ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第五十二話

 

『進路クリアランス3・1・1。係留チームスタンバイ。放射線管理チームはAパドックに待機せよ』

 

「よし。直ちに修理と補給作業にかからせろ」

 

アークエンジェルは無事にオーブへと着港できた。そして事前に連絡を受けていたオーブ側は修理と補給を急がせる

 

「工廠より入電。キラ、カガリさんはすぐにこちらへ来てほしいとのことです」

 

「ん?」

 

「何だ?」

 

「わからないけど、とにかく通信で入ってるから」

 

「なにかあったのかな。ともかく行こうか、カガリ」

 

「あ、あぁ...」

 

オーブからの通信を読み上げたミリアリアに促されてキラとカガリはアークエンジェルを出て工廠の待合室に入った

 

「ッ!」

 

「ア、アスラン...」

 

2人の目の前にいたのはザフトに復隊しているはずのアスランだった。そしてその隣には見知らぬ女性が2人いた。いやカガリにはどことなく見覚えがあった

 

「キラ...カガリ...」

 

「お前...なにやってるんだこんなところで!」

 

カガリは目に涙を浮かべてアスランへ突進。そしてアスランの胸を何度も叩く

 

「ごめん...」

 

「なんなんだお前は...!急にいなくなったと思ったら今度は急に戻ってきて...!」

 

「ごめん...」

 

「アスラン。もしかして...」

 

「あぁ」

 

アスランがまた目の前にいる嬉しさと今まで散々してきたことへの怒りたさで気持ちの整理がつかないカガリとなんとなくアスランのいきさつを悟ったキラ

 

「そう。じゃあその2人は?」

 

「2人は俺が抜け出すのを手伝ってくれたんだ」

 

「ま、マユ・アスカです...」

 

「メイリン・ホークっていいます...」

 

丁寧にお辞儀をしながら名前を伝える2人。キラも2人に軽く会釈した

 

「また後で話そうかアスラン。カガリこんなだし」

 

「そうだな。落ち着かせてくる」

 

「こ"ん"な"って"な"ん"た"〜!」

 

「2人もごめんね。また後で話を聞かせてもらうよ」

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

「レオ、さんて...」

 

「レオくん?ここにはいないかな」

 

「そう、ですか...」

 

レオがいないことに残念がるマユ。しかしいないものはしょうがなくマユとメイリンは軍の者に部屋へ案内された。アスランも未だ涙の止まらないカガリに手を貸して用意された部屋に移動した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わり宇宙。エターナルにてレオはラクスとイチャイチャ...できる暇もなく調べ物をしていた

 

「レオ、悪い報告だ。ヘブンズベースが墜ちたぞ」

 

「...。そうですか。なんとも早かったですね」

 

<ヘブンズベース>。そこは地球軍の最高司令部所在基地だった。地球軍はここにロゴスの一派を匿っているとしてデュランダル議長は軍を動かしロゴス関係者の身柄引き渡しを要求した。しかしこれに対して地球軍は奇襲という形で返答。戦闘となり地球軍側はザフトのモビルスーツ降下部隊を撃破したり、デストロイをなんと5機も起動させザフト殲滅を試みた。しかしザフトのミネルバ隊所属、新型機をもらい受けたシンとレイの活躍によりデストロイは全機撃破され、防衛能力を失ったヘブンズベースはザフトの手に陥落したのだ

 

「レオは言ってたな?ヘブンズベースの次はオーブが標的になると」

 

「はい」

 

「だがなぜオーブなんだ?デュランダルが討つと言っているのはロゴスだろ?」

 

「関係ないんですよ。自分の理想の異分子は全て排除するつもりですから」

 

「ならなにか?ロゴスだけでなくオーブまでこの世から抹消するつもりなのか?」

 

「おそらくは...デュランダル議長の目指すべき世界は地球もプラントも一つにまとめた新しい世界。それを創るために議長は今選別をしているのかもしれません」

 

「なんだそれは。デュランダルは世界創造の神様にでもなるつもりか?」

 

「あくまで俺の推測です。ただ、それに近しいことはしているでしょう。そのための偽のラクスや全国演説でしょうし」

 

「なるほどな」

 

「隊長。ダコスタが戻りました」

 

「お、意外に早かったな」

 

レオとバルトフェルドが話をしているところにコロニーメンデルへ調査に赴いていたダコスタが帰投した

 

「いやーもうまいりましたよ...コロニーは空気も抜けちゃってて荒れ放題だってのに遺伝子研究所の方はデータからなにから完全に処分されちゃってまして。こんなものしか」

 

「ノート?」

 

ラクスもブリッジに戻りダコスタから調査品を見せてもらっていた

 

「多分当時の同僚か何かの物だと思うんですが」

 

「"デスティニー・プラン"...」

 

「一見今の時代有益に思える。だが我々は忘れてはならない。人は世界のために生きるのではない。人が生きる場所。それが世界だということは」

 

「これは...」

 

「なかなかの決定打じゃないですか?」

 

ダコスタが持ち帰ったノートを見ながら話していると急に警報が鳴った

 

「なんだ!」

 

「偵察型ジン!?」

 

モニターに映し出されたのは監視カメラが破壊される前に一瞬移り込んだ偵察型ジン。完全にこっちを認識しているようだった

 

「チッ!つけられたなダコスタ!」

 

「えーっ!?」

 

「すぐに追うぞ!」

 

「待ってくださいバルトフェルドさん」

 

こちらの位置を察知されたと偵察型ジンの撃破に動こうとしたバルトフェルドをレオが止める

 

「なんだレオ!」

 

「カメラが破壊されたいうことはもう知らされてしまってるでしょう」

 

「えぇ。追尾してきたというのなら母艦ももうそう遠くないはずです」

 

「えぇい!」

 

「メンデルは見張られていたのかもしれません」

 

「えっ?」

 

「前から調査が入ってるとも言ってましたもんね。迂闊でした」

 

「レオのせいではありません。わたくしがお願いしたことです」

 

「そんな!」

 

「大丈夫だお2人さん。迂闊だったのはこいつだ!」

 

バルトフェルドはダコスタにアイアンロックをかまし頭をぐりぐりする

 

「だがどうする?」

 

「艦を出しましょう!今すぐに!」

 

「なに?」

 

「そんな!それこそ発見されます!」

 

「ここに居続けても同じことです。ならばこの資料とキラ達への新しい剣をアークエンジェルへ向けて射出します」

 

「危険です!その前に撃墜されたら!」

 

「大丈夫ですよダコスタさん。そうならないために、俺がいるんです」

 

「レオ」

 

レオはラクスを抱き寄せ彼女の意見に賛同する意向を見せる

 

「よ〜っしわかった。エターナル発進準備!ターミナルに通達!ファクトリーには!」

 

「もう話を通してあるわアンディ」

 

「ふっ。さすがだなアイシャ」

 

「お褒めに預かり光栄ね」

 

「レオ!お前は早く機体へ!」

 

「わかりました。じゃあ行ってくるよラクス」

 

「はい。お気をつけて」

 

レオはラクスの頬をひと撫でしてからブリッジを出て新しい自分の機体に乗った

 

斯くしてエターナルは発進した。地球へ向かって。エターナルが姿を現したことをザフト軍のナスカ級3隻がキャッチ。モビルスーツが大量に発進した

 

しかしそんなザフト軍の目の前に一筋の青白い光。それはエターナルから発進したモビルスーツによるもの

 

<ウイングユニティ>。ユニティの改良型にしてパイロットをレオとして想定した専用機体。その4枚からなる翼を模したユニットは実際に鳥類の羽の運動を解析し取り入れたもので機体の姿勢制御などに役立つ。そしてその翼に搭載されている羽根は研究の末たどり着いた小型ドラグーンであり、その数はザフトが開発した機体のドラグーン搭載数を遥に超える

 

「ラクスを...ステラを...やらせるわけないだろ」

 

レオは小型ドラグーンシステムを全て発射した。ザフトモビルスーツ部隊はエターナルに接近する部隊とレオを狙う部隊に分かれる。それでも片方10ずつはいる

 

「俺達の邪魔をするな」

 

レオはエターナルをビームバリアを張って守りつつ他のドラグーンを駆使しザフト軍モビルスーツを次々と戦闘不能にしていく

 

「バスターライフルで細かな狙いはつけにくいが、戦艦相手にはありがたい」

 

レオは単騎ザフト軍戦艦に近づきエンジン部分にバスターライフルを向け撃ち壊した

 

「これはすごいな...まさかドラグーンを小型化して翼部分に備え付けるなんて。40ものドラグーンの制御は難しいが...扱ってみせるさ!」

 

ザフト軍は壊滅状態。たった1機のモビルスーツに...3分も経たずにだ。今回の指揮官からしてみれば悪夢でも見ているような状態だろう

 

「状況終了」

 

『まったく。大したもんだな』

 

『まさかあの状況を打破するなんて...』

 

レオは攻撃してきたザフト軍を完全無力化に成功。その戦いぶりを見てバルトフェルドやダコスタが呆れともとれる感嘆の声を漏らす

 

「なんとかなってよかったです」

 

『お前のおかげで艦は無傷だ。こんな戦闘をしたのに普通ならありえんぞ...』

 

「ま、まぁよかったじゃないですか。ラクスやステラになにかあるのもいやですし」

 

『レオの言う通り全員の無事を喜びましょう。レオ、早く戻ってきてください』

 

「了解」

 

ラクスから帰投を促されたレオは近くに敵影が残ってないか最終確認をしてエターナルに戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘブンズベース陥落とエターナル襲撃の件はアークエンジェルにも届いていた。そしてそこへさらに悪い知らせが届く。ロゴスのメンバーの1人、ブルーコスモスの現盟主であるロード・ジブリールがオーブへ入ったという知らせだった

 

「ジブリールがセイラン家に...その情報は確かなのか!?」

 

『あぁ間違いない。そしてそれはザフトにも既知のことのようだ』

 

「なっ!」

 

アークエンジェルと通信で繋がっているのはキサカ。ジブリールがオーブに入った知らせも彼からによるものだ。ちなみにアスラン達を連れてきたのもキサカだったりする

 

『既にオノゴロ沖合にカーペンタリアより発進した艦隊が展開中だ』

 

「なぜそんな...」

 

『ザフトはオーブ政府にジブリールの身柄引き渡しを要求しているようだが』

 

「返答はまだない、と...?」

 

『そのようだな』

 

「艦長!オーブ政府から回答文が発信されました!」

 

「えっ!」

 

「スピーカーに出します!」

 

ここでタイミングがいいのかわからないがオーブ政府から回答が発信。ミリアリアがブリッジにいる者も聞こえるようにスピーカーを入れた

 

『オーブ政府を代表して通告に対し回答する』

 

「ユウナ...」

 

声の主はユウナ・ロマ・セイラン。それが彼自身の言葉なのか事前に示し合わせた言葉なのかはわからないが全員耳を揃えて傍聴する

 

『貴艦らが引き渡しを要求するロード・ジブリールなる人物は現在わが国には存在しない』

 

「ユウナ!」

 

明らかな出まかせをこんな公共に出すユウナに聞こえはしないがカガリが怒鳴る

 

『また、このような武力をもっての恫喝は一主権国家としての我が国の尊厳を著しく侵害する行為とし大変遺憾に思う』

 

「この状況の中そんな言葉が彼らに届くと、本気で思っているのか...!」

 

カガリはユウナ、いや、オーブ政府全体の愚行に拳に力を入れて怒りを露わにしている

 

そしてオーブ政府回答から数時間と経たずにザフト軍はモビルスーツを発進させた。戦闘が始まってしまった...

 

「ザフト軍よりモビルスーツ発進です!」

 

「えっ!?」

 

「オーブ軍は!?どういう展開をしている!?避難の状況などは!」

 

「まだ動いてない。避難勧告すら出てないみたい...オノゴロ沖でこんな状況になってるのかの放送もあったのかどうかも...」

 

「ッ!?」

 

「カガリ様...」

 

「待って!本当に爆撃!狙われたのは...セイラン家のもよう!」

 

「そんな!」

 

本土爆撃の報告を受けたマリューはすぐさまマードックに通信を繋いだ

 

「本艦はまだ出られないの!?」

 

『まだエンジンが終わってねぇんです!』

 

「...。アマギ、ムラサメ隊は出られるな?」

 

「え...えぇ」

 

「ならば行こう。ルージュの発進準備を」

 

「待てカガリ!」

 

「行かせてくれアスラン。私達だけでも出撃る!」

 

「そんな...無茶よ!」

 

「オーブが再び焼かれようとしているんだ!もうなにも待ってなどいられない!」

 

「待ってカガリ」

 

「ッ!キラ!」

 

アスランが言っても聞かず、マリューの静止も聞かずに走ってブリッジを出ようとするカガリの腕を掴んで止めるキラ

 

「まずは落ち着こう。そんな状態で出撃しちゃダメだ」

 

「だがっ!」

 

「君の気持はわかるよ。でも、こんな状態で出てムラサメ隊の人達まで危険に晒すつもり?」

 

「ッ!」

 

「その通りだな」

 

キラがカガリの暴走を止めているところへ入ってきたのはキサカとエリカ・シモンズだった

 

「まだまだ我慢を知らないようだな、カガリ」

 

「キサカ一佐!それにシモンズ主任まで!」

 

「久しいな。だが再会を祝っている暇はないな。一緒に来いカガリ」

 

「待て!私は!」

 

「いいから来るんだ」

 

「いやだ!このまま見ているだけというなら、国と一緒に焼かれた方がマシだ!」

 

「ふっ。それでは困るから来いと言っているのだ」

 

「うるさい!」

 

「はいはいはい...だから行くのはいいけど、その前にウズミ様の言葉を聞いてと言いたいの」

 

「えっ、お父様の...?」

 

エリカの口から亡き父、ウズミの名を聞いてようやく落ち着きを取り戻したカガリ

 

「遺言よ。それに、()()()も動くみたい」

 

「そう。わかりました」

 

シモンズはマリューの顔を見ながらニコリと笑い伝える。マリューもシモンズが何を言いたいのか言葉なくとも察し笑顔を返した

 

「さ、行きましょう」

 

「あ、あぁ...」

 

カガリはキサカやシモンズと一緒にブリッジを出た

 

「さ、私達も準備しましょう」

 

「マリューさん。シモンズ主任が言ってたことって」

 

「あの方も動かれるのよ。さ、急いで!」

 

キラやアスランはまだシモンズが言ってたのが誰なのかわかっていない。ただマリューの言うようにいつでも出撃れるように準備だけは行った

 

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