ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第四十六話

 

 

戦闘は終わった。ただそれはカガリやキラが願った結果では決してなかった...

 

レオやキラ、カガリを収容し再度海底に身を隠したアークエンジェルには大勢の避難員が来艦していた

 

「しかし...」

 

「"ここまでの責めは自分が負う。既にない命だと思うならアークエンジェルへ行け"、と...」

 

カガリやアークエンジェルクルーの前には亡命してきたアマギ他オーブ軍の者達だった

 

「"今日無念に散った者達のためにも"、と...それがトダカ一佐の最期の言葉でした...」

 

「あぁ...」

 

「幾度ものご命令に背いて戦い...艦と多くの兵の命を失いましたことは誠にお詫びのしようもございません!」

 

アマギがカガリに向かって頭を下げ、それに続いてオーブ軍全員が頭を下げた

 

「ですがどうか...!トダカ一佐と我らの苦渋もどうか...!おわかりくださいますのなら!この後は我らもアークエンジェルと共に!どうか!」

 

「アマギ一尉...私の方こそすまない!」

 

「カガリ様...」

 

「私が愚かだったばかりに...!非力だったばかりに...!オーブの大事な心ある者達を...!」

 

「カガリ様!」

 

「私は...私は...!」

 

「カガリ様...!」

 

泣き崩れるカガリに共鳴するようにオーブ軍の者達も全員、儚く散っていった同胞達を想い涙を流す

 

「泣かないでカガリ」

 

「キラ...」

 

「今僕達にわかってるのは、このままじゃダメだってことです。でも何をどうしたらいいのかはわからない。多分ザフトを討ってもダメだし、地球軍を討ってもダメだ。そんなことはもう、散々やってきたことだから...」

 

「...」

 

キラの話を聞きながら寄り添うミリアリアの肩にそっと手を添えるレオ。そしてイマイチ話がわかっていないステラに微笑み頭を優しく撫でる

 

「だから憎しみはなくならないし戦いも終わらない。僕達も戦い続けるのは、本当はダメなのかもしれない...僕達はみんな、多分プラントも地球軍も幸せに暮らせる世界が欲しいだけなんです。だから、皆さんもそうだって言うのなら、その...」

 

「みなまで言うなキラ」

 

「レオくん...」

 

「カガリと一緒に泣いてくれる人達だ。ですよね?」

 

「無論です。仇を討つため...ただ戦いたいから...そんなことを思いを持つ者はここにはおりません。我らはオーブの理念を信望したからこそ軍に身を置いたオーブの軍人です。ならば、その真実のオーブのためにこそ戦いたい。今は亡き、ウズミ様の意志を受け継がれておられるカガリ様と共に...!」

 

「アマギ...」

 

「わかりました。失礼なことを言ってすみません。よろしくお願いします」

 

「いえ、こちらこそ!」

 

アマギ含めオーブ軍人一同キラに向かって敬礼をする

 

「え...」

 

「ふふっ」

 

「まさにリーダーの素質だな。後継者には苦労しなさそうですねマリューさん」

 

「そうね。なんなら今からでも代わってもらおうかしら?」

 

レオの提案に柄にもなく不適な笑みを浮かべキラに目配せをするマリュー

 

「ちょっ、よしてくださいよ...」

 

「まさかあんなにおどおどしてたキラがこんな立派になっちゃうなんてね〜」

 

「ミリィはキラのお母さんかなんかか?」

 

「なっ!やめてよもぅ〜!」

 

「痛い、痛いってミリィ」

 

同い年なくせにお母さんとか言うレオを結構強めに叩くミリアリア

 

「キラ様、レオ様。そしてアークエンジェルのクルーの皆様」

 

敬礼を終えたアマギやオーブ軍人達は今度は一斉に頭を下げた

 

「カガリ様を、魔の手から救い出していただき、誠にありがとうございます!」

 

「そんな...頭を上げてください」

 

「あなた方のような方々がカガリの側にいてくださったのなら俺達の出番はなかったかもしれません。これから先、どうかカガリを支えてやってください」

 

「もちろんでございます!」

 

「レオ...アマギ...」

 

レオやアマギ、キラに感極まるカガリ。自然と涙が浮かぶ

 

「カガリはこの人達のようにオーブの理念を持った人達に報いる働きをしないとな」

 

「わ、わかっている...!」

 

「じゃあまずは、その辛気臭い表情を止めるとこからだな」

 

「えっ...」

 

「ぷふっ、あははは!!」

 

「なっ!なんで笑う!」

 

「いや、カガリは素直なんだなって思っただけだ。素直なのはいいことだ。ミリィ、アークエンジェルには温泉があるんだ」

 

「えっ!そうなの!?」

 

「カガリと入ってくるといい」

 

「なんで私も...」

 

「いいから入ってこい。風呂は心の洗濯だ。今考えることはたくさんあると思うが、一旦整理してくるといい」

 

「...」

 

「なら、私もご一緒しようかしら」

 

「艦長も!?」

 

「あら、いけない?」

 

「いけなくは、ないが...」

 

「ならマリューさんは俺と一緒に...痛ててててて!!!」

 

「バカなこと言ってんじゃないの!ラクスに報告するわよ!?」

 

冗談と受け取ってくれなかったミリアリアはレオの耳を力強く引っ張る

 

「お兄ちゃんはステラとお風呂」

 

「お、じゃあ行くかステラ」

 

「うん!」

 

「えっ!じゃあ私も!」

 

「2回も入ったらふやけちまうぞミリィ?」

 

「キラ...」

 

「うん。僕達は部屋に戻ろうか、フレイ」

 

続々とブリッジを出ていく者達

 

「賑やかな方々ですな」

 

「えぇ。私だけかもしれないですけど、もうみんな家族のような子達よ」

 

みんなを見て感想を漏らすアマギに対してマリューは自分達が家族のような存在だと伝え自分もブリッジを出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルが目指したのはフィヨルドのドッグ。海面から出ると当たり一面大雪が吹き荒れていた

 

到着までカガリは食堂にてアマギ達にオーブを離れてから今までのことを話した。そしてレオとキラは別の場所で外の雪景色を眺めていた

 

「そっか。アスランを...」

 

「あぁ。手荒いことをしたがこれで大切なことに気づいてくれたらいいと思ってる」

 

「そうだね。時には荒療治も必要だと思う」

 

「え...」

 

「え?」

 

「あーいや。キラがそんな考えするなんて、少し驚いた」

 

「僕だってできることなら撃ちたくないよ。レオくんだって一緒でしょ?」

 

「まぁな」

 

「アスランの言うこともわかるけど...でも今回ばかりは譲れないよ」

 

「そうだな」

 

『トリィ』

 

レオはクレタでアスランを撃ったことをキラに伝えた。キラもレオの話を仕方がないことだと割り切って話を聞いている

 

「お邪魔してもいいかしら?」

 

「マリューさん」

 

2人が話しているとマリューがやってきて会話に混ざった

 

「あ、すみません。こんなところでサボっていて」

 

「いいわよ。あなた達2人は本当に頑張ってるもの。また、ね...」

 

「それはマリューさんも同じですよ」

 

「あなた達に比べたら大したことないわ。大丈夫?」

 

「うーん...よくわかりません。いつの間にかアスランと戦うことになってしまったので」

 

「そうね...」

 

「表向きは本当にいい人なんだと思います。でもやっぱり、俺にはラクスのことがあるので」

 

「でしょうね。私達だってラクスさんのことがなければ信用しきってたかもしれないわ」

 

「僕達がやってることって、バカげているのかな...間違っているのかな...」

 

「キラくん...」

 

アスランに何度も言われた。バカげたことはやめろと。キラは自分のやっていることが本当に正しいのか少し不安に思っていた

 

「あなた達はいつだって大切な誰かを守ろうと戦ってきたわ。それは決してバカげたことでも、間違ったことでもない」

 

「マリューさん...」

 

「世界のことは確かにわからないけど、でも大切な人がいるなら世界も愛せるんじゃないかって、私は思うの...」

 

「きっとマリューさんの言う通りですね。だからみんな命を懸けて戦う」

 

「えぇ。ただ、ちょっとやり方が...というか、思うことが違っちゃうことがあるわ。その誰かがいてこその世界なのにね...」

 

「あっ...」

 

「...」

 

キラとレオの頭にある人物が思い浮かぶ。2年前、まるで家族のように一緒に喜び、一緒に悲しんだりしてくれた、マリューにとって大切な人のことを...

 

「アスランくんだって守りたいと思った気持ちはきっと同じはず。だから余計難しいんだと思うんだけど、でもきっと...また手を取り合える日が来るわ。あなた達は...」

 

「ッ...」

 

「だから諦めないで。あなた達は、あなた達で頑張って」

 

「...。はい」

 

「ありがとうございますマリューさん。マリューさんも頑張って。そしたら多分、神様はめぐり合わせてくれると思います」

 

「えっ?」

 

マリューはその時レオの言葉の意味が理解できないでいた。しかしそう遠くない未来でレオの言葉を体現することになる

 

「それと。俺もあなたのこと、家族のようだと思っていますよ」

 

「ッ!聞いていたの...?」

 

さっきブリッジを出る前にマリューがアマギに向かって言った言葉。それをレオに言われドキッとする

 

「嬉しかったです。いろいろ迷惑をかけてるのにそんな風に思ってくれてて。当然マリューさんのことも守ります。家族ですから」

 

「まったく...子供のくせに生意気なんだから!」

 

「ちょっ!」

 

「ふっ」

 

年下のレオにさっき自分が言ったのと同じことを言われ頬を赤くし照れるマリュー。そんな照れ隠しも込めてレオの頭をぐしゃぐしゃと撫でまわした

 

 

 

3人がブリッジに戻るとクルーが少しざわついていた

 

「艦長。ターミナルからエマージェンシーです」

 

「え?」

 

モニターに映し出されたのはザフト軍の艦隊やモビルスーツ、さらには街をも蹂躙していく巨大なモビルアーマーの姿だった

 

「なっ...」

 

「これって...」

 

「ッ!?」

 

その光景にただただ茫然とするキラやマリュー。しかしレオだけは驚愕しステラの姿を確認した

 

(なぜ...!?ステラはいないのに...)

 

レオは顎に手をあてて考え出す。そしてすぐさまなにかピンッと来たのか目を見開いた

 

(ッ!そういえば、"アビス"はどうしたんだ...!)

 

クレタでの戦闘を思い出すレオ。ガイアはこちらで回収した。カオスの存在も確認している。しかしアビスは...?

 

(いな、かった...じゃあまさか!)

 

「お兄ちゃん?」

 

「あ、あぁ。ごめんステラ」

 

「大丈夫?」

 

「少し考え事してただけだ。ありがと」

 

「んっ」

 

レオは心配そうに見つめてくるステラを優しく撫でる

 

「行きます!マリューさん!」

 

「わかったわ!」

 

「さすがに見過ごせんよな...行ってくるよステラ」

 

「ん...」

 

キラに続いてレオもブリッジを出て機体に乗り込む。そして2人発進と同時にアークエンジェルも2人を追うようにスラスターを全開に入れた

 

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