ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第六十一話

 

 

ナタルが落ち着いたところで4人ソファに座り本来するはずの話をしようとしていた

 

「しかし閣下。聞いたところによるとナタルは病み上がりなのでは?どうして軍服を」

 

「それはな」

 

「私が志願致しました」

 

「そんな...」

 

ナタルの言葉に心配になるマリュー。リハビリを頑張ったとしてもまだ復帰できるような状態ではないだろうとマリューは予測していた

 

「既に日常生活は難なくこなせます。さらには軍の志望試験も問題なくクリアしています」

 

「でも...」

 

「私も何度も説得したのだよ。だが彼女もなかなかの頑固者でな。聞く耳を持たんのだ」

 

「ナタル...もうあなたが頑張ることはないのよ?」

 

「それはあなたにも言えることですよ、マリュー・ラミアス」

 

「それは...」

 

「ですがバジルールさん。その...右手が...」

 

「フッ、さすがの観察眼だな少年」

 

バジルールは徐に右手の手袋を外した。そして露わとなった機械式の右手をグーパーと開いたり閉じたりしてみせた

 

「さすがに五体満足というわけにはいかなかったらしい。ですがこの義手にも慣れています。足を引っ張ることは致しません」

 

「...」

 

ナタルのその義手を見てさらに表情を曇らせるマリュー

 

「確かに戦力が不足している部分はある。彼女は地球軍時代から指揮官として優秀だった。私としては新造艦であるセラフィムの艦長をお願いしてもいいと思っているのだがね」

 

「閣下!」

 

「その任、喜んでお受けいたします」

 

「ナタル!」

 

「もうよしましょうマリューさん」

 

「でもレオくん...」

 

レオは声を荒げるマリューを落ち着かせる

 

「マリューさんがバジルールさんを心から心配しているのはわかります。でもバジルールさんだって抱いている信念はマリューさんと同じなのでしょう」

 

「...」

 

「ですがバジルールさん。あなたが戦場に戻ることには問題があります」

 

「問題かね?」

 

「はい提督。アークエンジェルには2年前、彼女と直接対峙したクルーもいます。彼らを説得しない限り本当に仲間として見れますでしょうか?」

 

「ふむ、なるほどな」

 

レオの発言にハルバートンは顎に手を当てて考える

 

「1人でもバジルールさんの参加を否定する人がいれば難しいと思います」

 

「ふーむ」

 

「そこはバジルールさんの誠意次第です。もっとも、否定する人がいるとも思いませんがね」

 

「なんだと?」

 

「そうね」

 

レオはふっと笑いながら誰もバジルールを否定する人がいないと口にする。その言葉につい先ほどまで表情を曇らせていたマリューもつられて口角を上げる

 

「ともかくバジルールさんをアークエンジェルにお連れして一度ノイマンさんやミリィと会わせた方がいいと思います」

 

「私はまだ反対なのだけど?」

 

「ならマリューさんがバジルールさんを説得してください。彼女が歴史上類を見ない程の堅物なのはあなたの方がご存じでないですか?」

 

「本人を前に言ってくれるじゃないか少年...」

 

「当然です。あなたが生きてくれていたいことは素直に嬉しいです。しかしあなたとの戦闘でどれだけの人が悲しみ、危険に陥ったか。あなたの本意でなかったにしろそれをすぐ許せるほど大人ではありませんので」

 

「ちょっとレオくん...」

 

「いいんですラミアス艦長。艦長のような人だけではなく、君のような気持ちの人もいるということだろ?」

 

「その通りです。そのことを心に留めておいてください」

 

「あぁ。肝に銘じておく」

 

「ではアークエンジェルに戻りましょうか。バジルールさんも一緒に」

 

「まぁ待て。そう急くことはなかろう。彼女にも心の準備というものがあるだろうて」

 

「確かにそうですね。すみません、急かすようなことをしてしまって」

 

「気にするな。口ではもっともなことを言いつつも私にもまだ覚悟が足りていなかった。それだけのことだ」

 

話を早く解決しようと急ぎすぎたレオはバジルール自身のことを考えずの発言を反省し謝るも、バジルールはそれを気に留めていないようすだった

 

「さて、彼女の話は一旦置いておこう。私はラミアス艦長と共に今後の話をしたいと思っている。よろしいか?」

 

「もちろんです」

 

「うむ。ではシュヴァルグランくんは戻ってくれて構わん」

 

「わかりました。本当にいろいろとありがとうございました、ハルバートン提督閣下」

 

「礼は既に電文などで何度も受け取っている。もうよい」

 

「感謝致します。それでは失礼致します。先に戻ってます、マリューさん」

 

「えぇ」

 

「今度はゆっくりと話そう」

 

「はい」

 

レオは挨拶をして先にアークエンジェルに戻った

 

「次はミーアか。銃使ったことなんてないしさすがに厳しいか...?」

 

「レオくん!」

 

「ん?」

 

自室へ戻る廊下を今後のことを考えながら歩いていたレオは背後から自分を呼ばれる声に反応して振り向いた。向いた先からは手を振りながら小走りで近づいてくるニコルの姿があった

 

「ニコル。君達ももう上がってたのか」

 

「はい!僕達もつい先程到着して、アークエンジェルも入港してると聞いたので合流を」

 

「そっか。シーゲル様は?」

 

「一度ラミアス艦長を訪ねてブリッジに寄られたんですけど、ミリアリアさんからハルバートン提督の元へ向かわれたと聞いてそちらに」

 

「じゃあ入れ違いか。あいさつは後かな」

 

「それがいいと思います」

 

先のザフトによるオーブ侵攻の防衛に参加してくれたシーゲル達もその後ザフトがオーブへ攻撃する動きがなかったため既に宇宙へ上がっていた。

 

「レオくんはなにか悩みごとですか?」

 

「んーちょっとな。ちょっと今回は難しそ、うで...」

 

「?」

 

レオは話を途切れさせじっとニコルの顔を見つめた

 

「いたっ!!」

 

「ひゃっ!?」

 

そしてまるで宝石でも見つけたかのように目を輝かせニコルの両肩を掴み顔を近づけた

 

「あの...レオくん...こんなとこじゃ、その...」

 

「ニコル!キミしかいない!」

 

「ふぇっ!?」

 

「ニコルが必要なんだ!」

 

「そ、そんな...」

 

レオからの突然の告白ともとれる言葉にニコルは顔を蒸気が出そうなほどに真っ赤にする

 

「だ、ダメです...レオくんにはラクス様が...でも、レオくんがそう言うなら...僕も...」

 

「頼むニコル!護衛を任されてくれないか!」

 

「...。はい?」

 

続けられたレオの言葉にニコルの顔の熱さは一気に冷めた

 

「護衛...?」

 

「アスランはいるけどさすがに俺じゃ戦力不足だと思ってたんだ。でもニコルなら!ってどうしたニコル?」

 

自分の早とちりに気づいたニコルは先ほどとは正反対にひどく落ち込んだ顔をしている

 

「そうですよね...僕なんてそんな...」

 

「なんだなんだ?体調でも悪いのか?」

 

「なんでもありません!!」

 

「お、おう...」

 

ニコルの心情をまったくわかっていないレオ。これでは女性陣も苦労するのは当然だろう

 

「はぁ...もういいです。それで護衛とは?」

 

「いやな?長い艦内生活でいろいろしんどいと思ったからさ。ラクスを買い物にでも誘おうかと思ったんだ」

 

「いいじゃないですか。そういうところはしっかりしてるんですねレオくん」

 

「どういう意味だ」

 

「いえ別に。わかりました。じゃあラクス様の護衛として付き添えばいいんですね?」

 

「いや、同行者はアスランにお願いする。ニコルは他に何人か連れて少し離れたところから見ていてほしいんだ」

 

「...」

 

またニコルの表情が変わり、今度は少し不機嫌そうだ

 

「ニコル?」

 

「僕だってレオくんとお買い物行きたいです...」

 

「いや、だが...」

 

「行きたいです!」

 

ニコルには珍しい大きな声を上げる。その勢いに目を逸らしてしまうレオ

 

「た、確かにラクスと出かけるって言ったらステラもついてくるだろうし...ラクスの話相手としてミリィかメイリン、マユあたりを同行させると思うから同伴の護衛はもう一人いた方がいいか、な...」

 

レオはちらっとニコルの顔を見やる。するとまたニコルは表情を変え、パーッとひまわりが咲いたかのような明るい笑顔になった

 

「そ、そうですよ!いくらアスランといえどその大人数を護衛するのは大変です!だから僕も一緒に行きます!」

 

「お、おう...じゃあ頼むな」

 

「はいっ!」

 

レオは目の前にいる残るがなんだか尻尾を振る子犬のように見えてまた無意識に頭を撫でていた

 

「ッ!?」

 

「おっとすまん。じゃあ予定決まったら連絡するから。あ、少し離れたところから見てくれている人選もよろしくな」

 

「あ、はい...」

 

レオはニコルの頭を撫でていることに気づきぱっと手を離す。そして護衛の件を再度お願いしてその場を離れた

 

「...」

 

ニコルは離れていく背中をじっと見つめ、先ほどまで撫でられていた頭の部分に自分の手を置いて顔が熱くなるのを感じていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニコルと別れたレオはまっすぐマユとメイリンの部屋に向かった

 

(ん?待てよ。よく考えてみたらわざわざ危険に晒すことないんじゃないか?)

 

2人の部屋のドアをノックしようとした時にふと考えてしまうレオ。しかしまだレオがノックもしていないのにドアが開いてしまった

 

「え、レオさん!?」

 

「や、やぁマユ」

 

目の前に立っているのはマユでちょうど部屋から外に出ようとしていたところに鉢合わせしたようだ

 

「レオさん?」

 

「どうしたのよレオ」

 

「メイリンは当然としてミリィもいたのか」

 

「なによ。私はお邪魔だったかしら?」

 

「いや、別にそんなことはないが」

 

中には同部屋のメイリンにミリアリアも偶然お邪魔していたようだ

 

「あの、私に何かご用ですか...?」

 

「メイリンさんじゃなくて私ですよね!」

 

ベッドに座っていたメイリンもぐいぐいとレオに詰め寄る。そんなメイリンに負けじとマユもレオに迫る

 

「モテモテでよかったわねレオ」

 

「いや別に...」

 

「つーん」

 

「はぁ。ごめん2人とも。少し相談事があるから中にお邪魔してもいいかな?それとも食堂とか」

 

「だ、大丈夫です!」

 

「ゆっくりしていってください。なんならそのまま休まれても」

 

「さすがにそこまではな。じゃあ邪魔するよ」

 

2人から入室の許可を得たレオは真っ直ぐとミリアリアの元に行き隣に腰掛けた

 

「ッ...」

 

「そうカリカリするなよミリィ」

 

「だって...」

 

「はいはい」

 

メイリンとマユに迫られているレオに嫉妬していたミリアリアは隣に座ったレオの胸にボフッと顔を埋めた。レオはそんなミリィの頭を優しく撫でる

 

(いいなぁ〜ミリアリアさん...)

 

(私もいつか...)

 

レオに撫でられているミリアリアを羨ましそうに見ているメイリンとマユ

 

「ごめんな2人とも。それで相談ってのが...どうした2人とも?」

 

「あっ!」

 

「な、なんでもないです!」

 

「そうか?」

 

羨望の眼差しをミリアリアに送っているところを見られてしまった2人は慌ててベッドに腰掛けた

 

「そ、それで私達に相談というのは...」

 

「今マリューさん達が今後について話し合っててな。移動の前にラクスを街に誘おうと思ってるんだ」

 

「わぁ!いいですね!ラクス様も喜ぶと思います!」

 

「でも、危なくないんですか?」

 

「一応護衛としてアスランにお願いするつもりだ」

 

「なら安心ですね」

 

「でも男2人にラクスだけだとなんかなって思って。そこで2人にラクスの話し相手として同行してもらえないかなって」

 

「それは実質、レオさんとお出かけできるってことですか...?」

 

「まぁそうなるかな」

 

「「行きます!!」」

 

「お、おう...」

 

2人してレオの誘いに対して前のめりにOKを出す

 

「ミリィはどうする?」

 

「私はついで?」

 

「そうじゃないって。ちゃんと誘うつもりだったし」

 

「んー。今回はいいかな。でも...」

 

「んっ!?」

 

「「っ!?」」

 

ミリアリアは顎に指を当てて一瞬考える仕草をするが、すぐさま答えを出してメイリンとマユが目の前にいるというのにレオの唇を奪った

 

「私は2人きりでよろしくね」

 

「しょ、承知...」

 

いきなりのことでキスシーンを見せられてしまったマユとメイリンは少しばかり固まってしまった

 

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