ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第五十四話

 

 

「フリーダムにジャスティスか...」

 

『はい』

 

キラとアスランは機体に乗りすぐ出られるようにするため最低限の調整を施していた。その中で映像は出ていないもののパイロットスーツを着替えている最中のラクスと通信が繋がっていた

 

機体名<ストライクフリーダム><インフィニットジャスティス>。どちらもキラとアスランが搭乗することを想定された機体である

 

「君も、俺はただの戦士でしかないと...」

 

『そうであってもなくとも、決めるのはあなたですわ』

 

「...」

 

アスランはザフトへ復帰した際のデュランダル議長の言葉を思い出していた。自分にとって都合のいい戦士。アスランはまたも顔をしかめた

 

『レオからの伝言ですわ。アスランがどうするのかは他の誰でもない、アスラン自身が決めることだ、と』

 

「だが、俺が決めた道を歩いた結果がこれだ...」

 

『ではもう、歩みを止めますか?』

 

「それは...」

 

『戦士であるかどうか、それを決めるのは自身であるとわたくしも思いますわ。しかしここまでと終わらせてしまえば、その先にはなにもありません』

 

レオの伝言とラクスの言葉を聞いたアスランは、ジャスティスの調整で叩いていたキーボードから手を離した

 

『アスラン』

 

『キラ...』

 

『なにが正しくてなにが間違ってるなんて誰にもわからないよ。でも、ラクスの言う通りやめちゃったら、もうなにも変わらない...』

 

『...』

 

『それで後で後悔しても遅いんだ。でも、アスランが今じゃないと思うならそれでもいいと僕は思う』

 

『キラ...』

 

『アスランがなにかしたいと思ったときにすればいいと思う。その間は、僕やレオくんがやるから』

 

『だが!』

 

『力はただ力なのです』

 

『ッ!』

 

『そしてあなたは確かに戦士なのかもしれませんが、アスランなのでしょう?』

 

『...。あぁ、そうだな。俺は、アスラン・ザラなんだ』

 

アスランは自分がどうすべきなのか、どうしたいのかが自分で固まったようでジャスティスの調整を急ぐため再びキーボードをたたく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウォンバット、撃てー!」

 

アークエンジェルとミネルバの交戦は今だ続いていた。どちらも一歩も退かない戦いぶりであり他の艦を寄せ付けなかった

 

「バリアント、撃てー!」

 

「ミサイル接近!」

 

「回避!迎撃!」

 

イーゲルシュテルンにてミネルバからのミサイルを迎撃する

 

「ッ!爆発の後方からミサイルの第二陣!」

 

「クッ!緊急回避!」

 

「ダメです!間に合いません!」

 

迎撃したミサイルの後にまたもミサイルが出現。これに迎撃が遅れアークエンジェルに直撃する、と思いきやその手前で撃破された

 

「なに...?」

 

「スカイグラスパーです!」

 

「なっ!」

 

『ははっ。悪かったな、余計なことして』

 

通信が入り映るのはオーブ開戦前にスカイグラスパーと共に降ろしたはずのネオ・ロアノークだった

 

「あなた...なんで!」

 

『確かに俺がこの戦闘に参加する義理はない。が、俺はあのミネルバって艦が嫌いでね』

 

「そんなことで...」

 

『大丈夫、あんたらは勝てるさ。なんたって俺は、()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッ!」

 

そこで通信が途切れる。今の決まり文句。よく知る人物も言っていた

 

「ムウ...」

 

そしてまたその男のことを思い出すマリュー。相手に以前の記憶がないまま言われたその言葉。彼女にはツラいものでしかなかった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こんのぉー!』

 

『マユラ!左!』

 

『ちょっ!』

 

いつものようにアサギ、ジュリ、マユラの3人が連携して戦ってはいるものの、敵が多すぎるため苦戦していた

 

『みなさん!9時から新手です!』

 

指揮を執るニコルがザフトの増援を伝える。しかしその増援は全て頭部や武装を撃ち抜かれあっという間に戦闘不能になってしまった

 

『これは...レオくん!』

 

「お疲れさまニコル」

 

『はい!』

 

『アマルフィくん。一度後退したまえ』

 

『シーゲル様!しかし僕らはまだ!』

 

ニコルに通信がかかったのは彼女らの指揮官を務めるシーゲル・クラインだった

 

「前にも言ったろニコル。頑張るのはいいが頑張りすぎるのはよくない。ここは俺がやるから」

 

『...。わかりました。行きましょうみなさん』

 

『えー!せっかくレオくん来たのに!』

 

『レオくんの戦いっぷり近くで見たい!』

 

『自分が頑張るんじゃないのね...まぁ私も見たいけど』

 

駄々をこねる3人に頭上からグフが迫る。しかしこれもレオは小型ドラグーンで迎撃した

 

「3人も早く後退してください。集中力が落ちてます」

 

『ほら!行きますよ!』

 

『う~わかったよ~...』

 

『確かに言う通りだね』

 

『レオくん、また後でね』

 

「はい」

 

3人と他のアストレイ隊、ムラサメ隊もニコルに続いて一度退却した

 

「さて、そろそろかな...」

 

レオは時間を確認して空を見上げた。すると上空より降下してくるポッドを発見。そしてポッドは空中でパージされ中から3機のモビルスーツが出現し地上に降下した

 

『ふぅ~。やっぱり鬱陶しいな、地球の重力は』

 

『なに言ってんだい。初めてってわけでもないだろうに』

 

『呑気に話してる場合かよ』

 

「みなさん。着いて早々申し訳ないですがお力添えお願いします」

 

降りてきたのは元々ザフトのデータベースから奪取し独自の仕様変更を加えて造設された<ドム・トルーパー>。ラクスが言っていた味方、ヒルダ、ヘルベルト、マーズの3人だった

 

『よぉ坊主。思ってたより酷いありさまだなこりゃ』

 

「はい。なんとか立て直してきたところです」

 

『そうかい。じゃあ行くよ!野郎ども!』

 

『おう!』

 

『ラクス様のために!』

 

ヒルダ達はザフト軍との交戦を開始。機体の強力な武装と高い機動力に加え、3人の絶妙なチームワークでザフト軍モビルスーツを陸空関係なしに撃破していった

 

「相変わらずなんて連携の練度...島の方は任せてもいいかな。なら俺はっ!」

 

レオはすかさずアークエンジェルにライフルなどを向けるザクやグフの目の前を通過するようにバスターライフルを放ちその視界からアークエンジェルを消す。そして小型ドラグーンでフライトユニットやドダイを破壊していった

 

「ミリアリア。キラとアスランは?」

 

『もうすぐ調整が終わるって』

 

「もうか。早いな」

 

『あの!』

 

「ん?」

 

ミリアリアの他に新たな通信がレオの元に入った。今までに聞き慣れない声

 

『私、マユっていいます!』

 

「マユ...もしかして、マユ・アスカか?」

 

『はい!』

 

「そうか。しかしなぜアークエンジェルに?」

 

『それは...』

 

「今戦っているのは敵の中にはミネルバだっている。ならキミの兄、シン・アスカとも」

 

『わかってます。でも...』

 

『あの、いいですか?』

 

そこへまた新しい通信。今度も聞きなれない声のものだった。レオはその正体は知っているのだが

 

「君は?」

 

『メイリンです。メイリン・ホーク』

 

「君までアークエンジェルに」

 

『はい。でも私達は覚悟の上で乗艦させてもらったんです。こんな戦いはもう嫌で...早く終わってほしくて...』

 

「マユ・アスカも同じ気持ちなのか?」

 

『もちろんです!こんな戦争、早く終わらせたい!』

 

「...。わかった。それで?なにか用だったか?」

 

『あっ...えっと...』

 

『ミネルバよりモビルスーツの発進を確認!』

 

「了解。すまないなマユ・アスカ。終わったら話そう」

 

『は、はい!すみません!』

 

「メイリン・ホークも。また後でお礼をさせてくれ」

 

『え...?』

 

レオはマユとメイリンとの通信を切り臨戦態勢を取る

 

『人気者ね、レオ』

 

「茶化すなよミリィ。俺はただアスランを助けてくれたお礼が言いたいだけなんだから」

 

『それで終わるかしらね~』

 

「他になにがあるんだよ」

 

『それはわからないけど、女の勘は怖いわよ?』

 

「それは身をもってわかってるよ」

 

『ッ!デスティニーとアンノウン接近!その後方からミネルバの攻撃きます!』

 

「やらせるわけないだろ」

 

レオは接近する2機にバスターライフルを照射して牽制。同時にアークエンジェルにビームバリアを張りミネルバからの攻撃を防いだ

 

「おいおい全部俺にやらせる気か?」

 

そう言いつつもレオは正面から突撃してくるデスティニーを避けつつ頭上や左右に回り込もうとしているレジェンドを迎撃している

 

『キラ・ヤマト。フリーダム、行きます!』

 

『アスラン・ザラ。ジャスティス出撃る!』

 

そこへ調整を終えたキラとアスランがそれぞれ新たな機体にて出撃した

 

『レオくん!』

 

『シン!』

 

レオに絶えず攻撃を繰り出すレジェンドをキラが後退させ、デスティニーにはアスランが突っ込んだ

 

「え、俺の名前呼んでくれるんじゃないのかよアスラン」

 

『寝ぼけたこと言ってる場合か!』

 

「真剣なんだけどな」

 

『レオくん。ここは僕達が。レオくんはカガリのサポートを!』

 

「ん、了解した」

 

レオは出していた小型ドラグーンを収容してオノゴロ島へ向かって飛ばした

 

 

 

 

 

 

「やめるんだ!シン!」

 

『アスラン...?それにフリーダムが...なんで...!』

 

デスティニーに乗るシンに通信を繋げるアスラン。そのシンはアスランと自分が討ったはずのフリーダムが現れたことにひどく動揺していた

 

「自分が今何を撃とうとしているのか、本当にわかっているのか!」

 

『そんな...なんで...』

 

「戦争を終わらせる。そのためにロゴスを討つ。だからオーブを討つ。それが本当にお前が望んだことか!?」

 

『えっ...』

 

「聞かぬなら討つしかない。あの国に刃を向けることが本当に自分がすべきことなのか!?」

 

『だって...それは...』

 

「思い出せシン!お前は本当は、なにが欲しかったんだ!!」

 

アスランの力強い言葉。シンは2年前焼かれたオーブの記憶、そしてアウルの記憶が蘇り頭の中が混乱してしまった

 

『そんな裏切り者の言葉に惑わされるなシン!』

 

動きを止めているシンと説得を試みるアスランの間にレジェンドが発砲しながら飛んできた

 

「レイ!」

 

『アスラン!』

 

なおもアスランに攻撃を続けるレイに対しキラが応戦する

 

『レイ!』

 

「待てシン!オーブを討ってはダメだ!お前が!」

 

『クッ!』

 

「その怒りの本当の意味もわからないまま戦ってはダメだ!」

 

『何を...何を言っているんだ!アンタは!』

 

シンはビームビームブーメランでジャスティスに斬りかかる。しかしアスランはビームシールドでこれを防ぐ

 

『なにも知らないくせに!裏切り者のくせにっ!!』

 

「クッ!」

 

シンは一度退きビームブーメランを両刀ジャスティスに向かって投げる。アスランはこれをシールドと膝からつま先に設置されているビームブレイドで防ぐ

 

『クソーッ!』

 

シンは混乱する頭を振り目の前にいるジャスティスを睨みつける。そして光の翼を展開しジャスティスに近づこうと試みる

 

「シン!」

 

『なんで!なんで当たらない...!』

 

そのスピードを活かし攻撃しては退くを繰り返すがアスランはこれを全て避けきっていた

 

『クソ!クソ!...クソーッ!!!』

 

ここでシンの中でなにかが弾けた。今までのスピードよりさらに上、残像がはっきり見えるほどの速度でジャスティスに接近する

 

「ッ!」

 

そしてアスランの中でもなにかが弾けた。2つあるビームサーベルを連結させて構える。そして接近してきたシンがビームブレイドを振りかざすタイミングでアスランはデスティニーの手部を斬り捨てた

 

『そん、な...』

 

「...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉー!」

 

ネオ・ロアノークはアークエンジェルをミサイルから助けた後もそのままアークエンジェルと共にミネルバと交戦していた

 

「これで!」

 

ミネルバの上空から急降下しミサイルを発射。ミネルバの艦首中央にある副砲の破壊に成功。しかし離脱中にミネルバからの攻撃が機体に掠ってしまいこれ以上飛行できなくなってしまった

 

「チッ!」

 

『スカイグラスパー被弾!』

 

「ここまでか...あぁ、降ろしてほしいんだが...」

 

『ッ!整備班!緊急着艦用ネット!』

 

マリューがすぐ指示を出し着艦できるように第二ハッチを開けた

 

「ッ!?」

 

開かれたハッチに向かって降下するネオ・ロアノーク。そんな彼の頭にとある情景が浮かんだ。記憶にあるようなないような...今と同じような情景。ネオ・ロアノークは一度頭を振りアークエンジェルへ着艦した

 

 

 

 

「着水!急速潜航!」

 

スカイグラスパーを収容したアークエンジェルは部分的に武装を閉じ海の中へ

 

「バリアント、撃てーっ!」

 

そして海中よりミネルバを攻撃。その後も海中で接敵するモビルスーツや潜水艦を撃破していく

 

「艦長!島の反対側からシャトルが!」

 

「なんですって!?」

 

「まさか、ジブリールが...!?」

 

「ッ!急いでカガリさんに!」

 

「シャトルをムラサメ2機が追尾しています!」

 

「そう...」

 

打ち上げられたシャトル。それには捜索対象のロード・ジブリールが乗っているのかは定かではないが、後を追ったムラサメが間に合ってくれることを祈ることしか今のマリュー達にはできることがなかった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待ちしておりましたよ」

 

カガリの指示の下オーブの防衛に回っていたレオはシャトルが打ち上げれらたこともカガリを通して耳にする。そしてレオはこれを待っていたかのように2丁のバスターライフルをドッキングさせ空へと向けた

 

「お前だけは...ってちょっ!」

 

空に向かうシャトルをいざ撃とうとしたそのとき射線上にインパルスが入ってきた。そんなインパルスがシャトルにライフルを撃ちながら追いかけるが間に合わずシャトルは宇宙へ退避してしまった

 

「まったく...でもあれを撃っちゃメイリンが悲しむのは目に見えてるし。不慮の事故だと考えることにしよう」

 

レオがオーブの防衛に戻ろうとするとミネルバや他のザフト艦隊から続々と発光信号が上がった。それを機にザフト軍は撤退していった

 

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