ガンダムSEED 〜守るための戦い〜 作:てこの原理こそ最強
「ねぇメイリンさん」
「ん?どうしたのマユちゃん」
アークエンジェルへ戻り2人共同の部屋を用意してもらったマユとメイリンは一度シャワー室へ。そこでマユが服を脱ぎながら徐にメイリンへ問いかけた
「いつからレオさんのこと好きだったんですか?」
「え、えっと...」
「接点ないですよね?私みたいに助けてもらったわけでもないですし」
「...。会ったことはなかったけど前からマユちゃんの話を聞いててどんな人なんだろって気にはなってたんだ。思い返してみればそのときから少なからず好意はあったのかなって」
「そうだったんだ」
「うん。それで実際に会ってみて、すごく大人っぽくてかっこよくて...それに、敵だった私でも守るって...」
「あぁ。あの真剣な顔であんなこと言うのは反則だよね...」
2人はさっきの真剣に自分達の顔を見てくるレオの顔を思い出し、余韻に浸るように下着に手をかけてまま行動が停止した
「あら?なにしてるのよあなた達」
「あ...」
「ど、どうも...」
レオを思い出している2人のいるシャワー室に偶然ミリアリアが入ってきた
「シャワーの使い方わからなかった?」
「い、いえ...」
「そんなことは...」
「なによーおどおどしちゃって。もしかして好きな人のことでも考えてた?」
「「ッ!!?」」
「えっ...まさかの当たり...?」
まさかの正解になんともいたたまれない顔になるミリアリア。しかしすぐにいつもの表情に戻り自分も服を脱ぎ出した
「もしかしてそれって、レオ?」
「え...」
「やっぱりね。まったくアイツは...」
ミリアリアは頭を抱えながら大きなため息をついた
「あの...ご、ごめんなさい...」
「あーごめんね。別に謝ることはないわよ。人を好きになるのは自由なんだもの」
驚きで唖然としている2人を横に個室に入りノズルを回しシャワーを浴びるミリアリア
「で?どんなとこが好きになったの?」
「え、えっと...」
「恥ずかしがることないわよ。同じ男を好きになったもの同士仲良くしましょ」
「は、はい...」
「あの。ハウさんは...」
「ミリアリアでいいわよ」
「じゃあ...ミリアリアさんも?」
「えぇ。レオのことは好きよ。もちろん1人の男としてね」
「そんなはっきりと。すごいですね」
「まぁもう2年もの付き合いだもん。恥ずかしさなんてどっかに落としてきちゃった」
「ほえ〜」
「で?2人は?」
ミリアリアは話がちゃんと聞こえるようにシャワーを止めて頭を洗う
「実は私オーブ出身なんです」
「そう...」
「はい。2年前、オーブで戦争になったとき私達家族は逃げ遅れしまって。でもそのとき助けてくれたのが」
「ユニティ。レオだった?」
「はい」
マユがユニティに助けてもらったときを思い出しながら答える
「でもその時はユニティのパイロットがレオだってわからなかったんでしょ?」
「はい。だからレオさんのことを調べたくてザフトに入りました」
「なんでザフト?」
「あの時連合と戦ってたので...」
「なるほどね〜」
ミリアリアは頭を洗い流し続いて体を洗い始める
「メイリンさんは?」
「わ、私はマユちゃんの話を聞いていて自然と。最初は会ってみたいなー程度だったんですけど...」
「実際会ってみたら虜になっちゃった、と」
「はい...」
メイリンは恥ずかしそうに、そして申し訳なさそうに俯きながら答える
「ラクスはなんて?」
「なぜか歓迎してくれました...」
「でしょうね。じゃあなにも気にすることないわよ」
「いいん、でしょうか...」
「いいのよ。アイツの中で一番はラクスって決まってるけど、私達のことを忘れるなんてことは決してないから」
「ミリアリアさんは、大丈夫なんですか?」
「私?まぁ最初のころは少し嫉妬したりしたけど、わがまま言える立場じゃないのよ私は」
「それはどういう...」
「申し訳ないけどそれは言えないかな。私自身忘れちゃいけないことだけど、話したいって思えるものでもないから」
「そんな!ごめんなさい!」
「いいのよ。ほら、2人も早くシャワー浴びちゃいなさいよ。その様子じゃレオとまだ話できてないでしょ?」
「「は、はい!」」
ミリアリアに言われて慌てて下着を脱ぎ個室に入るマユとメイリン
「レオだから仕方ないけど、ちょっとは自重できないのかしらね...」
2人に自分は大丈夫と見栄を張ってはいたもののレオの周りに女の子が増えて内心もやっとしているミリアリアだった
「さて。改めて久しぶりだな、アスラン」
「あぁ」
レオ、キラ、アスラン、ラクス、フレイはタケミナカタから戻り食堂に集まった。またアークエンジェルで留守番をしていたステラも合流、レオの膝に座ってクッキーをかじっている
「戻ってきたってことはいろいろ思ったことがあったんだろ?」
「...。最初はオーブのため、カガリのためになると思って復隊した。それは本心なんだ。だが議長のあの演説以降の行動。ロゴスを討つと言いながらアークエンジェルを敵と見做したことで不安が大きくなった」
「なるほどな」
「それでザフトを?」
「あぁ。俺はアークエンジェルと、お前達と敵対する気はなかった。だが戦場に出てきたお前達のおかげで場は混乱した。それは止めなきゃならないとも思っていた」
「でもそれは!」
「フレイ」
少し熱くなるフレイをキラが静かに止める
「わかってるさ。お前達にだって戦闘に介入する大義があった」
「うん。オーブを、カガリを見捨てることなんて僕達にはできなかったから」
「本来なら俺がその役目を果たさなきゃならなかったのにな...な、レオ」
「自虐か?それとも当てつけか?」
「半々ってとこだな」
「言うようになったな」
レオの反応にアスランはふっと笑うがすぐ真剣な顔に戻り話を進めた
「ただ、その後の議長の命令にはどうしても納得ができなかった」
アスランはデュランダルが出した言葉を振り返りながら拳を握りしめた
「平和に向かって手を取り合おうとしないロゴスを討つためならば手を貸そうと思っていた。ただ下された命令はアークエンジェルの撃破。俺は議長がなにを考えているのかわからなくなった」
「ラクスを偽って見せているところで勘づいてほしかったな」
「そこは否定のしようもない」
「民衆の希望の象徴とするためにラクス・クラインの名が必要だったのでしょう」
「あぁ、ラクスの言う通りだと思う。俺はそれをダメなことだとわかっていたのに、呑み込んだんだ。平和になるまでは仕方のないことだと...」
「アスラン...」
「ただ結局俺は...俺の行動は、間違っていたんだな...」
アスランはザフトに復隊を決意したところからの自分の行動を思い返し苦笑した
「その行動が是が否か。それを決めるのは誰でもないあなたですわ、アスラン」
「...」
「ラクスの言う通り最終的に決めるのは自分自身だアスラン。ただはっきり言って今回の行動は間違っていたと俺は思っている。カガリもそうだがな」
「レオ。それはちょっと...」
「甘やかすなフレイ。アスランは俺やキラと違ってれっきとした軍人上がりだ。俺達みたいにいきなり戦場に出されたわけじゃない。それこそ判断力も問われ、それに対する責任もずっと重い」
「そう、かもしれないけど...」
「オーブの行政府が既に地球軍側に偏り始めていることくらいアスランならわかっていたはずだ。なぜそんな周りが敵だらけのところにカガリを置いていったりした。なぜ最後までカガリを傍で支えてやらなかった。俺が言いたいのはそれだけだ」
「そうだな...レオの言う通りだ」
「アスラン...」
アスランにはアスランなりの考えがあって行動したはずと思っているフレイがなんとかフォローしようとする中、アスランがレオの言うことを認めた
「俺がオーブを出たにしろ出てないにしろ地球軍と同盟していたかもしれない。だがカガリの拠り所にはなってやらないといけなかった」
「あぁ。誰だって1人はツラい。俺にラクスやミリィがいたように。キラにフレイがいたように。誰にだって拠り所は必要だと俺は思ってる」
「ステラは?」
「もちろんステラもだよ」
「ん...」
自分の名前が呼ばれなかったステラは不安になりレオの顔を見上げた。レオはそんなステラを安心させるように頭を撫でる。安心したステラは再びクッキーに手を伸ばした
「ユウナ・ロマ・セイランが捕らえられた今、オーブ内はカガリの味方になってくれていると思う。キサカさんやアマギさんのように」
「そうだね。カガリはもう1人じゃない。これからのオーブはウズミ様の意思を引き継げると思う」
「そうか」
「だが、そうなったとてカガリの負担は相当大きい。アスラン、今度こそお前がカガリを支えてやるんだ」
「...」
アスランは一度裏切った自分が果たしてまたカガリの傍にいていいのか葛藤した。そんなアスランの苦しんでいる顔を見たステラがクッキーを一枚差し出した
「ん」
「あ、あぁ」
「ステラも頑張れってよ」
「え?」
「あなたならできますわ、アスラン。いえ、あなたでしか為しえませんわね」
「あなたがいなくなってからカガリの落ち込み具合ハンパなかったんだから。あんなんで仕事なんてできるわけないわよ」
「ふっ。フレイの言うことももちろんあるけど、カガリには君が必要だし今でも傍にいてほしいとおもってるんじゃないかな」
「キラ...」
「犯してしまったミスは消せないが、そこから学んで次に活かせるのが人間って生物だと俺は思う。そこにナチュラルとかコーディネイターとか関係なしにな」
「...。そうだな。やるだけやってみよう」
全員の声にふっ切れ心を決めたアスランは爽やかに笑った
「そういえばレオ」
「ん?」
「あの時なんで俺と一緒にマユとメイリンも乗ってるってわかったんだ?」
「脱走の時か。エターナルに匿名で連絡があったんだが、その後それがターミナルからだってわかった。ザフトに潜入している工作員の人から情報が入ったらしくて、どうやって入手したのか知らないがマユとメイリンの顔写真までついた情報が送られてきたんだよ」
「そうだったのか」
「さすがターミナル。どこで誰がなにをやってるのかバルトフェルドさんでも把握してはないらしい」
「なるほどな。時間を取らせて悪かった。俺はすぐに軍本部に向かおう」
「待ってアスラン。そろそろカガリが声明を出す時間なんだ」
「そうね。テレビつけましょうか」
立ち上がるアスランをキラが止めてフレイが食堂内のテレビをつけた
「とりあえず意思を示す。あとはそれからだって」
「時間ぴったりみたいだな」
『オーブ連合首長国代表首長、カガリ・ユラ・アスハです。今日は私は全世界のメディアを通じ、先日ロード・ジブリールの身柄引き渡し要求と共に我が国に侵攻したプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダル氏にメッセージを送りたいと思います』
画面に映し出されたカガリの姿。それは今までの泣き虫なカガリとはまるで別人のような、キリッとして代表と呼べるにふさわしい姿勢が見て取れた
『過日、さまざまな情報と共に我々に送られたロゴスに関するデュランダル議場のメッセージは確かに衝撃的なものでした。"ロゴスを討つ"。そして"戦争のない世界に"という議長の言葉は今のこの混迷の世界で政治を携わる者としても、また生きる一個人と魅力を感じざるを得ません。ですがそれが...』
「ん?」
まだカガリの声明発表が始まって間もないというのに画面が乱れ始めた
『わたくしはラクス・クラインです』
「なっ!」
「ミーア...」
そして移り変わって画面に映し出されたのはミーア・キャンベル。偽のラクス・クラインの姿だった
「んー。やっぱりラクスの方が...」
「黙ってなさい!」
「あらあら」
また恋人ののろけを始めようとしたレオに蹴りを入れるフレイ
『過日行われた戦闘をもうみなさんもご存じのことでしょう。プラントも親しい関係にあったかの国が、なぜジブリール氏をかくまうなどという選択をしたのかは今もって理解することはできません。ブルーコスモスの盟主、プラントに核を放つことも、巨大兵器で街を破壊することも、子供たちをただ戦いの道具とすることもいとわぬ人間をなぜオーブは戦ってまで守るのでしょうか...』
「それを説明する場に割って入っておいてよう言う。ラクス」
「えぇ。わたくしも参りますわ」
「ラクス?」
「大丈夫ですわフレイさん」
「レオくん。行くって」
「わたくしにも戦ってでも守りたい意思がありますわ、キラ。そして、その覚悟も」
「ラクス...」
「ステラ。ちょっと行ってくるな」
「うん。行ってらっしゃい」
レオはステラを降ろしてその頭をひと撫でし、ラクスと腕を組んで食堂を出た
「マリューさん、行ってきます」
『えぇ。カガリさんをよろしくね』
「はい」
レオはそのままラクスを連れウイングユニティにて発進。カガリのいるオーブ行政府に降り立った
『わたくし達の世界に誘惑は数多くあります。より良きものを、多くのものを望むことは悪いことはありません』
「早く放送を切り替えるんだ!」
「急げ!」
行政府内は声明途中の突然の乱入に混乱しているものの、キサカの適切な指示により復旧へ動いていた
『しかし、ロゴスは別です!あれはあってはならないものです。この世に不要で邪悪なものです』
「カガリ」
「レオ、ラクス」
「わたくしも、あなたと共に戦わせてくださいな。カガリさん」
「...。ありがとう」
「よしっ!戻すぞカガリ!」
「あぁ!」
オーブの優秀な人材達がザフトからの映像ハッキングを解除し映像をこちらに戻した
「その方の姿に惑わされないでください。わたくしは、ラクス・クラインです」
本物のラクスの登場に世界の反応は。そしてデュランダル議長の反応はいかに。それはラクスにもカガリにもわからない。ただレオだけは、勝ち誇ったような顔でカガリとラクスを見ていた
「どうだ議長。本物のラクスの方が可愛いだろ」