ガンダムSEED 〜守るための戦い〜   作:てこの原理こそ最強

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第九話

 

 

戻ったキラとレオはすぐさま艦長室に呼び出され、そこで今回の騒動に対して簡易的な裁判が執り行われた

 

「被告は今回の行動が艦の安全をどれだけ脅かしたのか理解しておりません」

 

「今の発言は類推にすぎません。議事録からの削除を求めます」

 

「削除を許可します」

 

裁判長をマリューが、検察側をナタル、弁護側をムウが担当している

 

「えーと...そもそも民間人を人質にとるのはコルシカ条約4条に抵触すると思われますが」

 

「今回の行動は同条特例項目C、戦時下における措置に相当します」

 

「は?特例項目C?んだよそれ...あーしかし、人質を解放したからこそナスカ級は撤退し我々は危機を脱したと見れますが」

 

「それは結果論にすぎません!」

 

「キラ・ヤマト、並びにレオ・シュバルグラン。何か申し開きしたいことはありますか?」

 

「...」

 

「特にありません」

 

今の状況にキラは黙りこみレオは特に詫びれる態度を示さないままただ立っていた

 

「なぜあのようの勝手な行動を?」

 

「民間人を人質にするなんて...僕は嫌だったので」

 

「右に同じです」

 

キラとレオの言葉に睨みをきかす検察側のナタル

 

「2人の行動は軍法3条B項に違反、第10条F項に違反、第13条3項に抵触するものであり...当法廷は同人を銃殺刑とします」

 

「ッ!?」

 

「落ち着けキラ」

 

銃殺刑という言葉が出て若干16歳の少年には驚愕の言葉であった

 

「しかしこれはあくまで軍事法廷でのことであり同法廷は民間人を裁く権限を持ち得ません。キラ・ヤマト、レオ・シュバルグラン両名には今後熟慮した行動を求めるとし、これにて法廷を閉廷とします」

 

「え...あ、あの...」

 

「つまり、今後勝手な行動は慎めってこと。大丈夫かキラ?」

 

「あ、うん」

 

「キラくんに比べてあなたは落ち着いているのね」

 

「条約違反をしているのはお互い様でしょう」

 

「そうね」

 

キラもレオも民間人であるため軍における条約違反は適応されないため銃殺刑は免れた

 

「失礼しました」

 

「キラ!レオ!」

 

「大丈夫?なんて言われたの?」

 

室外で待っていたのは今回の事件に関与していたサイとミリアリアだった

 

「お前らもトイレ掃除一週間とか?」

 

「お、それいいねー。やってもらおうかな」

 

キラとレオに続いてムウとナタルも退室した

 

「じゃあ俺達だけか」

 

「え?」

 

「私達あの後マードックさんにすごい怒られて!お前らは危険って言葉を知らねーのか!!って」

 

「ごめん!手伝うよ!」

 

「いいよ。もうすぐ第8艦隊と合流できるみたいだし。これぐらい甘んじて受けるさ」

 

「じゃあ俺はサイのメガネ拭きでも担当するか」

 

「は?なんだよそりゃ」

 

「私達から仲間に入れてもらったんだから、変な気回さなくていいの」

 

「そうか。ありがとうミリアリア。サイもな」

 

「あ...」

 

「え...」

 

「フレイ!?」

 

レオ達は未だ艦長室の外から離れないでいるとそこにフレイが登場した。先ほどまでまだ眠ったままだったためサイは心配そうにするがレオの目は鋭くなった

 

「艦長...ブリッジに行ったらここだって聞いて...」

 

「あ、あぁ。中にいるよ」

 

「そう...あの、艦長に話があって...一緒に来てくれない...?」

 

「俺達も?」

 

サイの問いかけにフレイは黙って頷く

 

「わかった。お前らもいいか?」

 

「え、あ、うん」

 

「いいけど...」

 

「...」

 

レオは1人困惑していた。なぜならこんなシチュエーション、()()()()()()からだ

 

サイは3人に同行の許可を取り艦長室の扉をノックした

 

『はい』

 

「サイ・アーガイルです。すみません、フレイが艦長とお話があるそうで」

 

『アルスターさんが?いいわ。入りなさい』

 

「失礼します」

 

マリューから入室の許可が下りてサイがフレイを連れて、それに続いてキラ、ミリアリア、レオも中に入った

 

「それで話とはなにかしら?」

 

「...」

 

フレイはなかなか話を切り出さず震えていた。そんなフレイの手をサイが優しく握った

 

「大丈夫。俺達もいるから」

 

「サイ...艦長」

 

「はい」

 

「えっと...お話の前に...」

 

フレイは話を切り出すのかと思いきやキラとレオに向き直り頭を下げた

 

「すみ、ませんでした...」

 

「は?」

 

「えっ...えっと、フレイ...?」

 

「私、あんな...酷い、こと......」

 

フレイの行動にキラも戸惑っているが一番困惑したのはレオだった

 

(なんだ!?あのフレイが謝罪!?一体どうなってる...)

 

頭を深々と下げるフレイの全身はさっきよりも震えが強くなっている。それを見たレオは驚くことよりも自分がしなければならないことに気がついた

 

「顔を上げてくれフレイ・アルスター」

 

レオの言葉を聞いてフレイはゆっくりと頭を上げるが目線はまだ床を見ている

 

「すまなかった」

 

「ッ!?」

 

今度はレオが頭を下げる。先ほどのフレイよりも深く。その謝罪を聞いたフレイは勢いよく頭を上げた

 

「な、んで...」

 

「君のお父さんを助けられなくて。本当にすまなかった」

 

「レオ...」

 

頭を下げている状態で謝罪の言葉を出すレオをミリアリアやマリューは悲しげな表情で見ていた

 

「フレイ。僕もごめん」

 

「キラ...」

 

「僕達が守らなきゃいけなかったのに。でも...」

 

キラもレオと同様頭を下げようとするも詰め寄ったフレイに止められる

 

「悲しいし、忘れたりできないけど...私も、何もできなかった...から...」

 

「フレイ...」

 

「艦長...」

 

フレイはキラの腕を掴みながら艦長に向き直る

 

「私も...サイ達みたいに、お手伝いさせてもらえないでしょうか...」

 

「なっ!?」

 

「そんな!フレイ!」

 

一番驚いているサイとレオ。サイは当然だろう。父親が亡くなってすぐにこんな提案をと思っている。しかしレオはあのフレイが!?と驚き下げていた頭を上げてしまった

 

「自分が言っている意味をわかっているの...?」

 

「はい...」

 

「もうすぐ第8艦隊と合流することになっています。しかしそれでも絶対安全というわけではないのよ?」

 

「わかってます。それでも今まで守ってもらってきたから。だから、私も...」

 

「フレイ...」

 

「...」

 

マリューは考える。現状でもレオやキラ、サイ達を巻き込んでいるためこれ以上民間人を巻き込むの憚られる。しかし今のフレイの目は涙を浮かべているものの覚悟を持ったそれだった。軍に入ることを決意した以前の自分のような...

 

「わかりました」

 

「艦長!」

 

「いいのサイ。心配してくれてありがとう。でも...私、このままじゃダメだって思ったから」

 

「フレイ...」

 

「大丈夫だよサイ」

 

「キラ?」

 

「今度こそ守るから。フレイも、サイ達も」

 

「キラ...」

 

キラとフレイはお互いに見つめ合う。そして言葉にはしないがそれぞれの心で何かを決意した、そんな表情でマリューに視線を向けた

 

「ではフレイさんにはサイくん達と同じようにCICに座ってもらいます。バジルール少尉に指導してもらうようこちらから伝えておきます」

 

「わかりました」

 

「それとキラくん」

 

「はい」

 

「お願いをしている身としてこんなこと言うのは間違ってるかもしれないけど、戦っているのは君だけじゃないの。それは忘れないで」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「レオくんもね」

 

「はい」

 

「では解散。全員持ち場に戻りなさい」

 

斯くしてフレイがサイ達と同じようにアークエンジェル運営の手伝いをするという話でまとまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことだ...」

 

レオは交代でブリッジに上がるサイ達と別れノワールの整備と称してコックピットで1人になった

 

「フレイが手伝い?あのフレイが?」

 

話がまとまったとはいえ未だにあのフレイが自らアークエンジェルの手伝いを言い出したことに疑念が消えないレオ

 

「確かに俺がいることによって原作通りに進む保証なんてないけどさ。いやこれはむしろ良い方向に動いてて怖いんだが...」

 

レオは手を頭の後ろで組みながらシートの背もたれにもたれる

 

「でもまだ安心はできない。フレイの心の内が露わになるまで警戒はすべきだな、うん」

 

『総員第一戦闘配備!パイロットは搭乗機へ!』

 

「来たか」

 

『レオ聞こえる?』

 

「問題ない。敵の詳細は?」

 

『ローラシア級1にデュエル、バスター、ブリッツよ!』

 

「了解。まぁしつこいこって」

 

『すぐにフラガ大尉もキラも出撃するわ』

 

「じゃあお先に。行ってくるよ」

 

発令時既ににノワールに搭乗していたレオはすぐさま出撃した

 

出撃したレオは程なくして敵3機を補足。3機は密集隊形で接近してくる

 

「こちとらその動きは既に知っている」

 

レオは敵が何を狙っているのか既に知っている様子で敵が分散するようにビーム連撃を放った

 

「アークエンジェル、敵艦主砲が来ます。回避行動を」

 

『ッ!?面舵!』

 

レオの言葉聞いたアークエンジェルはすぐさま舵を切り攻撃を回避した。エンジン部分をすれすれで通ったビームはレオの言葉がなければ当たっていたかもしれない

 

『ありがとうレオ!』

 

「あぁ。フラガ大尉とキラは?」

 

『フラガ大尉は出撃済み。キラはもう少し!』

 

『ストライク発進、どうぞ!』

 

「ん?今のはフレイか?」

 

『うん。私と同じでパイロットとの交信役にって』

 

「そうか。ミリアリアの負担が減っていいのかもな」

 

『そんなこと言ってないで戦闘に集中!』

 

「そうだった」

 

表情には出さないがフレイがもうブリッジに座っていることに驚きつつも向かってくる敵3機への牽制を忘れないレオ

 

『待たせたな坊主!』

 

「フラガ大尉」

 

そこへムウが到着しガンバレルで敵を撃つ。しかし躱され尚も攻撃を続行するもムウの機体の攻撃では敵のフェイズシフト装甲に傷すら付けられなかった

 

『クッソ!』

 

『フラガ大尉!レオくん!』

 

「来たかキラ」

 

そしてキラも合流し3vs3の状態に。性能面で言えば敵の方が上だがはたして...

 

撃ち合いの中キラの乗るストライクとデュエルが1vs1の形で遠ざかっていき、レオとムウがアークエンジェルを守りながらバスター、ブリッツの2機の相手をするようになった

 

「フラガ大尉。全然効いてないようなんですが?」

 

『うるせー!火力足んねーんだよ!』

 

レオから皮肉を言われているとムウはバスターからの砲撃がスラスター部分を掠り、推力が低下してしまった

 

『チッ...掠っただけでこれかよ!』

 

「いいから戻ってください。俺が食い止めます」

 

『すまん!』

 

ムウは渋々撤退。アークエンジェルに帰還した

 

「ちょっとずつ違ってきてるか。向こうさんも操縦に慣れちゃってきてるみたいだし、ねっ!」

 

レオのこぼす通り敵も操縦に慣れてきている。実際ついこの間まで3機でもレオ1人で対処できていたところを、バスターとブリッツだけでも厳しくなってきている

 

「これが赤服の力ってところか。ん?よく考えればこのまま2機抑えてたらキラの()()ってどうなるんだ?」

 

レオは考え事をしながらもムウの抜けた穴を埋めるべく2機を相手取る

 

キラの方も拮抗した戦いが続いていた

 

「クソッ!」

 

自分の経験不足と相手の操縦慣れもあってのことか少し押され気味だった

 

『キラ!フラガ大尉が被弾!シュバルグランくんが1人で2機相手してるわ!』

 

「ッ!?レオくん!」

 

フレイの通信を聞きながらビームサーベルを奮ってくるデュエルをシールドで防ぐ。レオの援護に向かおうと意識を向けるも目の前の敵がそうさせてくれない

 

「どうすれば...!」

 

『こっちは大丈夫だキラ』

 

「レオくん!でも!」

 

『お前は自分の心配をしろ。お前がいなくなっちゃ絶対にダメなんだからな』

 

「ッ!」

 

レオの言葉にキラの意識はどんどんと研ぎ澄まされていく

 

『きゃあ!!』

 

『ローラシア級からの砲撃!』

 

「フレイ!」

 

そうこうしているとアークエンジェルも敵艦からの砲撃にさらされている

 

(敵を倒さないと、アークエンジェルが...フレイが!)

 

その瞬間、キラの中で何かが弾けた

 

「アークエンジェルは、沈めさせやしない...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは!?キラ...」

 

バスター、ブリッツと戦闘中のレオは何かを感じ取りキラの方に気を止めた

 

一瞬のことだった。ストライクを斬りつけたはずのデュエルのビームサーベルは空を斬る。ストライクはデュエルの背後へ回り込み腹部側面を斬りつけた。しかし敵もフェイズシフト装甲。ジンのように真っ二つとはいかず傷を入れるだけとなった

 

しかしキラはそれ十分とでも言いたげにその場から離脱。ブースターをいっぱいに吹かして次なる目標にしたブリッツに急接近しようとする。前からはブリッツ、後ろからはデュエルの射撃がある中、キラは後ろに目があるかのような動きでこれを全て回避。スピードを落とさないままブリッツを蹴り飛ばす

 

「ッ!キラ!」

 

ブリッツに攻撃をした瞬間を見計らってデュエルが再びストライクに向けて後方からビームサーベルを振りかざす。気づいたレオが声をかけるものの、キラはそれよりも早くアーマーシュナイダーを手にし、先ほど傷付けたデュエルの腹部側面にお見舞いした

 

「"SEED"...覚醒したかキラ。まったく恐ろしいね...」

 

レオはないやら意味深な言葉を発する。それは誰にも聞こえず、ましてや誰にもわからない単語。現状ではまだ、であるが

 

デュエルの被弾を引き金に敵は撤退。戦闘は終わりを迎えた

 

「キラ。大丈夫か?」

 

「う、うん...」

 

『レーダーに艦複数確認。第8艦隊です!』

 

アークエンジェルオペレーターの報告により第8艦隊がすぐそこにいることを確認。これでようやく彼らに安堵の時間がやってくるのか...

 

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