ガンダムSEED 〜守るための戦い〜 作:てこの原理こそ最強
「すみませんルナさん。こんな連れ方しちゃって」
「ごめんねお姉ちゃん」
「い、いいのよ...秘匿事項だもんね」
とある日。ルナマリアは目隠しをされマユとメイリンと一緒に車で移動していた
「ルナさんを信じてないわけじゃないの。でも家族以外教えちゃダメって決まりだから」
「大丈夫よマユ。話は聞いてたし」
「もうすぐ着くから我慢してね」
3人が向かっているのはクライン家が所有している豪邸の内の一邸。平和に向かっているとは言えまだまだ油断はできないため誰かを家に招くときは本人同意の下今のルナマリアのように家の特定ができないよう目隠しをしてもらうようになっている
「着きましたよルナさん」
「降りるの気をつけてねお姉ちゃん」
「え、えぇ」
クライン邸に着いてメイリンに手を引かれ恐る恐る車から降りるルナマリア。マユは2人を先に行かせて運転席の窓をコンコンと叩いた
「運転ありがとうございました、レオさん」
「いいよ。ラクスも楽しみにしてるみたいだし、マユも楽しんできな」
車を運転していたのはレオだった。普段は専属の運転手がいるのだが今日だけレオがやっていた
「はい。でもレオさんも夕方には戻るんですよね?」
「ラクスとステラ、それにミリィから帰ってこいって言われたからな。せっかくのお泊り会なんだから明日まで女子だけでいればいいのに」
「みなさん一日の最後はレオさんと一緒がいいんですよ。もちろん私もですけど」
「そう言われたら悪い気はしないけど」
「ともかく私も待ってますからね」
マユはメイリンがこちらを向いていないことを一度確認してからレオの頬に軽くキスをした
「こら、メイリンに見つかったら怒られるぞ」
「嫌でしたか?」
「そうんなわけはないんだが、そういうことじゃない」
「ならいいです。最近メイリンさんに先越され気味だったのでちょっとしたイタズラです」
「まったくこの子は」
「えへへ。じゃあまた後で!」
可愛げに舌をぺろっと出してレオをおちょくったマユは小走りでメイリン達の後を追った
今回ルナマリアがクライン邸に呼ばれたのはラクスが開催する女子会に直々にお呼ばれしたからだ。そもそもラクスはメイリンの姉であるルナマリアともいつか話をしてみたいと思っていたためスケジュールを調整してこの機会を作った
「帰宅、メイリン・ホーク。ゲスト、ルナマリア・ホーク」
「同じく帰宅、マユ・アスカ」
『認証しました。おかえりなさい』
クライン邸は入る前に声紋認証をしてからでないと入ることができない。もちろんメイリンとマユの登録はされているので難なく入ることができた
「もう大丈夫。目隠し取るね」
「あ、うん」
中に入ったことによりもう目隠しする必要もないのでようやく前が見れるようになったルナマリア
「さ、いよいよだよルナさん」
「...ごめん!やっぱり私帰る!」
「えっ!?ちょ、ちょっと待ってよお姉ちゃん!そんなのダメだってば!」
「無理無理無理!無理だって!お願い!」
「そういうわけにはいかないでしょ!ここまで来たんだから!」
「ここまで来たらやっぱりダメだったのよ!」
「何言ってんのよ!」
「観念してルナさん!」
いざあのラクス・クラインがこの家にいると考えて臆病になったルナマリアは逃げ出そうとするもメイリンとマユがそれを許さない
「まったくもう。覚悟はできてるんじゃなかったの?」
「だってやっぱりおかしいじゃない!仕事ならともかくこんなプライベートでなんて!」
「それは」
「一度お話してみたいですわ、なんてさ!絶対あの件よ!それしか考えられない!」
「お姉ちゃん...!」
「メイリンだって月の戦闘の時言ってたじゃない!どっちのラクス様が本物かなんでわからないのお姉ちゃん、なんて言うから!」
「だって...」
ラクスからいい話なわけがないともう思い込んでしまっているルナマリアは頭を抱えてパニック状態になっている
「あの人、最後までわたくしが本物だとわからなかったくせに。少しお話しなくてはなりませんわね、ってことでしょ!?」
「考えすぎだよルナさん!ラクス様はそんな人じゃないから!」
「あーあ!あのことだけはみんな綺麗に忘れてくれればよかったのに!」
「大抵の人は忘れてると思うよ?戦闘中だったんだし」
「そうですよ。覚えててこだわってるのルナさんだけだって」
「そんなわけないでしょ!?メイリンが国際救難チャンネルで全域に流したんだから」
「それは仕方ないじゃない。もう終わったことなんだからいいじゃない。過去にこだわるのはもうやめようよ」
「ルナさんだってそんな変な蟠りあるの嫌でしょ?」
「それは嫌だけど...」
前に進むのがすこぶる遅いルナマリアの手をメイリンが引っ張り後ろからマユが押す
「だから今日のこと断らなかったんでしょ?」
「断れる相手かっての...!」
「ともかく!ここまで来ちゃったんだから楽しみましょ!ザフトレッドでしょ!」
「そうだよお姉ちゃん。どんな戦局でもビビらない」
「こんな事態訓練してません!」
「いじめられたら助けてあげるから。ま、そんなことにはならないと思うけどね。多分...」
「ッ!ちょっと!」
「ほらここだよ」
「ま、待って!まだ心の準備が!」
「待ちません」
暴れるルナマリアを2人で引っ張り長い廊下の先にたどり着き、往生際の悪いルナマリアの静止を無視してメイリンがドアをノックする
『はーい』
「メイリンです。お姉ちゃん連れてきました」
『あら早かったわね。入っていいわよ』
「はーい」
中から承諾をもらってドアを開けるとリビングと言ってはあまりに広すぎる空間が広がっていた
「おかえりー」
「お、お邪魔します...」
「ようこそ。そんな緊張しなくていいわよ」
「そ、そんなことは!」
「いやガチガチじゃない...」
中に入るとエプロンをつけたフレイとミリアリアがキッチンから出てきた
「ようこそいらっしゃいました。くつろいでくださいなルナマリアさん」
「ラ、ラクス様!」
「はい?」
「こ、こここの度は!おおおお招きいいただきまして...!」
「到着されたんですね。お久しぶりです」
「ラクス様が!2人!?」
「ちょっ!お姉ちゃん!」
ラクスに続いてミーアもキッチンから出てきた。その2人を見て目を回すルナマリア。倒れそうになる姉を頑張って抱き止めるメイリン
「あら?」
「もしかして、やっちゃいました...?」
「もしかしなくてもやってるわよ。ミーアも髪型変えたとはいえもう少し気をつけないとね」
「ご、ごめんなさい...」
ルナマリアをこうしてしまったことが自分だとフレイに指摘されアワアワとしながら謝るミーア
「まぁ気持ちはわからなくもないけどね。そこ座らせちゃってメイリン」
「すみません」
「いいのよ。どうせまだ料理終わらないし」
「あ、私も手伝います!」
「ありがとうございますマユさん。では一緒にクッキーを焼きましょう」
「はい!エプロン取ってきます!」
メイリンがソファにルナマリアを寝転がせている間にマユは自分のエプロンを取りに寝室に入ろうとした
「あ、その部屋気をつけてね」
「はい?わっ!」
寝室の電気をつけると目の前に巨大な箱があった
「なんですかこれ?」
「レオよ」
「レオさん?」
「アイツが今日のために超特大ケーキを作ったんですって」
「そうなんですか。でもこれ...」
「えぇ。あのおバカは大きさを考えなかったのね。冷蔵庫に入らないもの作ってどうすんのよまったく...」
「そう言わないでよフレイ。レオだって私達にって作ってくれたんだから」
「それはわかってるけど」
「それにキラも手伝ったそうですわ」
「強制的に手伝わされたって聞いたけど?」
「あら?なんのことでしょうか」
「とぼけるのも上手くなったわねラクス...」
「うふふ」
フレイの指摘を笑って誤魔化すラクス
「いい匂い」
「あ、ダメだよステラちゃん。まだできてないから」
「ん」
ミーアは横から料理に手を伸ばすステラを優しく注意する
「ステラこっちおいで。一緒にレオのアルバム見よ」
「お兄ちゃんの?見る」
「私も見たいです!」
「いいわよ。メイリンも一緒に見ましょ」
ミリアリアはルナマリアが寝ているソファに座ってまだ出来上がらないお菓子に夢中のステラを呼び寄せる。さらに隣にメイリンを座らせて<レオ アルバム①>と書かれたファイルを広げた
「今更だけどミーアはよく休みが取れたわね」
「はい。どこかから話がカガリさんの耳に入ったらしくて。急遽休みをもらえました」
「どうせアスラン辺りね。あの子も来たかったでしょうね」
「来れたら来るそうです」
「それ来ない人の文句だから」
「今度はオーブの家でやりましょうか。それならカガリさんも参加できますでしょう?」
「時間があればね。これからみんな忙しくなるでしょ?」
「そうですわね...」
フレイの言う通りみんな忙しくなってしまう。ラクスは言わずもがなその付き添いとなるレオ。カガリもラクスと同様。そんな彼女の付き添いとなるアスランやミーア。オーブ軍を担う立場となってしまったキラ。こうやって集まれるのも今後どうなるか全員懸念していた
「ラクスもカガリも大変よね」
「はい?」
「だって立場上仕事が多いわけじゃない?そうなると2人きりになれる時間が少なくなるんじゃない?」
「確かにそうですわね」
「ラクス様はお仕事中でもレオさんと一緒にいれるじゃないですか〜」
「そうよ〜。私達はオーブ軍所属だから会うの極端に減っちゃったわよ」
「でも多分一番会えてるのってステラちゃんじゃないですか?」
「ん?」
マユもミリアリアもメイリンももしかしたらラクスよりもレオと会える機会は減ってしまっているかもしれない。ただ1人、軍に所属せずレオと行動が共にできるステラの1人勝ちのようにも見える
「大丈夫ですよみなさん」
「どういうこと?」
「今みなさんをオーブ艦隊所属兼わたくしのお付きにしようとレオが動いてくださっていますわ」
「それって」
「要請があれば軍行動に参加し、それ以外はわたくしの身の回りのお世話。便宜上はそうですが、簡単に言えば一緒に行動できないか調整してくださいっていますわ」
「ということは...?」
「そのうちまた一緒に住むことができますわね」
「さすがラクス!」
「「やったー!!」」
好きな人と一緒に暮らすことができることに手を上げて喜ぶミリアリアとメイリン、マユの3人
「まったく現金なんだから」
「でも本当に嬉しそうですね」
「それはそうですよ!寂しかったんですから!」
「あらあら。いろいろ動いてくれたレオには感謝ですわね」
「レオさんが...」
「アイツはそういうやつよ」
「なーにー?フレイだってレオのこと結構認めてるじゃない」
「...ここだけの話にしてよ?」
フレイが鍋の中身をかき混ぜながら話だす
「今私がこうしていられるのって、癪だけどアイツのおかげでもあるのよね」
「フレイさん...」
「生きてること自体そうだしキラとも分かり合えたのも、ラクス達と仲良くできるのも」
「それを言ったら私もです」
フレイに続いてミーアも語り出す
「本来なら私はここにいちゃダメな人間なんです。ラクス様と同じ空間にいること以前に生きていることさえ」
「そんなこと...」
「大丈夫ですミリアリアさん。アスランと話して、カガリさんにお仕事もらって今すごく充実してるんです。でもこうしていられるのもラクス様とレオさんのおかげなんだなって感じてます」
「レオはそういう男なのよ。誰かを助けて、守って」
ミリアリアも加わって少ししんみりしてしまう
「なんだかみなさんがレオさんのこと好きってことがすごく伝わってきます」
「私も」
「ちょっと待ってマユ、メイリン。私はあんなやつ好きでもなんでもないわ。私にはキラがいるもの」
「わ、私だって...その...」
「アスラン?」
「ッ!?えっと...」
「ん、ん...あれ...?」
「あ、お姉ちゃん起きた?」
もう全員わかっているのにアスランの名前を出されてミーアが顔を真っ赤にしたところでルナマリアが目を覚ました