ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第六十五話

 

 

ラクス達はまずレクイエムの射線を取っている原因である第一中継ステーションの破壊を目指して発進した

 

「お兄ちゃん」

 

「行ってくるなステラ」

 

「...」

 

「ステラ?」

 

いつもより表情が曇り気味なステラに気づいたレオは心配そうに顔を覗き込んだ

 

「ちゃんと、帰ってくる...?」

 

「...」

 

戦闘中はコクーンで休んでいるステラでも今度の戦闘は今までよりも大変になることを察したのか心配の声をあげる。そんなステラをレオは静かに抱きしめた

 

「大丈夫だ」

 

「ッ!」

 

「ちゃんと帰ってくる。みんなで。絶対にステラを1人になんてさせない」

 

「うん...うん!待ってる!」

 

レオの言葉を聞いて無事に帰ってきてほしいという願いも込めて強く抱きしめ返すステラ。レオはステラやラクスのためにちゃんと帰ってくることを改めて心に誓ったのだった

 

 

 

作戦としては足の速いエターナル、アークエンジェル、セラフィムの3隻が中継ステーションを落とし、ハルバートン指揮下のオーブ主力がレクイエム本体を破壊することになっている

 

『勝敗に求められるのはスピードです。敵の増援に包囲される前に中継ステーションを落とします』

 

『目標まで180!』

 

『ザフト軍防衛戦、光学映像出ます!』

 

この中継ステーションが重要なのはわかりきっている。そのためデュランダル議長は大戦力をここの防衛に回していた

 

『先に出撃るよレオくん』

 

「あぁ」

 

『アスラン』

 

『あぁ、行こう』

 

『ミーティア起動!全艦第一戦闘配備!』

 

『キラ・ヤマト。フリーダム、行きます!』

 

『アスラン・ザラ。ジャスティス出撃る!』

 

先に出撃したキラとアスランはエターナルより分離したエターナルを装備し中継ステーションへ向かった

 

「じゃあラクス、行ってくる」

 

『はい。気をつけて』

 

「あぁ。マユとメイリンも、みんなのフォローよろしくな」

 

『『はい!』』

 

続いてレオも飛び出し、機体の翼を羽ばたかせキラとアスランを追いかけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちらエターナル、ラクス・クラインです』

 

レオ達が出撃してから全域にかけてラクスの通信が入った

 

『中継ステーションを護衛するザフト軍兵士に通告致します。わたくし達はこれよりその無用な大量破壊兵器の排除を開始します。それは人が守らねばならないものでも、戦うために必要なものでもありません。平和のために、その軍服をまとった誇りがまだその身にあるのなら、道を開けなさい!』

 

ラクスの言葉に一瞬全ザフトモビルスーツの動きが止まる。しかしそれはほんの束の間、ザフト軍からの攻撃は開始されてしまった

 

「ここにイザークやディアッカがいなかったのは幸運だな。マリューさん!バジルールさん!そのまま進んでください!」

 

『ッ!?』

 

『わかったわ!お願いね!』

 

『ラミアス艦長!?しかし!』

 

『右舷よりミサイル接近!』

 

大包囲網の中を突き進む三隻。当然ビーム、ミサイルが大量に放たれる。しかしその全ては1隻ずつ取り囲むバリアに阻まれていた

 

「こっちは俺1人でいい。行けっ!キラ!アスラン!」

 

『わかった!』

 

『お願いするよレオくん!』

 

3隻の護衛をレオに任せキラとアスランはザフト軍を悉く戦闘不能にしつつ中継ステーションに向かった

 

『戦闘を止め道を開けなさい!このようなものを、もうどこに向けてであれ人を撃ってはならないのです!』

 

「平和への女神がこう言ってるんだ。さっさと道を開けろっ!」

 

レオはバリアに使っている小型ドラグーン以外を駆使して迫りくるザフトモビルスーツを戦闘不能にしていく

 

『9時の方向にナスカ級接近!』

 

「任せろ」

 

ミリアリアからの報告で接近するナスカ級に向けてスラスターを全開にするレオ。一瞬のうちに背後へまわりエンジン部分をバスターライフルで撃ち抜いた

 

『アスラン!』

 

『あぁ!一気に行くぞ!』

 

なんとたった戦艦3隻とモビルスーツ3機でザフト防衛軍は壊滅状態。モビルスーツ隊の大半は戦闘不能。態勢も崩れ中継ステーションまでの道が開かれてしまった

 

『ッ!敵増援です!』

 

「キラ!アスラン!」

 

セラフィムオペレーターのフレイからの報告とレオの声掛けの直後、大量のビーム攻撃がキラとアスランを襲った

 

『あっ...!』

 

『ミネルバ!』

 

『クッ!』

 

もうすぐ取り付けるというときにザフト軍の増援。しかもその中にはあのミネルバもいた

 

「ここでか...バルトフェルドさん!マリューさん!バジルールさん!状況が変わりました!ムウさん達も出撃を!」

 

『わかったわ!』

 

『おいおいだから俺は...』

 

『こちらも了解した。モビルスーツ全機出撃!』

 

『僕達も出撃ます!』

 

ザフト軍の増援に伴い戦力の増強が必要となってしまったマリュー達。しかし準備をとうにしていた優秀なパイロット達はすぐさま出撃した

 

『ネオ・ロアノーク。アカツキ、行くぞ!』

 

『ニコル・アマルフィはアストレイノワールで出撃ます!』

 

『ハイネ・ヴェステンフルス。ガイア、行くぜ!』

 

ムウやニコル、そして新たに加わったはハイネに続きエターナルからはヒルダ達、そしてムラサメ隊も順次発進した

 

『レオさ...『レオ!オレンジ12にモビルスーツ7!』』

 

「さすが早いなミリィ。ただ他人の通信に割り込むのは良くないぞ?」

 

『あ、ごめんメイリンちゃん!』

 

『い、いえ...』

 

「ふっ。悪いミリィ、ムウさんやムラサメ隊の方々を優先してくれ。ただでさえ見る数が多い。ミリィにしか頼めない」

 

『わかったわよ。その代わり、ちゃんと帰ってきなさいよ』

 

「それは絶対に約束する。頼んだぞミリィ」

 

『えぇ』

 

「と言うわけだメイリン、マユ。これからのことは頼む」

 

『わ、わかりました!』

 

『精一杯頑張ります!』

 

「あぁ」

 

レオはミリアリアとの通信が切れて少し寂しく思いつつも接近してくるザフト軍の援軍に威嚇射撃を敢行した。そして射撃を終えたレオの真横をドムが3機通り抜けた

 

『ぼさっとしてんじゃないよ坊や!』

 

「ヒルダさん!?」

 

『ラクス様を撃とうなんてふざけた根性、この私が叩きなおしてやるさ!』

 

「えー...」

 

『すまんな坊主。あぁなったヒルダは止められん』

 

『違いねぇ!』

 

ヒルダ達は同胞であるはずのザフト軍の兵士達を平然と次々と撃破していく

 

『アストレイ隊は3時方向へ!艦取り舵10!下げ舵15!ゴッドフリート撃てー!』

 

『こんのー!』

 

『えぇい落ちろー!』

 

やはりバジルールの指揮能力は凄まじいもので、キラやレオのように個人の力技ではなくちゃんとした連携を取って戦っている

 

ニコルも新たな専用機<アストレイノワール>で上手くザフト軍モビルスーツを戦闘不能にしている。機体は元々レオの乗っていたストライクノワールの技術をベースにモルゲンレーテが造り出したアストレイ用ノワールパックを装備したものだ。しかしアストレイではエネルギーの消耗が激しいためバスターに利用されていたバックパックの技術を利用しなんとか実用化できた。ただ大量生産するにはコストがかかってしまうためニコル専用機となった

 

ハイネが乗るガイアは元々ステラが地球軍で扱っていたガイアの塗装をオレンジカラーにしただけで性能は変わっていない。元はザフトが開発した機体なだけに修正箇所も少なかった

 

『レオくん!行ってください!』

 

「なに言い出すんだニコル」

 

『アスラン達だけじゃ突破は困難です!だから!』

 

「ッ!だが!」

 

ニコルが言うことはレオもわかっていた。ミネルバや他の援軍が到着したことでキラとアスランだけで中継ステーションに取り付くことが難しいことは。しかしレオはこの乱戦の中ラクスやミリアリアの乗る艦から離れられないでいた

 

『ニコルさんの言う通りです。行ってくださいレオ』

 

「ラクス...」

 

『今の第一優先はわたくし達ではなくあの中継ステーションです。あれが破壊できなければそれこそ全人類の滅亡を意味します』

 

「だが...」

 

『行って、レオ』

 

「ミリィまで...」

 

『これは私達じゃできない。レオにしかできないことなの。だから行って』

 

『レオ。これは"命令"です。行ってください』

 

「...。了解。ニコル、ハイネさん、ここは任せました」

 

『ッ!はい!』

 

『行ってこい!』

 

レオは3隻のバリアを解除し小型ドラグーンを回収し翼を羽ばたかせキラやアスランの元に向かった

 

 

 

 

 

 

 

「過保護もいいところね、あの坊やは」

 

「まったくだ。大の大人も守られっぱなしじゃ立つ瀬がないしな」

 

「しかし、いつもわたくし達のことを見て、気にかけて、寄り添ってくれる。そんなところにみんな惹かれるのですわ」

 

「確かに。ほらっ!弾幕薄いぞ!レオがいなくなっただけで落ちたなんて言ったらそれこそ会わす顔がないぞ!」

 

「はい!」

 

レオが離脱しミネルバが接近。それと対峙するのはアークエンジェル。エターナルは引き続きザフト戦力を削いでいった

 

「インパルス接近!」

 

「お姉ちゃん!」

 

エターナルに急激に接近する機影。ミネルバから発進したインパルスだった。そしてそのパイロットは、メイリンの実の姉であるルナマリア・ホークである

 

「お姉ちゃん!やめて!」

 

『ッ!?メイリン!?』

 

メイリンの必死な呼びかけが姉に届き、ルナマリアの声もエターナルに繋がった

 

「なんで戦うの...?なんで戦うのよ!どのラクス様が本物かなんでわからないの!?」

 

『わ、わたしは...』

 

「レオさんは絶対誰かを殺そうとはしなかった!なのになんでお姉ちゃんはレオさんの大切な人達を殺そうとするの!?」

 

メイリンは今自分が思っているせいいっぱいを言葉にし伝えた

 

そこへヒルダ達が駆けつけインパルスに向かって攻撃を仕掛けた

 

『ヒルダさん待って!』

 

『ッ!?なんだい坊や!戦闘中だよ!』

 

インパルスへ絶えず連携攻撃をくらわすヒルダ達の元にレオから通信が入った

 

『その機体にはメイリンの実のお姉さんが乗ってるんです!なので撃破ではなく戦闘継続不能でとどめてください!』

 

『そんな器用なこと、アタシには『お願いします!!』ッ...!』

 

『敵に情けをかけるなんて甘いことだってわかってます!でもメイリンを悲しませることはできない!』

 

「レオさん...」

 

『...。わかったよ。マーズ、ヘルベルト!聞いたね!』

 

『あいよ』

 

『おう!』

 

それからヒルダ達はインパルスへの直撃を避け頭部や脚部、腕部に攻撃を集中した

 

「レオさん...ありがとう...」

 

レオの気転がたまらなく嬉しいメイリンが口元を抑えながら涙を流す。そんなメイリンを笑顔で見守るラクスだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルとミネルバの一騎打ちは熾烈を極めていた。どちらも一歩も退かない撃ち合い。両艦長の腕がいいため被害はそこまで大きくはなかった

 

「ミサイル来ます!数8!」

 

「回避!迎撃!」

 

ミネルバから放たれるミサイルを迎撃しながら回避を命じるマリュー

 

「ッ!艦長!ミネルバが陽電子砲発射態勢!」

 

「ッ!しまった!」

 

マリューはミネルバからの射線軸上にアークエンジェルとエターナルが重なってしまったことに気づいた

 

(本艦が動けばエターナルに...!)

 

『マリューさん!』

 

『お前は動くな!坊主!』

 

ミネルバから発射されたタンホイザの光。それはまっすぐにアークエンジェルのブリッジへ向かっていった。しかし直撃する寸前で分散したのだ

 

「ッ!?」

 

『アークエンジェルはやらせん!』

 

ムウが間に割って入りアカツキの装甲<ヤタノカガミ>でビームを四方へ屈折。その光景は前にもあった

 

『ッ!?マ、リュー...俺は...』

 

ムウは思い出した。自分が本当は誰だったのかを。なにを思い、なんのために戦い、誰を守りたかったのか全て

 

『大丈夫だ』

 

「え...」

 

『もう俺は、どこにも行かない』

 

マリューはそのムウの言い回しに困惑した。そこへ迫るミネルバからの追撃。しかしムウはこれを宇宙戦闘用ストライカーパックに備わっているドラグーンを使用しレオのようにバリアを張り防いだ

 

『終わらせて帰ろう。"マリュー"』

 

『ッ!ムウ...!』

 

生きていたことに驚愕した。再会できたことに喜んだ。しかし彼の中に自分はいなかった。涙した...彼は目の前にいるのに、その彼は別人という現実を受け止めるまでには時間がかかった。でも、今、やっと...彼は本当の意味で帰ってきたのだった

 

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