ガンダムSEED 〜守るための戦い〜 作:てこの原理こそ最強
メサイアが陥落したことを皮切りに両軍戦闘を停止。その後プラント最高評議会での話し合いを経てC.E.74、プラントとオーブ首長国連合の間で正式に停戦が交わされた
両国の関係を仲介したとし、ラクスはプラント最高評議会からの要請を受け父、シーゲル・クラインと共にプラント本国へ戻った
「なぁ、やっぱり出ないとダメか?」
「まだ言ってるんですか?もう観念してください」
「最近メイリンが厳しい気がする...」
ラクスがプラントに戻ったことの式典が催されることとなりキラやアスラン、もちろんレオも参加となったのだが当人は未だに参加を渋っていた。そんなレオの正装のネクタイを結びながら注意するメイリン
「往生際が悪いわよレオ」
「そうは言ってもなミリィ...」
「シーゲル様が正式に新しい婚約者として名前出しちゃったんだから、レオが参加しないわけにはいかないでしょ」
「それはそうかもしれんが」
「もう何回この説明してると思ってるのよ...」
まるで駄々をこねる子供のようなレオについ頭を抱えるミリアリア
「よく似合ってますよレオさん」
「ありがとうマユ。マユは兄貴のところにいなくていいのか?」
「お兄ちゃんなんて知りません。当分口聞いてやらないんですから」
アスランが救出したシンと既に再開を果たしたマユは出会って一発目にシンの頬に思いっきり平手をくらわした。さすがのシンもその時は言い返さず甘んじてその張り手を受けた
「もう罰は与えたと思うんだが」
「あれじゃ全然足りません。私まだ怒ってるので」
「そ、そうか...」
「レオさんまだ動かないでください」
「す、すまないなメイリン...」
「本当にいいご身分ね」
キラの隣にはフレイが、マリューの隣には無事に記憶が戻ったムウが。アスランの隣にも本来ならばカガリかミーアがいるはずなのだが、カガリは後処理のため今回は参加できず、ミーアもラクスは参加してほしかったらしいがさすがに辞退した。それぞれパートナーがいる中レオの周りには3人、しかも本命がまた別にいるという羨ましい限りの光景を見せている
「そろそろ時間みたいだが全員準備はできているだろうな」
「大丈夫です」
時間を伝えにきたのはこちらも正装を身に纏ったバルトフェルドとアイシャ。そして案内役を任されたイザークだった
「アンタが一番支度が遅かったんですけどね」
「うるさいぞフレイ。フレイの化粧よりは早かった」
「セットした髪ぐしゃぐしゃにしてあげましょうか...?」
「ちょっと2人とも。もう時間って言われてるでしょ」
「そうだよフレイ」
「レオもよ」
「「はーい」」
「ふふっ」
「まったく貴様らは。案内する。ついてこい」
レオとフレイが普段のちょっとした漫才を披露するがお母さん的ポジションとなりつつあるマリューが止め、一向はバルトフェルドと一緒にきたこんな時でも上から目線のイザークに会場まで案内される
会場にはハルバートンやシーゲル、ニコルやディアッカ、プラントのお偉いさんも揃っていた
『皆様、大変ながらくお待たせ致しました。ラクス・クライン様が御壇上されます。つきましてはレオ・シュヴァルグラン様は壇上傍までお越しくださいませ』
会場全体にアナウンスが流れラクスが登場するようだ。それに伴いレオが呼ばれる
「レオ」
「やぁラクス。すごく綺麗だ」
「ありがとうございますわ。レオも素敵ですわね」
壇上傍にはピンク色のドレスを身に纏ったラクスがおりその姿を見たレオは一瞬で見惚れてしまった
『それではご登壇です!』
「参りましょうか、お姫様」
「ふふっ。お願いしますわ、騎士様」
レオは騎士のように片膝立ちでラクスに手を差し出した。ラクスは笑顔でその手を取り、立ち上がったレオに先導され壇上から入る光の中へ進んだ
月日は過ぎ去り場所はオーブ領オノゴロ島の海岸。夕日が水平線を沈み出している時間帯にシンとルナマリア、アスランとミーア、メリインとマユが数ある慰霊碑に花を手向けていった
「いいのかな...私達がここに来て...」
「...」
この慰霊碑は2年前の戦争で亡くなった身元不明だった人達のためのオーブ政府が作った公共のものだった。そんなところへ一時でもオーブへ銃を向けた自分達が来ていいのかと不安になるルナマリアやシン
「カガリが許したんだ。それにあの時と今では思いは違うだろ?」
「それは、まぁ...」
「でも...オーブに来るの自体、俺は...」
「シン...」
「お兄ちゃん...」
かつてカガリに生意気な口をきき、オーブの人を何人も手にかけたシンはルナマリアや他の誰よりも苦しい気持ちを抱えていた
「アスラン?」
「キラ」
そこへキラとフレイがみんなと同じく花束を持ってやってきた
「あなた達も来てたのね」
「はい」
「偶然ですね」
フレイが慰霊碑に花を手向けメイリンとマユの隣に立つ
「えっと...」
「シン、彼がキラ・ヤマト。フリーダムのパイロットだ」
「えっ...!」
シンにとってフリーダムは因縁。これまで幾度となく剣を交えてきた敵であり、一度は自分が討ち倒した敵。その時の記憶をシンは全て思い出していた。そんなシンにキラは手を差し出し握手を求めた
「あ...」
「ダメかな?」
シンは一瞬考え、表情は険しいままその手を取った
「あの...俺...」
「僕達は確かに敵同士だったかもしれない」
「ッ!」
「でも、こうして生きてる。生きてるってことはまたやり直せる。そうでしょ?」
「あ...はいっ!」
キラにアウルを討たれたシン。キラに関しては自分自身がシンに討たれている。しかしそんな2人が今、手を取り合った
「あれ?なんかみんないるじゃん」
「そうだな」
「そうですわね」
「あ!」
「レオさん!」
「あ、おいマユ!」
「ちょっ!メイリン!?」
この場にレオとラクス、ミリアリアも登場。レオの姿を見たマユとメイリンは興奮してレオの元にに駆け寄った。普段は大人しい2人のまさかの興奮具合にそれぞれの兄、姉であるシンとルナマリアは驚いた
「レオさん今日時間ないって言ってたじゃないですかー」
「ごめんなマユ。俺も時間できるとは思ってなかったんだよ」
「ラクス様もミリアリアさんも大丈夫だったんですか?」
「えぇ」
「少しの時間だけどね。また戻ってあれやこれややらないといけないそうよ」
3人も持っていた花束を慰霊碑に置いて手を合わせる
「お掃除ありがとうございますミーアさん」
「いえ。カガリさんも来たかったらしいですけど忙しいみたいで」
「まぁラクス達よりやること多そうだしね」
「アスランが来てるのは知ってたけどキラとフレイもいるとは知らなかった」
「私達もたまたまよ」
「うん。知ってれば僕達も掃除とか手伝えたんだけどね」
「先に2人で出かけるって聞いてたからな。さすがに誘えなかった」
「「...」」
すごく親しそうに話すレオ達の輪に入れないシンとルナマリアは黙って見守ることしかできなかった
「シン・アスカ」
「は、はい!」
急にレオから名前を呼ばれ体をビクッとさせるシン
「君とは前に一度オーブで会ったな」
「え...」
「その時君は言ったな。いくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばすと」
シンはレオが言う前に会った時のことがピンと来なかった。でもレオが言った言葉で思い出した
「いくら吹き飛ばされようと俺達はまた花を植える。そしてそれを守る。守り切ってみせる」
「あぁ...」
「それが、俺達の戦いだな」
「一緒に戦おう。君も、僕達と」
「あ、あぁぁ...!!」
キラの最後の言葉に感極まり涙を流すシン
「はい...はい!」
「シン...!」
涙を流し体を震わせているシンの肩に手を添えるルナマリア
「お兄ちゃん...」
「よかったなマユ」
「はい...ありがとうございます、レオさん...」
目の前で涙を流す兄を見て自然と自分も涙が出るマユ。そんなマユの頭を優しく撫でるレオ
「キラに弟分ができたな。少しやんちゃしてもその時はアスランお兄ちゃんがなんとかするだろう」
「お前はなんで俺をシンの兄にしたがるんだ...」
「でもアスランさんってよくシンのこと気にかけてましたよね。それこそお兄さんみたいに」
「ミーアさんのことも、ですわね」
「ラクス様!私のことは...」
「帰ったらカガリのことちゃんと構ってあげないとね」
「ほったらかしにしたらまた怒られるわよー?」
「フレイとミリィの言う通りだな。頑張れよアスラン?」
「...。善処する」
集中砲火を受けるアスランは居心地が悪そうに苦い顔をする
「ミーアさんって今カガリ様の秘書になるために勉強中なんでしたっけ」
「う、うん...でもこれが難しくて...」
「まさかカガリの側にいることを選ぶなんて驚いたわ」
「だって...アスランと一緒にいれることを考えたらこれが一番だったから...」
レオに指摘されてモジモジと恥ずかしながら話すミーア
「愛されてるんですねアスランさん!」
「よせよ...」
「ミーアさんかわいいです!」
「そんなことは...」
既にアスランのいじり方を覚えてしまったマユとメイリンにからかわれるアスランの飛び火を受けるミーアは顔を赤くしてしまっている。決して夕日のせいなどではない
「この後はカガリのとこか?」
「あ、あぁ」
「そうか。じゃあ俺達は先に戻ろうかラクス、ミリィ」
「そうですわね。戻る前にマリューさん達のところに寄りましょう」
「どうせその後カガリのとこにも行くことになりそうだしね」
「そうだな。手土産でも持って行くとしよう」
「あ、じゃあ私達も行きます!」
「私も!」
「キラ、私達も行きましょうか」
「あ、うん」
解散の流れになっている中フレイもキラを呼んだ
「じゃあまた後でな」
「うん」
「あぁ」
「シン・アスカ」
「はい!」
「またゆっくりと話をしよう。ルナマリア・ホーク、君もな」
「は、はい!」
ラクスがレオの腕に抱き着き先にその場を離れ、それにミリアリア、マユとメイリンも続く
「じゃあ僕達も」
「俺も戻る。じゃあなシン。気を付けて帰れよ」
「やっぱりお兄ちゃんっぽいじゃない」
「うるさいぞフレイ」
「素直じゃないわね。ミーアも大変だこと」
「そ、そんなことは...」
フレイもラクスと同じようにキラの腕に抱きつきながら2人も退散、ミーアはただアスランの後を追いながらアスラン達もその場からそれぞれの道を歩き出した
シンもまたルナマリアを連れて歩き出す。その顔は来た時よりも何か吹っ切れたかのように清々しかった
これにて「ガンダムSEED 〜守るための戦い〜」本編が完結となります。
最後までご愛読いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
またたくさんの心温まるコメントや高評価していただいたみなさま、作品を書くにあたっての意欲向上とメンタル維持にみなさまのお力が大変活力となりました。伏して感謝申し上げます。
私的に大変満足な作品ができたのではないかと思っております。しかし中には受け入れられないという方も当然いらっしゃいました。ただ後悔はしておりません。
本編はこれにて終了致しますが何話かOVAを投稿する予定ではあります。また「SEED FREEDOM」に関してはまだ構想を練っている段階にありますのでいつ投稿できるかというお約束ができません。気長にお待ちいただければ幸いであります。
長くなりました最後に改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。