ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第四十九話

 

 

アークエンジェルは発進した。しかし発進した途端ザフト軍による猛攻撃を受けていた

 

「牽制しろキラ!アークエンジェルは俺が!」

 

『わかった!』

 

『取り舵10!台地の陰に回り込んで!』

 

『はい!』

 

『バリアント撃てーっ!』

 

地上からも空からも全方位から集中砲火を受けるアークエンジェル。どれもこれも直撃コースの攻撃だったがそれをレオが許すはずがなかった

 

「フラガ少佐だって帰ってきたんだ。また失わせてたまるかっ!」

 

『レオくん...』

 

「マズいです!いいように追い込まれてる!」

 

『わかってるわ!』

 

『完全に包囲されてます!8時よりバクゥ8!10時よりバビ9!』

 

『ミサイル来ます!』

 

「クソッ!キラ!バクゥを!」

 

『うん!』

 

アークエンジェルに迫るミサイルをなんとか爆散させるレオ。そしてまたアークエンジェルに狙いをつけているバビに一気に突っ込んだ

 

『艦長!無意味な戦闘を避けるというこの艦の理念は理解しておりますがこれでは沈みます!直撃の許可を!少なくともせめて我らのムラサメ隊の発進を!』

 

「却下です!アマギ一尉!」

 

『ッ!?レオ様!』

 

バビを1機ずつ頭部破壊や武器破壊で戦闘不能にしていくレオが通信に入ってきたアマギの申請を一蹴する

 

「オーブ軍機であるムラサメ隊がザフトと戦うことは絶対にあってはならないんです!それこそデュランダル議長の思うつぼだ!」

 

『しかし!』

 

「それにもし出撃して撃墜されたときのカガリの気持ちはどうなりますかっ!!」

 

『ッ!!』

 

レオは最後に残ったバビの四肢を切り刻みながら珍しく怒号を上げる

 

「せっかく自分と理念を同じくしてくれている人達と出会えたというのに、その人達がまた目の前からいなくなることが、今のカガリにとってどれだけツラいか!!」

 

『レオ...』

 

アークエンジェルに副館長席に座ったアマギや操縦補助席に座るカガリ。そして戦況を見ていたオーブ軍人達は揃って拳を強く握りしめた

 

「マリューさん!ザフトの狙いは持久戦に持ち込み俺達を消耗させていくことです!絶対に焦らないで!キラもな!」

 

『えぇ!わかっているわ!』

 

『うん!』

 

キラはレオの指示を聞き冷静にその場を凌ぎバクゥを全て戦闘不能にした

 

『ッ!レーダーが!ジャミング弾が放たれました!』

 

『来たわね...』

 

『レオくん...』

 

「あぁ。本命のお出ましだ。気をつけろキラ」

 

アークエンジェル各員今一度気合を入れた。そして待ってましたとでも言うようにフリーダムに突っ込んでいく機影が1機。"インパルス"だった

 

『...』

 

しかしその突進を冷静に避けるキラ。だがインパルスもそれで止まるはずもなく方向転換して立て続けに攻撃を仕掛ける

 

『ッ!11時!ノイマン少尉!』

 

『クッ!』

 

マリューは吹雪の中に黒い影を見た。そしてすぐさまノイマンへ指示。その正体は言わずもがな"ミネルバ"だった。マリューの声と同時にミネルバは発砲。さきほどアークエンジェルがいた場所に着弾した

 

「さぁ、お出ましだ」

 

アークエンジェルは少し高度を上げミネルバの頭上を通過する。レオもそれに続いた。しかしミネルバは反転しアークエンジェルの後を追ってくる

 

『ザフト軍ミネルバ艦長、タリア・グラディスです。アークエンジェル聞こえますか?』

 

『艦長!ミネルバから国際救難チャンネルです!』

 

『えっ...?』

 

戦闘が始まったというのにミネルバから敵であるはずのアークエンジェルに通信が入った

 

『本艦は現在、司令部より貴艦の撃沈命令を受け行動しています』

 

「やはりか...」

 

デュランダル議長はロゴスだけでなくアークエンジェルをも討つ命令をくだしていたことに薄々気づいていたいアークエンジェル全員は今の言葉で確信を得た

 

『しかし、現時点で貴艦が搭載機をも含めたすべての戦闘を停止し投降するのであれば本艦も攻撃を停止します。警告は一度です。以後の申し入れには応じられません。乗員の生命の保証を約束します。貴艦の賢明な判断を望みます』

 

『...』

 

『艦長...』

 

通信が終わりアークエンジェルブリッジが騒然となる

 

『さすがはあのミネルバの艦長ね。やっぱり敵にしたくないわ』

 

『しかしここでザフトに投降などしたら!カガリ様の御身は!』

 

『アマギ!』

 

「心配無用ですよアマギ一尉」

 

ミネルバからの警告に慌てるアマギだったがレオもマリューも、アークエンジェルクルー誰一人として同じ気持ちでいた

 

『レオ様...それはいったいどういう...』

 

「ご存じありませんか?アークエンジェルで一番強気で、負けん気が強いのはマリューさんなんですよ」

 

『あら、それは褒められてるのかしら?』

 

「えぇ。俺だけではなくみんながそんなあなたについていきますよ、艦長」

 

『フフッ。ミリアリアさん、向こうと同じチャンネルを開いてくれる?』

 

『もう準備できてます。いつでもどうぞ』

 

『ありがとう』

 

「さすがだなミリィ」

 

仕事の速さを褒めた画面越しのレオにマリューのことは自分もちゃんとわかってるとでも伝えるようにウィンクするミリアリア

 

『アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスです。貴艦の申し入れに感謝します。ありがとう。ですが残念ながらそれを受け入れることはできません』

 

『えぇっ!?』

 

通信の向こうでミネルバの副官であるアーサー・トラインが申し出を断るマリューに驚く声がする

 

『本艦にはまだやり遂げねばならないことがあります。連合か...プラントか...。いままた二色になろうとしている世界に、本艦はただ邪魔な色なのかもれません。ですが、だからこそ今ここで消えるわけにはいかないのです。願わくは脱出を許されんことを...』

 

マリューはそこで通信を切らせた

 

「マリューさんの見目麗しい姿がザフト軍全体に知れ渡っちゃいましたね」

 

『お世辞も大概にしておきなさい』

 

『レーオー...?』

 

「ホントのことなのにな」

 

『ふっ。機関最大っ!海へっ!!』

 

スラスターを最大に入れ渓谷を進むアークエンジェル。そしてそれを追うミネルバ。そして多数のザフト軍モビルスーツが攻撃を再開した

 

「動いたーっ!!」

 

レオはこの大量のモビルスーツ隊を逆に待っていた。できるだけこのモビルスーツをミネルバのやや前方上空で戦闘不能にするか、戦闘不能にしたモビルスーツをミネルバめがけて蹴落としていった

 

「目くらましに最適っ!」

 

ミネルバはレオによって戦闘不能にされたモビルスーツの直撃で船体が揺れて上手く照準が取れないでいた

 

「キラは!」

 

『インパルスと交戦中!被弾あり!』

 

「クッ!キラ!」

 

『大丈夫!レオくんはアークエンジェルを!カガリを、絶対にオーブへ!』

 

「ッ!あぁ!!」

 

『レオ!』

 

「ッ!?」

 

ミリアリアが呼ぶ声。なんとザフト軍モビルスーツの標的がアークエンジェルからユニティに変わったのだった。ビームにミサイル、さらには陸上戦艦の砲撃も飛んでくる

 

『レオくん!』

 

「こっちは構わず先に行ってください艦長!」

 

レオは放たれる攻撃を紙一重でかわし続けながらマリューへ指示を出す。レオがモビルスーツを引き離してくれたおかげでアークエンジェルは海へ抜け水面に艦底部を当てた

 

 

 

 

 

 

 

 

キラもインパルスからの執念とも思えるべき攻撃をなんとかいなしながら海へと急いだ。しかしインパルスも見逃してくれるわけもなく追いかけてくる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルが潜水を始めようとしたとき、ミネルバが逃がすものかとスタンバイしていたタンホイザーを発射した

 

そしてその攻撃がアークエンジェルに向かう

 

 

 

 

 

 

 

「おぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミネルバが放ったタンホイザーはアークエンジェルの後方で分散。そこにはシールドでタンホイザーを受けるユニティの姿が...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬、ほんの刹那の瞬間アークエンジェルに気を取られたキラ。その時間が命取りとなりインパルスの接近を許す。インパルスがソードシルエットのソードの剣先を向けて突撃してくる。キラはシールドで防ごうとするもその勢いは凄まじく、シールドを貫通して腹部を貫かれた...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海上で起こる大きな爆発。そこに残ったのは、ボロボロのインパルスのみだった...

その場にはアークエンジェルも...フリーダムも...ユニティも...姿は見られなかった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レオ!!」

 

『だい...じょ......それよ...キラ......』

 

通信が安定しないがレオは生きていることを確認。しかし...

 

「キラ!キラ!!」

 

フレイが何度呼びかけてもキラからの応答がない。ただ救難信号が発せられているだけだった

 

「あいつらを連れ帰る!」

 

「お願いするわ!それと第一エンジン切り離して爆破させて!」

 

「えっ!?」

 

「撃破できたと錯覚させるのよ!早く!」

 

「は、はい!」

 

カガリがブリッジを出るのと同時にマリューの指示通りエンジンを切り離し海底で爆発を起こさせ、アークエンジェルは海底深くへ潜っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界は大きく動き出した...

 

デュランダル議長の言葉に賛同するもの達がロゴスの拠点を潰し始めたのだ。これに続くかのように各地で地球軍を追い出す動きも見て取れた

 

『コーディネイターは間違った危険な存在と...分かり合えぬバケモノと...なぜあなた方は思うのでしょうか。そもそもいつ、だれがそんなことを言い出したのでしょうか』

 

先日から頻繁に流されているロドニアのラボのような地球軍の実験施設。カプセルのようなものに入れられそのまま放置された子供や体中から血を出し倒れている子供。たくさんの子供の悲惨な姿が全国に放映されていた

 

『こんなことを平然と行うロゴスの方がよっぽどバケモノだ!それもこれもただ我々と戦い続けるためだけにやっている。己の身に危険が迫れば人はみな戦います。それが本能です。だから我々は戦う。そして撃ち返す。私達の歴史はそんな悲しい連鎖の繰り返しだ』

 

そして2年前の映像。地球軍が核を撃ち、ザフトがジェネシスを撃つ。それはお互いが滅ぼし合うことを意味しているのだろう

 

『戦争が終われば兵器はいらない。今あるものを壊さなければ新しいものは作れない。畑を吹き飛ばさなければ植えて苦しむ人々に食料を交わせることはできない。平和な世界では儲からないから、牛耳れないからと彼らは常に我々を戦わせようとするのです。こんなことはもう本当に終わりにしましょう!我々はただ殺し合いがしたいわけじゃない!』

 

そしてまたデストロイが街を破壊していく映像が流れる

 

『こんな兵器がなくとも人は生きていけます!戦い続けなくとも生きていけるはずです!歩み寄り、話し合い、今度こそは彼らの創った戦う世界から共に抜け出そうではありませんか!』

 

もはやデュランダル議長を悪と言う人は世界にいるのだろうか。彼の言うことを否定する者がいるだろうか。否。世界は既に彼の味方となるだろう...

 

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