ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第六十七話

 

 

レオとエターナルから離れたアスラン達はザフト軍の防衛網を突破しつつ着実にレクイエムへ近づいていた

 

「チィッ!」

 

『えらい数だなこりゃ...』

 

撃破しても戦闘不能に陥らせても目の前には絶えずザフト軍の防衛部隊が出てくる

 

『後方よりミネルバ接近!』

 

『ミサイル来ます!』

 

『回避!ゴッドフリート照準!撃てーっ!』

 

ミネルバが距離を詰めてきても冷静に対応するマリュー。だがそれでもミネルバは攻撃を続けながら接近、それと共にインパルスもビームライフルを撃つながら向かってきていた

 

「ルナマリアか!?」

 

『あなたがメイリンを!』

 

ルナマリアは狙いをジャスティスに変えライフルを放つもアスランはシールドで容易にこれを防いだ

 

「やめろルナマリア!」

 

『逃げるな!』

 

今度はビームサーベルを抜き斬りかかってくるルナマリアに対して後方に避けるアスラン

 

「クソッ!」

 

アスランはルナマリアが斬りかかってくるタイミングを見計らって膝から爪先部にかけて展開されるビームブレイドでインパルスの右腕を斬り裂いた

 

「下がれ!君を撃ちたくはない!」

 

『なにをー!!』

 

「時間がないんだ!」

 

聞き分けなくバルカンを撃ってくるルナマリアにシールドから抜き放ったアスランのビームブーメランがインパルスの右脚を斬った

 

『ウッ!』

 

『ルナー!!!』

 

『シン!』

 

「ッ!?」

 

ここにレオとの戦闘から抜け出してきたデステニィー、シンが到着した

 

『こんのー!裏切り者がー!』

 

「シン!」

 

来て早々大型ビーム砲を放つシン

 

『大丈夫か!?ルナ!』

 

『シン!』

 

『あんたって人はァァァ!!』

 

ルナマリアを攻撃されて激怒したシンは光の翼を展開させアスランに襲い掛かる。アスランも2本のビームサーベルを連結させ展開し迎え撃つ

 

『よくもルナを...ルナをやったなァァァ!!』

 

叫びながらアスランに接近するシンの中でこの瞬間、何かが弾けた...

 

「クッ!」

 

『アスラン!』

 

「来るなキラ!」

 

『ッ!?』

 

シンの攻撃をシールドで防ぐアスランは救援に来ようとしたキラを大声で止めた

 

「ここは俺がやる!レクイエムへ急いでくれ!」

 

『アスランくんの言う通りよキラくん!ミネルバはアークエンジェルが抑えます!他はレクイエムへ!ナタル!』

 

『...。了解しました!機関最大!』

 

心配ではある。しかし時間がないことも事実。ナタルもそれがわかっているため苦渋の決断のごとく顔をしかめて命令を出した。そんなセラフィムに続いてキラやムウもアスランやマリュー達を置いてレクイエムへ侵攻を続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオとレイの戦闘は依然続いていた。ただお互いの力量は明確だった

 

「所詮お前は誰かに依存し、自分で意思を持たないでただこの世を生きているだけなんだよ。レイ・ザ・バレル」

 

傍から見てもわかる。レイの方は既にドラグーンを数機失って防戦一方。片やレオの方は他のザフトモビルスーツの邪魔をされ、それに加えてエターナルやニコル達の援護、防御もする余裕があった

 

『なぜ...!なぜこうまで違う!』

 

「わからないのか?わからないだろうなお前には。お前は本当にレイ・ザ・バレルなのか?それともラウ・ル・クルーゼなのか?」

 

『ッ!それがわかっているなら!』

 

「わからないさ。確かにラウ・ル・クルーゼの気配は感じた。だが目の前で実際に戦ってるのはあいつではないからな」

 

レイが怒り任せにドラグーンを一斉射撃するもレオは翼を折りたたみその攻撃の間を縫うように回避する

 

『レオ・シュヴァルグラン...やはり危険な存在だお前は!』

 

「お前は俺のことを知っているのか。まぁ大方キラと一緒にあの議長のブラックリストの1ページ目にでも書かれてるんだろうが」

 

『議長にあだなす危険分子...ならばお前も今度こそ消えなくてはならない!俺達と一緒に!』

 

レイはレオのバスターライフル攻撃を躱しつつ接近を試みる

 

『生まれ変わるこの世界のために!』

 

「...」

 

レオの巧みなドラグーン使いによりまったくレイの接近を許さない

 

『過去は絶対に取り戻せない。あってはならなかった、こうしてはいけなかったと。いくら後悔したところで過ぎ去ってしまったものは元には戻らない。だからもう終わらせる』

 

レイはレオのドラグーン攻撃をなんとか回避しつつ反撃する

 

『そしてあるべき正しい姿へと戻る!人は!世界は!』

 

 

 

「人の未来を勝手に決めるな」

 

 

 

レオはレイの言い分に冷静に答えながら敵の攻撃が迫るヒルダとディアッカにバリアを展開した

 

『レオ!?』

 

『坊や...』

 

守られたヒルダもディアッカも一瞬レオの方に目を向けるもレオは気にしないようすでレイから目を離すことはなかった

 

「確かに過去をどうにかすることはできない」

 

『ッ!?』

 

レイがドラグーンをレオの周りに飛ばすもレオはそれがどこに来るのかわかっているかのようにドラグーンが移動した方向にバスターライフルを放ち破壊する

 

「だが過去の過ちを悔やみ、苦しみ、そこから次へと繋げられるのが人だ」

 

『なに、を...』

 

「人の夢、人の望み。それは誰かによって決められるものではない。その人が自分自身で決めるものだ」

 

『ッ!それが欲となり、業となり、だからこのような争いが絶えないのだろう!』

 

デュランダル議長の目指すものこそ人類の希望と信じて疑わないレイはそれを否定するような言葉を発するレオに怒りの攻撃を連発する

 

「争いが絶えないのは否定できない。ではなぜその争いはその都度終わる?」

 

『っ!?なにを...』

 

「いつの時代もその戦争を終わらせる者がいるからだ」

 

『ッ!?』

 

レオはさらにレイの放つドラグーンを破壊していく

 

「確かに争いは絶えない。しかし世界はその度に修正の道を歩んでいる。俺やお前が今存在しているのも道を外したところを世界が修正してくれるからだ」

 

『それは結果論だ!』

 

「あぁそうだ。だが俺達は過去に起きた結果しか知り得ない。だからそこから知恵を借り前へ進むことができる。それを進化と言わず何と言う?」

 

レオはレイからの一斉射撃を避けつつ今度は攻撃が迫るエターナルとニコルにバリアを張った

 

『レオ...あいつという男はどこまで...』

 

『レオくん...』

 

先ほどのディアッカとヒルダのとき同様自分が戦闘の中でも誰かを守ることを息をすることと同じように自然と行うレオは感謝の言葉など必要なかった。そのままレイとの会話を続ける

 

「議長の提示する世界では確かに争いは起きない。しかし変化もない。毎日同じ日常。それが何年、何十年、何百年と続く」

 

『争いがなければ世界はずっと平和に!』

 

「変化のない世界は、必ず滅びる」

 

『ッ!?』

 

レオの言葉に一瞬レイの攻撃が止まった

 

『そんなこと...』

 

「世界は、人は、人1人が牛耳れるものじゃない。それに、人の未来を決めるなんて誰にだってやっていいことじゃない」

 

レオが放ったバスターライフルのビームをシールドで防ぐレイ。しかし威力が通常のビームとは何倍も違うため吹き飛ばされ体制を崩す

 

「お前の未来も誰にも決めることはできない。それはお前がお前自身で決めることだ。1人の人として...レイ・ザ・バレルとしてな」

 

『あ、あぁ...』

 

レオの発言で今度はレイの動きが完全に止まった。そんなレイにレオは無情にもドラグーンにて一斉射撃。コックピットを含む胴体部分を残して全て破壊した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラやナタルを先に行かせたアスランとマリューはそれぞれの戦いを続けていた

 

戦闘技術などまったく感じられないほどただ向かってくるシンに対してアスランは相手取っていた

 

「シン!もうやめるんだ!」

 

『クソ..クソッ!クソッ!なんで...なんであんたなんかに!』

 

速度では勝っているはずのシンがアスランを捉えきれずにいる中アスランはなんとかシンを説得しようと呼びかけ続けていた

 

「過去に囚われたまま戦うのはやめるんだ、シン!」

 

『ッ!?』

 

「そんなことをしても、何も戻りはしない!」

 

『な...なにを!』

 

オーブで家族が危険に晒されたシンにとってあのとき戦いを仕掛けてきた地球軍と平和と言いながら戦いの渦に巻き込まれたオーブを許せないシン

 

「なのに未来まで殺す気か!お前は!」

 

アスランもまた先の戦争の引き金となった血のバレンタインの悲劇にて母を、そして戦争時に父を...仲間を大勢失った。さらには親友とも戦わなければならなくなった

 

『わかってる...わかってるさ!そんなこと!!』

 

シンは自分に言葉をかけるアスランへ攻撃をやめない

 

『だから世界はもう変わらなきゃいけないんだ!だからオーブは討たなきゃならないんだ!』

 

「ふざけるなっ!」

 

『ッ!?』

 

アスランはシンからの攻撃をシールドで防ぎつつさらに言葉を続ける

 

「そしてすべてを壊し、未来も壊す。お前が欲しかったのは、本当にそんな世界か!?力か!?」

 

『ハァ...ハァ...』

 

シンはアスランの熱弁に呼吸を荒くする。そしていろんなことが頭の中に流れ込んでくる。燃え盛る火の中家族と走ったオーブでのこと。議長の言葉。マユの言葉。そして、アウルのこと...

 

『だけど...だけど!』

 

頭の整理がつかないままシンはアスランへ真っ直ぐに突撃する

 

『もうやめてシン!アスランも!』

 

シンがジャスティスを掴もうと手を出した瞬間ルナマリアが間に入った。そんなインパルスがシンの目には恐怖の権化のように見えた

 

『やめろーー!!!』

 

「クッ!」

 

シンは出した手を止めることができずルナマリアを攻撃しようとする。その瞬間アスランの中で何かが弾け、迫るデステニィーの手をシールドで防いだ

 

「このっ、バカヤロー!!」

 

アスランはその腕を跳ね除けビームサーベルを2本両腕で振り下ろしデステニィーび両腕を根元からぶった斬った。そして間髪入れずにデステニィーの腹部を思いきり蹴り飛ばした

 

『うわーっ!!』

 

『シン!』

 

蹴り飛ばされたシンは月面に落下。そんなシンを追うようにルナマリアが追った

 

「...」

 

行動不能となったシンを哀れむように、そして悲しげに見るアスランはビームサーベルをしまいレクイエムへ向かった

 

 

 

 

 

『おい。起きろよバカ』

 

「んっ...」

 

『起きろつってんだろ』

 

「アウ、ル...」

 

『だから気安く呼ぶんじゃねぇ』

 

アスランに討たれ意識を失くしたシンの中に出てきたのは亡くなったはずのアウルだった

 

「どうしたんだよ。ダメだろ、君がこんなところへ来ちゃ...」

 

『来たくて来たわけじゃねぇ。勘違いすんな』

 

「だったら...」

 

『バカなテメェがいつまで経ってもバカなことしてっから仕方なく来てやったんだよ。感謝しやがれってんだ』

 

「え...?」

 

アウルは頭をポリポリかきながら少し気恥しそうにする

 

『シン。お前はなんのために戦ってる?』

 

「なんのため...そりゃ...」

 

シンはアウルの問いかけにすぐ答えることができなかった

 

『出てこねぇだろうな。お前が動く原動力は"怒り"と"復讐心"だからな。それに今まで戦ってきたのだって誰かに言われたからだろうが』

 

「ッ!?」

 

シンはアウルの指摘に口を紡いだ

 

『軍に入ったのだってオーブが許せないから。フリーダムを討ったのもあの議長が言ったから』

 

「違う!フリーダムはアウルを!」

 

『それだって復讐心じゃねぇか』

 

「それは...」

 

『結局テメェ自身は空っぽなんだよ。なんの目的もなくただ正しいと言われた方向で自分の意思なく戦ってただけだ』

 

シンもわかっていた。軍に入ったのも、オーブ艦隊を攻撃したのも、フリーダムを討ったのも。自分の意思でやったと思い込んでいただけだということを...

 

『だけど、そんなテメェでも唯一自分の意思で動いたことがあったじゃん』

 

「え...」

 

『思い出せねぇとかとんだ能無しだな...僕をネオに返したときだろうが』

 

「あ...」

 

『クソがッ...僕の口から言わせんじゃねぇよ...』

 

アウルはまた照れくさそうにそっぽを向く

 

「あれは、アウルがあまりに弱ってたから」

 

『だから連れ出したってか?』

 

「うん...」

 

『じゃあなんでその気持ちを他に向けられなかったんだよ』

 

「ッ!」

 

シンは目を見開き真剣な表情でいるアウルを見上げた

 

『チッ!もう時間かよ...』

 

タイムリミット。それはおそらくシンが気絶状態から目覚めることを指すだろう。実際にアウルの足先からゆっくりと消えかかっているのが見て取れる

 

「待ってくれアウル!俺は!」

 

『もうテメェにもわかってんだろ。誰が正しくて誰が間違ってるのか。テメェが本当にすべきことがなんだったのか』

 

「...」

 

『これからの未来はテメェのもんだ。あの議長に決めれられることもなけりゃ僕なんかに縛られることもない』

 

時間がないようで既にアウルの腰当たりまで消えていた

 

『ハッ!しけたツラしやがって。まだまだガキは直らねぇな』

 

同じスピードで腰から腹、胸辺りまで消えていく...

 

『当分こっちには来るんじゃねぇぞ。テメェを待ってるヤツなんて1人もいねぇからな』

 

そして首元...

 

『明日を生きろ、シン。テメェのその足で、体で、意思でな』

 

「アウル!」

 

それが最後の言葉となりアウルの姿が完全に消えシンの周りを暗闇が包んだ

 

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