ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第三十話

 

 

ザフト軍を振り切ったエターナルはL4にあるコロニーメンデルに到着。アークエンジェル、クサナギと合流した

 

「初めまして、と言うのは変かな。アンドリュー・バルトフェルドだ」

 

「マリュー・ラミアスです。しかし驚きましたわ」

 

「お互い様さ。俺達もこの計画を聞かされたときは驚いたものだ。な?」

 

「な、って...まさか!」

 

バルトフェルドの向く先。マリューやムウまでもがレオを見てまさかと驚く

 

「そのニタリ顔やめてくださいよバルトフェルドさん。アイシャさんのお気に入りだったハンカチにコーヒーこぼして内緒で新しいのと交換してたことバラしますよ」

 

「おまっ!」

 

「アンディ...」

 

「ち、違うんだアイシャ!」

 

「お久しぶりですアイシャさん。いろいろとありがとうございました」

 

「久しぶり坊や。ごめんね、ちょっとアンディと話があるから、また後でお話ししましょ...」

 

「えぇ。ごゆっくり」

 

「恨むぞ少年!」

 

顔合わせだというのにいち早く退場したバルトフェルドに全員は呆れ返るしかなかった。まぁその原因を作ったのはレオなわけだが

 

「おいレオ。計画って言ってたがどういうことだ...?」

 

「お話しします。アスランは大丈夫か?」

 

「あぁ。問題ない」

 

「そうか」

 

レオは念のため怪我をしているアスランに伺いを立てた

 

「俺がこの計画を思いついたきっかけは以前ラクスのことを人質のように扱ったときです」

 

「ッ!そんな前から...」

 

レオの言う出来事はもう何ヶ月も前のこと。そんな前から計画を考えていたことに驚くマリュー

 

「俺は今まで守るために戦ってきました。でも俺の力だけじゃ無理なことがあった。フレイのお父さん、ウズミ様だってそうだ」

 

「ッ!」

 

レオはカガリに向かって亡き父親の名を出しそれに反応を示すカガリ

 

「最初はキラやサイ、ミリアリア達だけだった。でもラミアス艦長、フラガ少佐。民間人の人達。ラクス。守りたいものはどんどん増えていって。でも離れ離れになったラクスはどうやって守るのか。自分の居場所に帰った民間人の人達はどうやって守るのか。俺だけじゃ到底無理だってわかったんです」

 

「レオくん...」

 

「守りたいものを守る。そして守り続けるにはどうしたらいいのか考えました」

 

「それが、今回の計画だと...?」

 

「はい。砂漠でバルトフェルドさんと会ったときこの人は他のザフトの人とは違う、そう思いました」

 

「だから彼を...」

 

「はい。しかし誰かを殺さないようにというものであればバルトフェルドさんに限った話ではなくできるだけ人は殺めないようにしてきたつもりです」

 

レオの言葉にマリューやムウ、一緒に戦ってきたアークエンジェルのクルーはもちろんディアッカとニコルでさえ生かされた身としても覚えがあった

 

「アスラン達と戦った後、キラと一緒にプラントでラクスと再会したとき彼女のお父さんと話す機会がありました」

 

「シーゲル様...」

 

「あぁ。アスランもよく知ってる人だろう。シーゲル様が俺の話を聞いてくれて、そのとき既にザラ派のやり方に疑念を抱いていたバルトフェルドさんに話を繋げてくれました。そして今に至る感じです」

 

「そういうことだったのか」

 

「黙っていて申し訳ありませんでした」

 

レオはマリュー達に対して頭を下げた

 

「相談、してくれてもよかったんじゃないかしら...」

 

「ラミアス艦長達を信用していなかったわけではないんです。しかしその、バジルール中尉がいらしたもので...」

 

「「あー...」」

 

頭を上げ困り顔のレオ。マリューとムウもあの超がつく程の真面目なバジルールの耳に入ればどうなるかと想像してしまった

 

「レオ。シーゲル様は...」

 

「慌てるなよアスラン。シーゲル様ならマルキオ様と行動している。時が来るまで身を隠されている」

 

「そうか...それならよかった」

 

「安心している暇はないかもしれんな」

 

ラクスの父が健在なことを聞いて安堵するアスラン。しかしキサカが話に割って入り緊張感を戻した

 

「どういうことでしょう?」

 

「ザフトがこのまま見過ごすとも思えん。おそらくだがすぐに追っ手をよこすだろう」

 

「確かに。新型機3機に新造戦艦の損失」

 

「俺も脱走兵の扱いになっていると思います。父、いやパトリック・ザラなら必ず追撃部隊を出すはずです」

 

「そうね。全員補給と整備を急ぎましょう」

 

その場を一旦終了し各々持ち場に戻すマリュー。各自役割を果たすべくその場から離れ最後に残ったのはレオとラクスだった

 

「レオ」

 

「どうした?」

 

全員がいなくなってラクスはレオに抱きついた

 

「会いたかったですわ」

 

「俺もだよ。本当に無事でよかった」

 

「不安でした。あなたが隣にいないだけでこんなに不安になるなんて」

 

「すまなかった。本当に」

 

「いいのです。キラとアスランが心配だったのでしょう?」

 

「あぁ。結果的には今の関係になったが実際どうなるかわからなかったからな」

 

「相変わらずお優しいのですね」

 

「心配性なだけさ。でも...」

 

レオは抱きついているラクスを一旦離しまっすぐラクスの顔を見る

 

「あの2人の心配はなくなった。もうラクスの側を離れない」

 

「レオ...」

 

「平和の歌を平和になった世界でラクスが歌えるように、そんな世界をみんなが見れるように、俺は戦う」

 

「ではわたくしは祈り、歌い続けます。レオがわたくしの隣に居続けてくださるために。必ず帰ってきてくださるように」

 

2人の会話を部屋の外で聞いていた少年。彼は2人の幸せを願いつつも表情を曇らせていた。彼は想う。今この場にいない彼女のことを...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「当面の問題はやはり月でしょうか。奪還したビクトリアから次々と部隊を送ってきていると聞きます」

 

各艦の代表者がアークエンジェルのブリッジに集合して今後のことを話し合っている

 

以前ザフト軍により落とされてしまったビクトリア基地を地球軍が奪還したことは最新の情報。オーブのマスドライバー施設を利用できなかった地球軍はビクトリア基地に目標を移したのだろうという推測が立っている

 

「集結してプラントへ総攻撃、ということなのかしら...」

 

「そもそもそれがしたくてたまらん連中なんだろうしな。青き清浄なる世界のために、だったか?」

 

「よせよ」

 

「僕が言ってるわけじゃないよ」

 

「ま、事実だがな」

 

「なんでコーディネイターを討つことが青き清浄なる世界のためなんだ?そもそもその青き清浄なる世界ってのは知らんが、プラントとしちゃそんなわけのわからん理由で討たれるのはたまらんさ」

 

「でも、プラントもナチュラルを邪魔者扱いでしょ?」

 

「あぁ。それが今のトップが掲げるものさ。これがいったいいつまで続くのかねぇ」

 

「酷い時代よね...」

 

「あぁ」

 

「でもそれをしてしまうのも、また止めるのも人なのです。いつの時代でもわたくし達と同じ気持ちの人はたくさんいたはずです。創りたいものですわね、そうでない時代を」

 

「そうだな」

 

ラクスとレオは顔を見合わせた

 

「んじゃまぁ、とりあえずは情報収集しながら動きを見るってことで」

 

「そうね」

 

「エターナルは最終調整がまだでね。それが終わるまで動けん」

 

「わかりました。では整備と補給をしながらエターナルの最終調整は最優先に」

 

「補給作業はアストレイ隊に任せよう。シミュレーションは行ってきたとは言え、宇宙が初めての者もたくさんいる。できるだけ慣れさせたい」

 

「そういうことなら俺も作業に混ぜてもらうぜ」

 

「フラガ少佐。いやしかしあなたは...」

 

「モビルスーツ乗りとしちゃ俺も嬢ちゃん達と一緒で新米さ。それに、将官だってあんま意味ないだろうし」

 

「決まりですわね。では戻りましょうか」

 

「エターナルがジャスティスとフリーダム専用艦というなら2人もそちらに。レオくんも。こちらはストライクとバスター、それとM1で」

 

「わかりました」

 

「レオ!」

 

話が終わりブリッジを出ようとするレオをミリアリアが呼び止めた

 

「キラ、ラクスを連れて先に」

 

「わかった」

 

「待っていますわね、レオ」

 

「あぁ。すぐ行くよ」

 

ラクスとキラ、バルトフェルドがエターナルへ。そしてキサカとカガリ...はいつの間にいなくなっていた

 

「どうしたミリアリア?」

 

「こっち」

 

ミリアリアはレオの手を掴んでブリッジを出た。そしてその2人にトールとサイもついて行った

 

「いったいどうしたんだ?」

 

着いたのはミリアリアの自室。話があるっぽいのは察したレオだったが内容まで見当がつかなかった

 

「ミリィ」

 

「うん...これ」

 

トールが催促しミリアリアがレオに渡したのは紫色の石が輝くブレスレットだった

 

「くれるのか?」

 

「本当は迷ったんだ。迷惑になるかもって」

 

「そんなこと」

 

「薄々は気づいてたんだよ?あのお姫様とそういう関係になったのかなって...」

 

「...」

 

「私もよくわかんなくなっちゃってて...トールがいるはずなのに、いつからかレオのことばっかり考えちゃって...」

 

「ミリィ...」

 

「フレイの話とか聞いてたら、私ももしかしたらそうなのかなって...でもこれはダメなことだって抑えてきた...でも、レオがMIAってなって...でもまた生きて戻ってきて...」

 

ミリアリアが言いたいことは大体理解したレオ。しかし自分にはラクスがいる。だからか目の前のミリアリアと同じように苦しげな表情を出してしまう

 

「なぁレオ。ミリィの側にいてやってくれないか...?」

 

「トールお前...自分が何を言っているのかわかってるのか...」

 

「わかってる。俺だって気づいてたんだ。ミリィの気持ちの向く方向が段々とレオになってったって...」

 

「...」

 

「ミリィとフレイがさ。レオとキラがいなくなった後ザフトのやつを殺そうとしたんだ。その時確信したんだ。レオのことで殺意が出るほど怒れて、本気で涙を流せる存在にミリィの中でなったんだなって」

 

トールは今までに見なかったほどキリッとした表情で真剣にレオを見ていた。ミリアリアを心配するのではなくはっきりと自分の意思をぶつけているように感じる

 

「ミリアリア」

 

「...」

 

「ミリアリアを守りたい気持ちは変わっていない。それじゃダメなのか?」

 

「...。今まではその言葉が嬉しかった。でも、もうそれじゃ満足できない」

 

涙を拭き赤くなった目元を隠さずミリアリアも真剣にレオに向き直った

 

「隣に立ちたい。今までみたいに守ってもらうだけじゃなくてレオと一緒に大切なものを守れる方法を考えたい」

 

「...。はぁ、ラクスの言う通りになっちまった」

 

重い空気の中レオは大きなため息を吐いた

 

「どういうことだ...返事は...?」

 

「ミリアリア。一度エターナルに来てほしい。そしてラクスに会ってくれないか?」

 

「なんで...私はそれよりも返事を...」

 

「ラクスから言われたんだよ。『レオを慕う人はわたくし以外にもいるはず。その際は一度わたくしのところにお連れしてください』ってな...」

 

「え...」

 

「マジか...」

 

ラクスが前に話したことを自分の口から話すレオは顔を片手で覆い、その話を聞いた3人は驚き呆気に取られている

 

「自分で言うとだいぶやられるなこれは...」

 

「どういうつもりなんだあの歌姫様は...」

 

「わからん。だがなミリアリア、これだけは言っとく」

 

「...」

 

「俺にはラクス・クラインっていう心に決めた大切な人がいる。でもミリアリアを守りたいって気持ちは嘘じゃない。それだけは信じてくれ」

 

「大丈夫。レオが心配はかけても約束は守る人だって知ってるから」

 

「そうか。じゃあ行こう。サイ、トール。艦長に伝えといてくれ」

 

「あ、あぁ」

 

「わかった」

 

「トール」

 

「ん?」

 

「ごめん。私...」

 

「いいって。もう何回も話したし何回も謝られた。早く行ってこいよ」

 

「うん。ありがと!」

 

トールが軽く手を降ってレオとミリアリアは部屋を出た

 

「...」

 

「...」

 

「なぁ、サイ...」

 

「なんだよ」

 

「俺、笑えてるか...?」

 

「...。あぁ、いい顔してる」

 

「そうか...今度やけ酒に付き合ってくれないか...?」

 

「俺達未成年だろ」

 

部屋に残ったトールとサイ。トールの足元は、少しだけ濡れていた

 

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