ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第八話

 

フレイを連れ出したレオはそのまま真っ直ぐドックへ向かった。サイにキラ、ミリアリアはなにをするつもりかわからないが放っておけずレオを追いかけた

 

「なんなのよ!離して!!」

 

「...」

 

「この裏切り者!!コーディネイターだからパパのこと見殺しにしたんでしょ!!?」

 

「...」

 

「離してよこの犯罪者!!人殺し!!!」

 

「...」

 

フレイになにを言われようと、どれだけ殴られようとレオは言葉を発さず掴んだ腕は離さずにドックまで連れてきた

 

「離してったら!!!」

 

「あーん?なんだどうした?」

 

「ちょっと!この人殺しなんとかしてよ!!」

 

「人殺しって...そいつは嬢ちゃん......」

 

整備をしていたマードックはフレイを連れらレオを見つけ何事かと問うてみた。しかしフレイが物騒なことを言うのでその場を動けなかった

 

「人殺しでしょ!!パパを見殺しにしたんだから!!!」

 

「キラ、ちょっとストライク借りるぞ。悪いが返事は聞かない」

 

「何する気!?きゃっ!」

 

レオはストライクのコックピットまで行きフレイを中に投げ入れ外側からコックピットを閉めた

 

『ちょっとなんなのよ!出しなさいよ!!』

 

「マードックさん。ブリッジに繋いでください」

 

「え?あ、あぁ...」

 

マードックはなにがなんだかわからず、レオの言う通りにブリッジへと通信を繋げた

 

『どうしたの?』

 

「いやね、坊主がいきなり来て」

 

「ラミアス艦長。フレイ・アルスターがストライクで発進します」

 

『は!?ちょっとなによそれ!!』

 

『ちょっと待ちなさい!一体どういうこと!?』

 

急な通信と自分の知らないところで起きている出来事に理解が追いつかないマリュー

 

「彼女が戦争を終わらせてくれるそうです」

 

『なに言ってんのよ!私がそんなこと!』

 

「いいから行って来いよ。そんで世界中の家族を助けて来てくれよ。父親を失ったお前が一番気持ちわかんだろ?」

 

『レオくん、とりあえず直接...』

 

『意味わかんないこと言ってないで早く出しなさいよ!!』

 

 

 

「いいから行けって言ってんだよ!!!!」

 

 

 

ドック内にレオの怒鳴り声が響いた。それは通信で繋がっているブリッジまでも

 

「さっきの戦闘見てたんだろ!?あの戦いを想像してその中に飛び込んでこいよ!」

 

『ッ!!』

 

フレイの頭に先ほどの光景がフラッシュバックする。しかし先ほどまでとはまったく違う…今のフレイにはザフトモビルスーツの幻影がモノアイを光らせこちらに迫ってきてくるのが見えている

 

『いや...やだ...出して!!!』

 

「失いたくなかったんだろ!?なら自分の手で守って来いっつってんだよ!!!」

 

フレイの中で繰り返し出てくる光景。自分の父親が乗った艦にビームが直撃する。そして爆発が起こる光景

 

『いや...いや...!!』

 

しかし今はそれだけではない。飛び交うビーム、弾丸。一つでも当たれば、死...

 

『やだ...怖い...!!!』

 

「その怖い中飛び込んでくのはキラだぞ!!それをお前に耐えられんのか!!!?」

 

『あぁ...』

 

中が静かになる。レオがコックピットを開けると身体中の力が抜け切って意識を無くしているフレイが浮遊している。周りは涙であろう泡沫が浮かんでいる

 

「レオ...」

 

「レオくん...」

 

「...」

 

目を瞑り眉間と握る拳に力が入っているサイ。悲しげな表情でレオを見上げるキラ。口元を隠し涙を流しキラの袖にしがみついているミリアリア。3人それぞれ、いや…今のを聞いていた全員がそれぞれ思っていることがあるだろう

 

『レオくん』

 

「はい」

 

『落ち着いたらブリッジへ。こうなった事情を聞かせてちょうだい』

 

「わかりました。すぐ向かいます」

 

レオはマリューからの言葉を聞いてドックを出ようとする。キラ達の隣を通り過ぎる際に泣いているミリアリアの頭をポンッと軽く叩いてからその場を去った

 

「レオ」

 

「クライン嬢。また勝手に出ちゃったんですか?」

 

ブリッジに向かう途中レオはラクスと出会した。そんなラクスの顔は今まで話をしていたときとは違い、激しく悲しい顔をしていた

 

「先ほどの...」

 

「聞かれていましたか...」

 

「大丈夫ですか?」

 

「なにがです?」

 

「無理をしていませんか?」

 

「無理...してるかもですね」

 

「泣いても、いいのですよ?」

 

暗い表情をしているレオを心配してか、その頬に優しく手で触れるラクス

 

「泣きませんよ」

 

「あら?」

 

「女性の前で滅多に涙は見せないものです、男っていうのは」

 

「そうでしたの」

 

少し残念そうにしているラクスに笑顔で返すレオ

 

「さ、お部屋までご案内致します。お手を」

 

「えぇ。お願いしますわ」

 

レオはラクスの手を取りゆっくりと部屋まで案内した

 

ラクスを部屋まで送り届けた足でレオはブリッジに向かった

 

「話は聞かせてもらいました」

 

「そうですか」

 

「あなたの言ったことは正しいです。私達もどれだけのものをあなた達2人に課せていたか改めて思い出しました。それについては謝罪します」

 

「はい」

 

先ほどのドッグでのことで、ただの学生だったレオやキラにどれだけ酷いことをさせていたか思い知ったマリューはレオに対して頭を下げる

 

「ですが、つい先ほど実の父親を失った一般の女の子に対してあれはやりすぎよ」

 

「それはそうですね。俺も冷静さを欠いてました。申し訳ありません」

 

「その言葉は彼女に向けるべきね」

 

「それはできません」

 

「お前!」

 

この場で謝罪したのに当人のフレイに謝れないと口にしたレオに物申そうとするムウを止めるマリュー

 

「理由を聞かせてくれるかしら?」

 

「ラミアス艦長達と一緒ですよ。譲れないものがあります」

 

「...」

 

「一度口にしたことに責任は取ります。フレイ・アルスターのような人が1人でも減るように」

 

「...わかりました。下がっていいわ」

 

「おい艦長!」

 

ムウがそれでいいのかとでも言いたそうに声を上げる中…レオは許しを得て一度頭を下げてブリッジを出た

 

「今回のことで誰も咎めないことを全員に通達してちょうだい」

 

「は、はい」

 

「いいのかよ艦長!最悪あの嬢ちゃんはトラウマになっちまうぜ!」

 

「そんなトラウマになりかねないようなことを実際にキラくんとレオくんにさせているのは私達です!!」

 

「ッ!」

 

マリューの言ったことに、ムウもその他の者もなにも言えなくなってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその日の夜中…キラはレオの元を訪れていた

 

「レオくん…今日のこと、ありがとう」

 

「気にするな。俺も少し熱くなってしまった」

 

「ううん、嬉しかった。こんなにも僕のことを考えてくれてる人がいるって思えた」

 

「おい...俺にそっちの気はないぞ...」

 

「気?」

 

「いや、わからんならそれでいい。で?何か用だったか?」

 

そう。キラは今日相談があってレオの元を訪れた

 

「うん。あの子、どうにか逃してあげられないかなって...」

 

「乗った」

 

「え....?」

 

まさかの即答に気の抜ける声を出すキラ

 

「思い立ったが吉日。それならすぐ行動しよう」

 

「ちょっ!いいの...?」

 

「もちろんだ」

 

「その話、俺達も混ぜてくれ」

 

レオの即断、即行動に驚くキラを差し置いて自室を出ようとしたレオの目の前にサイとミリアリアが立っていた

 

「どうしたんだ2人とも。こんな夜遅くに」

 

「俺はフレイのことで...」

 

「私はちょっと話したいことあって...」

 

「ふーん。でも悪い。後で頼む」

 

「わかってる」

 

「さっきの話、私達にも協力させてほしいの。いいでしょキラ?」

 

「え...でも2人は」

 

「頼んだ」

 

「レオくん!?」

 

「そしたら作戦会議だ」

 

提案者はキラなのにどんどんと話が進んでいってしまう。しかしすぐに切り替えて作戦会議に参加するキラ

 

作戦はものの数分で完成しそれぞれ行動を開始した。レオはラクスを連れ出すためにラクスの部屋へ。キラとサイ、ミリアリアはストライクとノワールが出られるよう工作に出た

 

『ハロ?ハロ?』

 

「しーっだハロ」

 

「ん...なーに...?」

 

忍び込むレオに気づいたハロが声を上げてしまい眠っていたラクスも起きてしまった

 

「レオ...?」

 

「はい。一緒に来てくださいクライン嬢」

 

「はぇ...?」

 

まだ寝ぼけているラクスはレオの言っている意味がイマイチわかっておらず、お姫様らしからぬ声が出てしまう。仕方なくレオはハロとラクスの着替えを持ってラクスを抱き抱える

 

「すみませんが時間がないので。途中まで揺れますがご容赦ください」

 

「え、えぇ...」

 

さすがにお姫様抱っこはラクスでも驚きだったのか一気に眠気が覚めてしまった

 

「来た!レオ!」

 

「待たせた」

 

「これ」

 

ドックに入りストライクの前で待っているサイとミリアリア。そしてミリアリアから受け取ったのはラクス用のノーマルスーツだ

 

「これを着てください」

 

「わかりましたわ」

 

パジャマのままで来たのが功を奏したのかすっぽりそのまま着れた。これがいつものスカートだったら一度脱ぐ羽目になっていたところだ

 

「じゃあキラ。クライン嬢を頼むな」

 

「うん」

 

「レオは来てくださらないのですか?」

 

「途中までは行きます。しかしクライン嬢引き渡しの時はキラの方がいいかと」

 

「なぜですか?」

 

「途中お伝えしますね。さ、早く乗ってください」

 

レオはラクスをストライクのコックピットに入れる

 

「じゃあ俺も」

 

「ねぇレオ」

 

「ん?」

 

ノワールに移動しようとするレオを止めるミリアリア

 

「レオは、ちゃんと戻ってくるよね...?」

 

「そりゃな。なんで?」

 

「だって...」

 

「大丈夫戻ってくる」

 

「本当...?」

 

「あぁ」

 

「キラも、ちゃんと戻ってくるよな?」

 

「うん。約束する」

 

レオは寂しそうな表情を浮かべるミリアリアを背にノワールに搭乗する

 

『お前ら!なにやってる!』

 

『キラ!レオ!待ってるからな!』

 

『絶対帰ってきてね!』

 

『こら!坊主ども!』

 

『ハッチを開きます!退避してください!』

 

マードック達に見つかってしまったがもう遅い。ストライクとノワールは発進した

 

「キラ。敵が近づいたら武装解除したイージスだけ寄越すように言うんだぞ?」

 

『わかってるよ』

 

「あと艦の発進、モビルスーツの出撃があった場合は」

 

『大丈夫。友軍が艦のブリッジに照準を合わせてるって言えばいいんでしょ?』

 

「そうだ。何もなければいいが、何かあるかもしれないからな」

 

移動中も作戦を念入りに確認するキラとレオ

 

『レオ』

 

「クライン嬢、何か?」

 

『なぜわたくしはそちらではダメでしたの?』

 

「イージスと受け取りならキラの方がよかったからです。それにいざと言うときは撃たなきゃいけないんです。その役割をキラにさせることはできません」

 

『そう。本当にお優しいんですのね』

 

「よしてください。じゃあキラ、俺は離れた場所にいるから」

 

『うん。わかった』

 

『レオ』

 

「はい?」

 

『またお会いしましょうね。必ず』

 

「機会がございましたら」

 

レオはストライクから離れ行く末を見守った

 

『こちら地球連合軍アークエンジェル所属のモビルスーツ、ストライク。ラクス・クライン嬢の身柄引き渡しを要求する。ただし艦を停止し引き渡し後速やかにこの場を離脱、武装を解除したイージスのパイロットが引き渡しに応じるのが条件だ。それが守れないのであれば、彼女の命はない』

 

キラによる全チャンネル通信でザフト軍に呼びかける

 

『そして引き渡し後艦の再発進やモビルスーツの発進が確認された場合、友軍モビルスーツがそちらの艦のブリッジに攻撃を仕掛けることを伝えておく』

 

これぐらいの脅しがなければこっちが危ないことをレオは前もってわかっていた。するとそこまでの時間も経たずに条件通りイージスが武装を解除した状態でやってきた

 

「イージスのパイロットだな?」

 

『そうだ』

 

「コックピットを開けろ」

 

キラの指示通りにアスランはイージスのコックピットを開ける。それに応えるようにキラもコックピットを開けた

 

「手振ってください」

 

「はい?」

 

「あなただってわからせないとですので」

 

「あー、そうですわね。アスラン、ごきげんよう」

 

「確認した」

 

「では引き渡す」

 

ラクスはストライクから出る際に上部の小型モニターにいるレオに手を振ってからアスランの元へ浮遊した

 

「ご苦労様ですアスラン」

 

「いえ」

 

「あなたもありがとう」

 

ラクスは出張ってきたアスランと送ってくれたキラに対しても感謝の言葉を伝える

 

「キラ!お前も一緒に来い!」

 

「えっ...」

 

「お前が地球軍にいる理由がどこにある!このまま一緒に来い!」

 

「アスラン...僕は地球軍なんかじゃない。でも待ってくれてる仲間が...友達がいるんだ!」

 

「そうか...ならば次会う時は、俺がお前を討つ!」

 

「僕もだ...!」

 

キラはそこでコックピットを閉じ離れる

 

ストライクが離れたとほぼ同時にザフト戦艦にエンジンが点火。そしてジン3機とシグーがが発進した

 

「なっ!」

 

『ほら見たことか!』

 

あれだけの脅しをしておきながら攻撃の意思を見せている敵に驚くキラ。これを想定していたかのようにアークエンジェルから発進するムウ

 

『わかってたさ!』

 

しかしザフト艦のエンジンが破壊された。さらにジン3機、シグーの進行方向にも攻撃が加えられる

 

『ラウ・ル・クルーゼ隊長、やめてください。追悼慰霊団長のわたくしがいる場所を戦場にするおつもりですか?』

 

そしてラクスの全体通信がイージスから発信される

 

『そんなことは許しません。今すぐ攻撃を中止してください』

 

ラクスの一声でザフト軍モビルスーツは来た道を戻っていった

 

『これで一件落着ってか?』

 

「そうですね」

 

『なんだ?珍しく寂しそうじゃねーか』

 

「そんなことないですよ...」

 

否定はしつつもムウの指摘通りレオは少しばかり寂しそうであった

 

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