青年の異世界珍道中〜ガンダムSEED〜 作:クロイツヴァルト
お久しぶりです。仕事の関係上でストックが切れて更新が遅れていますが、ストックが出来次第また連日もしくは一週間に一、二回更新できるように出来ればと思います。
「…見えた!」
カイトが暫く機体を飛ばしていると目視で確認できるほどの砂塵が前方で発生し、発生源のあたりを見ると十数機の四足型MSバクゥと支援機なのか戦闘用ヘリが後ろから二十機ほど迫ってきていた。
「この後の接触を考えたら撃破はせずに無力化をした方が良さそうだな。」
カイトの事を確認したのかバクゥの背中にある連装ミサイルやレールガン、戦闘ヘリからもミサイルが降り注ぐ。
「この程度!」
MA形態からMSへと変形したカイトはライフルとシールドに頭部バルカンを駆使して迫る攻撃の対処をする。
「そこぉ!」
重力圏の中、ビームの減衰現象によりやや威力の下がったライフルでバクゥの装備を次々に破壊するカイト。
「流石に陸戦用だけあって機動力が高いな!」
四足形態から足を畳んでキャタピラによる無限軌道を取り出したバクゥの機動性には流石のカイトも舌を巻く。最初の2、3機が無力化されたことにより向こうの部隊は回避に専念しつつこちらにミサイルやレールガンを撃ってくる。
「重力圏では使えないのが痛いな!だが!」
『システムオンライン、いつでも』
カイトの言葉に反応し、アルカインが反応する。
「行けよ、ソニックシューター!」
カイトの言葉に呼応してか機体の周囲に黒い球体状のエネルギー弾が生成され、バクゥや戦闘ヘリへと着弾する。回避しようとした機体もいた様だが、通常兵器とは違い追尾性能のある魔法の攻撃になす術もなく部隊の装備だけが破壊され、戦闘行動が取れなくなる。
「よし、撤退してくれたか。」
残っていた無事な機体が反転して戦闘領域から移動するのを見てカイトは息を吐く。その直後に機体へと通信が入る。
『カイト、無事か!敵は』
「フラガ少佐、こっちは無事に終わりましたよ。連中は撤退しました。戦えないと判断した途端に綺麗に逃げて行きましたよ。鮮やかなもんですよ」
『そうか、一応俺とキラもそっちに向かう準備してたんだが無用になっちまったな。』
「いえ、撤退はした様ですが一応は警戒をしていても問題はないでしょう。相手はあの砂漠の虎ですから」
『確かにな、わかった。俺とキラは戻って周辺の警戒に入るからカイトも早く戻れよ?艦長にお姫様はカイトが急に敵が来ると言って出てったもんだから心配をしていたからな。よ、色男!』
「素直に心配してくれるのはありがたいが、俺も毎回重症者になりたかないっての。直ちに帰投する。」
ムウとの通信を切るとカイトはその場で機体をMA形態に移行し、アークエンジェルへと戻っていく。
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はるか先からカイトの戦闘をジープの上に立ち双眼鏡を片手に佇む男がいた。
「いやぁ、凄まじいねあれは。バクゥとヘリの混成部隊を単機で難なく対処しちゃったよ。」
「隊長、呑気なこと言ってる場合ではないですよ?」
「まぁ、そうなんだけどね。確かにあの新型はすごいよ。……けどほんとにすごいのはどっちなのかね?」
「隊長?」
「なんでもない。諸君、帰るぞ。」
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「カイト君、無茶しなかったわよね?」
機体をMSハンガーに固定した後にデッキを渡り艦内の通路に入った所で息を切らしてこちらに来るマリューがカイトの心配をする。
「大丈夫だ、今回の敵はそこまで無茶するほどのものでもなかったからな。」
「君は無茶をする事が常なのに気づいてる?」
「それは…」
「自覚がないのなら自覚しなさい。君の事を心配するのは少なくとも私とラクスさんの2人がいる事を理解してよね?」
言葉に詰まるカイトに対してマリューはズイと顔を近付けて注意をする。
「あ、あぁ。心配をかけてすまない。」
「とにかく無事でよかったわ。この後はサイーブさんの住むタッシルの所で弾薬などの補給が受けられることになったの。ただ、日用雑貨などの物資はここから少し離れたところのバナディーヤって大きな町で買ってきてもらう事になるわ。」
「ッ!?バナディーヤって」
「えぇ、ザフトのアフリカ方面軍の前線基地が近くにある町よ。」
「それって大丈夫なのか?」
「全くの安全とは言えないけれど」
「日用品などを買うには大きなところに行かなければない物もある…か。」
「えぇ、一応だけどメンバーは男手としてカイト君に行ってもらいたいの。」
「ちょっと待て。俺だけか?」
「もちろん、向こうと接触するのだからラクスさんも一緒よ。」
「ならいいが「後はキラ君にカガリさんに私も一緒よ。」はぁ?!」
マリューの被せてきた言葉にカイトは素っ頓狂な声をあげる。
「少年も男手としてカガリならわかるが、なぜラミアス艦長まで」
「なぜって艦のみんなには一時的な休暇と言ってあるから大丈夫よ。それと、私だって女ですから好きな人と一緒に買い物に行きたいと思うのはだめかしら?」
「それを言われると弱いな」
「ふふふ」
カイトの言葉にマリューは勝ち誇ったかのように笑うのであった。
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「で、このメンツか。」
バナディーヤに向かうために大型の軍用ジープの前に集まった
「なんですか?文句でもあるんです?」
「あ、あはは」
マリューの言っていたメンバーの中にはなぜかフレイがキラの隣に陣取りその腕に自身の腕を絡め、キラはそんなフレイに対して誤魔化すかのように笑うしかなかった。
「キラが物資の買い出しに行くって聞いたからお手伝いしたくて来たのよ。」
「まぁ、女性が多ければその分色々とそっちの買い物も捗るが…」
「それはいいんだけど兄様、なぜこの女がこの場にいるんだ?」
「それは軍の関係者にしか教えてないから今のお前に教えることはできない。」
カガリの言葉にカイトは機密になると教えなかった。
「兄様のこ、恋人と聞いたぞ!従兄の事が気になるのにその言い草はなんだよ!」
「一般人同士ならまだしも俺は軍属でカガリはゲリラに参加している一般人だろ?」
「うぐっ!」
「まぁ、とにかく時間は有限だ。さっさと行くか。」
「それじゃ、運転をお願いね?」
「了解。」
そう言ってカイトが運転席に乗ると助手席には当然のようにラクスが隣に座り右側からキラ、フレイにカガリそしてマリューの順で座る。
「ふふ、カイト。よろしくお願いしますわ。」
「女性陣が多いから安全運転で行くが砂漠の中を走るから砂に注意な?ラクスには俺のサングラスを貸しておく。」
「まぁ、ありがとうございます!」
「兄様、あたしにはないのか?」
「カガリはこの砂漠に慣れてるだろ?」
「そんな事ないよ!」
「はいはい、予備のサングラスあるから拗ねるな。」
拗ねるカガリにカイトは予備に持っていたもう一つのサングラスをカガリに渡す。
「本当にお二人は仲がよろしいのですね。」
「当たり前だ!あたしと兄様は一緒に育って来たんだからな!」
「いつの話をしてるんだお前は。」
「あら、それは私も気になるわね?」
「小さい時のカイトさんかぁ」
「すごい気になるんだけど!」
「ここに味方はいないのか…?」
走行中にそんな会話がされており、カイトは憮然とした表情をする。その様子を横で見ていたラクスはサングラス越しにクスクスと笑う。
「ほら、もう直ぐ目的地に着くぞ。」
あの後もなぜかカイトの幼少期の話をカガリが披露してラクスにマリューやキラ達の4人が興味深く聞き入っている状態で砂漠の中を走る中、カイトは目の前に見えた土やコンクリートで作られた商業街バナディーヤが見えた事をメンバーに伝えた。
「あれが!」
「どうだ!大きいだろ!」
「お前が言うな、お前が。」
それ見たキラが驚き、カガリが得意げにしてるのをカイトが突っ込む。
「最初はどこから回りましょうか?」
街の入り口付近に車を停め、防塵シートを車体に被せてから固定する中でマリューが皆に問いかける。
「だったらシャンプーや洗顔料とか見ない?その後は香水とか」
「雑貨類と言いつつ基本女性陣の買い物の様なものだ。正直俺たちはこだわりがある訳でも無いしな…。」
フレイの言葉にカイトは少し考え
「よし、ここは6人もいるのだから二手に分かれて買い物した方が効率的だな。」
「なら、私とマリューさんはカイトとですわね。」
「そうね。」
「なら、私とキラにカガリの3人ね。」
「異議あり!なぜ私が兄様と一緒では無いのだ!」
「そりゃ、ちょっとしたデートなんだからお邪魔しないために決まってるでしょ?」
「んなぁッ?!」
フレイの言葉にショックを受けるカガリ
「ま、そういう事だから。少年はそっちを頼むぞ?途中で飯食うだろうからその時に少し合流しよう。」
「はい、カイトさんも気をつけて。」
「兄様ぁ〜!」
「はいはい、あんたはこっち!」
笑顔で答えるキラの横を無駄に抵抗するカガリの襟首を持ってフレイが引き摺る。
「あの子も変わったな…。」
「そうかしら?」
「あぁ、艦に乗っていた最初期に比べればだが…な。コーディネイターが嫌いだったらしいが、キラやラクスとの交流でだいぶ和らいでいるみたいだしな。」
「そうなのですね。」
「ま、ここで立ち話しててもしょうがないし、せっかくの休暇だ。2人のレディのエスコートを務めさせてもらうよ。」
「あら」
「では、お願いしますわ。」
そう言ってラクス達2人はカイトの両脇に陣取り腕を組んで歩き出す。
「あれはなんでしょう?」
「あれは、帽子を売ってるところだな。」
「ここでは日焼けしそうだけど、砂漠を抜けたらあまり必要では無いわね?」
「…そうとも言えないが」
そう言ってカイトは露天の男に話しかける。
「すまないが、これであの2人の帽子を買いたいんだが外貨は使えるか?」
「大丈夫だよ。あの別嬪さん達にだね、ちょっと待ってな。」
そう言って露天商の男はカイトに麦わら帽子のような帽子を二つ、カイトに手渡す。
「ありがと、ほらラクスにマリューさん」
買った帽子をカイトは2人にすぐに手渡す。
「ありがとうございますわ!」
「カイト君、ありがとう。」
そうお礼を言って2人は帽子を被る。
「それにしても、カイト君?ラクスさんと私しかいないんだから呼び捨てでってお願いしたわよね?」
「年上の美人を呼び捨てとかまだ慣れないから許してくれないか?」
「もう、それではぐらかしたつもりなのかしら?」
「カイトは口がお上手ですからね。」
「おいおい、勘弁してくれよ。」
2人の責める様な行動にカイトは両手をあげて降参する。
「と、この辺りが食事できる区画だが…いたな。2人は俺の後ろに」
パラソルが設置されているカフェテリアの様な店の一角に座る場違いなアロハシャツを着た男が座る所にカイト達3人が近づき
「あんたがアンドリュー・バルトフェルドか?」
「そう言う君は?」
「カイト・ミサカ。あんたらが羽付きと呼ぶMSのパイロットだ。俺からのメッセージは分かったかい?」
「ほぅ、と言うことは…だ。僕らのバクゥ隊はわざと生かしたのかい?」
「そうだ。俺達は確かに敵同士だが、むやみやたらに殺しはしない。交渉したい人間の関係者を殺すか?」
「確かにね、いいだろう。座りたまえ、まずはここの食べ物でおすすめのドネルケバブを食べてみなさい。美味しいよ」
そう言った直後に店の店員が現れてケバブの乗った四つの皿がテーブルに並べられる。
「僕のおすすめはヨーグルトソースだね。」
「ちょおおっと待ったぁッ!ヨーグルトなんて論外だ!ケバブにはチリソースだ!」
バルトフェルドの言葉に何処から来たのか突如、カイトとバルトフェルドの間にカガリが現れその手にはチリソースのボトルが握られていた。
「お前はどこから現れた!?」
「すみません、カイトさん」
「その子、カイトさんが見えた途端にダッシュして捕まえられなかったのよ。」
驚くカイトにカガリが現れた方向から肩で息をするキラとフレイが現れる。
「おや?大所帯だね、買い出しでもしてたのかい?」
「ま、そんな所だ。で交渉をしたい…が、お邪魔虫が多いんだよな」
「おや、気づいていたのかい?」
「こんだけ殺気を向けられてたら鈍いやつでも気づくっての!」
バルトフェルドの言葉に答えていたカイトだが、こちらに向けられている殺気がさらに膨れ上がるのを感じてその場のテーブルを蹴りあがて即席の盾にする。そして
「アースウォール!」
カイト達の目の前にバルトフェルドを含めても易々と隠れていられるサイズの壁が地面からせり上がる。
「これはッ!?」
「少年はここでラクス達の事を頼むぞ?」
「カイトさん、僕も」
「これは生身での殺し合い…生半可な覚悟しかないのなら足手纏いだ。砂漠の、行くぞ」
「辛辣だねぇ」
キラの事をカイトが一蹴し、バルトフェルドが軽口を言いながら2人は壁の左右から飛び出す。
「甘いんだよ!」
「がッ?!」
「ぐぁッ!?」
カイトは腰に差していたデザートイーグルを抜き放ちながら建物の影から軽機関銃を撃って来ている人間に向けて発砲。
「化け物は空に帰れ!」
「青き清浄なる世界の為に!」
「排斥過激派のブルーコスモスか!」
建物に隠れて襲撃して来たのは現地民に隠れたコーディネイター排斥過激派集団ブルーコスモスであった。カイトが視認出来ただけで十数人といた。
「たく、敵地でもお構いなしか!砂漠の、お仲間は!」
「もうすぐ到着すると思う!」
「そうか…まじかよ!」
バルトフェルドとやり取りしている間に建物の上に現れた1人が肩に担いでいる物を確認したカイトはたまらず悪態を吐く。
「対戦車ロケットとか対人で使うもんじゃないだろが!」
「ちょ、きみ?!」
物陰から飛び出したカイトに対してまだ生きている敵からの集中砲火が向くが、全てを紙一重で躱しながら建物の上にいる敵に向かって大跳躍をして接近する。
「なッ?!」
「そんな物持ち出してくんじゃぁないよ!」
ガァンとイーグルがロケット砲を持った敵の眉間を撃ち抜く。
「おいおい、彼は本当に同じ人間かね!」
今の光景を見たバルトフェルドは驚きながらも同じ光景を見て呆けていた敵の頭や心臓目掛けて発砲し、仕留めていく。
「隊長!」
「遅いぞ!」
そして、そこへバルトフェルドの部下らしき人間が現れてカイト達の援護に入る。
「ちッ、弾切れか。」
弾丸を吐き出し切ったイーグルを見てカイトは背中越しのホルダーに戻すとシースナイフを取り出すとジグザグに走って射線を定めさせずに敵を翻弄しながら接近し、すれ違いざまに喉を掻き切る。
「…状況終了。みんな、大丈夫か?」
「こっちは大丈夫よ。」
「生き残った敵は?」
「今、僕の部下が処理してるよ。」
カイトがバルトフェルドに聞きながら周囲を見ればうずくまって動けない黒服の男達をバルトフェルドの部下達がハンドガンを使って確実に仕留めていく。
「なっ?!もう相手は動けないんですよ!?」
「少年、言っただろう?これは殺し合いだ。仲良しこよしのスポーツマンじゃぁないんだ。やらなきゃこっちがやられる。それとも少年はここで連中を逃して後から逆恨みで自分の知人が殺されても良いとでも?」
「なんで」
「
キラの憤りを聞いたカイトの反論にキラの言葉が詰まる。
「とにかく、危険の排除は出来たがいささか注目を集めすぎたね。僕たちの基地に君たちを招待させてもらうよ。そこで改めて交渉と行こうか。」
カイトとキラの言葉が途切れたタイミングでバルトフェルドの提案にその場のメンバーは顔を見合わせ、ラクスとカイトが頷くのを見てバルトフェルドの提案に乗るのであった。