青年の異世界珍道中〜ガンダムSEED〜   作:クロイツヴァルト

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PHASE3

 

 

 「コロニーの中に戦艦で突っ込んでくるとは中々に大胆な判断をしたもんだな」

 

 「ちぃッ分が悪いか!」

 

 隔壁を破り入ってきた戦艦を見やり感心するカイトを尻目にシグーはスラスターを吹かせて戦域から離脱する。

 

 「ま、とりあえず一難去ったって所か」

 

 「こちらは地球軍所属のアークエンジェルです。そこの機体応答せよ」

 

 一息ついた所に戦艦、アークエンジェルよりオープン回線で通信が入る

 

 「こちら地球軍所属技術士官、カイト・ミサカ少尉だ。」

 

 「少尉、無事でしたか!」

 

 「バジルール少尉も無事でしたか。隔壁破ってコロニーに入るとは中々に豪胆な方ですね」

 

 「苦肉の策ですよ。Gも無いまま敵の前に出れば自殺行為にしかなりませんし」

 

 「ま、それが妥当だわな。こっちの現状は見ての通り4機のGが敵の手に渡って残ったのは俺の専用機にGAT X-101ストライクの2機のみだ」

 

 「4機も奪われてしまったのですか」

 

 「今後の対策も兼ねて下にラミアス大尉にフラガ大尉に民間人が5名…1人は臨時でパイロットをしてもらったから民間人とは言いづらいが、詳しい話は後でまた」

 

 「了解しました。こちらも船を降ろしますので着艦をお願いします。」

 

 「了解した」

 

 ナタルとの通信を終えたカイトはストライクに通信を繋ぐ

 

 「少年、聞こえるか?」

 

 「あ、はい。なんでしょうか?」

 

 「今しがた出てきた戦艦に乗るからカタパルトの中に入ってくれ。少年の学友達も連れてな。俺は大尉を連れて行くからまた後でな」

 

 「わかりました。」

 

 キラとの通信が終わったカイトは機体を地上に下ろしてワイヤーラダーで下に降りる

 

 「大尉、アークエンジェルに向かうので同乗を」

 

 「えぇ、分かったわ。」

 

 「傷の件もあるので狭いですが一緒にコックピットに乗ってください。」

 

 「えぇ、エスコートをお願いね。」

 

 カイトの言葉にマリューは応え、カイトに身を任せる。そんなマリューをカイトは落ちないように腰に手を回してラダーを操作して先にマリューを乗せて自身も乗り込む

 

 「注意しながら動きますが振動に備えてください」

 

 「よろしく頼むわ。」

 

 そして、ゆっくりとだがカイトはストライクやメビウスに遅れながらもアークエンジェルへと向かう。そして…

 

 「これはどう言う状況だ?」

 

 機体を艦のメンテナンスベッドに固定したカイトはマリューを伴い緊迫した空気を纏わせる両者の間に入る

 

 「この子供はコーディネイターですよ!?よりにもよってこの者に大事な機体に乗せるとは!」

 

 「少年が適任だったんだよ。俺は専用機に乗りもう一機もなんて出来ると?それとも乗れる人間を乗せないで敵にむざむざどうぞとでも?」

 

 「そ、それは」

 

 「少年だって成り行き上仕方なく乗ってくれていたが、身分上はオーブに住まう民間人だ。この場でナチュラルだとかコーディネイターだからと争うのが今やることか?違うだろ」

 

 興奮するナタルに対してカイトは諭すように冷静に語ると流石に状況はわかっているのかナタルは言葉に詰まる

 

 「諸君らもだ。コーディネイターだからと言って民間人に銃を向けて…軍人として恥ずかしく無いのか!」

 

 そして周囲で銃を構える兵士に対してカイトは一喝すると周囲の兵士は構えた銃を下ろした。

 

 「全く、どうせ事の発端は大尉の軽口からの失言でしょうに」

 

 「いや〜、すまんすまん。」

 

 カイトはジト目でナタルの傍に立つムウを見るとムウは苦笑いしながら謝罪する。

 

 「俺にじゃなくてまずは少年にだろうに…全く、いい年してなにしてるんですか」

 

 「面目ないです」

 

 「と、とりあえず今後の方針を話し合いましょう。」

 

 「そうですね。少年達はとりあえず船室で待機してもらって俺達は即座に動けるように艦橋だな。誰かこの子達を船室に案内してやってくれ」

 

 今の空気を変えるためにマリューが提案し、カイトが指示を出す。

 

 「カイトさん、僕は」

 

 「少年、今は戦争してんだ。悩むのも分かる…だがな、決めるのは自分だ。周りに流されて決めるのは違う。よく考えるんだな」

 

 カイトの指示に戸惑うキラに対してカイトは厳しめの言葉を送る

 

 「少尉は厳しいね。」

 

 「ふん、優しく諭せって?俺の性分じゃない…ま、それで折れるならその程度って事だ。憎まれ役は俺の方が良い。フラガ大尉の方でメンタルケアをしてやってくれ」

 

 「ほんと、アイツは難儀な性格してるよな」

 

 後ろで兵士に伴われてその場から去るキラ達を見送り、ムウは苦笑いをしながらカイトに話しかける。が、カイトは突き放すような物言いをしながらも、フォローをこの場の最年長に任すと言って先に艦橋へと向かう。そんなカイトを見てムウは肩をすくませながらそう呟くのである。

 

 「…それで敵の動きは」

 

 「今の所、向こうの動きはないけどむざむざ生かす理由はないからこっちを墜とすつもりでくるだろう。次の戦闘は向こうの持つ戦力を全部入れてきてもおかしくないだろうな」

 

 「そうだな、相手にはあのクルーゼがいるんだ。生半可なことでもない限り諦めちゃくれんよ」

 

 「クルーゼって…確か前にフラガ大尉が言っていた因縁の相手だったか?」

 

 「まぁな、どうもアイツと俺は互いにいるかいないか認識できるみたいでな、よく狙われるのよ」

 

 「とにかく、今の戦力は俺とフラガ大尉で後は少年の答え次第でもう1人でMS2機にMA1機って所か。最悪俺とフラガ大尉で守りながらこの宙域を離脱だな」

 

 ムウの話を聞きながらカイトは作戦プランを上げる。

 

 「しかし、相手は4機のGを奪取しているのですよ?」

 

 「そうだな、軽く見積もってもジンも含めて4機のGの相手もしなければならんだろうな。」

 

 「でしたらあの少年にも協力を仰ぐべきです!」

 

 「それを俺達大人が彼に強要するのか?招聘された少年兵でも無い一般人に?」

 

 「それは…」

 

 「俺が連中の相手をすれば良い話だ。フラガ大尉にはメビウスの整備が終わり次第サポートに回ってもらう感じで俺が敵の主力を叩くって形で行きましょう。」

 

 「それだとお前さんにかなりの負担があると思うぞ?」

 

 「現状の最善策はこれだと思うが…大尉はあの少年が乗っていたストライクに乗れますか?」

 

 「システム見ただけだが、ありゃナチュラルには到底扱えんよ」

 

 「だそうだ。そんなわけで少年が自分の意思で戦うってんなら俺はなにも言わん。もし少年が戦えんなら俺がやるしか無いしな」

 

 カイトがムウに聞くと無理だと言い、それを聞いたカイトはそう締める。

 

 「そんな!?」

 

 「バジルール少尉、ミサカ少尉の言う通り今の状態では致し方ないわ。心苦しいけど、ミサカ少尉に頑張ってもらうしか無いわ」

 

 「じゃ、そう言うわけだからラミアス大尉、いやこれからは艦長と呼んだ方が良いですね。」

 

 「…え?えぇ!?」

 

 マリューの言葉に返すカイトの言葉にマリューが驚きの声を上げる。

 

 「そりゃそうでしょ、俺はともかく官位で言えばフラガ大尉も同じだけど畑違いだしな。そもそも俺は技術士官兼MSパイロットだし」

 

 「それはそうですけど」

 

 「艦長、諦めなって。アイツの言うことだけど俺もその通りだと思うぜ?ラミアス大尉が艦長をしてバジルール少尉が副長で頼むわ。」

 

 いまだに渋るマリューに対してムウが苦笑いしながらカイトの言葉を肯定しつつナタルの役職まで決める。

 

 「わ、私がですか?」

 

 「…確かに。ラミアス艦長の補佐に堅実なナタル少尉ならちょうど良いんじゃないか?」

 

 ムウの言葉に戸惑うナタルにカイトが納得したような言動をする。

 

 「わかりました。未熟でしょうけど艦長をやってみます。」

 

 「そんなに気負うな。…って言っても艦長の性格じゃ無理だろうから、負担かけんように俺たちも頑張るか。」

 

 「だな、俺も若いのには負けてられんね」

 

 そうその場の者達の決意をしている所に稼働していたレーダーに反応があり、アラートが鳴る

 

 「ッ!来たか」

 

 「少尉!」

 

 アラートが鳴るのと同時にカイトは地を蹴って艦橋から飛び出し、マリューが驚く

 

 「ほんとすごい条件反射だね。艦長、俺も出撃準備に入るぞ」

 

 ムウは呆れながらもマリューに敬礼して艦橋を出る

 

 「整備班、機体を発進させるから退避しろ!」

 

 MSデッキに出たカイトはコックピットに乗り込むとすぐに機体を起動し、カタパルトに移動する。

 

 「…ふぅ、ブリッジ応答してくれ。発進準備完了した。」

 

 「あ、はい!オペレーターを担当しますミリアリア・ハウです、よろしくお願いします!」

 

 カイトが艦橋に通信をしていると先ほどの戦いの時にマリューの応急処置を一緒にした少女が映り、一瞬だがカイトは驚く。

 

 「さっきの嬢ちゃんか、良いのか?仮にも軍艦のオペレーターをするのは」

 

 「私達にも何か出来ないかって思って」

 

 「そうか。で、少年はまだ決めかねているか…繊細そうだもんなぁ」

 

 「キラは優しいですから」

 

 「ま、それはまた今度だ。」

 

 「はい、ミサカ機発進どうぞ!」

 

 少女、ミリアリアと会話したカイトは表情を引き締めてスロットルを握る

 

 「了解!カイト・ミサカ、ホットスクランブル出撃()るぞ!」

 

 レッドからグリーンにランプが切り替わり電磁射出されたカイトはフェイズシフト装甲を起動しつつ上空から来る敵機に向かう。

 

 「おいおい!ふざけろよ、連中対要塞の重爆撃装備持ち出してきたぞ!」

 

 「なんですって!?」

 

 「コロニーに残ってる民間人はお構いなしってか!?」

 

 両腕に装備した大型ミサイルを撃とうとしたジンをカイトは躊躇せずにコックピットを打ち貫く。

 

 「こんな閉所空間で物騒なもん持ち出してきやがって!」

 

 「ジンの他に…これは!艦長、熱現照合X303イージスです!」

 

 「もう実戦に投入してきたの!?」

 

 オペレーターの悲鳴のような声にマリューや艦橋にいる面々は驚きを隠せずにいた。

 

 「はッ、早速出て来たか!」

 

 「こいつが隊長の言っていた機体かッ!?」

 

 新たに現れたイージスは相対したカイトの機体を見て今回の計画にいなかった新型機を前にクルーゼから聞かされていたものの驚く。

 

 「アレも同じ新型か、なら俺が貰う!」

 

 「待てミゲル!」

 

 イージスの傍にいたジンがカイトに向けて急速接近してくる

 

 「迂闊な!」

 

 「墜ちろぉ!」

 

 ジンは装備していた剣を振り下ろすが、カイトは剣の軌道を冷静に見極め紙一重で交わすと、交差した瞬間に両腕に格納されているビームサーベルをそのまま発振させジンの頭部を斬り飛ばす。

 

 「なッ、メインカメラが!?」

 

 「お前が墜ちろ!」

 

 頭部がやられた事により正面モニターが機能しなくなった事に驚くミゲルに対して、カイトはジンの胴体に向けて蹴りを入れてジンはコロニーの地表へと勢いよく激突する。

 

 「ミゲル!?このぉッ!」

 

 それを見ていたイージスは仇とばかりに両腕に装備された固定されたビームサーベルを発振させカイトに迫る

 

 「どいつもこいつもッ!そんなに死にたいか!」

 

 カイトも同じように両腕からビームサーベルを発振させイージスと切り結ぶ

 

 「お前達がこんな物を作るから!」

 

 「どっちが先かじゃねぇ!無関係な民間人まで巻き込むやり方が気にいらねぇんだよ!」

 

 斬り結んだ拍子に繋がった接触回線で奇しくもイージスのパイロットとの通信が開く

 

 「ナチュラルがこんな物を作らなければ俺達だって!」

 

 「ならGを作らずに貴様らに嬲り殺しにされろってか!違うと言うなら今の戦争だって無いだろうな!」

 

 「だが、お前達は核を撃った!ユニウスセブンの『血のバレンタイン』を俺は一度だって忘れた事は無い!あそこには母がいた!」

 

 「俺だってお前達ザフトに両親は殺された!だから撃っていいとで言うのか!他者の死を免罪符に使うな!」

 

 「な、うわぁッ!?」

 

 激昂し、叫ぶイージスのパイロットに対してカイトも叫び、イージスのガラ空きの胴体にヤクザキックをかまし、距離を取る。

 

 「ちぃッ、撃たせるかよ!行けよビット!」

 

 複数のジンが装備している大型ミサイルや身の丈ほどにあるビームキャノンを航行しているアークエンジェルへ向けて攻撃しようとした瞬間にカイトは自身の機体に備えられている無人誘導兵器ビットを展開、それを今まさに自身の母艦に攻撃しようとしたジンに向けて放つ

 

 「な、なんだこれは!?」

 

 「うわぁッ!?」

 

 ジンに乗っていたパイロットは驚きの中、無数のビームに貫かれてその場で爆散する。

 

 「コロニーをこれ以上壊させてたまるかよ!」

 

 そして残りがイージスだけになった所でイージスはその場で転身し戦域より離脱する。

 

 「撤退したか…、アレはさっきのジンか?」

 

 眼下に広がる地表に落としたジンがまだ動いているのを確認したカイトは銃口をそのジンに向けたままオープンチャンネルを開く

 

 「そこのジンのパイロット、動くな。」

 

 「くそッ!」

 

 銃口を向けられた時点でジンのパイロットのミゲルは両手を上げ、悪態を吐く

 

 「無駄な抵抗はやめてこちらに来い」

 

 そう言ったカイトの言葉に渋々とだが従う

 

 「名前は?」

 

 「ザフト軍クルーゼ隊所属のミゲル・アイマンだ。」

 

 「こちらは地球連合軍所属のカイト・ミサカ少尉だ。軍事協定に基づき、君を捕虜とさせてもらう」

 

 ホットスクランブルの手に乗ったミゲルと名乗ったザフト兵にカイトは冷静に告げてミゲルが落ちないように両手に包んだ状態でアークエンジェルへと向かうのであった。

 





 と言うわけで作中不遇だったミゲルさん救出!後の扱いはまだ決めてないですが生き残った彼をどうしましょうねw
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