青年の異世界珍道中〜ガンダムSEED〜   作:クロイツヴァルト

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PHASE8

 

 先の戦闘で負傷したカイトが医務室に運び込まれ、キラとラクスに医療班の数人だったが、医務室に医師が戻ってきた事で医療班は医師に引き継ぎをするとそのまま引き上げていった。

 

 「先生、カイト様は大丈夫なのでしょうか?」

 

 「うーん、何とも言えないね。左腕に多少の麻痺はあるし、目から血を流していたって書いてあるが、MSに乗っていてこんな症状を聞いた事がないからね。まぁ、後は多少の脱水症状があったけど、そっちも今は大丈夫だから今の所は命に別状は無いから安心してもいいよ。」

 

 ベッドに寝かされたカイトの手を握り、不安そうなラクスの言葉に医師は難しそうな表情を最初はしていたが、不安な表情の彼女を安心させるように告げる

 

 「ラクスさん、良かったね。」

 

 「はい、キラ様。」

 

 医師の言葉を聞き安心し、キラが励ましの様な言葉をラクスに言う。そこへ通路の方がやけに騒がしく異様な雰囲気がこの医務室にいても感じられる。

 

 「何かあったのでしょうか?」

 

 外の喧騒が聞こえ、不安な表情に戻るラクス

 

 「ラクスさんはここに居て」

 

 隠れてと言おうとした所、医務室のスライドドアが開き、高官らしき人物とそれに付き従うように2人の兵士が入ってくる。

 

 「ここにコーディネイターがいると聞いた!」

 

 「困ります!ここには重症者がいるのですよ!」

 

 「五月蝿い、邪魔をするな!」

 

 高官と思しき男の言葉に医師が慌てて割り込むが兵士に突き飛ばされる

 

 「お前はッ?!プラントのラクス・クラインか!」

 

 「彼女に触れるな!」

 

 「貴様は?」

 

 「僕はストライクのパイロットです。理由無く彼女を連れて行かせる訳にはいきません。」

 

 「ふん、貴様もコーディネイターの様だな。そこの死にかけは軍属の様だが一緒に連れていく」

 

 「なッ?!ミサカ少尉は怪我をしているんですよ?!」

 

 「関係無いな。それにプラントのクラインの娘なら良い交渉材料になるだろう。いいから連れて行け!」

 

 「きゃッ!?」

 

 「ラクスさん?!」

 

 高官の男の言葉に従い、兵士が無遠慮に近づきラクスの腕を掴みキラが驚き、その行動を邪魔しようと動こうとした時

 

 「その…汚い手を…離…せ」

 

 「な、ぐあッ?!」

 

 「ミサカ少尉!?」

 

 「カイト様!」

 

 なんと先ほどまで意識がなく重症者として寝ていたカイトが意識を取り戻してラクスの腕を掴んでいた兵士の事を殴っていた。

 

 「貴様ッ!死に損ないの化け物のくせに私の邪魔をするのか!」

 

 「あぁ、邪魔させてもらうね。」

 

 ベッドから跳ね起きた拍子にはだけた病院着を直しながらラクスを背に庇いカイトは高官の男を睨みつける。先ほどまで寝ていた重症者とは思えない気迫に高官の男はたじろぐ。

 

 「そもそも、彼女は俺達が保護している。それを他所から来て彼女を引き渡せは無理があるだろうに…そもそもこの艦はハルバートン提督の指揮下に入る予定。それを頭ごなしに割り込むのはいささか横暴が過ぎるんじゃ無いかな?アルスター外務次官」

 

 カイトは病み上がりながらもそう高官の男、フレイの父親にして地球連合軍外務次官ジョージ・アルスターに告げる。

 

 「それは…」

 

 「そもそも、彼女を交渉材料なんかにはさせないし、する気も無い。すると言うのならまずはハルバートン提督に言うのが筋と言う物だ」

 

 口ごもるジョージ・アルスターに対してカイトはなおも口撃を止めない。

 

 「パパ、何をしてるの?!」

 

 「フレイ、どうしたんだい。そんなに声を荒げて」

 

 「ラクスは私の友達よ!勝手に連れてなんて行かせないんだから!もし強引にでも連れていくんだったら私はパパの事嫌いになるから!」

 

 ジョージ・アルスターに遅れて来たフレイはよほど慌てて来たのか肩で息をしながら父親であるジョージ・アルスターに食ってかかる。その様子に父親である彼は

 

 「…いいだろう。フレイには嫌われたく無いから今は退くがこの事は軍に報告させてもらう。」

 

 「どうぞ。横紙破りしようとしたことも一緒に俺の方からもハルバートン提督に報告させてもらう。もちろんこの場の映像も残っている事もお忘れなく」

 

 「…ちッ、食えない男だな。いくぞ」

 

 「ごめんね、ラクス。私のパパが」

 

 少し考えた後に兵士と共にジョージ・アルスターは兵士を伴って医務室から退出し、入れ替わるようにフレイが入って来てラクスに謝る

 

 「フレイ様が謝ることではありませんわ。それにカイト様が護って下さいましたから」

 

 「あッ!カイトさんもう大丈夫なんですか?!」

 

 フレイはラクスの事で一杯一杯だったのかラクスの近くにいたのに気づかれていなかったカイトは苦笑いしながらフレイの頭にぽんと手を乗せ

 

 「あぁ、今しがたな。最もラクスの悲鳴で起きたってところが正しいかもしれんがな」

 

 「そうなんですね。だけど、重症は重症なんですから安静にしていないとダメよ?」

 

 「連中がしつこいから長く休ませてくれないだろうし、もう少しで第八艦隊と合流だ。そこでラクスの扱いを決める事になるだろうが、ハルバートン提督は早期終戦を願う方と聞く。必ず彼女はプラントに返還されるだろう。」

 

 「そう…ですわね」

 

 カイトの言葉にラクスは寂しそうな表情をする。それを見たフレイは

 

 「ちょっと、キラ。もうパパはちょっかいかけてこないと思うし食堂に行きましょう。」

 

 「え、なんで」

 

 「カイトさんが起きたなら艦長達に報告しないとだし、食堂でご飯もらってこないとでしょ?」

 

 「あ、そっか!」

 

 「て訳だからキラは連れていくわ。…ラクス、頑張んなさい」

 

 キラを連れてフレイは出ていく前にラクスに何か耳打ちし、ラクスはそれを聞いて頬を染める反応をする

 

 「…フレイの嬢ちゃんは何を言ったんだ?」

 

 「それはこれからお教えしますわ」

 

 「ちょッ、ラクス?!」

 

 疑問に思った事をラクスに聞くとラクスは応えるのと同時にカイトを医務室のベッドに押し倒し、カイトはそれに狼狽える

 

 「だめ…ですか?」

 

 「あのな…」

 

 「この後は一時のお別れになるのです。その前にカイト様の想いを私が欲しいのです。」

 

 「…後悔しないのか?」

 

 「致しませんわ。今の私は貴方様の事を愛おしいと思っておりますわ」

 

 「わかった。なら俺も正直に言うと君が欲しい」

 

 その言葉を皮切りに2人は重なる

 

 「ラクスは上手くやってるかな?」

 

 「ねぇ、フレイ。何で急に僕まで連れて」

 

 「え、キラって気づかなかったの?ラクスはカイトの事が好きな事」

 

 「えぇ?!ラクスさんが!?」

 

 場所は変わり、キラとフレイの2人は食堂に向かっているが、その速度はやけにゆっくりであり不思議に思ったキラの言葉に心底不思議そうに表情にだし、キラにしてみれば衝撃の言葉だったのかフレイの言葉に仰天する。

 

 「あっきれた。あんな恋してますって表情の子がいても気づかないなんて、キラって好きって言われないとわからないタイプなの?そもそもあんな身近で色々と便乗を図ってくれて、頼りになる人がいたら誰だって惚れそうだけどね。カイトさんが同い年で私達のところに通ってたらモテモテよ。絶対」

 

 キラの言葉にフレイはキラの正面に回り込みマジかと少しドン引きしながらも指摘し、ifの話をするがカイトがモテると断言する。

 

 「確かにミサカ少尉ってどことなく周りの事が分かるのか気配りがすごい細かいんだよね」

 

 「そうなのよ。前に廊下でぶつかって壁に当たりそうになった所を止めてくれた時もさりげなく受け止めてくれたし、こっちが不快にならないようにしてるって気づいたし」

 

 「フレイは…ミサカ少尉が好きになったの?」

 

 キラの言葉にフレイは驚く

 

 「私が?確かにカイトさんは魅力的な人よ。けどMSパイロットをしている訳だし、あのラクスが想っている人よ?いくら魅力的でも友達の想い人を奪うなんてしないからね」

 

 フレイの言葉にキラは少なからず衝撃を受ける

 

 「え、でもサイが」

 

 「確かにサイは私の恋人って事だけど、それも親の決めた物よ?今回の件もあってパパに反抗しちゃったけど、私は私でちゃんと好きになってくれる人が良いかな?流れに任せるのって性分じゃないし…ね?」

 

 呆気に取られるキラに対してフレイは可愛らしくウィンクして通路の先に行く

 

 「あ、何ならキラが私をもらってくれるのかしら?」

 

 「ちょッ、フレイ?!」

 

 「ふふ、今後に期待って事なのかしら?」

 

 慌てるキラに対してフレイはそう呟くが、動揺しているキラは聞こえていないようで、仄かな想いを持つキラからしたらたまったものではないようであった。

 

 「そう、ミサカ少尉の意識が戻ったのね。他に問題は?」

 

 『はい、後はフレイのお父さんが入ってきて多少いざこざがあった位ですね。』

 

 「そう、アルスター外務次官が」

 

 「勝手に艦内を出歩いて欲しくないけど強権使われるとこっちとしちゃ面倒なんだよな」

 

 『まぁ、その後の話は後からミサカ少尉から話があると思いますので』

 

 「わかったわ。キラ君、わざわざ報告してくれてありがとね。」

 

 『はい、それでは』

 

 そう言ってキラとの通信が切れたブリッジは

 

 「ほんっとロクな事しないな連中は。あのカイトがキレて兵士ぶん殴ったのか」

 

 「そうね。先ずはハルバートン提督に先立って相談して外務次官の横槍が入らないようにしておきましょう」

 

 「それもそうですが、プラントの姫と連合の軍人って」

 

 「そこは愛だ恋だってのはそういう物で止まれるもんじゃないでしょ。」

 

 「それは…私にはわかりません。私は軍人として生きて来たのでそっちの方面にあまり詳しくないので」

 

 「あら、バジルール少尉は恋をしたことが無いの?」

 

 「あ、はい。軍人として風紀を乱すような事は一切」

 

 「かー、硬いね!俺だったら息が詰まっちまうよ!」

 

 「何を!フラガ少尉の場合は奔放なだけでは無いですか!」

 

 「何を言いますか!奔放じゃなく自由なの、俺は!」

 

 「あら、2人とも仲がいいのね」

 

 「「どこがッ?!」」

 

 ブリッジではそんな一幕があるのであった。

 

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