青年の異世界珍道中〜ガンダムSEED〜   作:クロイツヴァルト

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PHASE6

 

 

 「いいかげん、しつこいんだよ!」

 

 『来たな、羽付きがッ!』

 

 アークエンジェルを出たカイトをストライクと交戦中のデュエルが見つけて突貫してくる。

 

 『おい、イザーク!』

 

 『ハーフとミゲルから聞いた!連合軍に与した、コーディネイターの面汚しがぁッ!』

 

 突貫してくるデュエルは周波数を合わせ、無理やり通信を開き怒声を上げる。

 

 「ほぅ、ミゲルから俺の事を聞いたか。だからどうした、俺は俺を産んでくれた両親に感謝し、誇りでもある。コーディネイターだからナチュラルだからと先入観に囚われず、お互いに想い合っていたのだからな。」

 

 『なんだとぉ!』

 

 ライフルを撃ち合い、時にはサーベルで斬り合う中で、カイトの言う言葉にデュエルのパイロットは更に怒気を上げる

 

 『軟弱なナチュラルに』

 

 「その差別的思想が争いの大元だと何故気付かん?俺達コーディネイターとて苦手な事もある。ナチュラルだってそうだ!ただ生まれが違うだけだ」

 

 『そういう演説は他所でやってくんないかな!俺達は戦争をやってんのよ』

 

 「ッ、バスターのパイロットか!」

 

 カイトとデュエルのパイロットの会話に割り込むように、太く緑色の光条がホットスクランブルに迫るが、難なく回避したカイトは軽く毒付く

 

 『ディアッカ!邪魔するな!』

 

 『イザーク、あの赤いのは俺らの機体と性能が違うんだから少しは協力しないとだろ?』

 

 通信が開きっぱなしの中で会話する2人を見てカイトは内心で感心する。

 

 「(へぇ、あのバスターのパイロット、ディアッカって言うのか。チャラそうな見た目だが冷静に物事を見れるんだな)通信開いたままの作戦会議はもう良いのかな?」

 

 『ッちぃ、五月蝿い!俺が裏切り者のお前を墜とす!』

 

 「裏切り者とは心外だな。俺は昔から連合に所属しているんだがな」

 

 ますます激昂するイザークのセリフにカイトが戯けた様に喋る

 

 『イザーク!挑発に乗るな!あぁ、もう!』

 

 なおも突っ込んでくるデュエルを軽くあしらいながらバスターの攻撃を避けるカイトはストライク達の動向を探る

 

 「向こうも攻めあぐねている様だし…飛ばすか」

 

 『なにぃッ?!』

 

 カイトはライフルを単射モードから照射モードに切り替えてデュエルを薙ぎ払うように振るう。しかし、そこは赤服を纏う精鋭なのか間一髪で回避しようとするが、ビームの直撃の方が速かったのかシールドを持つ腕が切り飛ばされ、その衝撃かコックピット内で激しく頭をぶつけたようでバイザー部分が砕ける

 

 『あぁぁぁッ?!』

 

 『イザークッ?!』

 

 激痛を伴うイザークの悲鳴が通信越しに聞こえ、ディアッカの狼狽える声が聞こえる。

 

 「おい、バスターのパイロット。ディアッカっつったか…そこの坊ちゃん連れて下がんな。これ以上の戦闘は無理だろ」

 

 『おいおい、むざむざ敵を逃すってのかよ!』

 

 力なく漂うデュエルを支えるバスターを見て、カイトは改めてバスターのパイロットの方へ通信を開き見逃す発言をし、バスターのパイロットのディアッカが驚く

 

 「戦争はしているが、わざわざ若いモンを殺すような外道じゃ無いんでね。まっ、また向かって来るんだったらまた相手してやるよ」

 

 ディアッカの言葉にカイトは苦笑しながら戯ける

 

 『…見逃してくれるってんならそうさせてもらう。だが、礼はしない』

 

 「それでいい。今は戦争をしてるんだからな。」

 

 『俺の名前はディアッカ・エルスマン。羽付きのパイロット、お前の名は?』

 

 「カイト・ミサカだ。ディアッカ、さっさと下がってデュエルのパイロットの治療でもしてやるんだな」

 

 そして母艦の方へ下がるバスターとデュエルを見てカイトはストライク達の方へ向かう

 

 「少年!フラガ大尉!」

 

 「カイト、来てくれたか!」

 

 「カイトさん!」

 

 『イザークとディアッカがやられたのか?!』

 

 カイトの登場にキラ達の喜色ばんだ声とは反対の焦った声がキラのコックピットの方から聞こえる。

 

 「少年、ブリッツかイージスのパイロットと繋がっているのか?」

 

 「そ、それは」

 

 「訳は聞かん。が、そっちのパイロット、聞こえてるな?バスターとデュエルはすでに後方へ移動した。無駄な戦闘はせずに貴様らもさっさと帰るんだな」

 

 『なにを』

 

 「こっちはMAにMS2機でそっちはMSがたったの2機しかいない状態で俺達とやり合おうってのか?」

 

 『…くッ!撤退する!』

 

 カイトから向けられる銃口に責められる様にしてイージスが踵を返して母艦へと向かい、それに続く様にしてブリッツもその場から離れていく

 

 「ふぅー…ブリッジ、状況終了だ。今から帰還する」

 

 『分かりました。三人とも無事で良かったわ。もう少しで物資の補給ポイントだからもう少し頑張ってね。』

 

 カイトがブリッジに通信を開き知らせると、マリューは安堵の表情をしながらカイト達の無事を労う

 

 「了解、では帰投します。」

 

 そう言ってカイトはブリッジとの通信を切る

 

 「少年、フラガ大尉、戻りましょう。」

 

 そうしてカイト達はアークエンジェルへと戻る。

 

 その頃敵の側はといえば

 

 「敵に情けをかけられて戻ってくるなど……恥晒しが!」

 

 ブリッジに戻っていたガンダムに乗っていた者達が艦長に叱責されていた。

 

 「アデス、そう怒鳴ってやるな。相手にはあの紅蓮にエンデュミオンの鷹がいるのだ。見逃してくれた事には感謝せねばならんさ。もちろん、その礼は熨斗をつけて返さねばならんがな」

 

 仮面を被った男、クルーゼの言葉に怒りから興奮していたアデスは肩で息をしながらクルーゼを見る

 

 「しかし」

 

 「幸いというべきか、イザークの傷は残るものの命には別状が無い様だ。奴らの行く先はハルバートン率いる第八艦隊が目標なのだから、それまでに仕留められれば問題ない。それに、この先で補給を受ける様だからな。その付近に先回りして張っておけば自ら掛かってくるだろう。それまでは君達も休んでおきたまえ。それに次の戦闘には私も出る」

 

 渋るアデスを他所にクルーゼはこの場にはいない者にも休む様に伝えてブリッジを出る。

 

 「あの赤いMSは…一体なんなのだ?この私ですら知らない機体とは…案外あの坊やも使い物にならないらしい」

 

 クルーゼは独り言を呟きまるでスパイがいるかの様なセリフを吐き隊長室へと入っていく。

 

 「イザーク、大丈夫ですか?」

 

 「五月蝿い!腰抜けが!わざと見逃されておめおめと逃げてきおって!」

 

 「イザーク、それを言ったら俺達だって見逃されて生かされたんだぜ?」

 

 「ぐぅぅッ、なんたる屈辱!羽付き……この傷と屈辱、次に会ったら返させてもらうからな!」

 

 イザークの心配をする緑の髪の気の小さそうな少年の言葉に声を荒げて反応するが、ディアッカの呆れた様な表情と言葉に悔しげな表情を浮かべ、拳と肩を震わせながら怒りの声を医務室で上げるのであった。

 

 「さて、と。ラクス、君の身元が確定したから、これからは向こうに戻るまでは普通に船室を使ってくれて構わない。が、一応安全面を考えて俺の部屋の隣か真向かいって事になるが」

 

 「カイト様のお隣でお願いいたしますわ。」

 

 「了解、じゃあとりあえず食堂に行こうか。」

 

 現在、アークエンジェルは補給を受けるためのランデブーポイントに向かっている

 

 「っと」

 

 「きゃッ!?」

 

 通路の曲がり角に差し掛かった所で誰かとぶつかる。が、ぶつかって来たカイトは優しく受け止めて改めて相手を見る。

 

 「君は避難民の子だな。どうした?」

 

 「ぶつかってごめんなさい。食堂に行こうとして」

 

 「食堂か?なら俺達も今から行く所だし一緒に行くか。ラクスも良いか?」

 

 「カイト様がよろしければ私は大丈夫ですわ。」

 

 「貴方、カイトって言うの?私はフレイ、フレイ・アルスターよ。」

 

 「フレイか、よろしく。俺はカイト、この艦の乗組員で技術士官兼パイロットをしているが、今の所やっているのはパイロットの方が比重が上がっているな。」

 

 「すごいですね!ところでアルスターって聞いても驚かないんですね?」

 

 「外務次官が君のお父上って事だろう?で、どうした?君は君なのだから問題ない」

 

 「へ?」

 

 ぶつかってきた少女、フレイの疑問の言葉にカイトが返した言葉に呆気にとられ、それを見たラクスがクスクスと笑う。

 

 「フレイ様、カイト様はこういった方の様なのです。身分だとか出自だとかを気にする様な殿方ではない様なのです。」

 

 「貴女は?」

 

 「申し遅れました、私、ラクス・クラインと申します。」

 

 「ラクス・クラインって」

 

 「フレイの嬢ちゃん」

 

 驚き距離を取るフレイの行動にカイトが声を掛ける。

 

 「君の父親がブルーコスモスの一員で、君もコーディネイターを嫌悪しているのは知っている。が、今目の前にいる彼女は君の嫌悪する様な者か?ただそこにいるだけの少女も恐怖し嫌悪すべき対象か?」

 

 「それは……」

 

 「頼む、先入観で見ずに嫌わずに先ずは話をしてみないか?」

 

 フレイはカイトの言葉に

 

 「…直ぐには無理だろうけど、話くらいなら」

 

 戸惑いながら、フレイは自分よりも年上のカイトの言葉に一応の納得を見せる。

 

 「ありがとう。さっ、少し話し込んでしまったが食堂に行こう。」

 

 「そうね、お腹が空いちゃったわ。まぁ、さっきは悪かったわね、その…ラクス」

 

 「えぇ、よろしくお願いいたしますわフレイ様」

 

 「様をつけて呼ばないでよ、フレイでいいわ」

 

 「はい!」

 

 カイトに施されて食堂へ向かう中、フレイがバツが悪そうな表情で謝罪をするが、ラクスは気にしていない様に喋り、それに対してフレイは照れくさそうに少しぶっきらぼうな物言いをするが、それが照れ隠しだとわかっているのかラクスは笑顔で頷く。その様子を見てカイトは笑みを浮かべる

 

 「(ほんの些細な変化だけど、そこからお互いに歩み寄っていけるのなら、ヒトは争いをせずに済むんだけどな)」

 

 2人の様子を見ながらカイトはこの世界の未来に思いを馳せるのであった。

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