ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第二十九話

 

種は飛び立ち思いは繋がれた。しかしこれを完全に納得できるかと言われたら、そうではなかった...

 

『クサナギのドッキング作業終了した』

 

「カガリさんは...」

 

『だいぶ落ち着きはしたがいろいろあってな...泣くなとは言えんよ』

 

宇宙に出てすぐにクサナギのパーツ編成を宇宙用に変更作業が行われた。その終了後キラとアスランはクサナギに入った。機体収納限度を考えてレオは同行せずにアークエンジェルに戻った

 

「カガリ?」

 

キラとアスランはクサナギに乗艦しすぐにカガリの元を訪れた。キラが呼びかけるも中から返答はなかった。仕方なくドアを開けると泣き腫らしたカガリが座っていた

 

「カガリ...」

 

「キ、ラ...うぅぅっ!!!」

 

父の死をまだ受け止めきれないカガリは涙が止まらないままキラに抱きつく。そんなカガリをキラは優しく受け止め落ち着かせようと頭を撫でた

 

 

 

 

 

マリューとムウがクサナギに移ってきてキサカと一緒にブリッジに向かっていた

 

「クサナギは以前からヘリオポリスとの連絡用艦艇として使ってきた。モビルスーツも武装もそれなりに備わってはいるがアークエンジェルほどじゃない」

 

「5つの区画に分けて中心部だけ行き来させてるのか。効率の良いやり方だな」

 

キサカに案内されてブリッジに入るマリューとムウ

 

「アークエンジェルに似てるわ」

 

「アークエンジェルが似ているのさ。生まれはどちらも同じモルゲンレーテだからな」

 

「確かに」

 

「ふっ。宙域図を出してくれ」

 

「はい」

 

「エリカ・シモンズ主任?」

 

「こんにちは少佐」

 

整備主任がブリッジにいることに驚くムウ

 

「慣れない宇宙空間の運用ですもの。私がいないと始まらないでしょ?」

 

「現在我々がいるのはここ。知っての通りL5にはプラント、L3にはアルテミスがあったな」

 

「えぇ」

 

「私はL4のコロニー群へ向かうことを提案する」

 

そこにカガリ、キラ、アスランの3人が合流した

 

「当面物資の不安はないが無限ではない。特に水はすぐに問題になるだろう。L4のコロニー群は開戦のころから破損し次々と放棄されて今では無人だ。水の補給場としては最適だろう」

 

「なんだか思い出しちゃうわね...」

 

「大丈夫さ。ユニウスセブンとは違うよ」

 

「L4にはまだ稼働しているコロニーもある」

 

発言したのは最後方に控えていたアスランだった

 

「だいぶ前だが不審な一団がここを根城にしているという情報がありザフトは調査したことがある。住民は既にいないが設備が生きているコロニーも数基あるはずだ」

 

「じゃあ決まりですね」

 

「...」

 

アスランの報告にキラは賛同。しかしムウは険しい顔でアスランを見ていた

 

「しかし、君は本当にいいのか?無論君だけじゃなくあの2人もだが...」

 

「少佐...」

 

「オーブでの戦闘は俺も見てるし、状況が状況だしな。着ている軍服にこだわる気はないが...」

 

「...」

 

「だがこの先俺達は、状況次第ではザフトとも戦闘になるかもしれない。オーブのときとは違う。そこまでの覚悟はあるのか?君はパトリック・ザラの子供なんだろ」

 

「誰の子供だって関係ないじゃないか。アスランは...」

 

「軍人が自軍を抜けるってのは君が思ってるよりずっと大変なことなんだ!ましてやそのトップにいるのが自分の父親じゃ...自軍の大義を信じてなきゃ戦争なんてできないんだ。それがひっくり返るんだぞ。そう簡単にいくか...彼はキラと違って、正規の軍人だろ」

 

「...」

 

「悪いんだけどな...一緒に戦うんならアテにしたい。どうなんだ...?」

 

「...」

 

ムウの当然と言うべき問いかけにアスランは少し口を紡いだ

 

「オーブで、いえプラントでも地球でも見て聞いて思ったことはたくさんあります。それが本当に正しいのか、何がわかって何がわかっていないのか...それすら今の俺ではよくわかりません...ただ、自分が願っている世界はあなた方と同じだと...それだけは今感じています」

 

「ははっ。しっかりしてるねー君は。キラとは大違いだ」

 

「えっ...昔からそうなんです」

 

「ふふっ」

 

「俺達が託されたのは、大きいぜ?」

 

「えぇ」

 

「こんなたった2隻で。はっきり言って不可能に近い」

 

「そうね」

 

「でも、いいんだな?」

 

「信じましょう。小さくても、強い火は消えないんでしょ?」

 

キラはマリューが言ったことを復唱する。それを聞いてマリューもムウも表情が和らいだ

 

「プラントにも同じように考えてる人はいる」

 

「ラクス?」

 

「あのピンクのお姫様?」

 

「アスランの婚約者なんです」

 

「えっ...」

 

「彼女は今追われている。俺の父に。反逆者として...」

 

その言葉には誰も反応できなかった

 

クサナギで話し合いがされている中、アークエンジェルではニコルがM1のOSをいじっていた

 

「ニコル。そろそろ休憩したらどうだ?」

 

「ありがとうございます。でももう少し」

 

「はぁ...ダメだ」

 

「ちょっ!」

 

そこへレオがやってきてずっと画面と睨めっこしているニコルを引っ張り出した

 

「何するんですか!」

 

「頑張るのはわかるがいい加減休め」

 

「いつ敵が来るかわからないんですよ!?戦力だって少ないんですから...!」

 

「ニコルは1人で戦うつもりなのか?」

 

「ッ!それは...」

 

レオの真剣な眼差し。そのまっすぐな視線にニコルは目を逸らしてしまった

 

「頑張るのはいい。だけど頑張りすぎはダメだ」

 

「でも...」

 

「ここにはマードックさんもディアッカもいる。俺だっている。ニコルが1人でやる必要はない。いいから休め」

 

「...。わかりました」

 

「いい子だ」

 

ようやく折れたニコル。そんなニコルがお預けを食らった犬のように見えたレオは優しく頭を撫でた

 

「こ、子供扱いしないでください!」

 

「あー悪い。そうシュンッとしてる感じが可愛くってついな」

 

「かわっ!?」

 

「かわ?」

 

「も、もう行きますから!」

 

「お、おう。ちゃんと休むんだぞ」

 

(僕のこと可愛いなんて...なんなんですかもう!!)

 

誰にも見られなかったがドックを出るニコルの顔は真っ赤だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クサナギでの整備も一通り終わったキラとアスランがアークエンジェルに戻ってきて早々アスランがシャトルを貸してほしいと言ってきた。理由は一度プラントに戻るとのことらしい

 

「もし戻らなかったら君がジャスティスを使ってくれ、ディアッカ」

 

「はっ!やだね!あんなもんにはお前が乗れよ」

 

「ツンデレだなディアッカ。素直にちゃんと戻ってこいって言えばいい...痛たっ」

 

「黙れ」

 

シャトルに乗るアスランと同じようになぜかパイロットスーツ姿のレオ。ディアッカの悪態を指摘し肩を殴られる

 

「ちょっと待てお前!アスラン!」

 

「カガリ!」

 

「なんでプラントになんか戻るんだよ!」

 

「ごめん」

 

「ごめんじゃないだろ。それにあれ置いてったりしたら...」

 

「ジャスティスはここにあった方がいい。どうにもならなかった時はキラやあいつがちゃんとしてくれる」

 

アスランはキラとレオによろしくとでも言ったように目を合わせた

 

「そろそろ名前で呼ばれたいぞアスラン」

 

「そうじゃなくって!」

 

「でも、俺は行かなきゃならないんだ...」

 

「だからなんで!」

 

「このままにはできないんだ...」

 

「もうよせカガリ」

 

「レオ...」

 

アスランを止めようとするカガリをレオが注意した

 

「アスランなりにケジメをつけに行くんだ。俺達と、お前と今後も一緒にいるために」

 

「ッ!」

 

「...」

 

レオの言葉を聞いてもう一度アスランの顔を見るカガリ。それは覚悟を決めた、そんな顔をしていた

 

「それじゃ行くかアスラン」

 

「あぁ」

 

借りたシャトルでアスランが。そしてその護衛としてレオがユニティで出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『レオ』

 

「お、ようやく名前で呼んでくれたな」

 

『おふざけはなしだ。そろそろヤキン・ドゥーエの防衛網に引っかかる。戻ってくれ』

 

「わかった。じゃあこの辺で待機してる」

 

『いや、戻ってくれ』

 

「アスラン」

 

『なんだ?』

 

「お前の死に場所は、ここじゃない。それを忘れるな」

 

『ッ!それはどういう...』

 

「アスランだけじゃない。俺だってキラだって、お前を受け入れた全員死ぬにはまだ早い」

 

『まだ...』

 

「言い換えるなら、お前がこんなところで脱落するのは俺が許さない」

 

『...。わかった、覚えておこう』

 

「あぁ」

 

レオはシャトルから離れる。そしてシャトルはそのまま真っ直ぐ目的地を目指した

 

「ラクスの曲何曲分待つことになるやら。はぁ...早く会いたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事にプラントについたアスランだったが地球軍のシャトルを使っていたこともあり身柄を拘束されながら父であるパトリック・ザラの元に連行された

 

「アスラン...」

 

「父上...」

 

「お前達はよい」

 

パトリックは報告を受け怒り心頭だったが冷静に人払いをする

 

「どういうことだ...何があった!ジャスティスは!フリーダムはどうした!」

 

「父上はこの戦争のことを本当はどうお考えなのですか?」

 

「なんだと!?」

 

「俺達はいったいいつまで戦い続けなければいけないのですか?」

 

「何を言っている!それより命じられた任務はどうしたのだ!報告をしろ!」

 

「俺は...どうしてもそれを一度ちゃんとお聞きしたくて戻りました」

 

「アスラン...貴様!」

 

自分が聞いていることには答えず関係ない話を聞いてくるアスランに対してさらに怒りが込み上げるパトリック

 

「いい加減にしろ!何もわからん子供が何を知った風な口をきくか!」

 

「何もおわかりでないのは父上の方ではありませんか!アラスカ、パナマ、ビクトリア!討たれては討ち返し今や戦火は広がるばかりです!」

 

「どこでそんな馬鹿な考え吹き込まれてきた!あのラクス・クラインにでも誑かされたか!」

 

「そうして力と力でぶつかり合ってこの戦争が終わると、父上は本当にお考えなのですか!」

 

「終わるさ!ナチュラルが滅びれば戦争は終わる!言えアスラン!ジャスティスとフリーダムはどうした!返答次第では貴様でも許さんぞ!」

 

「父上...本気でおっしゃっているんですか...」

 

「これはそのための戦争だ!我らはそのために戦っているのだ!それすら忘れたかお前は!」

 

パトリックは自分の息子であるアスランに銃を突きつける

 

「父上...」

 

「答えろアスラン!ジャスティスとフリーダムは!答えぬと言うなら貴様も国家反逆として捕らえるぞ!」

 

「クッ!」

 

口を開かないアスランを見てパトリックはブザーを押し護衛隊を呼びつける

 

「アスラン!」

 

「うぉぉぉ!!!」

 

「この、馬鹿者が!」

 

最後まで答えずに突っ込んできたアスランの右肩を掠るように発砲するパトリック

 

「殺すな!これにはまだ聞かねばならないことがある。多少手荒でも構わん!なんとしてでもジャスティスとフリーダムの所在を吐かせるのだ!」

 

「はっ!」

 

弾が掠った肩を抑え疼くまるアスランは駆けつけた兵士に拘束される

 

「見損なったぞ、アスラン」

 

「俺もです...」

 

息子を拘束するよう命令する父親と捕らえられ連行されていく息子。そこをどう間違えてここまでの関係になってしまったのか...

 

拘束されたアスランはそのまま外に停まっていた輸送車まで連れられた

 

「乗れ」

 

「...」

 

「おい!」

 

「クッ!」

 

「うぉっ!」

 

「がはっ!」

 

「んあ!?」

 

「止まれ!」

 

「このっ!」

 

アスランは連行していた兵士1人を蹴り飛ばしもう1人をたいあたりでどかし逃走を図った

 

「なんだってんだもう!」

 

「待て!」

 

「こっちへ!」

 

しかし逃走するアスランを兵士の1人が援護。フラッシュバンを投げアスランを建物の影に誘導した

 

「背中をこっちに。手錠を撃ちます!」

 

「あ。あぁ...」

 

状況が飲み込めないアスランは若干放心状態のまま助けてくれた兵士の指示に従う

 

「まったく無茶な人ですね。死ぬ気ですか...こっちの仲間も1人蹴り倒しちゃうし」

 

「君達は?」

 

「いわゆるクライン派ってやつですよ。まったく段取りがめちゃくちゃだ...」

 

「すまない...知らなかったんで」

 

「そうでしょうけど」

 

「ダコスタ!早く!」

 

「行きますよ!」

 

兵士から銃を受け取り合流したもう1人の兵士を加え3人でその場を切り抜けるため動き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラントのとある宇宙戦艦ドック。この中の1艦に動きがあった

 

「さてと。あー本艦はこれより最終準備に入る。作業にかかれ」

 

艦長席に座る男が艦内放送で最終準備と通達。通達後何名かの兵士が強制的に艦を降ろされた

 

「お待たせ致しました」

 

「いえいえ、ご無事でなにより。では行きましょうか」

 

「はい!」

 

『マイドマイド!』

 

ブリッジに現れたピンク髪の少女。世界の歌姫ラクス・クラインがの到着と共にブリッジに明かりがつく。そしてエンジンを点火させる

 

『おい!何をしている!貴艦に発進命令は出ていないぞ!バルトフェルド隊長!』

 

「メインゲートの管制システム変更されました!」

 

「優秀だね〜。そのままにしといてくれればいいものを。ちょっと荒っぽい出発になります」

 

「仕方ありませんわね。しかし、わたくし達は行かねばなりません」

 

「主砲発射準備!照準メインゲート!」

 

指揮を取る男、バルトフェルドはラクスと顔を合わせる

 

「エターナル、発進してください!」

 

『エターナル!応答せよ!クソッ!アラート発令!』

 

「撃てー!」

 

ラクスの宣言と共にメインゲートを破壊しながらエターナルは発進した

 

「ダコスタは!」

 

『隊長!』

 

「時間ぴったりだダコスタくん。後部ハッチ開け!収容後機関最大!振り切るぞ!」

 

そこへアスランを乗せたシャトルが合流。収容しスラスターを最大にした

 

「戻りました!」

 

「アスラン。お疲れ様です」

 

「ラクス!?」

 

「やぁ初めまして。アンドリュー・バルトフェルドだ」

 

「これは、どういう...」

 

見たこともない新型戦艦にラクスが乗っておりプラントを脱出してどこへ...アスランはわからないことばかりだった

 

「前方にモビルスーツ部隊!数50!」

 

「ヤキンの部隊か。まぁ出てくるだろうな」

 

「この艦にモビルスーツは!?」

 

「あいにく出払っててね。こいつはジャスティスとフリーダムの専用運用艦なんだ」

 

「なっ!」

 

「全チャンネルで通信回線を開いてください」

 

「ラクス...?」

 

「了解」

 

ラクスの言う通りにヤキン・ドゥーエから発進したモビルスーツ、さらには戦艦など全てにも聞こえるようチャンネルが開かれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わたくしはラクス・クラインです。願う未来の違いからわたくし達はザラ議長と敵対することになってしまいましたが、わたくし達はあなた方との戦闘を望みません』

 

「来た」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうか道を開け艦を行かせてください。そして皆さんもどうか今一度、何とどう戦わねばならないのか考えてみてください!」

 

ラクスの演説も虚しくモビルスーツ群はエターナルへの攻撃を開始した

 

「難しいよな、急にそんなこと言われても。迎撃開始!」

 

エターナルから発射されたミサイルが迫り来るミサイルと接触し爆発していく

 

「コックピットは避けてくださいね」

 

「それはまた難しいことで。主砲撃てー!」

 

主砲を撃つも数が多すぎる。まったく減らすことができなかった

 

「全方位からミサイル接近!」

 

「迎撃間に合いません!」

 

「直撃します!」

 

50機もなるモビルスーツからのミサイルが迫る。迎撃も間に合わず直撃...とはならなかった

 

「なんだ!?」

 

「これは...レオ!」

 

「なっ!」

 

「なんだって!」

 

迫り来るミサイルが肉眼では見えない何かに次々と爆発させられていく

 

「熱源接近!このコード...ユニティです!」

 

「本当にあの坊主が...」

 

「ラクス。どうして君は...」

 

「感じるのです。彼を」

 

ミサイルが全て無効化された後はエターナルに近いモビルスーツからどんどんと戦闘不能にされていく

 

『聞こえますか?』

 

「レオ!」

 

『やぁラクス。無事でよかった』

 

「はい!」

 

「助かったぞ少年」

 

『お疲れ様ですバルトフェルドさん』

 

「レオ。お前...」

 

『約束通り生きて戻ったな、アスラン。褒めて遣わす』

 

「ふっ、何を...」

 

驚くことばかりだったがアスランはプラントを脱出することができた

 

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