ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第七話

 

<地球連合軍第8艦隊>。デュエイン・ハルバートンを司令官とするこの艦隊が現在アークエンジェルと合流すべくまず先遣隊を寄越しているのだ

 

そして無事に先遣隊と連絡が取れたアークエンジェル内は安堵と歓喜に満ち溢れていた

 

『本艦隊のランデブーポイントへの到着時刻は予定通り。合流後、アークエンジェルは本艦隊の指揮下に入る。もう少しの辛抱だ。皆頑張ってほしい』

 

『大西洋連邦事務次官、ジョージ・アルスターだ。まずは民間人の救助に尽力してくれたこと心より感謝している。あーここで個人的な話なのだが救助名簿の中に我が娘の名があったことに驚いている。可能であれば顔を見せてもらいたいのだが...』

 

『事務次官殿。合流すればすぐに会えますので』

 

「こういう人だったな、フレイのお父さんって」

 

事務次官と言ってもやはり親なのだろう。避難民としてアークエンジェルに乗っている娘のことを気にしている。許嫁のためよく知っているサイがこぼしている

 

その後も交代しつつ合流を今か今かと待ち望んでいる

 

 

 

 

 

 

 

「それでなかなか戻って来れないみたいで。もう何日も会えてないんですのよ?」

 

「それはさぞかし寂しいでしょう。クライン嬢も、お相手の方も」

 

「その呼び方は止めてほしいとお伝えしたはずです...」

 

「あ、失敬。いやしかし...」

 

「わたくしはレオとお友達になりたいのです。そんな他人行儀は嫌ですわ」

 

「そう言われましても...」

 

『ラクスゲンキカー?ハロハロ!』

 

レオはこの期間結構な頻度でラクスの部屋に入り浸っていた。1番の目的はラクスの話相手だったのだが、レオ自身もラクスに会えるのを毎度楽しみに来ているようだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「レーダーに艦3隻の反応。第8艦隊先遣隊のモントゴメリ、バーナード、ローです!」

 

「やったぁ!」

 

遂にレーダーで補足できる距離まで近づいたことにブリッジ内は喜ぶ。しかしこの喜びは続きはしなかった...

 

「ッ!?これは...!」

 

「どうしたの!?」

 

「Nジャマーです!エリア一帯干渉を受けています!」

 

最後まで運の悪いアークエンジェル。もうすぐ合流という時に敵である

 

「前方にて戦闘と思われる熱を感知。先遣隊だと思われます!」

 

「戦闘!?」

 

「モントゴメリより入電!ランデブーは中止!アークエンジェルは即反転離脱、とのことです!」

 

「艦長!」

 

「敵の戦力は!」

 

「熱紋照合中。ナスカ級1、ジン3、それと...イージス!Xー303イージスです!」

 

「ッ!」

 

奪取されたイージスがいることで全員が思い当たる

 

「あのナスカ級の部隊だというの!?」

 

「艦長!」

 

「でもあの艦には...」

 

どうするかマリューは頭をフル回転させて考える。即時離脱か。それとも救援か

 

「今から反転して逃げ切れる保証はないわ...総員第一戦闘配備!アークエンジェルは先遣隊援護に向かいます!」

 

マリューは先遣隊からの指示に従わず戦闘に介入することを決断した

 

 

 

 

 

 

 

 

『総員第一戦闘配備!』

 

「警報...」

 

「これは?」

 

「戦闘になるみたいです」

 

「戦闘...戦いになるのですね...」

 

「はい」

 

「レオも、戦いに出られるのですか...?」

 

「はい。それが俺の役割なので」

 

「そうですか」

 

ラクスの所属はプラント。ということはザフト軍と敵対しているパイロットであるはずのレオをそれは悲しそうな表情でラクスは見つめる

 

「俺は行きますラクス嬢。ここから出ないようにしてください」

 

「わかりましたわ...」

 

レオはラクスの部屋を飛び出しドックへ向かう途中キラと合流した

 

「急ごうキラ」

 

「うん!」

 

「キラ!」

 

「フレイ?」

 

2人で廊下を急いでいるとフレイが現れキラを呼び止める

 

「戦闘ってどういうこと...?先遣隊は...?」

 

「まだわからないんだ。僕はなにも」

 

「大丈夫だよね!?パパの艦...大丈夫なんだよね!?やられちゃったりしないよね!?」

 

「そんなのわかるわけないだろ」

 

キラに擦り寄るフレイにレオが厳しい言葉をかける

 

「レオくん...」

 

「行くぞキラ」

 

「う、うん。ごめんフレイ」

 

キラは腕にしがみついていたフレイを引き払う

 

「ちょっと!!」

 

「うるさいぞ。部屋で大人しくしていろ」

 

「ッ!?なんなのよアンタ!!こっちは!」

 

「お前の父さんだからなんて知ったことか。戦場に出てきてるならいつどこで誰が死ぬかなんてわかるわけない。自分でなにもしないで文句ばっかり言ってるやつが余計な口出しするな。黙って祈ってでもいろ。いいな?絶対に()()()()()はするなよ」

 

レオは走り出しキラも一度はフレイを見るもレオと同じように走り去った

 

 

 

 

「ミリアリア、状況は?」

 

『敵はナスカ級1にモビルスーツが4機』

 

「わかった」

 

『レオ、キラ!』

 

「アーガイル?なんだ」

 

ミリアリアから状況を確認していると通信にサイが現れた

 

『先遣隊にはフレイのお父さんがいるんだ』

 

「そのようだな」

 

『知っていたのか。なら話が早い。彼女のお父さんを頼む!』

 

『うん。わかった』

 

「努力はする。だが確約はできない。もしキラの友人であるお前やミリアリアのいるこの艦が危険に晒されるようなら、こっちを優先するつもりだからな」

 

『レオ...』

 

『レオくん...』

 

「行ってくる」

 

『うん。気をつけてね。進路クリア。ストライク、ノワール両機発進どうぞ!!』

 

ムウが先んじて発進しストライクとノワールが続く

 

「あれを助ければあのバカ女も勝手なことはしないのか?しかしできることとできないことはある」

 

戦闘に入ったレオ達。キラがイージスを相手取りレオとムウが残りのジン3機を受け持つ

 

ムウがガンバレルを操作しながらジン1機を被弾させる。しかし撃破までには至らず反撃を受け早々に煙を上げてしまう

 

『いやー参ったな。立つ瀬ないでしょこれじゃ』

 

「早すぎますフラガ大尉」

 

『返す言葉もねぇ。すぐ戻ってくっからそれまで死ぬなよ!』

 

「当然」

 

ムウがリタイアとなったためジン3機を相手取らなければならなくなったレオ。しかしこれまでの戦闘でも1vs多がずっと続いていたためレオにしてはそう慌てる状況でもなかった

 

「いやしかし、これは無理だな」

 

ジンを3機。これを食い止めながら防衛と敵艦への牽制なんて不可能とレオは察する。そして運命を変えられないということも

 

『なっ!フレイ!』

 

「ミリアリア。サイはどうした?なにがあった?」

 

『フレイがブリッジに来ちゃって』

 

「なんなんだあいつは...」

 

戦闘中ながらフレイの勝手な行動に頭を抱えそうになるレオ

 

『今サイが連れ出したから大丈夫だと思う』

 

「もう首輪でもつけて繋いでおけ」

 

『さすがにそれはちょっとね...』

 

ミリアリアと通信しながらもジン1機の武装を破壊しスラスターも破壊、無力化に成功する

 

「キラ。そっちは大丈夫か?」

 

『なんとか!』

 

キラの方も気にかけつつ残ったジン2機からの攻撃を躱し1機の両足を撃ち抜くレオ。しかしこの瞬間、目の前を巨大ビームが通りモントゴメリに直撃した

 

『モントゴメリ轟沈!』

 

「次の目標はおそらくアークエンジェル...そんなことさせるか!」

 

レオは迫りくるジンのバズーカ砲を軽々と避け頭部を撃ち抜く。そしてアークエンジェルを撃たせまいとザフト軍戦艦に近づこうとする

 

『ザフト軍に告ぐ!こちらは地球連合軍所属艦アークエンジェル!当艦は現在プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの子、ラクス・クラインを保護している!』

 

「こうなったってことは...チッ!あのバカ女。だから嫌いなんだ...」

 

その宙域全体にアークエンジェルからナタルの声が響く。その声でアークエンジェル内で何が起こったのか察したレオは怒りを露わにする

 

『偶発的に救命ポットを発見し人道的に保護したものであるが、以降当艦へ攻撃が加えられた場合、それは貴艦のラクス・クライン嬢への責任放棄と見做し自由意志でこれを処理するものとすることを伝えておく!』

 

人質を終局の種にするなど非人道的。戦争自体非人道的なものと言われればそれまでだがこれは...しかし結果的に敵は後退。先遣隊は失ったもののアークエンジェルへの被害はなし、という結末になった

 

 

 

 

 

 

 

戦闘が終わった、いや終わらせてもらったアークエンジェル内では異様な雰囲気が漂っていた

 

「とりあえずはなんとかなったものの、状況的には変わりないわね」

 

「この間に体制を立て直すことはできます。現時点ではそれが一番重要かと」

 

「ストライク、ノワール帰投しました。ノワールから通信です」

 

「わかったわ、繋げてちょうだい」

 

ミリアリアがモビルスーツの帰還を伝えすぐさまノワールに通信を繋げた

 

『これは一体どういうことでしょうか、艦長』

 

「...」

 

『まさか俺に言った件に今回のことが含まれないとでもお思いではないでしょう』

 

「彼女は連合の人間ではない!」

 

レオからの苦情に黙るマリューに代わってナタルが声を上げる

 

『ではバジルール少尉。連合に属さない人間をどう判別するおつもりで?ナチュラルだからですか?コーディネイターだからですか?』

 

「それは...」

 

『もしそんなことで判断するとおっしゃるのでしたら俺やキラも同じようにお使いになるおつもりですか?まぁそんなことをすればこの艦自体終わりなのでないとは思いますが』

 

「我々はなんとしてでも!」

 

『...もういいです』

 

レオは呆れた様子で通信を切った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ...嫌いではないのだが。しかしまぁこの頃のバジルールさんは苦手な部類だったのも事実。仕方ないか」

 

レオはさっきの話のことで頭を悩ませながらコックピットを出た

 

「レオくん、僕...」

 

「お前のせいじゃない」

 

「でも...」

 

「お前が悪いって言うなら一緒に戦ってた俺も悪い。なんなら一番最初に離脱したフラガ大尉もだ」

 

「悪かったよ」

 

同じく機体から降りたキラと共に更衣室に向かったレオは途中でムウと遭遇した

 

「聞いてたんですね。あれじゃ二つ名が泣きますよ?」

 

「言ってくれるね〜こいつ。てかお前、そろそろパイロットスーツ着ろよ」

 

「ヘルメット被ると視野が狭くなって嫌なんですよ」

 

いまだ出撃の際にパイロットスーツを着ないレオ。ムウとキラが着替えを済ませるまでレオは待っており、その間もキラの表情は暗かった

 

「俺はこのままブリッジに行くが、お前らはどうする?」

 

「僕は...フレイのところに」

 

「やめといた方がいいぞキラ。またなに言われるかわかったもんじゃない」

 

「うん...でも、謝らないと...」

 

「はぁ...なら俺も行こう」

 

「ありがとレオくん」

 

「そうか。じゃあ後でな。あんま気負いすぎるなよ?」

 

「フラガ大尉」

 

「あん?」

 

「あの人達ちゃんと叱っといてくださいね」

 

「ガラじゃないんだがね〜」

 

「言えるのフラガ大尉だけでしょう」

 

「へいへい」

 

レオはムウにさっきの行いについて釘を刺しておきキラと一緒にフレイの部屋に向かった

 

『あ、あぁぁぁぁ!!!』

 

部屋に入る前からフレイの悲鳴のようにも聞こえる泣き声が聞こえてきた

 

「嘘よ!そんなの嘘よ!!」

 

「キラ...レオ...」

 

中では泣き崩れているフレイをサイが抱きしめ支えていた。その場にはミリアリアも心配そうに見ている

 

「フレイ...」

 

「っ!なんで!どうしてよ!」

 

キラの声を聞きフレイは泣きながらキラとレオを睨みつけた

 

「なんでパパの艦を守ってくれなかったの!?なんでアイツらをやっつけてくれなかったのよ!!」

 

「フレイ!キラ達だって必死に!」

 

「アンタ達...自分もコーディネイターだからって...本気で戦ってないんでしょ!!!」

 

「ッ!!」

 

「...」

 

「パパ...パパを返してよ......!!」

 

フレイの言葉はキラの胸深くに刺さった

 

「おいクソ女...」

 

胸の痛みになんとか耐えるキラを横にレオがフレイに近づく。誰もが声を聞いただけでわかった。今まで見たこともないほど怒っていると...

 

「痛った!!なにすんのよ!!」

 

レオはサイの胸に顔を埋めているフレイの髪掴んで強制的にレオの方を向かせ睨みつける

 

「なにもしないで、戦場にも出ないで、戦いのことなんも知らないやつが必死で戦ったやつになにほざいていやがる」

 

「クッ!」

 

フレイも痛みに耐えながら先ほど同様レオを睨み返す

 

「おいレオ!さすがにそれは!」

 

「甘やかすなサイ。おいクソ女。さっき俺らが本気で戦ってないって言ったな?」

 

「だってそうでしょ!パパのこと助けてくれなかったんだから!!」

 

「いいか?本気で戦ってなきゃ今ごろ俺もキラも死んでるんだよ」

 

「でも生きてるじゃない!それはコーディネイターだからでしょ!?」

 

「...。来い」

 

レオは髪から手を離し今度はフレイの腕を掴んで部屋から連れ出した

 

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