青年の異世界珍道中〜ガンダムSEED〜 作:クロイツヴァルト
「ラクス、明日は一度お別れになるが、また会えるから」
「…カイト…」
「大丈夫だ。不安になるだろうが、俺がいない間はこいつがラクスを護る。」
バルトフェルドのセーフハウスの一室にあるベッドにカイトとラクスは腰掛けて話をしていた。そして、そんなカイトはラクスに菱形の鈍く輝く宝石が付いたペンダントをその首にかける。
「コレは?」
「こいつは俺の相棒の一機で【バハムート・ナハトヴァール】愛称は【ナハト】。ラクスを護る為に渡しておく。君に危険が迫れば自動的に防壁を張ったり敵を無力化してくれる。」
『ミス・ラクス、よろしくお願いいたします。本機はマスターの紹介の通りバハムート・ナハトヴァールと言います。ナハトとお呼びください。』
ラクスの首元で宝石が明滅しながら女性の様な電子音声が響き、ラクスは軽く驚く。
「あら、アル様と同じような方なのですか?」
「そんな所だ。ナハトを介すればどんなに距離があろうと俺と通信ができるし、あまり寂しい思いはしないだろう。」
「どんなにですか?」
「ラクスがプラントにいて俺が地球にいたとしても通信はできるくらいには性能はいいからな?」
「まぁ!それはすごいですわ!」
「ま、主な役割はラクスの安全確保だからな?」
カイトといつでも会話できると聞いてラクスが喜ぶ隣でカイトが苦笑する。
「それは分かっていますが、愛しい人と映像越しとはいえ会話できるのですよ?」
「まぁ、それはわかるがな」
カイトの言葉にむくれるラクスにカイトは苦笑しながらラクスの絹の様にサラサラとした髪を梳く。
「とにかく、コイツがいればラクスや周囲の人達に降りかかる危険から守れる。が、あくまでもラクスやラクスの家族に危険があるときにだけにしてくれ。なるべく敵の方には能力がバレないに越したことは無いからな。」
「わかりましたわ。」
「さ、真面目な話はコレで終わりだ。どっちからする?」
「では今日はカイトがして下さいな。」
「了解した。」
部屋の明かりを消してカイトとラクスはベッドの中で愛し合う。
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「もうすぐお互いに戦うと言うのに顔を合わせて食事をするのに違和感がすごいね」
「そうか?」
カイトとラクスが隣同士で座り、その対面にバルトフェルドとアイシャが座り、食後のコーヒーや紅茶と各々の好みの飲み物を飲んで会話をする。
「君はとても不思議な雰囲気を持つね。」
「不思議な…雰囲気?」
「コレは僕の感性だからどう表現すればわかるかね?」
「敵だと言うのに気構えと言うものが一切感じられない。」
「そもそも敵だとか味方だとかの括りでは俺は見ない。元々ナチュラルやコーディネイターとか人種差別もおかしな話。生まれる時間や場所を選べない癖にあいつがコイツがと卑屈になるのはどうなんだって話だ。千差万別、人それぞれと言う言葉もある。…ま、人間なんだ。理性では分かっていても感情がどうしても許すことが出来ないのも理解する。だからこそ、混血の俺がこの戦争に終止符を打ったら周りはどう見るかな?」
カイトの不敵な表情と微笑みを見てバルトフェルドは
「参ったね、こりゃ。強いね…キミは」
「そりゃ、護る者がいる奴は強いさ。」
呆れたような表情で感心した言葉をこぼしたバルトフェルドにカイトは横に座るラクスの手を優しく握る。
「カイト…」
「安心しろ、絶対に迎えに行くからな。」
「はい…お待ちしておりますわ。」
「あらあら、私達はお邪魔かもねアンディ?」
「若いってのは時には羨ましくもあるし微笑ましくもあるねぇ」
良い雰囲気を醸し出す2人を目の前に呆れる2人であった。
「さて、名残惜しいけどそろそろ戻らないとな」
「カイト、また会いましょう。」
「あぁ、また会おう。」
バルトフェルドのセーフハウスの前で別れを惜しむように立つ2人に入り口の手前で成り行きをバルトフェルド達が見つめる中、カイトはラクスと軽く抱擁を交わし今度こそアークエンジェルへと帰る為に街の出入り口へと向かう。
「カイトくん、次は戦場で会おう。」
「一応あんたのところの部隊は極力殺さないようにするつもりだ。」
「そんな心配はしていないよ。彼らだって戦士だ。覚悟を持って戦っているからね」
「戦士の流儀か」
「そう言うこと。下手な手加減は彼らを怒らすよ。」
「分かった。なら俺も本気で戦わせてもらうよ」
バルトフェルドと話を終えたカイトはもう一度ラクスと抱擁を交わした後に転移魔法を使いその場から姿を消す。
「彼のあの力は色々と便利そうだねぇ」
その場に残ったバルトフェルドはそう溢すのであった。