沈みかける夕暮れ。フリーダムとジャスティス、キラとアスランはゆっくりと島の港に降りた

 

突然現れ介入してきたジャスティスが降りてきたことでこの戦闘指揮を取っていたカガリやキサカ、戦闘に参加していたムウやオーブ軍の兵士。そして捕虜としてずっとアークエンジェルに乗せられておりオーブでその身柄を解かれたディアッカとニコルまでもがその場に集まった。そしてアスランの恰好を見てザフトと認識したオーブ軍は銃を構える

 

「...」

 

「彼は敵じゃない!」

 

キラはその銃を降ろさせ、そして2人はゆっくりと歩み寄る

 

「トリィ!」

 

「やぁ...アスラン...」

 

「キ、ラ...」

 

こうして互いに顔を見せるのはあの戦闘前以来。お互いに何を思い何を感じているのか

 

「お、お前らー!!!」

 

お互いの名前を呼び合う以外に言葉がないままの2人のもとにカガリが駆け寄り2人同時に飛びついた

 

「この、バカヤロー!!!」

 

キラを怒ったり怒られたり、アスランに銃を突きつけたり突きつけられたり、2人それぞれといろいろあったカガリ。その2人の関係を知っているからこそこの再開がたまらなく嬉しいのかもしれない

 

そしてそこへまた1機、キラとさっき通信を取ったアークエンジェルの数人しかわからない機体が降りてきた。またも不明機に対してオーブ軍が身構える

 

「彼も敵ではありません。むしろみなさんもよくご存じだと思います」

 

アスランのときと同じように銃を降ろすよう注意するキラ。そして陸へ着地した機体からヘルメットをしたまま降りてくるパイロット。まだ顔が見えず誰だかはっきりと判断ができない

 

「お久しぶりです。ただいま戻...ぐほっ!!!」

 

ヘルメットを脱ぎ顔を露わにしたレオ。小脇に抱えて挨拶をしようとしたその瞬間、自分の言葉がさえぎられるように横からの横っ腹に強い衝撃に襲われぶっ倒れた

 

「痛つつ...」

 

「うぅぅ...生きてた...!!!」

 

レオに特攻したのはレオが死んだとされ誰よりも悲しんだミリアリアだった

 

「最近よく倒れるね、レオくん」

 

「お前もだっただろうよキラ...」

 

胸の中で泣くミリアリアを支えながら覗き込んでくるキラを見上げるレオ

 

「お前!今までどこで何をしていた!心配かけやがって!」

 

「全部説明する。だからそんな怒るなカガリ」

 

そこへ駆け寄ってきたカガリはレオが生きててせっかく会えたと言うのに心配していたと言いつつも文句垂れる

 

「...」

 

そしてレオに対して何を言っていいかわからないアスランは黙ってその場に立ち尽くしていた

 

「ようアスラン。キラとは話できたのか?」

 

「いや...」

 

「そうか。なら移動しよう。カガリ、ちゃんと指示出ししろ」

 

「わ、わかっている!」

 

カガリはレオに言われてさらに眉間に皺を寄せてキサカと共に撤収の指示を出した

 

「ミリアリア。一旦アークエンジェルに戻ろう」

 

「...」

 

「後で絶対に話をする。だから、な?」

 

「...」

 

「ミリィ」

 

レオから離れて立ち上がるミリアリアをトールが支える

 

「レオ...」

 

「サイ。無事でよかった」

 

「それはこっちのセリフだ、バカヤロー...!」

 

「違いないな」

 

レオも立ち上がりその場にいる全員がパイロットは各自自分の機体へ、そして各クルーも持ち場に戻ってオノゴロ島内に帰還した

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ってすぐエリカ・シモンズ技術主任を中心に整備と補給が行われ、その中でキラとアスランは横並びに座り話をしていた。そしてそのようすをマリューやムウが見守っている

 

「ほら」

 

「ありがとカガリ」

 

「すまない」

 

そこへカガリが飲み物を持ってくる。そのままその場に留まり2人の話を聞く体制を取った

 

「オーブは...ウズミ様は多分地球軍には入らないと思う。もちろんザフトにも...」

 

「しかしそれは!」

 

「うん。すごい大変なことはわかってる。でも仕方ないと僕も思うよ」

 

「は...?」

 

「地球軍に付けば大西洋連邦はオーブの力を利用してプラントを攻める、ザフト側に付いても同じ、ただ敵が変わるだけで...ウズミ様が言ったことはその通りだと思う」

 

「...」

 

「それじゃあしょうがない。そんなのはもう嫌なんだ...だから...」

 

「だが!」

 

キラの唱える夢物語を現実で行うのは困難極まりないことと考えるアスラン。しかしキラは話を続けた

 

「僕は君の仲間を殺そうとした...でも、僕はその人を知らない。殺したかったわけでもない...そして君もトールを殺そうとした...でも君もトールを知らない。殺したかったわけでもないだろ...?」

 

「だが、俺はお前を殺そうとした...」

 

「僕もさ...」

 

「ッ!」

 

「戦わないで済む世界ならいい。そんな世界にずっといられたのなら...」

 

キラは上を向いて黄昏る

 

「でも、戦争はどんどん広がるばかりで...このままじゃ本当にプラントと地球はお互いに滅ぼし合うしかなくなる。だから僕は戦うんだ」

 

「キラ...」

 

「たとえ守るためでも、もう銃を撃ってしまった僕だから...」

 

「あ...」

 

「僕達も、また戦うのかな...?」

 

「ッ!そ、れは...」

 

キラの問いにアスランは口をつぐむ。本来なら本国からの命令に沿ってキラとは戦わねばならない。しかし今のアスランは...

 

「キラ」

 

「あ、レオくん」

 

「整備の補助をお願いしたいって。シモンズ主任が」

 

「わかった。じゃあ僕は行くよ、アスラン」

 

「1つ聞きたい。あの機体にはニュートロンジャマーキャンセラーが搭載されている」

 

「心配するなアスラン」

 

「ッ!お前...」

 

キラに質問したはずの返答がレオから返ってきて少し驚くアスラン

 

「あれをなにかに利用しようとするなら、俺が討つ。もしそれがキラであったとしてもな」

 

「...」

 

「それが俺の、ラクスから受けた恩への責任だからな」

 

「僕もだよアスラン」

 

「キラ...」

 

キラとレオはその場を離れM1の整備に戻ろうとする。しかしレオの裾が引かれた。振り向くと深刻な顔をしているミリアリアの姿。そしてその後ろにはサイやトール、マリューやムウもいた

 

「...」

 

「悪いキラ。俺は少し遅れると言っておいてくれ」

 

「うん。わかった」

 

キラだけ離れレオはその場に残る。そしてみんなの方へ体を向き直した

 

「キラから大体の話は聞いてますかね?」

 

「まぁな...」

 

「なら話は早いですね。俺もキラと同じくもう地球軍でも、ましてやザフトでもないです。戦わなくていいならそれに越したことはありません。でも戦わないといけないならやることは変わらない。守りたいものを守るために戦う」

 

「レオくんはそうなのね」

 

「はい。ラミアス艦長達は、大変だったみたいですね...」

 

「えぇ...かなりね...」

 

マリューやムウはここまで本当に大変なことが起こりすぎて苦笑いが隠せない

 

「ともかく、無事でいてくれてよかったわ。レオくん」

 

「ありがとうございます艦長」

 

「レオ!」

 

突然レオの元にトールが駆け寄った

 

「お前...ありがとう!!!」

 

「お、おぉ。どうしたトール」

 

「レオがいなかったら俺、確実に死んでた!!!だから!!!」

 

レオの肩をグッと掴みながら頭垂れるトール

 

「頭を上げろよトール」

 

「...」

 

レオの前で頭を下げ続けるトール。レオが声をかけても頭を上げなかった

 

「言ったはずだ。俺が戦う理由は守るためだって」

 

「レオ...」

 

「助けられてよかった。本当にそう思ってる」

 

「ッ!お前ってやつは...!!!」

 

「おまっ!鼻水!!」

 

トールは涙ドバドバ、鼻水ドバドバの状態でレオに抱きついた

 

「レオ...私...」

 

「ミリアリアにもだいぶ心配かけたみたいだな。すまなかった」

 

「私...レオがMIAってなって...それで...」

 

ミリアリアは涙を流しその後の言葉を出せなかった

 

「本当にすまなかった。すぐ連絡ができればよかったんだがいかんせんしばらくの間眠ったままで。その後もアラスカのこととかプラント内でのこととかがあってな」

 

「...」

 

「ミリアリアこそ無事でいてくれて本当によかった」

 

『レオくーん?』

 

「あ、はーい!」

 

遠くでレオを呼ぶ声。おそらく整備のことで誰かが呼んでいるのだろう

 

「さ、俺らも艦に戻るぞ」

 

「はい...レオ」

 

「なんだサイ?」

 

「お前がいなくなって一番悲しんでたのはミリィなんだ。後でちゃんと話をして安心させてやってほしい」

 

「...」

 

先ほどから俯いたまままったく話さなくなってしまったミリアリアの傍によってレオにお願いをするサイ

 

「わかった。作業が終わったら行くよ」

 

「あぁ」

 

「それとサイ。カズイとフレイはどうしたんだ?」

 

「...。フレイはアラスカで移動になって。カズイも、艦を降りたよ」

 

「そうか...」

 

フレイやカズイがいなかったことに気づいたレオ。サイの口から2人共もうここにはいないことを知り少し寂しく思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの...」

 

「ん?」

 

作業が大体片付きミリアリアの元へ向かおうとしていたレオ。しかしそんな彼は工場から出たちょっとした広間で呼び止められた

 

「えっと...なにか?」

 

「あ、いや...少し聞きたいことがあって...」

 

「そうですか」

 

「おい」

 

「はい?」

 

レオを呼び止めたのはずっとアークエンジェルに捕虜として捕らえられていたニコルとディアッカだった

 

「あなたは...」

 

「ディアッカ・エルスマン。バスターのパイロットだ」

 

「バスター...」

 

ディアッカの顔は険しい。しかしその目からは今まで敵として戦ってきた相手を目の前にしている、そのような気持ちは一切感じられなかった

 

「あなた方は捕虜とはなりましたがオーブで釈放されたはず。なぜここに?」

 

「僕達にもいろいろあったんです。ですが未だ答えには辿り着いていません。だからあなたに話を聞きたかったんです」

 

「なるほど。それで?聞きたいこととは?」

 

「なんでニコルを生かした...?お前からしたら敵だっただろ...?」

 

ディアッカが拳を握りしめながら率直に自分の聞きたいことをレオに対して問いかけた

 

「敵だから殺す。そうしないといけませんか?」

 

「それが戦争だろ!」

 

「確かに殺し殺され、それが戦争なのかもしれない。でも俺は最初から戦争なんてしたくなかった」

 

「じゃあなんで今まで戦ってきた!ニコルから話は聞いた!お前がストライクと一緒にいた機体のパイロットだと!」

 

ディアッカは声を荒げる。俺達がやってきたのは殺し合いの戦争だったはず。しかしレオからしたらそうではなかったからだ

 

「守るためです。友達、仲間。本当ならあなた達とだって戦いたくなんてなかった」

 

「なにを...」

 

「あなた達だって上の命令だから戦っていたかもしれない。でも根底には家族や友人のいるプラントを守りたいがために戦っているはずだ。違いますか?」

 

「「ッ!!」」

 

レオの言葉にディアッカもニコルも驚き、そして気付かされる。自分達が軍に入った理由と今まで()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことを

 

「ただ人を滅ぼし続ける戦争なんて終わらせたい。そう思って帰ってきた。俺も、キラも」

 

「そんなこと、できるわけが...」

 

「できるできないじゃない。やるかやらないか、でしょ?」

 

「やるか、やらないか...」

 

「俺にだってできるかわからない。でもやろうとしなければ始まらない。始まらなければ絶対に終わりは来ない。俺はそう思います」

 

ディアッカはレオの言うことに言い返せないのが悔しいのか拳をさらに強く握りしめる。そんなディアッカにひきかえニコルはレオの言うことが妙に自分の中にしっくりきていた

 

「でもあなた方にはあなた方の信念があるはずだ。祖国を守るという信念が」

 

「はい。少なくとも僕は僕達の帰る場所を守りたいからザフトに入りました。あんな悲劇がもう繰り返されないように」

 

「あなたは?」

 

「俺は...わからねぇ。父親から反対されながら入った軍だったが、その後は命令に従ってナチュラル共をぶっ殺すことしかしてこなかった...」

 

「そうですか」

 

「ただ、あいつらに殺されかけてから...よくわかんなくなっちまった...」

 

「ディアッカ...」

 

ディアッカの言うようにレオとキラがいなくなりディアッカが捕虜として収容されたアークエンジェル内でトラブルがあった。拘束されたディアッカとミリアリア、フレイの2人がたまたた出会ってしまいディアッカが暗い2人に対していつもの感じで軽口を叩いてしまう。それがキラとレオのことであったため2人の地雷を踏みナイフで刺されそうになったり銃を突きつけられたりしたのだ

 

「そんときにニコルに言われたよ。大切なやつが死んだことをそんな軽々しく口にしちゃダメだって。それには敵も味方も関係ないってな」

 

「その通りですね」

 

「あぁ。そんときだよ、もしかしたらナチュラルとかコーディネイターとかって分別はされてっけど、そんなもん関係ないのかもしれないって思ったのは」

 

「関係ないんですよ」

 

「...」

 

「関係ないんです。ナチュラルとかコーディネイターとか。あなたはディアッカ・エルスマンという1人の人で俺はレオ・シュヴァルグランというあなたとは違った人。そしてあなたはニコル・アマルフィというまた違う1人の人なんです。全員そうだ」

 

「...。ふっ、そうか。そうだよな」

 

ディアッカはなにか掴めたように先ほどとは打って変わって和らげな表情で天を仰いだ

 

「あの...」

 

「はい」

 

「なぜ、僕の名前を知ってるんですか?」

 

「え...」

 

ニコルは少し前屈みな体勢を取ってレオに問いかけた

 

「それは、先ほど彼が...」

 

「ディアッカはニコルとしか言っていません。フルネームを伝えたことはないと思うんですが」

 

「...」

 

レオはニコルから目を背ける

 

「どうして目を逸らすんですか?」

 

「えっと...見えそうで...」

 

「え?」

 

ニコルはレオの指摘で自分のことを確認する。そしてボタンを閉め忘れている胸元が目に入った

 

「ッ!見ましたか...?」

 

「い、いえ...」

 

ニコルは急いで胸元を隠しレオの顔をじっと睨む

 

「レオくんのエッチ...」

 

「ぷっ!あはははは!!!」

 

「な、なんですかディアッカ!!」

 

2人のやり取りを聞いていたディアッカは大声で笑い出した

 

「いやー悪い。そんな顔もすんだなニコル」

 

「ぼ、僕だって女の子なんです!恥ずかしいことだってありますよ!」

 

「だから悪かったって。それに...」

 

「な、なんですか...」

 

ディアッカは笑いすぎで出た涙を拭きながらレオに向き直る

 

「ちょっと安心したわ」

 

「なにがですか」

 

「さっきまでお前本当に俺達と同じ子供かって思ってたんだが、相応な顔してて安心したんだよ」

 

「それは喜んでいいんですかね...」

 

「そんな敬語もうやめろよ。ともかくお前と話ができてよかったぜ」

 

「ならよかった。もう戦いたくなんてないけどな」

 

「それはこれから次第、だな」

 

「そっか」

 

ディアッカとレオは握手を交わす。そしてディアッカは徐にレオと肩を組みひそひそと話し出した

 

「これもなんかの縁だ。ブロンドショートの子の本、今度贈呈してやるよ」

 

「いらん」

 

「??」

 

ニコルは2人が何を話しているのかわからずただ首をかしげる可愛い動作をするだけだった

 

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