不可思議な島の、不思議な生き物達と生きる 作:名無しのパルテイマー
なお、他が関わらない主人公の行動は全てゲームでも可能です。
但し一部はゲーム内の“ワールド設定”を変更する事が前提なので、そこだけはご注意を……
声を掛けてきたのは、酷くやつれた感じの……大人の女性。
やつれていると感じたが、よく見ると身体の調子や栄養状態はそれほど悪くない……何というか、雰囲気だ。彼女の雰囲気がおかしい……
何か途轍もないものを見たか、恐怖を感じたのか。とにかく彼女の纏う雰囲気は、心が疲れきって最早自分ではどうしようもない……そんな、全てを諦めた様な目で私を見ていた。
「美しく見えるだろう? だが、この島は“地獄”だぞ……」
女性はそう言いながら、私に接近してくる。彼女の手には、大事に使われてきたであろう猟銃らしき物を持っているが、使う気配は全く無い。金属製の防具に、革製のオープンフィンガーグローブ……防具と同じ金属製の額当てを装備している彼女は、一見すれば凄腕の傭兵にも見える。
『……傭兵さん、ですか……?』
気になった私は失礼だと思うも、思いきって聞いてみる。
「……元、だ。既に廃業してるんでな……」
当たりではあったが、もうその仕事はやってないらしい……それから、元・傭兵である彼女はこう言った。
「遭難者にとって、この島はまさに地獄……この私でさえ、二度とあんな目に遭うのはゴメンだ」
何故、凄腕の傭兵であった彼女がこんなにも弱気なのか……この島はそんなに危険が多いのか、そう思わずには居られなかったが、彼女は続けてこう言った。
「……この島で生き残るには、パルの居ない場所で怯えて暮らすか、パルを捕まえて使役するしか無い」
パルとは、この島で特有の生態系を築いている多種多様な生き物達の総称……なら、あの時私の顔を覗き込んでいた生き物達も“パル”らしい。
「……だがパルを捕まえて使役するには、“スフィア”と“デバイス”が必要だ……」
彼女の言う“スフィア”が何かは分からないが、“デバイス”というのはコレの事ではないだろうか……
そう思い、彼女に“タブレット端末”を見せる。すると……
「……!? なる程……お前“も”選ばれたのか……この“地獄”に」
さっきから何度もこの島の事を“地獄”だと表現する彼女……誇張だと思うが、その顔は一切笑っておらず、むしろ言う度に顔から表情が消えていく……
「コレと……“スフィア”があれば、何とかなる……と?」
そう問いかけると、彼女は無言で頷いた。そしてこう話す……
「その端末には、“パルスフィア”の製造方法が入っている……そいつを使って“パルスフィア”を作り、パルを捕獲すれば、捕獲したパルは“持ち主”に服従するらしい」
彼女はそれから……自分の相棒だった人物もこの“タブレット端末”を見つけ、パルを使役するようになったと語り始めた。
どうやらさっきの情報は、その相棒さんが見つけたものらしい……
「それで……その相棒さんは今何処に……?」
「…………」
私の問い掛けに、沈黙を貫く彼女……その顔は後悔の念がありありと浮かんでおり、やがて目を伏せた。どうやら彼女のタブーに触れてしまったらしい……
酷く落ち込んている感じがする……私はそれ以上聞くことができず、彼女の下を離れようとした。すると彼女は顔を上げずに私の両肩を掴み……
「この島で生き残るなら、必ずパルを仲間にしろ……そして強くなれ。この島では力の無い者から消えていく! それを絶対に忘れるな!!」
私はその忠告にゆっくり頷き、彼女の手が手を離してから“ありがとう”と返した。
その時、彼女の顔が少しだけ晴れた様な気がした──
元傭兵の女性と別れた後、改めてこの高台から島の自然豊かな景色を見渡す……マップによると、この辺りは“風立ちの丘”と言われる場所らしい。
確かに時折、心地よい風が肌を撫でているし、海の近くだというのに気温も湿度も快適……常に穏やかな日差しもあって、昼寝をするにもちょうど良い。
……そして視界のあちこちに、白くて丸い毛玉の様な生き物が見えていた。
するとタブレットが突然震えだし、何事かと思って急いで手に持つと、画面が独りでにある表示を映し出した……
(これは、あの毛玉生物の情報……か? ふむ……モコロン、というのか……)
毛玉……よく見ると羊の様な小さな角が見えており、時折聞こえる鳴き声も、羊のイメージそのものだ。
その近くには、これまたどう見ても“ニワトリ”にしか見えない生物……そして、ピンク色で二足歩行をする“猫”(?)の様な生き物も居る。
(あっちは、タマコッコ……向こうは、ツッパニャン……何とも言えない名前……)
それに近い生態をしているからなのか、この場にいるパル達はどれも既存の生物に近い外見をしている……それは裏を返せば既存の生物に近い……比較的大人しい種だとも言える。
(彼らが凶暴だとは思えない……いや、奥地の方にはもっと凄い奴が居るんだろう)
彼女の恐怖に引き攣った顔と、あの言葉は忘れられない……気を引き締めなければ。
・
・
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さて、彼女の“パルを使役しなければ生き残れない”という忠告に従うため、私は件の「パルスフィア」の製造をしようとタブレットを操作する。
(確か、テクノロジーの項目にあったはず……コレだ)
2段目にあったパルスフィア……製造にはやはりそれなりの素材が必要で、木材と石ころ、そして“パルジウムの欠片”という物が必要らしい。見た目は青白い結晶体で、この島の岩石にも微量に含まれているらしく、石を割ると出てくる場合もあるようだ。
(そう言えば、さっきかき集めた時に幾つか見つけたな……)
早速“インベントリ”を開き、持ち物を確認する。パルジウムの欠片は7個……1つは別の使い道があるから取っておくとして、残りをスフィア制作に使う事にしよう。
……そうしていざ始めようとするが、制作に必要な“作業台”が無い事を思い出す。
(……まずは作業台だった……)
作業台は木材を組み合わせるだけで作れるらしく、私は早速インベントリから木材を必要量取り出す……インベントリはタブレット端末の画面に物体を乗せると中に吸い込まれ、欲しい物を画面に表示させ、必要数を指定して画面上のボタンを押すと出て来るという……何とも不思議なシステムだ。
(ゲームでは所持量の限界があるが、コイツは果たして……)
などと考えるが、今インベントリに入っている量を考えると全てが埋まるのはしばらく先になる筈……インベントリ画面の下部に“総重量”という項目があり、そこには数値とゲージで“総重量”が表示され、タッチするとその内訳や詳細までキッチリ表示される……
(どこまでもゲームライクだなぁ……原理は不明だけど)
そう思いながら画面を操作し、目的の素材を取り出す……表示させて画面のボタンを押し、画面を下に向けると指定した数の木材が画面から出てきた。
「よし、作るか!」
取り出した素材を集め、袖を捲る……すると何故か視界に薄っすらと目的の“制作台”が浮かび上がり、
(……っ?!)
思わず目を擦る。だが制作台の幻影は消える事なく浮かんでおり、視界の移動にも追従……ご丁寧に地形の起伏に応じて角度が変わったりする。
コレにはさすがに驚いて思わずタブレットや素材をばら撒いて飛び退いたら消えた……
何かしら条件が整うと見えるようになるのか……?
(視界に直接映るとか聞いてないぞ……!)
頭の中に作り方が浮かぶというのもそうだが、視界に完成予想まで見えるとかまるでゲームじゃないか……原理不明だけど。
(……も、もう驚かないからな……!)
おっかなびっくりではあるが、再び素材を集め直しているとパルジウムの欠片を手にした時、再びあの幻影が見え始めた。
(……もしかして、この“パルジウムの欠片”……か?)
手に持つと、よりはっきりと分かる……この視界に映る“制作台”の幻影と頭に浮かぶ“作り方”。パルジウムの欠片が私の頭に近い程、より分かりやすく理解できる……何とも不思議な力。
……私がオカシクなった訳ではないと理解できると、途端に溜め息が出た。
「……はぁ……っ、人騒がせな……」
気を取り直して、“制作台”を組み上げ始める……頭に浮かんでくる“作り方”に倣い、手を動かす。素材を選びぬき、組み上げ、固定……時には打ち付け、組み合わせる。
ものの5分も経たない内に……みすぼらしくはあるが、強度や使い勝手は十分そうな“制作台”が完成したのだった。
主人公に見えるこのゲームっぽい描写や視界の異変……
それも全てこの“パルジウム”が原因だと解釈しています。
【TIPS】物を持ち過ぎると移動速度が極端に落ち、ジャンプ等も出来なくなる。
主人公は……
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男
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女