ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第五話

 

 

ザフトの攻撃をくぐり抜けやっとの思いでアルテミスに入港したアークエンジェルだったが、認識コードを持たないということでなんと拘束されてしまった。士官であるマリュー、ナタル、ムウの3名はアルテミスの指揮官の元に連れていかれ残ったクルーは民間人も含め食堂に押しやられていた

 

「一体なんだってんだよこれは!」

 

「アルテミスって味方のはずじゃなかったんですか...?」

 

「認識コードがなかったのがまずかったらしい」

 

「そんな!」

 

「問題はそこじゃないと思いますがね」

 

アークエンジェルの操舵手を務めるアーノルド・ノイマンは拘束している側の意図を認識コードがないからという理由ではない何かに疑念を抱いている様子だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でマリュー達3人はアルテミス指揮官ジェラード・ガルシア少将の前に案内された

 

「ようこそアルテミスへ。あの艦の認識コードがなかったのでね、君達のIDを確認させてもらったよ。確かに大西洋連邦のものだ」

 

「お手を煩わせてしまい申し訳ございません」

 

なにやらニタリ顔で話すガルシアにムウが軽く頭を下げて謝罪する

 

「いやなに、"エンデュミオンの鷹"殿の名は私も耳にしているよ。しかしそんな英雄があんな艦と現れるとはな」

 

<エンデュミオンの鷹>。それはかつて月面エンデュミオン・クレーターでの戦闘時ムウの駆ったメビウス・ゼロが性能面で圧倒的に勝っていたジンを複数機撃墜するという大戦果を挙げたことに由来する異名である

 

「特務でありますので。詳細をお伝えすることはできません」

 

「なるほどな。しかしすぐに補給をというのは少し難しいな」

 

「我々は一刻も早く月の本部に向かわなければならないのです。ザフトにも今だ追われておりますし」

 

「ザフト。それはこれかね?」

 

ガルシアは3人の正面にある大型モニターを写した

 

「これは!」

 

「ザフトのローラシア級。先刻からずっとうろうろしているよ。だがこのアルテミス、あんな艦の1隻や2隻大したことではない。問題は君達だろう?」

 

「我々、と申しますと...?」

 

「あの艦がいる限り補給をしたところで出られまい?」

 

「あの艦が追っているのは我々です!これ以上滞在すればここにも被害が!」

 

「はっはっはっは!!!」

 

ムウの意見にガルシアは大きく高笑いをする

 

「被害?このアルテミスがか?そんなわけあるまい。奴らはいずれここを去る。なにもできずにね」

 

「しかし司令!」

 

「まぁ待て」

 

それでもムウは何か言いたげだったがガルシアは聞き入れまいと手で制する

 

「ともかく君達は一旦休みたまえ。部屋を用意させてある」

 

「司令...」

 

「奴らが去れば月とも交信できよう。話はそれからだ」

 

「ここは、そんなに安全ですかね...?」

 

「あぁ。まるで母の腕の中のように、ね」

 

ムウの意見はまったく聞き入れられず半ば強制的に客室へ案内されてしまった。もちろん外には見張りがついて勝手に出れないようになってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワールコックピット内…シートにミリアリアが膝を抱えるようにして座り、レオはシートの裏でできるだけミリアリアと密着しないように気を遣っていた

 

「この状況は...ケーニヒには全力で謝らないとな」

 

「なによそれ。別に気にしなくていいわよ。私のこと助けてくれたんだし...トールには私から言っとくから」

 

「それでは納得できないのが男ってもんだろう」

 

「そうなの?男ってめんどくさいね」

 

「女だって同じ男女逆転して同じシチュエーションになれば嫉妬もするでしょ」

 

「んー、どうだろ。状況が状況だし」

 

「意外とドライなんだなミリアリアは...」

 

思っていた反応とは違い少し戸惑うレオ

 

「それよりも大丈夫かなトール達」

 

「さぁな。でも一番危ないのはキラだろうな」

 

「どうして?」

 

「じゃあ答え合わせしていこうか。1つ、なぜアルテミスの奴らはみんなを拘束したと思う?」

 

「それはさっき認識コードがなかったからって」

 

「多分それは口実。本当の狙いは新型艦と新型モビルスーツ」

 

「えっ!?でも味方でしょ!?」

 

「権力争いってのは怖いものだ。じゃあ2つ、新型艦と新型モビルスーツを自分達のものにするならどうする?」

 

「えーっと。奪う?」

 

「それができるなら正解。でも見てる限りそれはできてなさそうだ」

 

「なんでわかるの?」

 

「そりゃ俺らがまだここにいるからだろ?」

 

「ん?どういうこと?」

 

レオの答えにミリアリアはピンとこないようすでさらに疑問をぶつける

 

「もし奪うことができるならとっくにコックピットもこじ開けられて俺もミリアリアも拘束されている。でもそれができてないってことは?」

 

「はっ!強制的に開けられない!」

 

「ん。じゃあ3つ、力づくで無理ならどうする?」

 

「そりゃ開けられる人...あっ!だからキラが危ない!」

 

「正解。だから俺は今までここから降りなかった」

 

「そっか。レオの中ではまだ信用できるか不安だったのね...」

 

「そうだな。キラがコーディネイターって知っただけで銃を向けてたし。もし俺とキラが拘束されたらみんな助けられる人がいなくなっても困る」

 

ようやく正解にたどり着いたミリアリアは今までレオがノワールから降りなかったことにも納得した

 

「そうならそうと言ってくれればよかったのに...」

 

「どこで誰が聞いてるかわからないだろ。それに...」

 

「それに?」

 

「このことを知ったミリアリア達が人質に、なんて考えたくないからな」

 

「ッ!」

 

ミリアリアはレオが戦うだけでも大変なのについこの前知り合った程度の自分達のことを考えてくれていたことに胸が苦しくなった

 

「そんなことまで考えてくれてたんだ...」

 

「まぁな。ッ!キラ...」

 

「え...あっ!」

 

ふとモニターを見ると地球軍人2、3人に銃を突きつけられながらストライクの元に歩み寄るキラの姿あった

 

「嫌な予感が現実になったな」

 

「どうしよ...キラが...」

 

「大丈夫だ」

 

「どうして!」

 

「キラが来たならタイミング的にそろそろのはずだから」

 

「え...?」

 

キラがストライクのコックピットに入って少し、アルテミスにて大きな振動が響いた

 

「なに!?」

 

「爆発だな。外からか」

 

「爆発ってもしかして敵!?」

 

「わからないが、何もなしに爆発なんて起きないよな。シート代わってくれ、ミリアリア」

 

「う、うん」

 

レオはミリアリアと入れ替わりでシートに座り、ノワールを起動させる

 

「大丈夫なの?」

 

「外の様子を見るだけ。しっかり捕まってて」

 

レオはミリアリアを乗せたままノワールを動かす。するとキラの方でも動きがありアルテミスの振動に慌てる軍人を蹴り出しコックピットを閉めストライクを動かし始めたのだ

 

「キラ。聞こえるか?」

 

『レオくん!』

 

「見てたよ。うまいことやったな」

 

『そんな。それよりもこの爆発』

 

「あぁ。おそらく敵の攻撃だな」

 

『敵...』

 

「敵ってザフトよね。でも一体どうやって?」

 

『ミリアリア!?なんでそんなところに!』

 

「話は後でする。キラ、ミリアリアをそっちに」

 

『え!?』

 

「俺がようすを見てくる。キラはミリアリアをブリッジまで送ってほしいんだ」

 

『でも、艦長達が連れて行かれて。みんなも拘束されてて』

 

「そこはこの爆発に紛れて上手くやってるだろ」

 

「なんでそんなことわかるのよ」

 

「かもしれないって話だよ。いいから頼むキラ。時間がない」

 

『わ、わかったよ』

 

レオはストライクに近づきミリアリアをストライクのコックピットに押しやった

 

「じゃあ俺は敵の注意を引く。キラは通信でブリッジを呼び続けておいてくれ」

 

「レオ!」

 

「ん?」

 

ミリアリアをキラに預けてコックピットを閉めようとするレオにミリアリアが大声で呼びつける

 

「気をつけてね...」

 

「あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオが外に出ると既に目の前にブリッツが迫ってきていた

 

「原作通り消えるガンダムってやつね」

 

出会い頭ブリッツは左腕に装備されている有線式ロケットアンカーの<グレイプニル>を放ってきたがレオはアンカーランチャーをぶつけて相殺する。さらにビームサーベルを出して接近してこようとするがレオはこれをビームライフルショーティの連続射撃で牽制。距離をまったく縮ませない

 

「一辺倒な戦い方だな」

 

ブリッツは怯むことなくビームライフルや3連装超高速運動体貫徹弾<ランサーダート>を放ってくるが、レオはこれもすべて容易く回避する

 

『レオ!』

 

「戻れたのかミリアリア」

 

レオは回避を優先しながら交戦しているとミリアリアから通信が入った

 

『艦長達も戻ってここを脱出するって。だからレオも戻って』

 

「了解。すぐ帰還する」

 

レオはミリアリアから指示を受けブリッツ近くの壁を撃ち煙幕を作り出す。アルテミス自身の爆発とも相まって目眩しには十分すぎるものだった

 

ブリッツの視界が失われたことでレオはアークエンジェルに無事帰還。それを合図にアークエンジェルは速度を上げ、爆発が続くアルテミスを脱出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後のザフトの追撃はなかった。アルテミスの爆発がいい目眩しになったおかげで敵の追尾を負けたのは不幸中の幸いだった

 

「あんな扱いは受けたが、最後の最後に感謝の言葉をあげないとな」

 

「えぇ」

 

「これからどうしますか?」

 

ブリッジでは一旦は敵を撒けたことに安堵しつつも補給という観点でなにも成果を得られなかったことを危惧していた

 

「最大の問題は水と食糧ね」

 

「えぇ。私どものみならまだ耐えられましょうが、民間人もおりますので...」

 

「だよな」

 

『失礼します』

 

毎度のごとくマリュー、ムウ、ナタルの3人が話し合いを行なっているととある人物がブリッジに入ってきた

 

「レオくん...」

 

「ほう。これはどういう風の吹き回しかな?」

 

ブリッジに入ったのは今まで自身の機体から出ようとはしなかったレオだった

 

「アルテミスでみなさんが連れ去られ戻ってこなかったとキラから聞きました。それを聞いてあそこにいた連中とは馬が合わなかった、勝手ながらそう解釈しましたので。それにキラの友達もあなた方を手伝っていると聞きましたしもう大丈夫だろうと」

 

「なるほど。少しは信用してくれたってわけね?」

 

「えぇ」

 

レオの言葉で大体察したムウはゆっくりとレオに近づく

 

「こうして顔を合わせるのは初めましてだな。改めてムウ・ラ・フラガだ」

 

「レオ・シュヴァルグランです」

 

ムウが差し出す手をレオはそっと握り返す

 

「レオくん。あなたにはなんと言ったらいいか」

 

「必要ありませんよラミアス艦長」

 

「え...」

 

「俺は俺のできることをしていただけです。それは申し訳ないですけど別にあなた達のためじゃない。自分自身が死なないためとキラやキラの友人であるみんなを守るためです」

 

「そう...ありがと」

 

「こちらこそ。今まで生意気な行動ばかり取って申し訳ありませんでした」

 

「いいのよ。事情はわかっているつもりだから」

 

レオは今までの行いを頭を下げて謝罪する。マリュー自身も戦火に巻き込んでしまっている立場であるのですぐさま頭を上げさせる

 

「しっかし君の戦闘能力はすごいもんだな。民間人と思えないんだが...」

 

「大尉...!」

 

「いいんですバジルール少尉。俺もキラと同じコーディネイターですので」

 

「薄々感じてはいたが、やはりそうか」

 

「はい」

 

「レオくん」

 

「はい」

 

ムウの質問にレオが正直に答えるとその場の雰囲気がずっしり重くなったようだったが、その中でもマリュー恐る恐る口を開いた

 

「その...今後も力を貸してもらえないかしら...」

 

「もちろんです」

 

「ッ!」

 

マリューも他の者もレオのあまりにも早すぎる返答に驚いた

 

「そんなに驚くことですか?」

 

「い、いえごめんなさい。あまりに即答だったから」

 

「自分の力で助けられる命があるのであればやります」

 

「そう...ありが「しかし」...」

 

マリューが今後の協力に安堵し感謝を伝えようとするとレオがその言葉を遮った

 

「しかし、今後アルテミスでのようなことがあるようでしたら俺はその銃口をあなた達に向けます。それはお忘れないように」

 

「あれは!」

 

「バジルール少尉」

 

「ですが!あれは我々でも!」

 

「いいのよ」

 

アルテミスでのことは自分達でも想定外のことだったと言いたいナタル。しかし同じ軍の人間が行った非道なことには変わりないと思っているマリューがそんなナタルを止めた

 

「約束します。今後あなた達にあのような愚行を一切しません。そしてさせません」

 

「そのお言葉信じます。では自分はこれで。少し休みます。何かあれば呼んでください」

 

「えぇ。わかったわ」

 

「あ、私部屋まで案内します」

 

レオは案内を買って出てくれたミリアリアと共にブリッジから退出する。アークエンジェルの次なる行き先は一体何処に...

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