青年の異世界珍道中〜ガンダムSEED〜   作:クロイツヴァルト

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読者の皆さまお久しぶりです。
だいぶ期間が空いて読み直したり確認したりと手間取りましたがまたちょくちょく更新していきたいと思っておりますのでまた読んでいただけると幸いです。


PHASE20

 

 

 カイトが戻ったアークエンジェルは翌日には明けの砂漠と別れ、空を進んでいた。

 

 「さて、もうすぐこの砂漠を抜けるための境界線だ。」

 

 「抜ける為にはザフトのアフリカ方面軍の基地を越えないとならない訳だな。」

 

 カイト達はブリーフィングルームにて作戦会議をしていた。

 

 「確実に砂漠の虎は出てくるだろう。そっちの相手は俺がする…約束だしな。」

 

 「て事は、残りの敵に関しては俺とキラの2人で対処ってところか。」

 

 「そうなるな。だが、奴が出てくるまでは俺も対応に回るから安心しろ。」

 

 「本作戦はこの砂漠地帯を抜けることにあります。もちろん、ザフト軍の激しい攻撃にさらされると思いますが、パイロットの3人には負担を強いることになりますがよろしくお願いします。」

 

 「そんなことは無いさ。どの道、砂漠の虎との戦闘は避けれるものじゃなかったんだ。立ち塞がるのなら戦うしか無いんだ。」

 

 マリューの申し訳なさそうな表情にカイトがフォローをする様にマリューに言う。

 

 「会敵までそんなに時間はない。各自、戦闘の準備をして各持ち場にて待機して下さい。」

 

 「「了解!」」

 

 「カイト大尉、少し良いかしら?」

 

 ブリーフィングが終わり皆が部屋から出る中で、マリューはカイトを呼び止める。

 

 「艦長、どうした?」

 

 「私達は無事にアラスカまで辿り着けるかしら?」

 

 「不安か?」

 

 「不安じゃないって言ったら嘘になるわ。でもそれ以上に貴方が死んでしまったらと考えてしまう自分がいるのよ。」

 

 「俺は死なないさ。マリューにラクスの2人の恋人を残してなんて考えたくもないし、他のやつにマリュー達を任せるのなんて以ての外だ。」

 

 「カイト」

 

 「だからマリューは安心してブリッジで見ていてくれ。俺は絶対に死なないし、無事に帰ってくるさ。」

 

 不安そうなマリューに軽く口付けを交わし、カイトは安心させるように抱擁する。

 

 「分かったわ。絶対に帰ってくるのよ?」

 

 「心配しすぎだ。一般兵程度に遅れを取るような俺じゃないさ。機体の性能もあるが、俺だって強い…だから安心して待っていてくれ。」

 

 そう言ってカイトはそっとマリューの体を離し、今度こそ部屋を出る。

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 「さーて、そろそろ会敵ポイントだ。ミリアリア、こっちは準備はできてるぞ!」

 

 『了解しました。発信シーケンスをカイト大尉にお任せします。』

 

 「OK、カイト・ミサカ。ホットスクランブル出撃る!」

 

 電磁カタパルトから射出されたカイトはすぐさま、MS形態からMA形態へと可変してアークエンジェルの直上に陣取る。

 

 

 「さぁて、向こうはどう出てくるかね?なるべく被害を抑えて抜けたいところだが」

 

 『難しいことは無いと思うけど向こうは物量に物言わせてくるってわけじゃ無いから行動不能にしておけば後はなんとかなるんじゃないかな?』

 

 「簡単に言うが向こうは空と陸の両面から攻めてくるんだからそう簡単にはいかんよ。そもそもこの機体の調整だってまだ完璧とは言えないんだから。システム面もそうだが魔力を使う(・・・・・)機能も不完全なのだかな。」

 

 機体の中でカイトは相棒のデバイスであるアルと会話をしていた。

 

 『それはそうだけどマスター?この世界だと当たり前じゃないかな?そもそも魔法なんて知らない訳だしその反面、科学技術はこっちに比べると方向性は違うけど凄い発展してるしそれが普通でしょ?歯痒いのはわかるけどさ、マスターの知識を信頼できる仲間や友人に教えるのは流石にやめといた方が色々と安全だと思うよ。再現できるとは思えないけど』

 

 「まぁ、実際そうなんだがラクスになら託しても良いかと思ったからアレを渡したんだ。」

 

 カイトの持つ異質な知識はこの世界で無闇矢鱈に広めていい物ではない。もし仮に連合軍などに知られれば連合の闇を偶然とはいえ知っている為にこの特異性を発現させる為に被人道的な事がなあれる事も容易に想像がついてしまう。今もなおあの忌まわしき場所でコーディネーター達を超える為の兵士の調整をしている場所があると思うと怒りが湧いてくるが、今はその時では無いと自身を律する事で耐える。自身がやろうと思えばそれこそ痕跡など残さずあの場所を無に帰す事は可能だろうが、その後に残された者たちの避難場所も無い。そんな無策の状態で挑むほどカイトは浅慮では無いつもりだ。

 

 「っと、来たか」

 

 相棒と会話しながら思考の海に浸かりかけていた頭に機体のアラートによって中断し、眼前に広がる光景を見る。

 

 「軍用ヘリにバクゥ、ザウート。それにレセップス級陸上戦艦と大盤振る舞いだな。大半の戦力をここに集めたみたいな陣容だな。」

 

 『どうするの?』

 

 「まずは上を黙らす。」

 

 カイトは相棒の言葉にスロットルレバーを全開にして同じ上空を飛ぶ軍用ヘリへと向かうが、それを阻むように地上部隊からの対空砲火が迎え撃つ。

 

 「そんな鈍間な攻撃に当たる方が難しいな!」

 

 苛烈な砲撃の嵐の中をカイトは単機で潜り抜け、軍用ヘリの武装のみを破壊し戦闘力を奪った。武装を破壊されたヘリの一団は慌てたように転身して戦線から離脱していく。

 

 「これで上空からの支援砲撃は無くなったな。」

 

 そう判断したカイトは

 

 「アークエンジェル、上空の五月蝿いのは黙らせた。後は地上部隊だけだ。少佐と少年を出撃させてくれ。」

 

 『了解しました!』

 

 通信をし終えて対空砲火を躱しながら後方にいるアークエンジェルへと敵が向かわないように牽制をしていると

 

 『高エネルギー反応!』

 

 ナハトの言葉に反応して即座に回避運動に入った機体の横を一筋の光条が迸る

 

 「今のはバスターの攻撃か!連中も降りていたとはな・・・」

 

 眼前にはMS支援用航空機グゥルに乗ったデュエルとバスターがライフルをこちらに向けていた。

 

 『よう、また会ったな!』

 

 「いい加減しつこいな君たちも。重力圏内では不自由だろうに」

 

 『五月蝿い!今度こそ貴様らを墜とさせて貰うぞ!』

 

 「そうカッカするな。カルシウムでも足らんのかお前さんは?」

 

 『きっさまぁぁッ!!!!』

 

 『ちょっ、イザーク!?』

 

 カイトの煽り言葉にキレたイザークがライフルを腰にマウントしそのままサーベルを抜きグゥルを使ってカイト目掛けて迫り、それに慌てるディアッカはイザークを援護するために両腰にあるライフルを使いカイトの気を逸らそうと攻撃を開始する。その時

 

 「大尉!」

 

 「カイト、援護に来たぞ!」

 

 重力圏内の中、ムウの愛機であるメビウスが使用できない為ストライク支援用戦闘機スカイグラスパーを駆るムウ。そして同じように空を飛べないが機動性が高いエール装備でキラも駆けつける。

 

 「キラ少尉にムウ少佐か。こっちは俺が相手するから君は下の地上部隊の相手を頼む。ムウ少佐はキラ少尉の援護を頼みます。」

 

 「「了解!」」

 

 カイトの言葉に返事をした2人は地上部隊へと攻勢をかける。

 

 「さて、お相手しようじゃないか。」

 

 機体をMA形態からMS形態へと変形し、ライフルと腰にマウントしてあるビームサーベルを引き抜きながらカイトは2機のGへと迫る。

 

 『MSになっても自力で飛べるとか狡いだろ!?』

 

 「設計思想の違いだな。」

 

 その様子を見ていたディアッカの言葉をカイトは一刀両断に切り捨て、その手に持ったライフルをバスターに照準を合わせて狙い撃つ。

 

 『自由に動けるからっていい気になるなぁ!』

 

 「なった覚えはないな。」

 

 一気呵成に切り込んでくるイザークに対して冷静に対処する。

 

 『いいかげんに墜ちろぉッ!』

 

 「それは出来ん相談だな。」

 

 『何ぃッ!?』

 

 おおきくビームサーベルを振りかぶってきたデュエルの攻撃を容易く回避したカイトはライフルをデュエル自身ではなく足場にしているグゥルを撃つ。当然ながら飛行能力が無いデュエルは重力に従って地表の砂漠へと落ちるのであった。

 

 『イザーク!?』

 

 「足場にしている物にしか当ててないから本人は無事だろうが、衝撃によっては気絶はしているかもな。」

 

 地表に落ちたイザークを心配するディアッカに対してカイトはそう言う。

 

 「相方拾って撤退しておけ。」

 

 『なんだって?』

 

 「撤退しろと言った。こっちはこの場を離れられればそれで良いんだ。そっちもフルメンバーで迎え撃つ準備をすればいい。」

 

 『こっちとしちゃ助かるけど・・・良いのかそれで?』

 

 「ふん、適当にあしらってお帰り願うだけで決着はどこかでつけさせて貰う。場所がここでは無いだけの話だ。」

 

 『・・・そういうならお言葉に甘えさせてもらうよ』

 

 そう言ってディアッカは足場にしているグゥルを操作して地表に落ちたイザークが乗るデュエルを回収して戦域より離脱する。

 

 「・・・向こうも決着がつく頃か」

 

 カイトの眼下で繰り広げられる所には一回りほどバクゥよりサイズの大きいオレンジ色の機体、砂漠の虎が駆る専用機ラゴウがバッテリー切れのストライクが差し違えるかのように交差する瞬間であった。

 

 「少佐、お疲れさまです。早速ですがストライクを迅速に回収して向こうの指揮官が倒れた混乱を利用してさっさとこの空域を抜けますよ。」

 

 『了解、そっちもお疲れさん。Gを2機相手に抑えるどころか撤退までさせるとは流石だな。』

 

 「本当ならここでとっ捕まえたい所だったが正直こっちも余裕があるとは言いづらいからな」

 

 ムウの言葉にカイトは本心と嘘を半々にして話す。

 

 『まぁ、そりゃそうだ。クルーゼの所にいる連中の上、向こうはトップクラスのエリートらしいからね。一筋縄でいくとは思ってないさ。』

 

 「この後も連中は俺達を追いかけてくるだろう。楽な道ではないな」

 

 『モテるなら女性にモテたいねぇ』

 

 気だるげな声色のカイトに対してムウは戯けるように肩をすくめる。そんな事をしつつカイト達は戦場の空を飛ぶアークエンジェルへと帰投するのであった。

 

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