ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第四十七話

 

レオ達が到着したころには街は既に地球軍の巨大モビルアーマー<デストロイ>により壊滅状態でたくさんの個所から黒い煙が上がっていた

 

『なんて大きさだ!』

 

「地球軍は大陸でも破壊する気か...」

 

いざ目の前にするとその大きさに驚愕するレオとキラ。しかし怯んでる暇はない。これ以上の破壊を阻止すべくデストロイ目がけて突っ込む

 

「ッ!後ろだキラ!」

 

『クッ!』

 

デストロイに攻撃を仕掛けるキラに地球軍のモビルスーツ<ウィンダム>、それも紫色で隊長機っぽい機体からビームライフルを放たれる

 

「動く...なにか来るぞ!」

 

敵に動きあり。それはなんども見てきたイージス、レイダー、セイバーの動きに似ていた

 

『なっ!』

 

『これ...』

 

『モビルスーツ!?』

 

変形したこともそうだが、こんな巨大でかつモビルスーツなどとアークエンジェルクルーは言葉を失った

 

「来るぞキラ!気をつけろ!」

 

モビルスーツ形態となったデストロイの胸部から3連の特大ビーム砲がキラを狙った

 

『クソッ!どうしてこんなことを!』

 

「世界を破滅させる気か!ッ!」

 

その攻撃を止めようと迫るキラとレオ。しかしレオはカオスやウィンダムがキラを狙っているところへ方向転換した

 

「邪魔するなっ!」

 

『レオくん!』

 

「先に行け!」

 

レオはキラと別れ先に周りにいる連中を片付けることにした

 

『私も出撃る!これじゃ2人が!』

 

『カガリ様!我らも出撃を!』

 

『え...』

 

『アマギ一尉...』

 

アークエンジェルにて出撃しようとするカガリにアマギも出撃の要請を出す

 

『この戦い、オーブのためのものではありませんが...ただ見ていることなどできません!』

 

『...。わかった。行くぞ!』

 

『はっ!』

 

『いいの?』

 

『これを放っておけるか!』

 

「マリューさん。言いたいことはわかります。でも援護が増えるのはこちらとしてはありがたいです。さすがにあれだけの巨体、キラ1人には荷が重すぎる...」

 

『レオくん...そうね。私達も援護します!』

 

カガリとムラサメ隊も出撃。キラやレオの援護に入った

 

『レオ様!』

 

『ここは我らが!』

 

「すみません。助かります」

 

『任せろ。早くキラのところに!』

 

「カガリも無茶だけはするな?」

 

『わかっている!』

 

駆けつけたムラサメ隊やカガリにその場を任せ急いでキラの救援に向かうレオ

 

「回り込めキラ!」

 

『うん!』

 

デストロイの武装はビーム兵器、ミサイル共に数多く回避するだけで至難の業だった。しかもそれには飽き足らず両腕部を分離しレオの乗るユニティのドラグーンシステムのように自律飛行可能な武装もあり、これがビーム砲もビームシールドも搭載した攻盾一体となっており厄介だった

 

「ッ!マリューさん!ミネルバだ!」

 

『えっ!?』

 

そこへミネルバが乱入。交戦目標がアークエンジェルなのか、はたまた地球軍なのかはまだ定かではないが、警戒を強めるマリュー

 

『危ないレオくん!』

 

「クッ!」

 

ミネルバの出現に気を取られたレオ。デストロイからのミサイル攻撃に反応が遅れてしまう。しかしキラの叫びでなんとか回避。もしキラの声がなければ被弾していたかもしれない

 

『ミネルバよりインパルス発進を確認!』

 

「ミリィ!他のモビルスーツは!?」

 

『インパルス以外の発進は確認できてない!』

 

「そうか...」

 

クレタで受けた大打撃をこの短時間で直しきれというのが到底無理な話。レオはこの場にアスランが出撃してくることはないと思い、再度デストロイに意識を向けた

 

「キラ!あれがいつこちらに牙を向くかわからない!一応注意しろ!」

 

『わかった!ウッ!』

 

「クソッ!」

 

ミネルバからインパルスが接近してくる。レオとキラは通信もままならない状態でデストロイからの砲撃を回避し続けている

 

そのためかインパルスへの迎撃が少なくインパルスは数度回避行動を行っただけでデストロイの懐への侵入に成功。腹部をビームサーベルで斬りつけた

 

「ッ!?(誰だ...あれは...)」

 

インパルスが斬りつけた部分はコックピットであり中がむき出しの状態になった。そしてレオが見たのは青いパイロットスーツ。ただヘルメット越しに見えた顔に見覚えはなかった

 

(女...?)

 

一度離脱したインパルスは再度デストロイへ突っ込もうとする。しかしここへ紫色のウィンダムが突進しインパルスと接触した。そしてインパルスは、動きを止めた

 

『クッ!』

 

「なにしてる!的にでもなるつもりか!」

 

動きを止めたインパルスに迫ろうとするデストロイをレオとキラが牽制する。それを見たウィンダムは標的をレオに変えてきた

 

「...。すみません」

 

レオは向かってくるウィンダムをライフルを撃ち抜きそのまま頭部を蹴りで破壊。反転してフライユニットを斬り落とす

 

「マリューさん!こっちを頼みます!」

 

『え...ちょっとレオくん!?』

 

落下していくウィンダムをなぜかマリューに任せるレオ

 

『はっ...!』

 

アークエンジェルのモニターにウィンダムから身を投げ出されたパイロットの姿が映る。その姿にマリューは見覚えが...いや、見覚えしかなかった...

 

隊長機を失ってもデストロイは攻撃を止めなかった。胸部の3連ビーム砲を街に向かって放ち続ける

 

『クソッ!もうやめろ!!』

 

「ッ!キラ!」

 

ビームサーベルを抜きデストロイに斬りかかるキラ。しかしビームシールドで防がれデストロイから反撃を受ける。それを回避したキラになんとインパルスが攻撃を仕掛けてきた

 

「何だってんだ!!(ステラとは会ってないはずなのにどうして!!)」

 

キラに迫るインパルスを牽制するレオ。その心は混乱でいっぱいだった

 

何度かレオと剣を合わせたインパルスがまた急に停止。持っていたビームサーベルのビームを切ってデストロイへと近づいた

 

『なにを...』

 

「わからん。ミリィ、ミネルバへ電文を頼む。俺達が止めようとしてるものはそちらと同じなはず、ってな」

 

『了解!』

 

インパルスはなおもデストロイに接近。しかしなんとデストロイも迫るインパルスに呼応するように動きを止めた

 

「どうして」

 

『わからないけど、このまま終わりとも思えないよ...』

 

「そうだな。警戒は続けよう」

 

レオとキラの警戒は当たった。デストロイは再び動き出しビーム砲を点火させる。しかしインパルスは迎撃態勢を一向に取ろうとしなかった

 

『もうやめろー!!』

 

「間に合えー!!」

 

顔面口部にエネルギー砲にレオが、胸部にはキラがそれぞれビームサーベルをぶっ刺した

 

 

 

 

『アウルー!!!』

 

 

 

 

「なっ!?」

 

2人がビームサーベルを刺した部分が爆発し倒れていくデストロイ。離れるレオに一瞬聞こえたシンの声。その聞こえた名前に驚愕した

 

(そんな...まさかアウルが()だなんて...誰が想像つくかっ!)

 

レオとキラはデストロイが完全に沈黙したことを確認してアークエンジェルへ帰投した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年と少女の出会いはアーモリーワンにまで遡る...

 

友達の付き合いで街に出ていた少年、シン・アスカが出会ったのが青髪の少女、アウル・ニーダだった

 

このときはお互いに名前も知らず本当に偶然出会っただけの出来事。お互いに街中でたまたま見かけたぐらいのレベルの出会いだった

 

しかし2人は地球で再会を果たした。ディオキアの街で海を眺めていたアウルの元にシンが遭遇。ただこのときお互いは以前にも会ったことがあったことを忘れてしまっていた

 

『君、海好きなの?』

 

『はぁ?お前に関係ないだろ』

 

シンにとって最初の印象は最悪だった。アウルにとってもそうで少し口を開けば怒鳴り散らかすシンにうるさいと感じるほどで、シンはアウルのことを態度の悪い女、アウルはシンのことをガキっぽい男、と感じたのだった

 

『は~ん。お前も苦労してんだな』

 

『君程じゃないけど』

 

お互いにどこのどいつなのかは言えない立場だった。しかし遠回しに自分の生い立ちを語っていると悪態をつきつつも段々と距離が縮まっていくような感覚に陥った

 

『てかお前、チラチラ見すぎ。エロガキ』

 

『なっ!ち、違う!』

 

アウルは途中からシンが自分の大胆にも見えすぎている胸元をチラチラ見ているのに気づいていた。しかしアウルは照れることは一切なく逆にニタり顔でわざと胸を寄せて見せつける。そんな耐性がないシンは否定しつつも顔を真っ赤にしてさらにいじられてしまう

 

『はっ!やっぱガキだな』

 

『それならそっちは痴女だろ!』

 

アウルがからかいシンが怒る。なぜかそんな関係が確立されてしまっていた。ただ最初にあったときほどアウルはシンのことを嫌悪に思えなくなっていた

 

『そろそろ戻らないと』

 

『そうかよ。ま、そこそこ楽しかったぜ』

 

『こっちは疲れたよ...』

 

『...。生きて会えたら、そんときはまた話し相手になってやるよ』

 

『いつまで上からなんだよ。それじゃあそんときは覚悟しろよ!?』

 

『ふっ、言ってろ』

 

お互いに相手のことが心に刻まれ静かに再開を望んで離れた2人。しかしそんな2人が次に再会したのは、敵同士としてだった...

 

『そ、んな...』

 

<ロドニアのラボ>。地球軍がコーディネイターに勝つため投薬、特殊訓練、心理操作により兵士としてナチュラルを育てる施設の一つ。そこへ調査に赴くことになったシン達ミネルバ隊の元に突如として現れたモビルスーツ。アーモリーワンにて地球軍の奪取された1機、アビスに乗っていたのがアウルだったのだ

 

単独で襲撃してきたアビスを撃破しパイロットであるアウルを捕らえたミネルバにてアウルの検査が行われた

 

『なんて顔してんだよ、テメェは...』

 

『だって君、見るからに弱って...』

 

『テメェが心配することじゃねぇんだよ。だからんなしけたツラしてんじゃねぇ...』

 

アウルは強がってはいるが見るからに日に日に体が弱まっていく。シンはそんなアウルが心配で仕方なかった

 

そして彼女が地球軍が<生体CPU>、モビルスーツの部品の一つとしてぞんざいな扱いを受けている者の1人だとたまたま聞いてしまったシン。また生命を維持するには何かしら特殊なことをしなければならないことも...

 

『俺は...』

 

時間が経つごとにどんどんと顔色が悪くなるアウルを見るだけで苦しくなっていくシン。彼は遂に、彼女を救い出すことを決断した。アビスの固有信号を解析しインパルスに搭載。救護室にてアウルの状態を看ていた看護師を気絶させベッドごとアウルを連れ出した

 

『テメェ...なんの、つもりだ...』

 

『君を助ける』

 

『誰が、んなこと...』

 

『俺がそうしたいから!』

 

『...。勝手にしやがれ...』

 

ぼやける視界でなんとかシンを確認できたアウルはこんな状況でも悪態をつく。しかしそんな彼女の顔には少しながら笑みが見てとれた

 

途中整備班に見つかりはしたものの理由はわからないが同室のレイが脱走を協力。おかげでシンはアウルを連れてインパルスにて無断発進。地球軍がいると思われる場所へ向かいアビスの固有信号を発信した

 

『おいバカ...』

 

『しゃべらないで!少しでも体力を温存しないと!』

 

『僕をナメるな...なんで敵である僕を、助けようとする...』

 

『わからない...でも、君を放ってはおけない!』

 

『はっ...本当にガキだな、テメェは...』

 

文句を言いつつもアウルは今出る最大の力でシンを抱きしめた。その行動にシンは体調が悪くなりぐったりしているのだと勘違いし目的の場所まで急いだ

 

その後アビスの固有信号を受けた地球軍の代表がシンの元へ。シンは警戒しつつも接触した。相対するのはアウル達の面倒を見ている仮面の男

 

『死なせたくないから返すんだ!だから絶対に約束してほしい!もう戦場には絶対に出さないと!死ぬようなこととは関わらせないと!』

 

『...。あぁ。約束する』

 

シンからの懇願に一瞬の間を開けてから答える仮面の男。男の言葉を信じアウルをを引き渡したシン

 

『アウル...』

 

『チッ...こんな姿、見んじゃ...ゴホッ!ゴホッ!』

 

『アウル!』

 

今のアウルの状態はシンに対して悪態をつくことも難しいところまで陥っていた

 

『...。ありがとうと、言っておくべきかな?』

 

『別にそんなのはどうだっていい。だがさっき言ったことは!』

 

『わかってるよ。じゃ...』

 

『待って!』

 

シンは去ろうとする仮面の男を呼び止める

 

『あの。これ...』

 

『あん...?』

 

別れる前にシンが仮面の男に支えられるアウルに渡したのは瓶に入った青い貝殻だった

 

『君と初めて会った場所で見つけた貝殻なんだ』

 

『んなもん...』

 

『いいから。受け取ってほしい』

 

『...。別にいらねぇが...持っといてやるよ...』

 

アウルは嫌々言いつつもその青い貝殻が入った瓶を絶対に落とさないと身に抱えた。そしてシンはインパルスに駆け乗りその場を去った

 

『...』

 

そしてこれがシンとアウル、2人の最後の別れ...となるはずだった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デストロイから放り出されたアウルを抱き抱えるシン。その眼からは涙が止まらなかった

 

「アウル!」

 

「ははっ...気安く名前、呼んでんじゃ...ねぇよ...」

 

「どうして、こんな...クッ!」

 

デストロイのコックピットを破壊した際にアウルの姿を確認したシン。何度も止めようとした。もう少しだった。でも、結局こうなってしまった...

 

「ウッ!」

 

「アウルッ!」

 

「だから...おいシン...」

 

「ッ!」

 

ここに来て初めて名前を呼ばれたシン。だがそんなことよりもどんどんと支えるアウルの体の力が抜けていくことに気づいてしまう

 

「お前のこと...それなりに、好きだった、ぜ...」

 

そこでアウルの目は閉じられ全身の力が一気に抜けた...

 

「アウ、ル...あ、あぁぁ...あぁぁぁぁ!!!!」

 

シンとアウル。会った時間は少なかった。しかし2人の中にはお互いがもう大きな存在となっていた。しかしもう、2人が出会うことは...

 

シンは帰らぬ人となったアウルを抱えインパルスに乗りその場を離れる。そして静かな、雪の降る静かな湖の真ん中まで機体を進め、コックピットが水面ギリギリにまで来たところで機体の右手をコックピットの前に持っていきその上に乗った

 

「もう...何も怖くない...苦しいこともない...もう大丈夫だ...だから...」

 

涙を流しながらシンはアウルの体を水面につけた

 

「だから...安心して...ここで静かに......おやすみ」

 

最後の言葉を投げかけシンはアウルから手を離した。アウルは湖の底へと沈んでいく。パイロットスーツの首元からはシンが渡した青い貝殻のネックレスが、自力で手を伸ばせないアウラに代わってシンの元に戻りたがってる。そんなように見えた...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルへ戻ったレオとキラ。相当厳しい戦いだったためか2人ともぐったりとしている

 

「お兄ちゃん!」

 

「ステラ...」

 

そこへステラか駆け寄ってくる。そんなステラをレオは受け止めめいいっぱい抱きしめた

 

「んっ...お兄ちゃん?」

 

「ステラ...ここにいてくれて...生きててくれて、ありがとう...」

 

レオは無事に帰ってきたはず。しかしステラの姿を見て涙を流した。そしてそんなステラを力いっぱい抱きしめながら、彼女が生きてここにいてくれることに感謝を向ける

 

「ステラも...助けてくれてありがとう。お兄ちゃん」

 

「ッ!ステラ...!」

 

そんなレオを優しく抱きしめ返すステラ。レオがどんな感情でいるかわからない。でも自分のことで泣いてくれていることだけは理解したステラ。そんなステラもレオにつられてか静かに涙を流したのだった

 

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