ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第五十三話

 

 

カガリが案内されたのは地下にある格納庫。そして厳重な巨大なガレージ。この中に父、ウズミの遺言があるというのか

 

「そこに言葉が彫ってあるでしょ?読んでみて」

 

「"この扉、開かれる日の来ぬことを切に願う"...?」

 

「この扉が開かれる日。それはこのオーブが再び危機に陥る日かもしれないと...そういうことよ」

 

扉が開き全員は中に入る

 

「そしてこれが、封印されていたウズミ様の遺言よ」

 

シモンズが電気をつけるとそこには金色に輝くモビルスーツ

 

「これは...」

 

『カガリよ』

 

「ッ!お父様!」

 

目の前の機体に目を囚われるカガリの耳に亡き父であるウズミ・ナラ・アスハの声が聞こえる

 

『もしもお前が力を欲する日来たれば、その希求に応えて私はこれを贈ろう。教えられなかったことはたくさんある。が、お前が学ぼうとさえすれば、それは必ずやお前を愛し支えてくれる人々から受け取ることができるだろう。故に私はただ一つ、これのみを贈る。力はただ力。多く臨むのも愚かなれど、むやみというのもまた愚か。守るための剣。今必要ならばこれを取れ。道のまま...お前が定めたなすべきことをなすためならば』

 

「お父様...」

 

『真に願うは、お前がこれを聞く日が訪れぬことだ。今、この扉を開けしお前には届かぬ願いかもしれないが...どうか、幸せに生きろよ、カガリ』

 

「うっ...!うあぁぁぁぁ!!」

 

もう二度と耳にできないと思っていた父の声と言葉に膝から崩れ落ち大声で泣くカガリ

 

「カガリ。アカツキに乗るか...?」

 

「アカ...ツキ...?」

 

地面に四つん這いに倒れるカガリにキサカが手を添える。カガリは目の前にある機体、アカツキを見上げる

 

「...。乗る。お父様からいただいたこの新たな剣で、今度こそオーブを守る!」

 

「わかった」

 

「お供致します!カガリ様!」

 

「アマギ...」

 

「カガリ様がお守りされるオーブを、我らにもどうか...!」

 

「あぁ...頼む!」

 

「はっ!」

 

アマギは急いでアークエンジェルに戻った。そしてカガリはアカツキに搭乗する

 

『ORB-01 アカツキ。システム起動。発進どうぞ』

 

「カガリ・ユラ・アスハ。アカツキ、発進する!」

 

カガリは飛び立った。新たな剣と共に、オーブの空へ

 

 

 

 

 

 

 

 

オーブ本島には既に大部隊のザフト軍モビルスーツが侵入していた

 

『防衛線を立て直さないと総崩れになるぞ』

 

「まずは国防本部を掌握し戦線を立て直す。一個小隊は私に続け。残りは防衛線へ!」

 

『『『はっ!』』』

 

カガリはムラサメ一個小隊と共にオーブ国防本部を目指した

 

「私はウズミ・ナラ・アスハの子、カガリ・ユラ・アスハ。国防本部、聞こえるか?」

 

国防本部に近づいたカガリは自分を認知させるために通信を繋ぎ呼びかけた

 

「突然のことで真偽を問われるかもしれないが、指揮官と話したい」

 

『カガリ!』

 

カガリの呼びかけに答えたのはユウナだった

 

『来てくれたんだね!マイハニー!指揮官は僕!僕だよ!』

 

「ユウナ...私を本物と、オーブ連合首長国代表首長、カガリ・ユラ・アスハと認めてくれるのか?」

 

『もちろんさ!僕にはちゃんとわかってる!彼女は本物だ!』

 

「ならばその権限において命ずる!将兵達よ!直ちにユウナ・ロマを国家反逆罪で逮捕!拘束せよ!」

 

『えっ...』

 

『命令により拘束させていただきます!』

 

『ちょっ!カ、カガリ!?』

 

ユウナがカガリが本物だと認めた結果、カガリがその権限を取り戻しその場にいる将兵達がカガリの命令に従いユウナを取り押さえた

 

「ユウナからジブリールの居場所を聞き出せ。ウナトは行政府か?回線を開け!オーブ全軍はこれより私の指揮下とする!いいか!?」

 

『はっ!』

 

「残存アストレイ隊はタカミツガタに集結しろ!ムラサメ二個小隊をその上空に!国土を守るんだ!どうかみんな、私に力を!」

 

『カガリ様!』

 

『カガリ様!』

 

指揮もままならない指揮官の下ザフト軍に押され折れかけていたオーブ軍の心はカガリの登場で持ち直した。そしてそんなカガリに続き体制を立て直し始めていた

 

『ッ!カガリ様!お気をつけください!ザフト軍の新手が!』

 

「なにっ!?」

 

カガリの目の前でムラサメがどんどんと落とされていく

 

「あれはっ!」

 

その正体は以前映像で見たザフトの新型。アスランからも話に聞いていた機体、デスティニーだった

 

「クソッ!」

 

カガリはこれを食い止めるために接近する

 

「こいつに来られたらオーブは!」

 

接近するカガリに対してデスティニーは大型ビームランチャーを放出

 

「ッ!」

 

カガリは即様アカツキの反射装甲<ヤタノカガミ>でその攻撃を反射。そっくりそのままデスティニーへ返してやった

 

『カガリ様!』

 

「やめろ!来るなお前達!」

 

カガリを援護しようとムラサメ隊がデスティニーに向かって攻撃を仕掛けた。しかし悉く撃破されていってしまう

 

「こんのーっ!」

 

カガリはこれ以上やらせまいと再度デスティニーに向かって突撃した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやくエンジン修理を終えたアークエンジェルはオーブ防衛に向けて発進した

 

「オノゴロの光学映像出ます!」

 

「はっ!」

 

モニターに映し出されるオノゴロ島の現状。見てすぐにわかる。総崩れだった

 

「熱紋照合。ボスゴロフ級2、ベーレンベルク級4、イサルコ級8、それとミネルバです!」

 

「えっ!」

 

「ミネルバ!?」

 

「「ッ!!」」

 

アークエンジェルにはオーブに残らずアークエンジェルに搭乗することを選んだマユやメイリンがいた。アスランも含めてジブラルタルにいたはずのミネルバがこの戦場にいることに驚く

 

「アカツキ、2時方向にて敵モビルスーツと交戦中!」

 

「ッ!」

 

「デスティニー...シンか!」

 

モニターに映し出されるアカツキとデスティニーの戦闘。どう見てもカガリが押されている。そして体勢を崩されたアカツキにデスティニーが放ったビームブーメランが迫る

 

「カガリ!」

 

「大丈夫よ」

 

「ッ!?」

 

「アイツが来たから...」

 

カガリに攻撃が迫りその光景に立ち上がったアスランが叫ぶが、ミリアリアは誰よりも冷静だった。まるでこの後カガリが助かることをわかってるように

 

「上空より熱源接近!」

 

「上空...まさか!」

 

「来た。行こうアスラン!」

 

「あぁ!」

 

メイリンが報告した上空から接近する熱源。それがなんなのか察したキラはアスランと共にブリッジを飛び出した

 

「まったくもう...遅いのよ、バカ...」

 

キラやアスランと同じくその正体が誰なのかはっきりとわかっているミリアリアは静かに笑った

 

「ッ!オノゴロ島より9時の方角!接近する艦影!」

 

今度はマユからの報告。まだ目視では見ることができない

 

「艦長、これって...」

 

「えぇ。頼もしい人達が来たわ」

 

新たに見つかった艦。大きさはかつてオーブ軍にあった空母、タケミカヅチに匹敵するほどだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オノゴロ島上空。宇宙空間より舞い降りるは3機のモビルスーツ。真っ直ぐオノゴロ沖を目指した

 

「ラクス、ステラ。少し離す」

 

『わかりましたわ』

 

『うん』

 

3機の真ん中で2機の手を引いていた機体。そのパイロットであるレオはアカツキに迫るビームブーメランに対してバスターライフルを放ち撃破する。そしてすぐさまデスティニーを迎撃しアカツキを庇うように間で静止した。その姿はまるで翼を広げる天使のようだった

 

『レオ?レオか!』

 

「無事だったかカガリ」

 

『お前...どうして...』

 

「それはいい。マリューさん、ラクスとステラをお願いします」

 

『わかったわ。収容急いで!』

 

キラとアスランが出て行ったことで舞い降りた機体がレオだと確信していたマリューはすぐさまドッグに連絡するよう指示した

 

「収容したらキラとアスランを」

 

『2人ならもうとっくに出てってるわよ』

 

レオへの返答はマリューでに代わってミリアリアから。その声色から嬉しい感情が聞いて取れる

 

「なんだか落ち着いてるなミリィ」

 

『まぁね。こんな大変なとき、レオが来ないわけないって思ってたし』

 

「すごいな。俺より俺のことわかってるんじゃないか?」

 

『そうかもね』

 

『おいレオ!』

 

レオとミリアリアが無駄話をしているとデスティニーが攻撃を仕掛けてきた。しかしレオはこれをあっさり回避する

 

「ここは俺がやる。カガリは自分のすべきことをしろ」

 

『だが!今のままでは!』

 

「大丈夫だ」

 

『え...?』

 

「助けに来たのは、俺達だけじゃない」

 

『それはどういう...』

 

『カガリ様!あれを!』

 

レオの言ったことを考えるカガリに1機のムラサメから通信が入る。その者が指差す方角にはいつの間にか空母が出現していた

 

『ッ!どこの部隊だ!』

 

『わかりません!艦自体は我らオーブ軍の空母に酷似しています!』

 

その正体がわからないまま空母からモビルスーツが発進した。しかしそれらはどれもアストレイやムラサメだった

 

『どういうことだ...』

 

「少し遅いな」

 

『そう言わないでください!こっちも急ピッチで進めたですから!』

 

『レオくん!』

 

『久しぶり!』

 

『助けに来たよ!』

 

この元気な声。もちろんカガリにも聞き覚えがあった

 

『お、お前ら!?』

 

『あれ?その金ピカもしかしてカガリ様?』

 

『戻ってきてたんだ』

 

『いや、アークエンジェル来てたんだから当然でしょ...』

 

その声の主。オーブの元気アストレイ3娘と言われていたかもしれない。そう...アサギ、ジュリ、マユラの3人だった

 

「3人とももう戦場ですよ。ちゃんと気を引き締めてください」

 

『そうだった!オーブが大変なんだもんね!』

 

『私達の故郷を守るんだ!』

 

『うん!』

 

『行きましょうみなさん。レオくん、こっちは任せてください』

 

「あぁ。頼んだぞ、ニコル」

 

『はい!』

 

3娘に加えてニコルもいる。4人は空母より出撃した部隊と共にオーブの防衛戦に加わった。カガリは突然のことに混乱が隠せないでいる

 

「カガリ!」

 

『はっ!』

 

「何してる!早く行け!」

 

『あ、あぁ!頼んだ!』

 

カガリに叫ぶレオ。カガリはまだ状況も掴めていないが今やるべきことを思い出し国防本部へ急いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラクスとステラの乗る機体を収容したアークエンジェル。ドックには既にキラとアスランが待機していた

 

「お2人とも、お待たせ致しました」

 

「ううん。ありがとラクス」

 

「いえ」

 

「ラクス、これは全部君の計画なのか?」

 

「お久しぶりですわねアスラン。そのことも含め終わった後に全て説明致しますわ。ともかくマリューさんに伝えることがあります」

 

ラクスはアスランへの返答を保留にしてブリッジへの回線を開いた

 

「マリューさん」

 

『ラクスさん。無事でよかったわ』

 

「ありがとうございますわ。それと、これからポッドが降下してきます」

 

『え?』

 

「ザフトのモビルスーツ降下用ポッドですわ。しかし彼女達は敵ではありません。わたくし達にお味方くださる方達です。どうかそのように」

 

『そうなのね。わかったわ。ミリアリアさん、カガリさんにも共有をお願い』

 

『わかりました!』

 

ラクスは伝えるべきことを伝え終えると通信を切りキラとアスランに向き直る

 

「アスラン。大丈夫ですか?」

 

「あぁ。抜けるのを手伝ってくれた彼女達と、レオのおかげでな...」

 

「身体のことだけではありません。これから向かおうとする場所には...」

 

「わかっている...」

 

「...」

 

「アスラン...」

 

ラクスの言いたいことを察したアスランは顔をしかめる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオはデスティニーからの攻撃を悉く回避していた

 

「確かにスピードはなかなかのものだ。だが直線的過ぎる」

 

デスティニーはただ真っ直ぐに突撃して斬りかかってくるだけ。その速度は速いもののレオにとって避けることなど造作もなかった

 

「さてさて、どうしたものか」

 

海面すれすれを飛ぶレオにデスティニーがそれを追う。レオはふいにバスターライフルを海面に放ち大きな水しぶきを上げる。そして急停止し反転。水しぶきの中を突っ切りデスティニーを蹴り落とした

 

「これがシン・アスカか...攻撃しか知らないような戦い方だな」

 

海から飛び上がったデスティニーは翼部分が高エネルギーで光り再び突撃してきた。その速度は先ほどよりも速く、残像が見えそうなほどであった

 

「これが"光の翼"か...確かに狙いが定めづらい...ならっ!」

 

レオはデスティニーの攻撃を避けつつ小型ドラグーンを展開した

 

元来のドラグーンシステムはその重さをユニットのスラスターだけでは重力下で運用することは難しかった。しかし現在レオの乗る機体に搭載されているドラグーンは小型になったため常時とまではいかないが重力下でも使用することが可能となった

 

「エネルギーも心許ないんじゃないか?そんなばかすか撃ってたらな!」

 

レオはデスティニーの速度に合わせドラグーンを操作する。直撃はしないものの完全にデスティニーの行動範囲を狭め窮屈な戦いへと持ち込んでいた

 

そしてようやくデスティニーの持つビームソードの撃破に成功。それがきっかけとなったのかデスティニーはその場を去り撤退した

 

「うしっ」

 

『終わったかね、レオくん』

 

「まぁとりあえずは。そちらの状況は?」

 

『芳しくない。体制は立て直せたがまだ危険な状態ではありそうだ』

 

「アークエンジェルは?」

 

『ミネルバと交戦中だ。我らも4部隊を交代で導入してはいるが、いかんせん半分は新人だ。アマルフィ君達がフォローはしてくれてはいるが』

 

「わかりました。すぐ向かいます」

 

『うむ』

 

デスティニーとの戦闘を終えたレオに通信。その通信を受けレオはすぐさまオノゴロ島に向けて機体を動かした

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