ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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心優しい感想をみなさま本当にありがとうございます。
みなさまのおかげで執筆意欲がなくならないままやっていけてます。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。



第五十五話

 

 

戦闘を終えたアークエンジェルはオーブの援護に駆けつけてくれた空母<タケミナカタ>の傍に艦を寄せマリューやラクスなど主要メンバーがタケミナカタに移った

 

「失礼します!」

 

「おぉ。ご苦労だったな、ラミアス艦長」

 

「ご助力いただき感謝致します、シーゲル様」

 

艦首にいたシーゲル・クライン。そしてニコルやアサギ達もそこにおりレオ達に手を振っていた

 

「よもやこれを動かすまでになってしまうとはな」

 

「はい。非常に残念な思いです」

 

「ふむ。しかしザフトの目的はロード・ジブリール。既にオーブ側は先のシャトルがそうだと声明を出している。ならばこの戦闘はこれで終わりであろう」

 

「信じてくださいますかね...」

 

「ふっ。彼らとて阿呆ではなかろう。このままオーブと戦う大義とはなにか、そんなものがないことは理解できよう」

 

「そう、ですね」

 

なかなかに余裕なシーゲルとは反対にマリューはまだ不安そうな表情を浮かべている

 

「久しいな、アスラン」

 

「はっ!お久しぶりです!シーゲル様!」

 

「そう堅苦しくなるな。もう我らはただのじじぃと子供の関係なのだから」

 

「そ、そんなことは!」

 

「ふっ。キミの真面目っぷりは相変わらずなのだな。キラにレオも息災であったか?」

 

「はい」

 

「シーゲル様も、お元気そうで何よりです」

 

「まだくたばるわけにはいかんよ。孫の顔を見るまではな」

 

「あ、あはは...」

 

真剣なのか冗談なのかわからない表情でレオの顔を見やるシーゲルに対してレオはなんとも言えない返しをするしかなかった

 

「お父様、ご冗談は...」

 

「ラクスよ。いつまでも肩を張っていてはいかんぞ」

 

「ですが...」

 

「言っておろう?ザフトの連中もバカではないと。地球軍のように宣戦布告もなしにオーブを攻めようとするならば、それこそ地球軍と同等となりこれまでの積み重ねが水の泡となるだろう」

 

「...」

 

「このようなときにこそ心を沈ませ体を休めるのだ。でなくてはいざというとき動かなくなってしまうぞ」

 

「ありがとうございます、シーゲル様」

 

「よい。それに落ち着いて話したこともあるだろう?のう?そちらのお嬢さん方」

 

「「っ!?」」

 

シーゲルと目が合うマユとメイリン。そしてそのままシーゲルはレオに目をやりレオはその視線だけでシーゲルの意向を察した

 

「では私は少しばかり席を外す。アマルフィくん、茶を出してやってくれ」

 

「わかりました」

 

シーゲルは艦首を退出。そしてどうしたもんかという雰囲気が流れる

 

「あー...じゃあせっかくだから「レオくん久しぶりー!!!」ぐほっ!!!」

 

話を切り出そうとしたレオにタックルするように抱き着いたアサギ。これには普段からアサギの性格を熟知しているはずのマユラやジュリに加えてマリュー達も驚いてしまう

 

「ちょっ!アサギ!あんた空気読みなさいよ!」

 

「えっ?」

 

「アンタって...」

 

「ちょっ...とりあえず離してもらっていいですかね...?」

 

「なんで?お気に召さない?」

 

「そういう問題じゃありませんから」

 

「ほら早く離しなさいよアサギ。あの子達唖然としちゃってるじゃない」

 

アサギの天然っぷりを茫然と見ていたマユとメイリン。2人の中で驚きと困惑と疑念が入り混じっていた

 

「ほらっ!さっさとこっちくる!」

 

「えーっ!」

 

「えー!じゃない!」

 

「アサギさん、待て」

 

「私って犬!?」

 

ジュリとマユラがアサギを力づくで引っぺがす。そしてお茶を持ってきたニコルが犬に命令するように手を前に出してアサギを落ち着かせる。少々呆れているレオは改めてマユとメイリンに向き直った

 

「改めて自己紹介しよう。レオ・シュヴァルグランだ。キミ達としたらいい思いはないかもしれないが、元ユニティのパイロットだ」

 

「そんなことないです!」

 

「ん?」

 

レオの言う通りミネルバに乗っていたマユとメイリンにしてみればなんども攻撃をされ、戦闘の邪魔をされた憎むべき相手とも言える。しかしマユがそれを真っ向から否定した

 

「あなたは...レオさんは私達家族を助けてくれたんです!」

 

「家族?」

 

「はい。2年前にここ、オーブで...」

 

「2年前...まさかあの家族の!?」

 

「ッ!はい!」

 

レオは()()()()()()()()()かのように振る舞いマユの顔を見つめる

 

「そうか。ちゃんと脱出できていたようでよかったよ。でもなんでキミみたいな子がザフトなんかに」

 

「...。ずっとお礼が言いたかったんです。でもいくら調べてもわからなくて。軍に入ればなにかわかるかなって。あとはお兄ちゃんが...」

 

「お兄ちゃん?」

 

「シン・アスカ。デスティニーのパイロットだ」

 

レオやアスランはマユの兄が誰なのか知っているが、話を聞いていないフレイやミリアリアはわかっておらずなんだか悲しげに俯くマユの代わりにアスランがシンの名前を出す

 

「それはわかってる。でもなるほど、アスランが気にかけてる子だったな確か」

 

「そんなんじゃない」

 

「アスラン。あの戦闘で何回そのシンっていう子の名前言ってたか覚えてないの?」

 

「うるさいぞキラ!」

 

「ちょっ!2人とも!」

 

冷静なツッコミを入れるキラに慌てるアスラン。その間にフレイが割って入って注意する

 

「あの...」

 

「君は確か、メイリン・ホーク、だったかな?」

 

「はい」

 

今度は後ろに控えていたメイリンがマユの隣におずおずと出てきた

 

「私も、ありがとうございました」

 

「えっと...君になにかしたかな?」

 

「お姉ちゃんを何度も守ってもらいました。ダーダネルスでも...さっきも...」

 

「...。まさか見られてたとはな」

 

「はい」

 

「それはどういうことかしら?」

 

レオとメイリンの会話がイマイチわからないマリューが質問する

 

「さきほどシャトルが上がった際にレオさんはそれを撃破するために狙っていました。でも、その射線上にお姉ちゃん...インパルスが。でもレオさんは撃たないでくれました」

 

「そうだったの。でもそのインパルスに乗ってるのがお姉さんだとよくわかったわね」

 

「ミネルバのパイロットでNo.3はお姉ちゃんだったので。それにシンとアスランさんが新型に乗るって話が出たときにインパルスにはお姉ちゃんが起用されるような話も聞いたので」

 

「インパルスのパイロットが誰であろうと、レオくんは撃つのを止めてたと思いますよ」

 

「フフッ。そうね」

 

疑問が解決されたマリューと目を合わせ笑い合うキラ。その光景にレオは珍しく照れくさそうにしていた

 

「レオ、顔が赤いですわよ」

 

「こんな間近で褒められるのは慣れてないんだ」

 

「ふふっ、お可愛いですわよ。レオ」

 

「よしてくれよラクス...」

 

「顔赤くなってるレオくん見たいー!」

 

「アンタはこっちでおとなしくしてる!」

 

「私だって見たいんだから我慢して!」

 

レオの背後でまだバカやってるアサギは置いといてレオはまた真剣な表情に戻りマユとメイリンに言葉をかける

 

「マユ、そしてメイリン。俺の方こそ礼を言わせてくれ。ありがとう」

 

「えっ!?」

 

「ちょっ!」

 

レオは2人に対して頭を下げた。マユとメイリンは何が何だかわからずとも他の面々はレオがなぜ頭を下げているのか理解している風だった

 

「ま、待ってください!私達はなにも...!」

 

「君達はアスランを助けてくれた。言葉では既に伝えているかもしれないが、やはりこうやって面と向かってお礼を言いたいんだ。本当にありがとう」

 

「レオ...」

 

頭を下げるレオの姿にアスランが小さく言葉をこぼす。本来であれば自分も隣で頭を下げなくてはならないのがわかっているから

 

「私達もアスランさんにはお世話になったんです!だからその...とにかく頭を上げてください!」

 

あたふたとしたメイリンの大声でレオはようやく頭を上げた

 

「何があってもアスランさんはみなさんの元に戻っていたと思います。それが今回はたまたま私達が少しお手伝いすることになっただけで」

 

「私もそう思います。それに私達がなにもしなくても、レオさんなら駆けつけていたんじゃないですか?」

 

「...。ふっ」

 

レオは笑った。それはそれは優しい顔で。マユとメイリンがその顔に頬を赤くして見惚れてしまうほどに

 

「みんなキミ達のような子だったら、戦争なんて起きなかっただろうな」

 

「そうですわね」

 

目の前にいる2人がなんといい子なことかと感慨にふけるレオにラクスも同意する

 

「アスラン、2人がザフトに戻れる可能性は?」

 

「...。難しいだろうな。2人は俺と同じく反逆罪の罪を規せられてしまったから」

 

「そうか」

 

アスランの言葉にレオを含めたその場にいる全員の空気が重くなる

 

「なんとかできないかしらね...」

 

「でも、今のザフトに戻ったら2人は...」

 

「そうだな。2人はこれからどうしたい?」

 

「「...」」

 

「シーゲル様はああ言ってたがこの後ザフトと戦闘にならない保証はない。降りるならカガリに頼んで...」

 

「私は、レオさん達についていきたいです」

 

先に口を開いたのはメイリンだった。まさかの回答にマユも含めて大多数が驚く

 

「いいのか?」

 

「何が正しくて何が間違っているのかまだわかってないけど...でも、ちゃんと確かめなくちゃいけないと思って」

 

「それは俺達に任せてくれていいんだ。メイリンがみすみす危険なところに行く必要はないんだぞ」

 

「でも、私も一緒に探したいんです!」

 

自分達と来るのではなく安全なところで暮らす方が絶対いいに決まっている。しかしメイリンの熱い眼差しを受けるレオはそれ以上否定することができなかった

 

「そうか。マユはどうする」

 

「私は、レオさんに返しけれない恩があります。なので私も一緒に」

 

「恩なんて誰にでもあって誰にでもない。気にするなとは言わないがそれを返すために動くことはない」

 

「じゃあ私は、私の意思でレオさんの手助けをします!」

 

「ウッ...!」

 

"意思"という言葉に滅法弱くなってしまったレオ。かつてハルバートンが自分とキラに向けて言った言葉が今でもレオの胸には深く刺さっていたのだ

 

「レオの負け、ですわね」

 

「ラクス。でもまた...」

 

「守るのでしょ?あなたは」

 

「...。はぁ」

 

ラクスに指摘されてレオは大きく息を吐き出した

 

「マユ、メイリン。これから俺達が向かうのは想像よりもはるかに大変な場所かもしれない」

 

「「...」」

 

「だが約束する。俺が必ず君達を守る」

 

「「ッ!」」

 

「守らせてほしい。2人自身と、2人が抱いた希望を」

 

「はい...」

 

「よろしくお願いします...」

 

仲間に迎えてくれたこと。自分を受け入れてくれたことに涙する2人

 

「慕われていますわね、レオ」

 

「そうなのかな」

 

「まーた可愛い子を言いくるめて。どれだけ侍らせるつもり?」

 

「おい待て。とてつもなく酷い扱いを受けた気がするんだが?」

 

「間違ってないでしょ?」

 

「言わないであげてよフレイ。ほらよく言うでしょ?英雄が、えっと...」

 

「英雄色を好む。レオが英雄か...」

 

「なにが不満なんだアスラン。もとはと言えばお前がな」

 

「レオ。そのことについては後程カガリさんからお説教が待ってると思いますわよ?」

 

「確かにな。ならカガリに任せよう」

 

「俺が悪いのは確かだが...俺だって自分で考えてだな...」

 

「その言い訳はお嬢様にした方がいいですよ、アスラン」

 

「ニコル...君もか...」

 

「当然です。それだけのことをアスランはしたんですから。反省しなきゃダメですよ」

 

「ウッ...」

 

「フフッ」

 

一同から一斉攻撃を受けるアスランを微笑ましく見ているマリュー

 

「マリューさん」

 

「なに?」

 

「話してきてください。あの人と」

 

「...」

 

「まだ完全ではないですが、どうやらマリューさんのことが気になってるみたいです」

 

「...。わかったわ。ありがとう」

 

マリューはレオに言われてとある人物と話をするため先にアークエンジェルへ戻ろうと踵を返す。その後ろ姿をレオやキラは希望を込めた目で送った

 

「お久しぶりですねレオくん」

 

「久しぶりだなニコル。少し髪が伸びたか?」

 

「はい。願掛けも兼ねて伸ばしてみようかと」

 

レオとの再会を果たしたニコルは伸びた髪をくるくるといじりながら説明する

 

「そうか。それぐらいの長さも似合ってるな」

 

「ッ!本当ですか...?」

 

「あぁ。前のショートヘア良かったがこっちも違う雰囲気でいいと思う」

 

「そう、ですか...!」

 

「あー!ニコルがレオくんといい雰囲気になってるー!」

 

「ちょっ!アサギさん!?」

 

「ズルいズルい!私もレオくんといい雰囲気になりたい!」

 

「雰囲気ってなろうと思ってなるもんじゃないと思うんだけど...」

 

「レオくん久しぶり。大丈夫?どこかケガしてない?」

 

「だ、大丈夫ですよ...?」

 

ニコルに押し掛けるアサギとそのアサギを止めに入るマユラの隙を狙ってジュリがレオの手に触れる

 

「ジュリ!抜け駆け!」

 

「べ、別にそんな...ただ心配しただけで...」

 

「そういいつつ手握ってるし...」

 

「みなさん...ちょっと落ち着きましょ...」

 

昔みたいに巻き込まれ体質も持っているレオ。この3人に対しては特に

 

「あの、ラクス様...」

 

「はい?」

 

「えっと...見ていて嫌な気持ちになったりしないんですか...?」

 

「それはどういうことでしょうか?」

 

「えっ?えっと...レオさんが他の女の人と仲良くしてるとこ見てて、とか...」

 

「その心配は無用よ2人とも」

 

ラクスに恐る恐る質問するマユとメイリンの背後からフレイが声をかける

 

「あのバカはどんだけ言い寄られてもラクスが一番なんだから」

 

「そう、なんですね...」

 

「フレイさん。いくら事実だからって照れてしまいますわ」

 

「事実って自分で言っててなにほざいてんのよ」

 

「ふふっ。ああして困っているレオも可愛げがあっていいじゃありませんか」

 

「ダメだこりゃ...ね?こういう感じなのよ」

 

「は、はぁ...」

 

「なんだか、すごいですね...」

 

「お2人とも、もしレオに特別な感情を抱いておいででも、わたくしは一向に構いませんわ」

 

「「ッ!!?」」

 

ラクスのふとした一言にマユとメイリンの心拍数はドーッンと跳ね上がった

 

「なななな、なに言ってるんですか!わ、私なんて!」

 

マユは全力で否定しメイリンもマユに賛同するように何度も首を縦に振る。しかしその顔は真っ赤に染まっているため隠しきれていない

 

「いいわよ隠さなくても。あなた達みたいにアイツに好意を向ける人達を何人と見てきたから。それに、ラクスだって気にしてないわ」

 

「え...」

 

「はい。わたくしはレオのことを好いてくださる方はどなたでも歓迎いたしますわ」

 

「正妻の余裕ってことかしら?」

 

「そんなことではありませんわ。ただ、レオが一番に戻ってきてくださるのはわたくしのところと信じて疑わないだけです」

 

まさに目の前で愛しの彼が他の女に抱き着かれたりされているのに余裕のラクス。実際申し訳なさそうにチラチラとラクスのことを気にかけているレオに対してニッコリと笑いながら手を振っている

 

「フレイさんだって、レオのこと嫌いではないのでしょう?」

 

「まぁね...アンタらとは違って本当に嫌いじゃないって程度だけど」

 

「素直ではありませんね」

 

「うるさいわよ。私まで巻き込むのはやめてちょうだい」

 

「フレイ。僕達は先に戻ろうか」

 

「キラ。そうね」

 

「わたくし達もお父様へご挨拶をしてから戻りますわ」

 

「わかった」

 

特にすることがなくなったキラとフレイ、アスランはマユとメイリンを連れて先にアークエンジェルへ戻るため艦首を出た。そしてもみくちゃにされていたレオもようやく解放されラクスと一緒に改めてシーゲルに挨拶をした後アークエンジェルへ戻った

 

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