ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第六話

 

最終目的地は月の連合基地。これは変わらない。悩ましいのはそこまでのルートだった

 

「もっとマシなルートはないのか?」

 

「これが最適みたいです。あとはデブリ帯を突っ切るしか...」

 

「突破は無理、よね...」

 

「デブリ帯をですか!?無茶ですよ...下手をすればこっちもお仲間行きです...」

 

スペースデブリ、または宇宙ゴミとも呼ばれるものが地球の衛星軌道上をぐるぐると周回している。ここを抜けるのが最短としてもゴミの中には戦艦の残骸など大きなものも存在するため突破は困難だった

 

「人類が今まで撒き散らしてきたゴミの山の集まりか。確かにお仲間には加わりたくは...はっ!デブリ帯か...」

 

「大尉何か?」

 

「不可能を可能にする男かな、俺は」

 

ムウは何かを思いつきその場の全員に共有。そしてその後キラやレオ達もブリッジに呼ばれ今後の方針について話が始まった

 

「補給を!?受けられるんですか!?」

 

「受けられるというか、まぁ勝手に補給するというか...」

 

「私達は今デブリベルトに向かっています」

 

「デブリベルト?」

 

「まさかっ!」

 

アークエンジェルが宇宙ゴミの溜まり場を目指していることを聞いてサイが何かに気づく

 

「キミは勘がいいね〜」

 

「あそこにはさまざまな物が点在しています。その中には凍った水もあるわけで...」

 

「まさかそこで補給を...?」

 

「仕方ないだろ?じゃなきゃ俺達が危ないんだから」

 

「あなた達にはその際にポットでの船外活動を手伝ってほしいの」

 

「ッ!」

 

お願いという文言の指示にキラ達は驚く

 

「嬉しくないのは私達も同じなんだ。だが我々が生き残るために他の手段がないのだ」

 

「失われた人達の物を漁ろうと言うんじゃないの。ただ、私達が生きるために必要なほんの少しの量を分けてもらおうと言うだけ」

 

マリュー達の説得によりキラ達は渋々ながら了承・そしてデブリベルト到着してすぐ行動を開始した。しかし...

 

『あ...』

 

『これって...』

 

そこで目にしたのは、見るも無惨な広大な土地の姿だった

 

『こんなところに...なんだこれ?』

 

「ユニウスセブンだ」

 

『レオくん?』

 

「地球軍が放った核攻撃によって葬り去られた、プラントのコロニーの一つだ」

 

レオの言う通りそこにあったのは、以前は戦争とはなんの関係もない人たちが住んでいた土地。その成れの果ての光景が宇宙を漂っている姿だった

 

レオ達は当初の目的通り水の探索に降りた。確かに水は発見できた。しかしそれ以外にも目にしたものはあった。それはついこの前まで普通の学生だった子供達が目にしていい光景ではなかった。アークエンジェルに戻ったキラ達からは案の定避難の声が上がった

 

「あそこの水を!?本気で言っているんですか!?」

 

「あそこには1億t以上の水が凍りついている」

 

「ナタルさんだって見たでしょ!?あそこは何十万人もの人が死んだ場所で!」

 

「キラ」

 

「ッ!レオくん...」

 

「みんなわかっているさ。バジルール少尉も艦長も。でも俺達は生きなきゃいけない。生きて、みんなバラバラになってる家族と会わなきゃいけないんだ」

 

レオの言葉にキラはもちろんその場にいるサイ達も目を見開く

 

「お前の、みんなの家族は少しでも早くお前達と再会したいはずだ。だがその再会したお前達が亡骸だった時の家族の心情を考えてみろ」

 

「...」

 

「なら、俺達はなにがなんでも生きるんだ。たとえ禁忌と呼ばれるようなことをしてでも」

 

レオは神妙な顔で淡々と言葉を発する。その堂々たる発言に大人達も唖然としている

 

かくして無事に、ではないが作業は実行された。キラやムウが周囲の警戒をしながら氷と他に見つかった武器、弾薬の回収を急ぐ。しかしそんな中、レオは別の場所を周回していた

 

「どこだ...」

 

何かを探している。また、その探し物を既に知っている様子だった

 

「いた」

 

レオが発見したのは水でも食料でもない。ザフトの偵察型ジンだった

 

「すまない...」

 

レオは誰に向けたものなのか謝罪をこぼしジンを一発で撃ち抜いた。このジンを野放しにしていたら作業中のキラ達が発見されていたかもしれない

 

「あとは...あれか」

 

レオはさらに何かを発見。それはまた救命ポットだった。レオはそれを迷うことなくアークエンジェルに持ち帰る

 

「またか...」

 

「すみません。周囲を警戒中に偶然見つけてしまったもので」

 

「開きますぜ」

 

回収されたポッドに誰が入っているのか確認するため副長であるナタルがドックまで足を運んだ。マードックがポットを開けるパスワードを解析し扉が開かれた

 

『ハロラクス!ハロー!』

 

「ありがとう。ご苦労様です」

 

中からはまるでお姫様のようなピンク髪の少女が浮遊してきた。レオは浮遊する少女の手を取る

 

「ありがとう」

 

「いいえ」

 

「あら?あらあら?まぁ!これはザフトの艦ではないのですね」

 

マリュー達からしてみれば敵軍、ザフトの名前が出たため、彼女は一旦個室まで連れられた

 

「ポットを拾っていただいてありがとうございます。わたくしはラクス・クラインです」

 

『ハロハロ?ラクスハロー?』

 

「はぁ...」

 

「やれやれ...」

 

それはそれはでかいため息がマリューから発せられ一緒にいるムウもことの重大さに頭を抱える

 

「クラインね。確かプラントの最高評議会議長がシーゲル・クライン、だったか?」

 

「あら。シーゲル・クラインは父ですわ。ご存じですの?」

 

「あ、あぁ。はぁ〜...」

 

プラントの最高評議会といえばプラントの最高意思決定機関であり、その議長となれば事実上の国政の長と国家元首。そんなプラントのトップオブトップの娘が敵軍の戦艦内にて危機感なさそうにふるまっていることにムウはラミアスよりもでかいため息を吐いた

 

「そのような方がどうしてこんなところに?」

 

「わたくしはユニウスセブンの追悼慰霊のための事前調査に来ていました。そうしましたら地球軍の艦とわたくし達の艦が出会ってしまって。最初は特に問題なかったようなのですがわたくし達の艦の目的がどうやらお気に触ってしまったようで...些細ないざこざから艦内はひどい争いになってしまい、わたくしは救命ポットで」

 

「なんてことを...」

 

「それで、あなたの艦は?」

 

「わかりません」

 

「発見者はレオか?」

 

「はい。でも今は作業中のはずです」

 

「そう。後でその時の状況を聞かないと」

 

「そうだな」

 

とりあえず事情聴取のようなものは一旦終了した。水問題が解決したと思ったらまた問題が発生し悩みは尽きなさそうだ

 

一方、作業を終わらせたキラやレオは整備を一段落させて食堂に向かっていた

 

「レオくんもそろそろ軍服着ないとだね」

 

「俺には似合わなそうだな」

 

『絶対嫌!』

 

声の主はフレイ・アルスター。どうやら食堂から発しているようだった

 

「なんでよ!」

 

「嫌ったら嫌!」

 

中には声の主のフレイにミリアリア、そしてカズイがいた

 

「どうしたの?」

 

「あの女の子の食事。ミリィがフレイに持っていって欲しいって頼んだらフレイが断って…それで揉めてるとこさ」

 

「...」

 

「私は嫌よ!コーディネイターの子のとこに行くなんて...」

 

「ちょっとフレイ!」

 

「あっ!もちろんキラは別よ?それはわかってるわ。でもあの子ってザフトの子なんでしょ?身体能力とか私よりも何倍も上だし。何されるか...ね?」

 

キラがいることに気づいたフレイは慌ててフォローは入れるがキラは苦しい表情になってしまう

 

「それをキラに聞くのか。お前バカなのか?それとも意地が悪いのか?」

 

「なんですって...?」

 

「コーディネイターが怖いなら俺とも関わらない方がいい。俺もお前の嫌うコーディネイターだからな」

 

「え...」

 

「レオが、コーディネイター...?」

 

まだミリアリア達に話していなかったためさすがに驚かれるレオ

 

「貸してミリアリア。俺が持っていく」

 

「え、あ、うん...」

 

レオはミリアリアから食事を受け取り食堂を出た。そしてラクス・クラインの部屋へ向かいドアをノックする

 

『どうぞ〜』

 

「失礼します」

 

中から入室許可の返答が来たためレオは扉を開けて中に入った

 

「これ食事です」

 

「まぁありがとう。ちょうどお腹が空いていたところなんです」

 

「それはよかった」

 

レオは持ってきた食事を机に置く

 

「こんなところに押しやってしまってすみません」

 

「...あなたはお優しいんですのね」

 

「はい?」

 

食事を持ってきただけなのにそんなことを言われたレオがラクスの顔を見るとそれはそれは穏やかな優しい笑顔だった

 

「お名前をお聞きしてもよろしいですか?」

 

「はい。レオ・シュヴァルグランです」

 

「わたくしはラクス・クラインですわ。よろしくお願いしますね、レオ様」

 

「様なんてよしてください。呼び捨てで構いません」

 

「そうですか。ではレオ。よろしければお話し相手になってくださいませんか?」

 

「俺がですか?」

 

「はい。実はずっと1人で寂しいのです」

 

「なるほど。俺でよろしいのであれば」

 

「本当ですか!嬉しいです!」

 

「そんなに喜ばれると。とりあえずは食事を取ってください。作業終わりでシャワーすら浴びてないので一旦部屋に戻って」

 

「わたくしは構いませんよ?」

 

「女性の前、しかもクライン嬢の前で汚いままというのも憚られます。10分ほどで戻りますので」

 

『ハロ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオがシャワーを浴びてラクスの元へ戻り会話を楽しんでいるころ、ブリッジでは何やら騒がしくなっていた

 

「なに!?」

 

「間違いなく味方からの暗号通信です!」

 

「本当か!追えるのか!?」

 

「今やってますよ!」

 

オペレーターがどこからかの通信をキャッチ。しかしそれはこれまでとは違いれっきとした友軍からのものだった

 

『こ...ちら......第、8........隊........せんけ...いモント...メリ......』

 

「ッ!ハルバートン提督閣下の部隊だわ!」

 

「うおー!!!」

 

「探してるのか!?こっちを!」

 

「距離が遠すぎてまだ鮮明な連絡は取れませんが、間違いありません!!」

 

「よっしゃー!!!」

 

「これで少しは安心できる!!」

 

現状のクルーに対して味方の艦隊が探してくれていることより大きな吉報はない

 

ヘリオポリス崩壊から戦闘続きのアークエンジェルクルーは既に疲弊していた。そこへの吉報。彼らにようやく明るい未来が少しばかり見えた瞬間だった

 

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