青年の異世界珍道中〜ガンダムSEED〜   作:クロイツヴァルト

17 / 21
PHASE16

 

 

 「面と向かってはほんとに久しぶりだな?」

 

 「元気そうで何よりだよ。」

 

 あの後、サイーブのいる明けの砂漠から遣いの者がジープに乗って現れて、アークエンジェルはザフトのレーダー網に当たらぬように低空飛行をしながらゲリラ達との合流地点へと向かい、無事に合流を果たすのであった。

 

 「それで、あの馬鹿者は?」

 

 「それなんだが」

 

 カイトは真っ先にサイーブに会いに行き、改めて再会の挨拶をしていると洞窟の外が騒がしくなってくる。

 

 「お前が何故あんなものに乗っている!」

 

 「まさか」

 

 「あんのバカ」

 

 外から聞こえる聞き覚えのある声にカイトが反応するのとは反対にサイーブは天を仰ぐ。そして、洞窟の外で待機状態で跪かせたストライクの前で揉めている中でキラの胸ぐらを掴む赤いシャツに軽装のジャケットを着た少女がキラに詰め寄っていた。

 

 「この…痛だだだだ」

 

 「何をしているのかな?」

 

 そんな少女の頭を無造作に掴み、ギリギリと万力のように締めてカイトは冷たい笑顔を浮かべ、周囲の空気が凍りつく。

 

 「その声はッ!兄様!?」

 

 カイトの手により今、アイアンクローをされて宙ぶらりんのカガリの驚く声を聞き

 

 「「兄様!?」」

 

 「って、カイトはこの嬢ちゃんの事知ってるのか!」

 

 「久しぶりの再会だが、まさかこのような所で会うとはな…、カガリ。」

 

 周囲にいたアークエンジェルのメンバーが驚きの声を上げ、いち早く復帰したムウがカイトに聞くと

 

 「本当の兄弟ってわけじゃないが両親とこいつの親が多少交流があってな?それでこいつとの関係は歳の離れた幼馴染って所だ。」

 

 ムウの言葉にカイトがそう説明をする。尚、カガリとカイトが呼んだ少女はいまだにカイトにその頭を鷲掴みにされ悶えていた。

 

 「だ、大丈夫?」

 

 「な、なんとか。」

 

 ややあってカイトから解放されたカガリは地面に突っ伏しミリアリアが心配して声を掛けていた。

 

 「にしても、考えなしの直情型は今も直っていないようだな?どうせあの人に何も言わないで家出同然に飛び出してきたんだろ?」

 

 「うぐッ?!」

 

 カイトの呆れたような冷ややかな視線と言葉にカガリは図星とばかりに言葉に詰まる。

 

 「…まぁいい。艦長、この砂漠を抜ける時にだがこの猪娘連れて行くのはどうだ?」

 

 「それはどうして?」

 

 「現在のアークエンジェルのいる場所から紅海を抜けていく途中にオーブがあるが連れて行くのが吉だぞ?」

 

 「ミサカ大尉、その理由は?」

 

 「ま、それは今は秘密って事で。まずはこの砂漠で砂漠の虎からの攻撃を凌いでからだな。」

 

 「…そうね。まずは目先の事より目前の敵をなんとかしないとね。」

 

 ナタルの言葉にカイトが曖昧に答えるが、マリューは納得しサイーブを見る。

 

 「とりあえず、もう遅い。親交を深めるってのはちょいと違う気もするが多少の交流はしても良いんじゃねえか?」

 

 「良い歳して男のツンデレみたいな事とか気持ちわり」

 

 「カイト、オメェなぁ!」

 

 「冗談だっての、そう怒るなって!」

 

 サイーブの言葉にカイトが茶々を入れてサイーブが怒るが、カイトが慌てて謝る。そんな様子を見てマリューは

 

 「仲がいいんですね?」

 

 「「どこが?」」

 

 サイーブとカイトが同時に言うものだからか周囲の者達が笑う。

 

 「よう、飲んでるか悪ガキ?」

 

 「ぼちぼちね。非番ならまだしも今は一応任務中だからあんまり飲むと明日に響くしな?」

 

 「軍人は大変だな。」

 

 サイーブとカイトが軽く談笑していると

 

 「あ、あの兄様!」

 

 「カガリ、どうした?」

 

 「兄様はやっぱり連合に」

 

 「あぁ、技術士官兼MSのパイロットとしてあの艦に乗っている。」

 

 「ではやはり」

 

 「今のあの国に戻るつもりはない」

 

 カガリの言葉にキッパリとカイトが告げる

 

 「それは」

 

 「あの人の考えに賛同できないってのもあるが、俺は俺なりに戦争の早期終結の道を見つけて進んでいる。まだ道半ばだがな。」

 

 カガリの言葉を遮るように言ったカイトの言葉にサイーブとカガリが驚き

 

 「カイト、ここにいたのですか?」

 

 「カイトさん」

 

 「少年…ラクス、どうしてここに?「「ラクス・クライン?!」」まぁ、艦長の許可が降りてるんだろうから俺からは言わんが、気をつけてくれよ?」

 

 「どうしてここにッ痛だだだだだ!?」

 

 「騒ぐなド阿呆」

 

 「連合の艦にかのお姫様が乗っているとは驚きだな。」

 

 「ま、成り行きとも言うがそれだけじゃないしな。」

 

 「それはどういう」

 

 「こう言うこと」

 

 「あ、もう!いきなりはびっくりしますわ!」

 

 サイーブの疑問にカイトはカガリを離してラクスの腰に手を回してその身を引き寄せ、ラクスはそのカイトの行動を怒るが、頬を朱に染めて恥じらうその姿にサイーブは唖然とし、カガリは

 

 「に、兄様のバカぁー!」

 

 「えぇー?」

 

 と、ラクスとカイトの様子を見て罵倒しながら走り去る。それを見てカイトは呆気に取られ

 

 「カイト、私はあの方とお話しをしてきてもよろしいですか?」

 

 「ラクス、1人はダメだ。…少年、ラクスの事を頼んでもいいか?俺はこの後の事でサイーブ達や艦長達を交えて今後の作戦を考えないといけないからな。」

 

 「あ、はい。わかりました。」

 

 「ん、では行ってきますわ」

 

 キラが返事をする中でラクスがカイトに軽くキスをし、キラと一緒にカガリが走って行った方へと向かっていく。

 

 「にしても驚いたな。お前がかの歌姫と恋仲になっているとは…だが」

 

 「茨の道だと言うのは分かっている。だが、俺は彼女と約束したんだ。戦争を終わらせると」

 

 「全く、難儀なもんだ。」

 

 カイトの言葉にサイーブは呆れ

 

 「おおかた、砂漠の虎と接触するつもりか?」

 

 「そんな所だ。今は彼女と一緒だが、彼女には穏健派をまとめ上げてもらわないとならんからな。」

 

 「俺が協力すると思うのか?」

 

 「してもらわないと困る。」

 

 「…分かった。だが、古参のやつなら大丈夫だと思うが血の気の多い若い衆は話を聞かんと思うぞ」

 

 サイーブの言葉にカイトは

 

 「それならそれでかまわん。非情と言われようが理性よりも感情を優先するならそこらのテロリストとなんら変わらんからな。」

 

 と冷徹に結論づける。

 

 「ま、生き残ったら生き残ったでその戦力差を感じて止まって欲しいがな。」

 

 サイーブの無言の声にカイトは肩を竦ませて戯けた様子でそう締めくくる。

 

_________________________________________

 

 「ここにいたのですね?」

 

 「…なんのようだよ」

 

 カイトと別れたラクスとキラは岩の上で膝を抱えて顔を埋めるカガリに声をかけるもカガリからはそっけなく返されるも

 

 「あなたとお話をしてみたいと思って追ってきましたの。」

 

 「…放っておいてくれ」

 

 「私がカイトと付き合っていたのがそんなにショックだったのですか?」

 

 「ッ!あぁ、そうだよ!アタシの兄様が取られたって…遠くに行ったって」

 

 「私と付き合う事で疎遠になると?カガリ様の知るカイトはそのような薄情なお人ですか?」

 

 「そんなわけあるか!いつだって兄様はアタシの味方で!隣にいてくれた存在だから!」

 

 見上げているラクスに対してカガリは感情が爆発したのか蹲っていた状態から立ち上がり、ラクスを見下ろしながら自身の心情を吐露する。

 

 「それなら私の仲間ですわね?」

 

 「仲間?アタシとお前が?」

 

 「私もカイトの傍にいて、味方で、プラントの姫でもなく、シーゲル・クラインの娘としてでもなくただのラクスと見てくれます。それはあなたもそうではなくて?」

 

 「それは」

 

 「ですから私とお友達になってくださいませんか?」

 

 ラクスの言葉にカガリが呆気に取られる。

 

 「とも…だち?アタシとお前が?」

 

 「えぇ、恥ずかしながら同性のお友達というのがアークエンジェルに乗って初めてですの。」

 

 「そうなのか?お前なら向こうから友達にだって困りそうにないのに」

 

 「それは結局の所、歌姫の私か議長の娘の私というものに寄ってくる方ばかりですわ。」

 

 「苦労してるんだな。」

 

 「ですが、カイトだけは私をただのラクスと見てくれますの。」

 

 「確かに兄様は肩書とかでその人を見ないって。人を見るのにそんな色眼鏡で見る事はしないありのままの人を見るって言ってた。」

 

 ラクスの言葉にカガリもそれに同意する。

 

 「あの人の小さい時のお話しとか聞きたいですわ。」

 

 「兄様の?」

 

 「私はカイトの事が好きなのです。ですので、カガリ様が知る昔のカイトの話を聞きたいのです。」

 

 「そう言う事か。いいぞ、ただし!アタシの事はカガリって呼べ、様付けとか背中が痒くなりそうだからな。」

 

 カガリの物言いにラクスがクスクスと笑う。

 

 「な、なんだよ。」

 

 「いえ、今のカガリの言い方がカイトにそっくりでしたので」

 

 「そ、そうか?」

 

 ラクスの言葉にカガリが照れを隠すように頬を指で掻きそっぽを向く

 

 「えぇ、カガリの様に初対面のカイトも様で呼ばれる事を恥ずかしがっておりましたの。」

 

 「兄様らしいな。」

 

 最初、険悪にならないか不安だったキラは2人の話す様子を見てホッと胸を撫で下ろしていた。

 

 _________________________________________

 

 「さて、ダコスタ君。目標の足付きとやらの足取りは掴めたのかね?」

 

 「えぇ、現地のゲリラと接触し合流した様です。」

 

 「ゲリラというと確か明けの砂漠と言ったかね?」

 

 「ですが、MSに勝てる訳ない連中と一緒になって何しようってんでしょ?」

 

 「そう侮ってはいけないよ、ダコスタ君。彼らも必死なのさ」

 

 「さて、新型の性能とやら見せてもらおうか。バクゥの部隊を出せ!いつものように行こうか」

 

 __________________________________________

 

 「ッ!」

 

 「カイト、どうした!?」

 

 カイトが何かに気づき、アークエンジェルに向かうことにサイーブは驚く

 

 「敵が来る!」

 

 そう告げてカイトはアークエンジェルへと向かう。

 

 「ブリッジ、聞こえるか!」

 

 「ミサカ大尉、どうしました?」

 

 「ハッチを開け!敵が来るぞ!俺が出て叩くからアークエンジェルは姿を見せるなよ?」

 

 「!わかりました。気をつけて!ハッチオープン、ミサカ機どうぞ!」

 

 「カイト・ミサカ、ホットスクランブル出撃るぞ!」

 

 そう言ってカイトは機体をアークエンジェルより発進し、艦外に出るのと同時にMA形態に移行し、夜の砂漠の空を飛んで行くのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。