不可思議な島の、不思議な生き物達と生きる 作:名無しのパルテイマー
そんなペースで進みます。
頭の中と視界に何か浮かんできてビックリしたが、とりあえず“制作台”は完成した。
(さて、次は件の“パルスフィア”と……この際だから武器も作ろう)
確かにパルスフィアは重要だが、自衛の為の武器も欲しい。場合によってはパルを追い払う事にもなるだろうし、落ちている物だけで物を作れる程都合よく物は落ちていない……採取目的にも転用できるだろうから。
パルスフィアの制作に取り掛かると、やはり頭の中に浮かんでくる“制作手順”……原因は既に判っている。この“パルジウム”の欠片、というか恐らく“パルジウム”そのものが原因だろう。
こうなると他にも様々な効果がありそうだが……
とりあえず、直接的な“害”は無さそうなので大いに活用し……素材も多少集め直して、5個のパルスフィアとつるはし、斧を作成した。
(……で、問題は捕まえるパルだけど……)
至近距離に立っているにも関わらず、白い毛玉生物……モコロンは円らな瞳で私を見上げ、興味を無くすと目線を落として草を食べたりその場で寝転んで昼寝を始めるなど、警戒心の欠片もない……
(……できねぇ……!)
可愛過ぎるぞ!? 何だこの生き物は?! 挙動がいちいち家畜化されて警戒心の欠片も無くなった羊の子供じゃねーか!!
「……かわい……ハッ?!」
イカンイカン、危うく目的を見失う処だった……今はパルを捕まえて戦力化するのが目的だ。
(となると……モコロンは駄目だな。もう少し強そうな奴が欲しい)
ほぼ同じエリアにいるタマコッコも同様……見た目から既に“最弱”感が漂っている、あの見た目で強いとか絶対にあり得ねぇ*1。
(……って事は、目標はツッパニャンか……)
ツッパニャン……ピンク色の体毛の、二足歩行する猫っぽい生き物。時折聞こえる鳴き声や大きめの耳が、どことなく猫感を醸し出している……そのネーミングセンスはさておき、ネコ科ならライオンなど、既存の生物でも一定の強さを誇る奴がいる……出だしにはちょうど良いだろう。
そう思っていたのだが……
「クッソ……逃げるなッ!!」
ツッパニャンは私の姿を見つけるなり猛ダッシュし、何処かへと隠れてしまう……逃げ足の速さはネコ科らしく一級品で、何度かチャレンジしてみたが、全て逃げ切られてしまった。
(地形的にコッチが不利過ぎるな……坂を上手く利用すれば?)
わらわらと逃げ惑うツッパニャンを見ながらそう思うが、体力的にも長続きしないと判断し、この場は諦めようとしたその時だった。
(……? アイツ……初めて見るな……)
視線に気付いても、接近しても動じない赤い毛皮の生き物……尾の先は赤々と燃えており、時折ぴょんぴょんと飛び跳ねている……見た目も他のより強そうだ。
(……アイツにしよう、名前は……おっと)
ちょうど良く端末の情報も更新され、名前が判明する。
「キツネビ……やはり見た目通りって事か……いや、この際名前は置いとこう」
いい加減この微妙な種族名には慣れないと……頭を振り、パルスフィアを確かめる。
(反撃……はしてくるだろうな。ある程度は覚悟しとかないと……!)
見た目通りなら、炎を攻撃に用いてくるのは明らか……付近に遮蔽物はほとんど無いので、隙を与えない様にするか、上手く避けるしかない。
(なるようになれだ……!)
気合を入れ直し、奇襲を仕掛ける為に背後からゆっくりと近付く……どの生物も頭は弱点だから、頭を殴れば何とかなる……ッ!!
結論から言おう……捕獲には成功した。
……だが、予想だにしなかった事態にもなった……
(流血こそしなかったが……罪悪感が半端ねぇ!?)
殴った時のキツネビの鳴き声は……私に何とも言えない罪悪感を掻き立てるには十分だった。
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至近距離で見たキツネビは、モコロン同様穢れのない円らな瞳で此方を振り向く……初めて見る人間の姿にある種の興味を持っただろう、だが私はその場の勢いで頭を殴り続け、怯んだ隙にパルスフィアを投げ付けた。
一度で成功したのは運が良かった……もし、失敗していれば反撃と共に敵意を向けられるだろうから。
(……捕獲には成功したが……コイツ、怒ってないかな?)
捕獲から数分後……その場に座り込んだ私はキツネビの入ったスフィアを眺めながら、そんな事を考える。
元傭兵の女性の話では“服従する”と言っていたが、どんな風になるのか……具体的には教えて貰えなかった。
(………………よし)
思いきってキツネビを出してみる……軽めに放り投げて地面に落ちた直後、捕まえた瞬間を逆再生するみたいにスフィアから光が溢れて姿形を取り、その色が変わる様にキツネビが姿を現す。
《くぉーん》
一声鳴いたキツネビは周囲を見渡し、私の姿を見つけると一定距離まで近付いてから立ち止まる。
(……やはり警戒されている……)
此方をじっと見つめ、佇む……敵意は無いようだが、突然の出来事に驚いているのだろう。
……そのままたっぷり10分ほど経過したが、キツネビは一向に動く気配がない。最初のまま敵意も無く、ただじっと此方を見つめている。
(……何か……おかしくないか?)
既存の野生の生物なら、こんな状況のまま動かない筈はない……たとえパルだとしても、それまで野生で生きてきた個体がこんな目に遭い、平然としているのはさすがにおかしい。
「……おいで」
思いきって呼んでみる、手招きのジェスチャーを認識したのか、ようやくトテトテと歩いてきた。座り込んだままの私の傍に来て、再びじっと見つめてくるキツネビ……
(……明らかに燃えてるな……熱くないのか?)
やはり尾の先は絶えず燃えており、何が燃えているのかは分からないが熱そうではある……しかし、当のキツネビは平然としているので大丈夫なのだろう。
撫でたい……そんな思いが込み上げてくる。
毛足は長すぎず、サラサラで艶も良い……こんな生き物の毛皮の手触りは如何なるものか、興味も湧いてくる。
思いきって手をそっと出してみる……キツネビは此方をじっと見つめたまま動かない。それを“了承”と取り、そっと背中に手を下ろす。
(柔らかい……それに、全然熱くない……)
予想通り……いや、予想以上に極上の手触り。サラサラであってフワフワ、適度な毛足に柔らかい反発力……そして尾の方は毛先が燃えているというのに全く熱くない。
(……っ、顔が……)
撫でられているキツネビの顔は、先程まで野生の個体であったのが嘘の様な……撫でられてご満悦な顔をしている。軽めのタッチではあるが、私の手が背中を首から尾にかけてゆっくりと撫で下ろす感覚に酔いしれており、初めての体験だというのに既にメロメロになっていた。
その反応に気を良くした私は、それから気の済むまで撫で回してしまい……気が付けば30分以上キツネビを撫でまくっていた。
《くぉん♪》
鼻に掛かった様な独特な鳴き声を上げ、なでなでタイムは終了……キツネビは満面の笑み(に見えた)でひと鳴きし、此方を見た。
(少なくとも、嫌な目に遭わせなければ嫌われる事は無いみたいだな……)
私が立ち上がると、キツネビは再び最初の位置取りに戻る……どうやら既に訓練された猟犬や盲導犬の様に、あの辺りが何をするにも最適なのだと判っているらしい。いや捕まえてまだ1時間も経ってないんだが……?
「……この調子なら、残り4個のスフィアで可能な限り捕まえられるな……」
この後、どうなったかは次回にて……
本作は至って真面目な考察を交える形の妄想ストーリーですのであしからず。
次に捕まえるのは……
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モコロン
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ツッパニャン
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タマコッコ
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グランモス