ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

63 / 72
第六十三話

 

 

アークエンジェルに戻った一同。レオは念のため検査を受けるために救護室へ。ラクスはそれに付き添いとして同行し他のメンバーは一旦解散。アスランはミーアのことがあるので彼女を連れて自室へ移動した

 

「お兄ちゃん!」

 

「おっと。ただいまステラ」

 

レオが検査を受けていると救護室にステラとミリアリアがやってきた

 

「ちょっとレオ。また怪我したの?」

 

「まぁな。名誉の負傷ってやつだ」

 

「まったく。ただのショッピングだったんじゃないわけー?」

 

「仕方ないだろ。緊急事態だったんだから」

 

「もう。また心配させて」

 

「それは本当にごめん」

 

「お兄ちゃん...痛い...?」

 

「んー?大丈夫だぞ。お兄ちゃん強いからな」

 

救護室に入るなりレオに抱き着いたステラが心配そうにレオの顔を見上げる。しかしレオはそんなステラに笑顔で返した

 

「よし、これでいいだろ」

 

「ありがとうございました」

 

「それにしても銃で撃たれたってのにこれぐらいで済むなんて大したもんだ」

 

「えぇ。幸運の女神が傍にいてくれましたからね」

 

「ははっ!まったくよくそんな歯に衣着せないでキザなセリフが言えるもんだよ」

 

「先生も恋をすればわかりますよ」

 

「子供が知ったような口をきくんじゃない。ほら、さっさと行け」

 

治療が終わったレオは追い出されるように救護室から出た

 

「こっちは怪我人なのにな」

 

「レオが余計なこと言うから」

 

「そうか?」

 

「まったくもう」

 

レオに悪態をつくミリアリアはさきほどから黙りっぱなしのラクスに気づいた

 

「ラクス?大丈夫?」

 

「え、えぇ...大丈夫ですわ...」

 

「...」

 

あきらかに大丈夫じゃないラクスを見てレオはそっと抱きしめた

 

「レオ...?」

 

「どうだ?あったかいだろ?」

 

「...」

 

「俺は生きてる。こうしてラクスを抱きしめられる」

 

目を閉じてレオのぬくもりを感じるラクス

 

「今回のことはラクスのせいじゃない。それに言ったろ?ラクスのことは絶対守るって」

 

「えぇ」

 

「だからさ、もうそんな悲しい顔しないでくれ。いつものラクスの笑顔を見せてほしい」

 

「わかりました。ですがもう少しこのままいさせてくださいませ」

 

「いくらでも」

 

「...。私達なに見せられてるのよ」

 

「いいなぁ〜...」

 

ミリアリアとステラがいる前でラクスしばらくレオの腕の中を堪能した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後ミーアをどうするか話し合うべくブリッジに集まった

 

「改めて彼女がミーア・キャンベルです」

 

「議長のとこの歌姫さんね」

 

「ちょっと...」

 

「...」

 

誰もが言わないでおこうと決めていたことを瞬時に、しかも簡単にムウが発言する。それに対してマリューは眉間に皺を寄せ、ミーアも何も言えずに隣にいるアスランの裾をキュッと掴んでいる

 

「おそらく本物のラクスが出てきた時点で議長の中で彼女は用済みでしょう。なんせもう偽って出すメリットがない」

 

「...」

 

「俺が最初に言わなくちゃならなかったんだ。こんなことはダメだと...」

 

「確かにな。ただ、その時のアスランは議長に心酔してた時だ。言えるわけがない」

 

「レオ。それは...」

 

「大丈夫だラクス。レオの言ったことは正しい。だから俺は言えなかったんだ。そのせいでミーアは...」

 

「アスラン...」

 

後悔と憤りを表情に出し拳を握りしめるアスランを申しわけなさそうに見つめるミーア

 

「別にアスランを責めてるわけじゃない。俺だってラクスが襲われたりしなきゃあの議長を信じてたかもしれない」

 

「レオ...」

 

「だが、ラクスを議長の手駒のようにされるのは我慢ならない。俺達の未来だって決められていいものじゃない」

 

「そうね。その通りだと思うわ」

 

レオの発言にマリューも賛同する

 

「ただ、ミーア・キャンベル。彼女がいなければ世界はこれまでよりも混沌を極めてたかもしれない」

 

「ッ!?」

 

レオからのまさかの言葉にミーアは目を見開いて驚く

 

「そうね。議長がどのような意図を持ってるかわからないけど地球軍側がやってしまったことには変わりないし。その中で民衆をまとめてくれてたのはその時のラクスさん、ミーアさんなのは間違いないわね」

 

「返す言葉もねぇな」

 

「...」

 

元々地球軍に所属していたムウは苦笑いをし、ステラはレオの腕に抱きつく

 

「ミーアだって平和を望んで議長に手を貸していたはずなんだ」

 

「アスラン...」

 

「確かにやったことは間違っていたかもしれない。でも彼女だって気持ちは俺達と一緒なはずなんだ」

 

「ミーア・キャンベル」

 

「は、はい...」

 

「アスランが言うようなものをキミは本当に持っているのか?」

 

「わ、私は...」

 

レオからの問いかけにミーアは恐る恐る口を開いた

 

「最初は、こんな私でも役に立てることがあるんだって。憧れだったあのラクス・クラインになれるんだって思っただけでした。それからデュランダル議長から言われて、議長の指示通りに動いて。その時はそれが正しいって、議長の言うことが正しいって思ってました。でもあの日...」

 

ミーアは一度話を止めてアスランと目を合わせる。あの雨の日。アスランが脱走した日にした会話を思い出す

 

「アスランから言われたことがずっと心に引っかかってたんです。議長に都合のいいパイロットのアスラン。そしてラクス・クラインとしての私。それから本物のラクス様が出てきて私はここに連れて来られました。そこである程度は察してました。私は用済みなのかなって」

 

「なるほどな。じゃあキミは自分の意思なく議長から言われたことをただ実行していただけなんだな?」

 

「おいレオ!それは!」

 

「黙っていろアスラン。どうなんだミーア・キャンベル。キミはただ議長の操り人形のように偽のラクス・クラインを演じていたのか?」

 

「ッ!?お前ぇぇ!!」

 

アスランはレオの発言に怒りを感じレオの胸ぐらを掴んだ

 

「今それは必要なことなのか!?ミーアがどんな思いでこんなことをしていたか知らないくせに!」

 

「それはお前にだって言えることだろアスラン!彼女がどんな思いで偽のラクスを演じることを選んだかなんてお前にわかるのか!?」

 

「ッ!」

 

「やめてアスラン!」

 

殴り合いにでもなりそうな雰囲気のアスランとレオを見たミーアが大声を上げて止めた

 

「おっしゃる通り、私にはなんの意志も、どうしたいかんて思いもありませんでした。でもっ!」

 

「ッ!おいミーア!」

 

ミーアはポケットからハサミを取り出す。それに危険を感じたアスランがミーアを呼ぶ。しかしミーアはそのハサミで自分の髪をバッサリ切った

 

「確かに今までは議長の敷いたレールの上で偽のラクス様を演じて生きてきました。でもラクス様に言われて、あなたに言われて考えました。どうあっても私はラクス様にはなれない。私は私でしかないんだって。なら今からでも、ラクス・クラインではなくミーア・キャンベルとして生きたい!誰かに決められたものじゃなくて私がしたいことを私のやりたいようにやって生きて行きたい!!」

 

ミーアの全力の意気込み。その証拠としてものすごく息切れをしている

 

「あなたがこれからどうしたいのか、その強い気持ちは十分伝わりましたわ」

 

「ラクス様...」

 

「なんだかな。俺も身を置かせてもらった身だからあれだが、使われる身ってのも大変だよな」

 

「それを言うなら彼女の1番の理解者はアスランなのかもな」

 

「そう、かもな...」

 

かつて父の命を信じて動いていたアスラン。軍の命令通りステラのようなエクステンデッドの子供達を戦場に向かわせていたムウ。そして議長の言いなりに動いていたミーア。それぞれ似たような経験をしていると言えるかもしれない

 

「ラクス様、アスラン。そして皆様...本当にすみませんでした」

 

ミーアは頭を深々と下げて謝罪した

 

「頭を上げてくれミーア」

 

「...」

 

アスランが頭を上げるように伝えるもミーアはそのままの姿勢から動かなかった。それを見たアスランはゆっくりとミーアに近づき彼女の肩を持って力づくで頭を上げさせた

 

「確かに間違ったことをしたのかもしれない。だがレオの言ったように君のおかげで助けられた人も大勢いる」

 

「アスラン...」

 

「もし君が自分のことを許せないのであれば、そんな君に手を差し伸べてやれなかった俺の責任だ」

 

「そんな、こと...」

 

「俺が止めるべきだったんだ。すまなかった」

 

「アス、ラン...!!!」

 

「すまなかった。本当に...」

 

ミーアの顔はもう涙でぐしゃぐしゃだった。そんなミーアを見てアスランは後悔の念に駆られていた

 

「さ、お話はこれで終わりですわね?」

 

「ん?まぁそうかな」

 

「では参りましょうか、ミーアさん」

 

「え...?」

 

まだ涙も拭けてないままのミーアはラクスの言葉を理解できなかった

 

「そうね。決意のために髪を切ったんでしょうけどそのままじゃダメよ。せっかく綺麗な髪なんだから」

 

「えっと...?」

 

「ふふっ、じゃあ用意しましょうか」

 

ミーアの髪を整えるためラクスにミリアリア、マリューが一旦ブリッジを出た

 

「確かに髪は女の命ってよく言うからな」

 

「それはフレイの請負だろ?」

 

「あいつの美容熱は異常なんだって。アスランだってわかってるだろ?カガリなんて何度注意されてたか」

 

「あぁ。最後には恐怖の対象になったみたいだからな」

 

「そこまでだったのか」

 

「レオさん」

 

4人が出て行ってレオとアスランが本人がいないところでフレイのことを話しているとメリインとマユがレオに声をかけた

 

「あの、怪我は大丈夫なんですか...?」

 

「メイリンさんから聞きました。なんともないんですか...?」

 

「大丈夫。心配させてごめんなメイリン。マユも」

 

「いえ。大丈夫ならいいんです」

 

「付き合ってくれて助かった。ありがとな2人とも」

 

「い、いえ!」

 

「私達も楽しかったです!」

 

「なんか忙しなかったから今度改めて穴埋めさせてくれ」

 

「「いいんですか!?」」

 

「もちろん」

 

「「じゃ、じゃあぜひ2人で!」」

 

「え...」

 

「え...」

 

言うことが被ったメイリンとマユはお互いに顔を見合わせる

 

「人見知りなメイリンさんにはまだ早いんじゃないですか...?」

 

「マユちゃんだってまだそこまで親しくなってないでしょ...?」

 

「ふ、2人とも...」

 

「お兄ちゃん」

 

「ん?どしたステラ?」

 

「なでなでしてほしい」

 

「今か?」

 

「うん」

 

「はいよ」

 

メイリンとマユが静かに睨み合う中なぜかレオはステラの頭を撫でることになってどういう状況なのかわからなくなってしまった

 

 

 

 

ミーアの一件があった次の日。レオとラクスがマリューと共にハルバートンから招集を受けた。向かった先の部屋には彼の他にシーゲルとナタル、ニコルに加えて見知らぬ男性が1人

 

「忙しいところすまんな」

 

「とんでもありません」

 

「助かるよラミアス艦長。話をする前に彼の紹介が先であろうか」

 

「はっ!」

 

マリューやラクスが見知らぬ男性は1歩前に出て敬礼をした

 

「お会いできて光栄でありますラクス・クライン様。そして浮沈艦アークエンジェル艦長マリュー・ラミアス殿。私はハイネ・ヴェステンフルスと申します」

 

「彼は元ザフトのエリートだったのだが亡命を希望していたようでな。彼もまた我々の意見に賛同してくれた者だ」

 

「そうだったんですね」

 

「覚えていないだろうが君とは一度戦場で相まみえた。もっともそのときは俺が瞬殺されてしまったがね」

 

「そ、そうでしたか...」

 

「すまない。いじわるな言い方をしたな。俺は別に君に恨みを持っちゃいない。これから同じ道を歩む者ととしてよろしく頼む」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

実際レオもハイネとはどこで会敵したかわかっていた。しかしそんな彼が目の前に、しかも仲間として現れたのは驚きだった。ただハイネから差し出された手を拒むことなく掴んだ

 

「ふむ。では君達を呼んだ理由を説明しようか。まぁ大方察しはついているだろうが、私達は新造艦セラフィムの艦長をこのナタル・バジルールくんに任命することにした」

 

「...。わかりました」

 

「マリューさん、よろしいのですか...?」

 

バジルールのことを思い今まで反対してきたマリューだったのを知っているラクスは心配そうに声をかけた

 

「いいのよ。私も、マードック整備長達もナタルから話があったわ。もう彼女を否定する人はいません」

 

「ならよいのです」

 

「レオくんも、それでよいかな?」

 

「はい。ラミアス艦長がお決めになられたのであれば自分から言うことはなにもありません」

 

「そうか。では頼むぞ?ナタル・バジルール新艦長」

 

「はっ!この御恩は必ずお返し致します!」

 

「そう堅くなるな。それは君の長所でもあるが短所でもある。程よく力を抜くことを覚えるのだ」

 

「も、申し訳ありません...」

 

ハルバートンから注意を受けるナタルだが、この場合大役を任された彼女としては緊張して当たり前だと思うが...

 

「僕らはバジルール新艦長の指揮に入ります」

 

「そうか。ニコルがいるなら安心だな」

 

「そうですわね。上手くまとめてくださるでしょう」

 

「ッ!はいっ!頑張りますっ!」

 

「俺もセラフィム直属となった。こっちではまだまだペーペーなんでいろいろ頼らせてもらう」

 

「そのときはなんでも聞いてください。できる限りフォローしますので」

 

「助かる」

 

バジルール新艦長の下ニコルやハイネ、他オーブからの一般兵がサポートに回り新型艦セラフィムのクルーが決まった

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。