ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第五十九話

 

 

アークエンジェルが宇宙へ上がる準備を進めている最中、宇宙では地球軍に妙な動きがあることをザフトはキャッチしていた

 

「チッ、報告通り結構な数だぞ」

 

『だがなんでこんなところに』

 

「さぁな。友好使節じゃないことだけは確かだろう。行くぞっ!」

 

『おう!』

 

とある宙域に超巨大な建造物。そしてそれを守るようになかなかの戦力を投入してきている地球軍。これがなにを意味するのかわからないザフト側はそれの調査と移動の阻止をジュール隊とチャニス隊が命じられた

 

この隊の指揮を務めるジュール隊隊長のイザーク・ジュールは専用機である白いグフ・イグナイテッドにて出撃。友人であり部下のディアッカ・エルスマンは専用機となった黒いザクファントムにて、そして他モビルスーツ隊も共にイザークに続いて出撃した

 

「迎撃くるぞ!」

 

『あぁ!』

 

イザーク達の接近を阻むべく地球軍はモビルスーツ、モビルアーマーを展開し防御を固めた

 

「モビルアーマーの強力なビームシールドは厄介だ。正面から攻撃しつつ裏を取るよう立ち回れ」

 

『はっ!』

 

イザークは自分でも敵を倒しつつ全体に指示を出す

 

『数が多い!取り付けない!』

 

「クソッ!突破口を開く!手を貸せディアッカ!」

 

『お、おいイザーク!』

 

敵部隊の数が多く目標の巨大建造物になかなか取り付けないザフト側。そんな中隊長であるイザークが先陣を切って突撃しディアッカ他その支援のため追いかける

 

「えぇい!」

 

イザークはビームソードを展開し迫りくる敵機をビームガンで破壊しつつモビルアーマーへ突進。モビルアーマーも高火力ビーム砲でイザークを迎撃するもイザークの操縦技術に追いつけておらず下部に回られ切り刻まれた

 

「今だ!ガナー隊!」

 

『ダメだイザーク!また来るぞ!』

 

「チッ!」

 

守りのモビルアーマーを撃破したはいいものの次から次へとモビルスーツがやってくる。なかなか減らない敵に対してイザークの顔はどんどんと険しくなる

 

『隊長!接近する熱源があります!』

 

「なんだ!?敵の新手か!」

 

旗艦であるボルテールからの通信が入る。接近するのはザフトの援軍ではないことは確実。では地球軍の新手なのかとイザークは頭を悩ます

 

『戦艦級の反応!それも2つ!』

 

「クソッ!データ照合急げ!」

 

『熱紋照合中。これは...ッ!?内1隻はエターナル!』

 

「なんだとっ!?」

 

『エターナル!?』

 

ボルテールからの報告が予想外のことすぎて驚くイザークとディアッカ

 

『続いてエターナルよりモビルスーツ発進を確認!』

 

「まさか!」

 

『エターナルより緊急電文です!』

 

「なにっ!?すぐ転送しろ!」

 

『了解!』

 

イザークはエターナルから送られてきたという電文にすぐ目を通した

 

『あれの撃破に協力。どういうことですか隊長!?』

 

「知らん!来たやつに直接聞くまでだ!」

 

イザークは機体のスラスターを吹かし接近してくるモビルスーツの直線上に移動した

 

『フリーダム!?キラか!?』

 

『ディアッカ』

 

通過したのはミーティアを装着したフリーダム。そしてかつてディアッカの敵であり、後に味方として戦ったキラ・ヤマトからの通信も入った

 

『おいおい、マジでキラかよ。来たことにも驚いたがそれがキラだったなんてな』

 

『うん。最初はレオくんが来るつもりだったんだけどね』

 

「貴様!何をしに来た!」

 

『あれの撃破に協力します』

 

「この戦闘に貴様らは関係ないはずだ!それをノコノコと!」

 

『あれはまたいろんなものを壊すものの補助道具です』

 

「なっ!」

 

『どういうことだキラ!』

 

自分達も知らない情報を既に把握していたキラに驚くイザークとディアッカ

 

『説明している暇はありません。早くしないと』

 

『おいイザーク!』

 

「クッ...!」

 

自分が任されている隊に異分子が紛れ込むのを良しとしないイザーク。しかしキラが言うことが正しければ2年前のような惨劇がまた起こるのかと頭を悩ます

 

「あれの撃破を最優先する...」

 

『おうさ!』

 

「ボルテール!エターナルに"協力感謝する"と電文を送れ!」

 

『いいんですか!?』

 

「責任は俺が取る!まずはあれを何とかするのが先決だ!」

 

『り、了解!』

 

イザークはボルテールへ指示を出しディアッカと共にキラの後を追うようにして巨大建造物に向かった

 

「全ジュール隊、チャニス隊に告ぐ。現在接近中の戦艦2隻とモビルスーツは敵ではない。破壊目標を間違えるな!」

 

『しかし隊長!あれは!』

 

『エターナルですよ!確か脱走艦の!』

 

「それについては2年前の条約で正式にオーブ所属と変更になっている!」

 

『しかし!』

 

「無駄口たたいている暇があったら攻撃に集中しろ!」

 

『隊長の言う通りだ。今自分がなにをやらなきゃいけないのかを考えろ!』

 

イザークに続いてディアッカからも檄が飛ぶ。そして2人は行動で示すかのように連携しながら敵を撃破していった

 

また、その前方ではキラが次々と地球軍モビルスーツやモビルアーマーを戦闘不能にしていく光景が目に入る

 

『す、すげー...』

 

『これが、フリーダム...』

 

「貴様ら!戦闘中に動きを止めるバカがどこにいる!」

 

『は、はい!』

 

『すみません!』

 

『た、隊長に続け!』

 

キラの戦いっぷりを見たら魅入ってしまうのは仕方のないことかもしれない。しかしイザークの怒号が彼らを戦場に戻した

 

「作戦終了後厳罰だ、バカ者どもが」

 

『まぁあんな戦い方見せられちゃーな』

 

「貴様もかディアッカ!」

 

『俺はちゃんとやってるだろ!』

 

イザークとディアッカが敵を撃ちながら揉めているといつの間にか目の前が開け巨大建造物までの射線が取れていた

 

『イザーク!』

 

「ガナー部隊!一斉射!」

 

イザークの号令でジュール隊、チャニス隊合わせて10機のガナーザクウォーリアが巨大建造物めがけて大型ビーム砲を放った。それに加えてキラのフルバーストも着弾。巨大建造物の一部が損壊した

 

『ガッデム!今のでこれだけかよ!』

 

「だが制御装置は破壊した。もう片方も破壊できれば完全に移動ができなくなるはずだ」

 

『なるほどな』

 

「各隊、反対側の制御装置を攻撃せよ!」

 

イザークは次の攻撃支持を出し自分も敵を迎撃しつつ移動を開始した

 

「ディアッカ、アイツにも伝えろ」

 

『あぁん?自分で伝えればいいだろ』

 

「俺は隊長だぞ!自軍でないやつに作戦を伝えらるかバカ者!」

 

『なんでそんなとこで意地張るんだよ!』

 

「うるさい!さっさとしろ!」

 

『はぁ...わかったよ』

 

アイツとはおそらくキラのことだろう。イザークは自分でキラに通信を飛ばさずにディアッカに伝えるよう指示した

 

『おいおい。まさかエターナルに続いてアークエンジェルまで投入かよ』

 

「ッ!足付き...?いや、あれは...」

 

ようやくエターナルが視認できるようになったところで、不明だったもう1隻も確認。形はいつかのドミニオンを思い出すようにアークエンジェルと同じ。しかしまた色合いが違うことにイザークは気づいた

 

「新造艦か...?」

 

『嘘だろ。なんの情報も』

 

「ターミナルならやりかねん。今はそんなことよりあれだ。行くぞっ!」

 

『お、おう!』

 

『ジュール隊長!』

 

アークエンジェル型艦のことは一旦置いておいて戦闘に戻ろうとするイザーク。しかしそんな彼にボルテールから緊急通信が入った

 

『月の裏側に高エネルギー体発生!』

 

「なんだとっ!?」

 

イザークが月方面に目を向けると一筋の大きな光の線がこちらに迫ってくるのが見てとれた

 

『イザーク!!!』

 

「全軍回避ー!!!」

 

イザークはすぐさまその場の全員に回避行動を取らせる。そして迫り来る巨大なビームは先ほどから撃墜を試みている巨大建造物ないを通り過ぎ、その線が曲がった

 

「なんだこれは!」

 

『ビームが曲がった!?』

 

「ッ!まさか!」

 

そのビームが向かう先。イザークが気づいたその先にあるのは彼らの故郷、プラントだった

 

『ウソだろ!?』

 

「クッ!」

 

ビームは既に通り過ぎている。イザーク達にはもうどうすることもできずビームがプラントに当たるのを待つしかできなかった

 

しかしそのビームがプラントに当たることはなかった。プラントすれすれを通りすぎる。それがなぜか現在わかる者はいなかったが、イザーク達がかの巨大建造物の制御装置を破壊し正確な位置につかせなかったことが功績だろう

 

『当たっ、てはないよな...』

 

「被害報告!プラントは!?」

 

『現在確認中ではありますが、直撃は避けられたかと...』

 

「そのまま調査を続けろ!ディアッカ!」

 

『あ、あぁ...?』

 

「コイツを落とす!」

 

イザークは安堵よりも放たれたビーム兵器の危険性の方が頭に残っていた。そのためか誰よりも早く再び戦闘に目を向ける

 

「2射目があったら今度こそプラントは終わりだ!なにがなんでも落とすぞ!」

 

『おう!』

 

『はっ!』

 

イザークの言葉にディアッカに加え他のザフト兵も力強い返事を返す

 

「聞こえるかフリーダム!」

 

『ッ!?』

 

イザークは地球軍の戦艦を撃破しながらキラへの通信を取った

 

「手を貸せ!あれを破壊する!もうプラントを撃たせるわけにはいかん!」

 

『イザーク...』

 

『もちろんです。僕達も今はあなた方と同じ気持ちです』

 

「ふっ。行くぞディアッカ!」

 

『あぁ!手を貸すぞキラ!』

 

『ありがとうディアッカ!』

 

『指揮官らしくなってきたんじゃないか?ザフトの坊主』

 

「ッ!?この声は...」

 

『バルトフェルド隊長!?』

 

イザークとディアッカのエターナルから通信が入り、画面には2年前一時ではあったが配属となったときの隊長、アンドリュー・バルトフェルドの顔があった

 

『再会を懐かしんでいる暇はないな。エターナルのミサイル一斉射と()()()()()によるローエングリン射撃を行う。射線を作ってほしい』

 

「...」

 

イザークはバルトフェルドからの申請に頭を悩ました。手を貸してもらうのはありがたいが味方でもない勢力のために動いたとあればザフト軍人、しかも隊長を任せられている身としては難しいところなのだ

 

「ディアッカ。部隊の半数をエターナル前方の敵艦隊排除にあたらせろ」

 

『いいのかよ、イザーク』

 

「我々がたまたま撃破した艦隊の位置がエターナルの射撃線上だっただけだ」

 

『いいね〜。そういうの嫌いじゃないよ僕は』

 

『アンディ。無駄口はなしよ』

 

『はいはい。じゃあ頼むよ?若き指揮官くん』

 

そこで通信は途切れバルトフェルドの顔も見えなくなった

 

「この場の隊長はこの俺だと言うのに」

 

『別にそこは変わってないだろ』

 

「うるさい!」

 

『はぁ。やれやれだぜ』

 

いつからかイザークの相談役兼ストッパー兼お守りみたいな立ち位置となっているディアッカ。なにやら納得がいっていないイザークを見て首を鳴らしながらイザークの後を追った

 

その後は早かった。キラは単体で、イザークとディアッカは仲間と連携しながら地球軍を殲滅。射線が開かれたためエターナルと新造艦、アークエンジェル型3番艦<セラフィム>の一斉射に加えザフト軍戦艦の砲撃も加わり巨大建造物に甚大な被害を与えた

 

そしてトドメとしてキラがミーティアの特大ビームサーベルで巨大建造物を真っ二つに斬り裂いた

 

目標の破壊を確認した各々は着艦しそれぞれの次の行動に移った

 

「...」

 

「どうしたんだよイザーク」

 

「なんでもない。次へ急ぐぞ」

 

ボルテールに戻ったイザークはエターナルとセラフィムが戦場から離れていくのをじっと見つめていた

 

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