青年の異世界珍道中〜ガンダムSEED〜   作:クロイツヴァルト

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PHASE18

 

 

 ブルーコスモスの襲撃から難を逃れた一行はバルトフェルドの自宅兼セーフハウスに訪れていた。

 

 「さて、お互い無事に済んでよかったね。」

 

 「嘘くさいな。地球に降りて来てるんだ、命狙われてるのは分かってたはずだが?」

 

 「そう邪険にしないでくれたまえ。君達のお連れの女性達にはアイシャがシャワールームに案内してお色直し中だから、それまで雑談でもしていようじゃないか。ちなみにコーヒーは飲めるかい?」

 

 「毒さえ入っていなければ問題ない。」

 

 「ちょ、カイトさん?!」

 

 「ははは!安心したまえ、僕は根っからのコーヒー党でね。そんな僕がコーヒーに毒なんてもの入れるなんてありえないね。」

 

 そう言ってバルトフェルドは入れ立てのコーヒーを2人分テーブルに置く。

 

 「…いただきます。」

 

 「…香りは良いな。」

 

 キラは一応警戒しながらそのコーヒーを取り、カイトはソーサーごと手元に取り香りを嗅ぎ、その後にコーヒーを口に含み、口の中に程よい酸味とほろ苦さが広がり鼻腔に挽きたての豆のいい香りが香る。

 

 「…言うだけあってとても美味いな。」

 

 「気に入ってくれて何よりだ。」

 

 カイトの言葉に様子を見ていたバルトフェルドは笑みを浮かべながら自身もコーヒーを一口飲む。

 

 「アンディ、準備できたわよ。」

 

 「アイシャ出来たんだね。」

 

 しばし沈黙を保っていた空間にバルトフェルドの事をアンディと呼ぶ女性、バルトフェルドはその女性をアイシャと呼び、その女性は声を掛けながら扉を開けて入室する。その後ろからマリューとラクスの2人が入ってくる。

 

 「やはり、ラクスはドレス姿がとても似合うな。そのダークヴァイオレットのカラーがラクスの美しいピンクの髪がよく映える。」

 

 「あら、褒めていただいて嬉しいですわ。」

 

 「マリューもとても似合っているよ。大人の魅力が全面に出ている…が、この気候でチャイナドレス?」

 

 「他の子達はちょうどよかったのだけど彼女だけは胸周りの問題でドレスが合わなくてこれになったのよ。後悔の念に絶えないわ。…しかも私より大きいなんて」

 

 アイシャと呼ばれた女性の最後の言葉はカイトはわざと聞こえない振りしながら改めて2人の美貌を目に焼き付けていると

 

 「こんなところでドレスを着ることになるなんて思わなかったわ。」

 

 「……」

 

 ラクス達に続くように現れたフレイとカガリだが、カガリは白を基調としたお姫様を彷彿とさせる衣装で、フレイは淡いピンク色の胸元が少し開き、腰元はキュッと絞り足元はふわりと広がったドレスに身を包み現れた。

 

 「へぇ、流石に着慣れているな。」

 

 「これも毎度お馴染みのおふざけか?」

 

 「ん〜、喋らなければ満点だね。」

 

 「それには同感だな。」

 

 感嘆の言葉と共に2人を褒めるカイトだが、カガリの言葉を聞いたバルトフェルドの言葉に思わず同意する。

 

 「兄様!」

 

 「お前達も座れ。で、砂漠の虎であるアンタと交渉したくて俺はアンタと接触した。」

 

 「ほぅ、交渉ね。で内容は?」

 

 「過激派のザラを抑えて穏健派であるクライン派の勢力拡大だ。その為にはラクスと共にクライン派であるアンタにも戦争の早期終結に協力してもらいたい。」

 

 「この泥沼の様な戦争を終わらせられるのかい?」

 

 「終わらせるんじゃない。終わりにさせる」

 

 「これはまた大きく出たね。では、彼らはこの戦争をどう考えているのか聞こうじゃないか。どうすれば戦争が終わると思うかね。」

 

 カイトの言葉にバルトフェルドは眩しい物を見るような表情をするが、ラクスやカイトにマリューを除いた残りの3人に聞く。

 

 「「…え?」」

 

 「……それは……」

 

 3人はその答えが出ない。戦争の厄介なところはそれである。どこで終わりとなるのか明確な答えが存在しないのだから

 

 「相手を滅ぼすまでかね?」

 

 「そんな…ことは」

 

 キラ達も頭では理解しているのだろう。敵対するものを破壊ないし滅ぼすか、圧倒的な力で捩じ伏せ、力や恐怖による支配による統治。それが究極的な戦争を根絶させる手段だ。が

 

 「ですが、それではいつまでも憎しみはなくなりませんわ。」

 

 「滅ぼし、滅ぼされ…憎しみの連鎖は結局なくならず、恨みや憎しみは蓄積され、また争いの火は再燃し争いが起きる。その為にバルトフェルドやラクスにはザフトとして、俺は連合側として立ち、それぞれの主義主張を話し合い模索し、折衷案を探すのさ。」

 

 「カイトさん」

 

 「…ヒトはより良い世界を作るために知識を集め技術が生まれた。その技術を使って機械が作られ文明が起こった。そして今は宇宙に進出する所まで来ている。そして宇宙に住まう者と地球に住まう者の人口はそこまで大差ない所にある。違いがあるとすればその生まれに他ならん。ナチュラルなのか、コーディネイターか。宇宙に住むか、地球に住むか。その違いで今、戦争が起きている。そしてこのまま戦争が長引けばその戦禍はどこまで行くのか…軍と軍のぶつかり合いだけでは済まなくなる。宇宙と地球の戦争へと明確に区分され、より激しい戦争になるだろう。宇宙に住む者達と地球に住む者達で違いがあるのは資源の上限だろうな。それを妬んで宇宙に住む者達による地球侵攻もあり得る。だから結末は変わらん。」

 

 「なら、どうすればいいっていうんだよ!兄様!」

 

 カイトの言葉を聞いてカガリが行き場のない怒りを声にする。ヒトによる負の連鎖。止める術を知らない愚かな人類の業。

 

 「…誰もが許し合える世界。その未来を作る…私はそんな世界をカイトと作りたい」

 

 「俺はハーフだ。コーディネイターとナチュラルの両親の間に生まれた。誰もが気づくことが出来れば作れる未来が、可能性があるんだ。それを俺はラクスと作る。俺は世界の架け橋とか大層な事は言わないが、そんな可能性の一つだと世界に見せていきたいんだ。」

 

 「……可能性の一つ」

 

 「アンディ、責任重大ね。」

 

 「そうだな。この戦いを終わらせるための僕らの手は些か血に塗れすぎている」

 

 「血に塗れようとも、泥に塗れようとも俺は止まらん。止まっては何のために戦って来たのか……俺はラクスの為に成し遂げるさ。」

 

 「…カイト」

 

 「真剣な話の最中に惚気てくるとはいやはや凄い胆力だね。」

 

 「あ、そんな事は」

 

 「なんだ、羨ましいのか?」

 

 カイトはそう言ってラクスの腰に手を回す。

 

 「ま、ふざけてないで本題に戻るが…この後の流れとしては砂漠を抜けて紅海を通ってアラスカを目指すって所だ。で、戦闘はとても簡単である程度戦って撤退してもらう事になる。」

 

 「つまり八百長という訳か」

 

 「そうだ。他の連中に疑われないようにそれなりに戦うつもりだが、なるべくアンタの所の部隊は殺さないように気をつける。」

 

 「そうしてくれると助かる。一応言っておくけど陸上戦艦のレセップスとバクゥの部隊は僕の所の者って覚えてくれれば良いよ。」

 

 「了解」

 

 「話し合いはこんな所かね?ちょっと失礼するよ」

 

 そう言ってバルトフェルドは席を立ち、角にある小さい棚の中から葉巻を取り出し

 

 「大尉もどうかね?」

 

 「いや、俺は自分の物があるから大丈夫だ。」

 

 「そうか。」

 

 カイトも席を立ってバルトフェルドの近くに寄り胸ポケットから金属ケースに入ったタバコを取り出す。

 

 「なっ?!」

 

 「っと、これはびっくりしたか?」

 

 カイトは口に咥えたタバコに人差し指に火を灯してタバコに火を付ける。その光景を見てバルトフェルドは驚き、ラクスを除いた面々は絶句する。

 

 「君はいったい」

 

 「勿体ぶるのは性じゃないからはっきり言うが、俺は魔導師だ。」

 

 「兄様はナチュラルとコーディネイターとのハーフじゃないのか?」

 

 「カガリの言う通り俺はハーフだ。コレは後天的になったと言えるんだ。」

 

 カイトは紫煙を燻らせながら片手を目の前にかざしながらそう告げる。

 

 「そうなるとカイトくんのあの驚異的な回復力にも納得がいくわね。」

 

 「攻撃用、補助用、回復用と大まかに分けて三つのことができる。が、あまり大っぴらに使うことは今の所はしないがな。」

 

 カイトの目の前に火の玉、雷の玉、水の玉、土塊が浮き円環状に回る。

 

 「不思議なものだね。」

 

 「世の中の不思議な事なんて探せばいくらでもあるだろう?」

 

 「そんなものかね?」

 

 バルトフェルドの言葉にカイトは

 

 「そんな物だ。それと、ラクスにはこれを渡しておく。」

 

 「コレは?」

 

 カイトは懐から取り出した片手に収まるサイズのスティック状の機械部品の様な物を魔法を使いラクスの手に渡る。

 

 「俺の機体のデータと強化改修案にそれに伴う新機軸のシステム等が記録されている。こっちじゃ時間があっても信頼できる場所がないからな。ラクスの所なら色々と融通がきくだろうから頼む。機体があれば時間も短縮できるだろうから機体の方は何とかしてそっちに送る。」

 

 「しかし、良いのかい?連合の機体なのに」

 

 「あれのデータが過激派に渡ればより凄惨な戦いになる事はわかりきっているからな。何かしらの理由をつけてジャンク屋連合に引き渡してバラしてからラクスの元に送るって所が一番か。」

 

 確かめるように聞くバルトフェルドにカイトはブルーコスモスの事が脳裏によぎりながらもあり得る未来を想像しながら答える。

 

 「うーん、確かにあの連中なら大尉の機体データがあればデチューンした機体を量産化してくるだろうね。」

 

 「下手をすれば兵士の命すら駒としている節もあるからな。言い方は悪いが兵士を生体ユニットとして使い捨てるなんて事もあり得るな。」

 

 バルトフェルドの言葉にカイトは苦虫を噛み潰したような表情でそう言い捨てる。

 

 「ですから、私達でその争いを止めるのです。」

 

 「…ラクス…そうだな、絶対に止めるさ。」

 

 ___________________________________

 

 「私達は戻るけど、カイトくんは明日戻るってことで良いのね?」

 

 「あぁ、我が儘を言って済まない」

 

 「まぁ、艦長の私が許可するのだから文句は言わねないわ。」

 

 街の入り口でカイトは運転席に座るマリューと会話していた。

 

 「迎えはいらないのね?」

 

 「あぁ、みんなの前で見せた魔法でアークエンジェルまで簡単に戻れるから問題ないさ。」

 

 「そう…ラクスさんにまた会いましょうって言っておいてね?」

 

 「私も!また一緒にお話ししましょうって言っておいて下さい!」

 

 「少年は?」

 

 「僕は特に親しいって訳じゃないけど元気でと伝えて下さい。」

 

 「………」

 

 「お前は何を不貞腐れてるんだ?」

 

 終始無言でそっぽを向いているカガリにカイトは呆れの表情で声をかける。

 

 「お兄さんがだいs「わぁァァァァァ!?何を言い始めるのだ貴様は!?」ちょっと、耳元で大きな声を出さないでよ。」

 

 フレイの言いかけた言葉に被せるようにカガリが慌てて声を上げる。それに対して隣同士だったためにフレイは耳を軽く抑えながら嗜めるようにカガリに言う。

 

 「ご、ごめん。」

 

 「ま、揶揄った私が悪いからこっちも悪いからこれ以上言わないわ。」

 

 「それじゃ、私達は先に戻るわね?」

 

 「あぁ、気をつけてな。サイーブによろしく言っておいてくれ。」

 

 そう言ってカイトがジープから離れるとマリューはエンジンをかけ、進路をアークエンジェルへと向けて車を走らせていくのであった。

 

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