ガンダムSEED 〜守るための戦い〜 作:てこの原理こそ最強
『第一戦闘配備!繰り返す!第一戦闘配備!』
敵の接近に伴うエマージェンシーがアークエンジェル内に響き渡る
「また敵!?」
「そうみたいだな。ミリアリアはみんなのところへ戻れ」
「また、戦闘になるの...?」
「だろうな」
ミリアリアは先ほどの戦闘の光景がフラッシュバックして震えている
「大丈夫だ」
「え...?」
「誰も死なせないから。ミリアリアも、キラも、他のみんなも」
「なん、で...」
「なんでってそりゃ。死んでほしくないからな。誰にも」
「おい嬢ちゃん!早くここから出なって!」
「その子のことよろしくなおっちゃん」
「お、おっちゃん!?」
ミリアリアを見つけたマードックに後を任せてレオはコックピットを閉じてビームライフルショーティを手に取った
「レオくん...」
警報が出る少し前、ラミアスは軍服に着替えてキラの元を訪れていた
「もう止めてください!」
「キラくん...」
民間人であるキラに対して戦闘に協力してくれるよう軍人らしからぬお願いをしにきたマリューは案の定強く断られていた
「あなたが言ったことは正しいのかもしれない。でも僕達はそれが嫌で、戦争なんか嫌でここにいたんだ!」
「...」
キラの言い分にラミアスは一切口に開けないでいた。するとそこにブリッジから連絡が入る
『何してる!早くきて指揮を取れ!キミが艦長だ』
「私が!?」
『先任大尉は俺だがこの艦のことはわからん!』
「...承知しました。ではアークエンジェル発進準備。総員第一戦闘配備。大尉のモビルアーマーは?」
『ダメだ出られん!』
「では大尉にはCICをお願いします」
『了解だ!』
ある程度の指示を出して通話を切ったラミアスはキラ達に向き直った
「聞いての通りまた戦闘になるわ。地上のシェルターはレベル9であなた達を降ろしてあげることもできない。どうにかこれを乗り切ってヘリオポリスから脱出することができれば...」
「そんな...」
「このまま戦闘って...」
「卑怯だあなた達は...!脱出するためには戦わないといけなくて、戦うためのモビルスーツはあの機体2機で。その片方を動かせるのは僕だけって言いたいんでしょ!?」
「...」
キラはそれだけ言ってドックへ走っていった
「まったく、撃ち放題やってくれる...」
敵は4機。ジン3に奪取した機体の内1機<イージス>をもう投入してきた
『レオくん!』
「キラ。(出撃しちまったか...まぁ仕方ないよな)」
『ストライクは敵の迎撃を!ノワールはアークエンジェルの支援に入れ!』
「...」
『おい!返事は!』
「素人が戦闘中に返事できるわけないでしょ。考えてください」
『なんだと!』
『バジルール少尉冷静に。レオくん、返事がなければわかってるのかどうか判断できないの。わかってちょいだい』
「動きで察してください。軍人なのでしょう?」
レオはアークエンジェルとの通信を切りキラとの通信を繋げた
「キラ。もし怖いのなら引き返していい」
『えっ?』
「これくらいなら俺1人でもやれる、はずだ...」
『言い切らないんだね。僕もやるよ。本当は戦いたくなんてないけど、友達を守らないといけないから』
「すまん...」
『なんでレオくんが謝るのさ』
「なんとなくだ」
話していると敵が二手に分かれた
「キラ。敵の装備がさっきと違う。注意しろ」
『わかった』
レオはキラに注意を配りつつアークエンジェル目がけてジンから放たれるミサイルを撃ち落としていく
「機体が小回りのきくノワールでよかった、よっ!」
ミサイルの撃ち尽くしたジンをビームライフルショーティで打ち抜き撃破したレオ
『やめろー!!!』
「ッ!待てキラ!」
『えっ!?』
キラの様子を聞こうと通信を入れようとするとキラは片足を失ったジンを斬りつけようとしていたため、レオはすぐさまストップの通信を入れ自分がそのジンを撃ち抜いた
『レオくん...どうして』
「こんなところでお前を人殺しにはさせない」
『っ!』
『おい!何してる坊主!』
「はっ!しまっ!」
レオはアークエンジェルを狙うもう1機のジンから目を離してしまったため、そのジンが放ったミサイルの迎撃に間に合わずヘリオポリスを支えるセンターシャフトに命中。いくつものワイヤーがちぎれ大地や空には亀裂が生まれ、その隙間からは真っ黒な空間が出現した
「うわぁぁぁぁ!!!!」
「キラ!」
ヘリオポリス崩壊...
自然の物も人工物もあらゆる物全て大気と共にその真っ黒な空間、宇宙空間に引き摺り出されていく
今までキラ達が平和に過ごしてきた日々も、住んでいた場所さえも崩壊してしまったのだ
『ストライク!キラ・ヤマト!』
宇宙空間に放り出されたストライク、キラは呆然とヘリオポリスの残骸を見ることしかできなかった
『応答せよ!キラ・ヤマト!』
先ほどからなども通信で呼びかけてられているがそれに応じれないほど目の前の惨劇に放心していた
『おい!聞こえないのか!?』
『キラ!』
「っ!レオ、くん...」
『よかった。見つかった』
突然の振動。原因はレオの乗るノワールが揺らしてくれたからであるが、そのおかげでキラはようやく我に帰ることができた
『ストライク!』
「ッ!こちらストライク。キラです」
我に返ったキラはアークエンジェルからの通信をオンにして通話する
『無事だったか!?』
「なんとか...」
『こちらの位置はわかるか?』
「はい」
『ならば帰投しろ。戻れるな?』
「はい」
キラは通信を切り再びヘリオポリスの残骸へ目を向けた
『帰ろうキラ』
「うん...あれ?」
アークエンジェルの位置を確認し移動しようとすると、救難信号をキャッチした
「あ、ヘリオポリスの救命ポット!」
『...』
目の前を漂っていたのはヘリオポリスの救命ポットの1つ。キラはそれを回収しレオと共にアークエンジェルを目指した
一方、アークエンジェルではとりあえずストライクとノワールの無事が確認できたことに安堵しつつもこれからの方針を話し合っていた
「ザフト艦の動きはわかる?」
「無理ですね。破片の中には熱を持つものも多く、これではレーダーも熱反応も役に立ちません」
「そう...」
「向こうさんも同じだと思うがね。追撃があると?」
「あると想定するべきでしょうね。尤も今攻撃を受ければ...」
「だな」
今度はモビルスーツのみではなく戦艦もとなると頭が痛くなるマリューやムウ
「最大船速で振りきれないのか?結構な高速艦なんだろ?こいつは」
「向こうにもナスカ級がいます。振り切れるかどうか」
「なら素直に投降するかい?」
「...」
「それも1つの手だけどな」
「なんだと!?」
マリューとムウが意見を出し合っていると急にナタルが声を荒げた
「ちょっと待て!そんなもの認められるわけないだろう!」
「バジルール少尉、何か?」
「ストライク、ノワール帰投しました。しかし救命ポットを1つ保有しています」
「なんですって...」
マリューはすぐさまストライクとの通信をオンにした
『認められないってどういうことですか!制御エンジンが故障してるんですよ!民間人も乗ってるはずです!』
「すぐに救援艦がくる。我々は今戦闘中なんだぞ!避難民の受け入れなどできるわけが!」
「いいわ許可します」
「艦長!」
「今こんなことで時間を取られたくないの。収容急いで」
「...わかりました」
アークエンジェルのハッチが開き、キラとレオはようやく帰投することができた
「厳しい状況なのはわかっていますがザフトに投降することはありません。この艦とストライク、ノワールは絶対に大西洋連邦司令部に持ち帰らなければならないのです!」
「艦長、私はアルテミスへの入港を具申致します」
「アルテミスって傘のアルテミスか?」
「はい。現在我々の位置から最も近い位置にある友軍です」
「でも、Gもこの艦も友軍の認識コードを持っていない状態なのよ?」
「理解しています。しかしこのまま月を目指したところで戦闘を回避できると本気でお思いにはなられていないでしょう」
「それは...」
「物資の補給もままならないまま出航した我々ですので、ここは一刻も早くアルテミスへ行き補給を受けるべきです」
「そう思惑通りに進めばいいけどね」
ナタルの打診に艦長であるマリューは頭を悩ませる
「確かに、今はそれしか手がないようね」
方針は決まった。目指すはアルテミス。これが吉と出るか凶と出るか...
帰投したキラの目の前では収容した救命ポットから民間人が続々と出されていた。その光景をレオは眉間に皺を寄せながら眺めていた
『トリィ』
「あっ!」
「あっ!あなた!サイの友達の!」
「フレイ!?」
キラの鳥型ロボット、トリィが飛び出したのを追おうと無重力空間に乗り出したキラにちょうどなタイミングで救命ポットから出てきた1人の少女が気がつき、同じように無重力空間に乗り出してキラに抱きついた
「本当にフレイ・アルスター?」
「ねぇ!ヘリオポリスはどうしたの!私友達とはぐれて1人でシェルターに逃げたの!そしたら!」
「...」
「これってザフトの艦なんでしょ?なんであなたがここにいるの?」
「こ、これは地球軍の艦だよ」
「うそ!でもモビルスーツが...」
「あ、あれも地球軍ので。でもよかった。ここにはサイも乗ってるんだ。もう大丈夫だから」
「サイが...う、うぅぅぅ...!!」
「...」
フレイ・アルスター。キラ達と同じくヘリオポリスの学生にしてサイの婚約者。フレイは自分の婚約者が同じ艦にいることを聞いて安心したのか涙を流した
そしてこのフレイという少女、レオが
アークエンジェルが今後の方針を話し合っている頃、ザフト軍クルーゼ隊も次なる行動を模索していた
「追撃、されるのですか...?」
「あぁ」
「いやしかし、中立コロニーを破壊したとあれば評議会も...」
「地球軍のモビルスーツを製造していたコロニーのどこが中立だ」
「しかし...」
「住民のほとんどは脱出している。問題あるまい。血のバレンタインに比べたら、な」
<血のバレンタイン>この言葉を聞くだけだで副官であるフレデリック・アデスは口を紡いでしまう
「敵の新造艦の位置は?掴めるか?」
「追撃したとしてももうこの艦にはモビルスーツが」
「あるじゃないか。敵から奪ったのが4機も」
「あれを投入するおつもりですか!?」
「データを取ったのであれば構わんさ」
ザフト軍は、というよりクルーゼはアークエンジェルを逃すまいと動くようだ